TOP » イベントレポート »  探求的な学習が賜物を生かす 学校図書館を核としたリプライア・カリキュラム

  清教学園創立60周年記念事業の一環として「学校図書館を核としたリブラリア・カリキュラム」と題した研究発表会を開催しました。
  当日は小雨の降る中、全国16都府県から100名以上の方が参加し、図書館リブラリアによる生徒への学習支援方法や図書館の役割など実践的な発表に参加者からの質問も多く寄せられ、熱気にあふれる発表会となりました。
  清教学園では学校図書館リブラリアを中心に、中高6年一貫した「探究型」のカリキュラムが実施されています。このカリキュラムの目的は「学びの主人公」になること。生徒たちは「何を学びたいのか」を問われ、自分でテーマを考え、資料を探して学びます。大変でも楽しい学びの大航海は、自らの賜物を発見して生かすチャンスです。
    中学生では図書館に蔵書されている本のPOPづくり・ブックガイドづくりなど本を読んで要約することで、読みたい本を読み、お互いに分かち合う経験を積みます。そして中学2・3年生の約30時間を利用し「中学卒業研究」を作成します。
    連携コースの高校2年生では、卒業研究に向け文章は「~だ」の常体文に統一するといった基本的な文章のルールを学ぶ言語技術演習や、イルカを逃がすために長崎で漁網を切ったアメリカ人に対する判決文を800字で作成するといった小論文の作成など、より実践的な取組みの後、4万字の「卒業論文タラントン」を作成します。
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      このカリキュラムの特長のひとつは、生徒一人ひとりが興味のあるテーマを選んで研究するということ。
  もちろん、すぐに興味のあるテーマを見つけることができる生徒もいれば、なかなか見つけることができない生徒もいます。そこで図書館を利用したテーマの見つけ方や資料の探し方など、必要に応じて担任・探究科教諭・司書教諭・司書から助言をします。
  生徒たちはテーマを選ぶと「企画書」としてまとめ、担任・探究科教諭へプレゼン・面談を行い、本人が興味を持ち人に伝える価値のあるテーマかどうかなどの基準をもとに、認定をもらうことで初めて課題制作に着手します。
  しかし、課題の制作中でもテーマが難しすぎると気付いたり、テーマに飽きてしまったりした場合でも、途中でテーマ変更が可能になっており、生徒は継続的に興味をもって取り組むことができるということも、このカリキュラムの特長といえます。
  また、図書館リブラリアでは、過去に卒業研究や卒業論文で選ばれたテーマを分析しながら本を取りそろえ、より効果的に生徒のニーズに対応できる「なんでも学べる図書館」としての蔵書体制を整えています。
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探究科教諭 片岡 則夫 先生
  探究科での取り組みを通じて「自分でテーマを決めて学ぶのは大変だけど楽しいぞ」という肯定的な学習観を身に付けてもらいたいと思っています。生徒が自分の好きなことを学ぶことが面白いということに気づくことが出来れば、卒業後も継続して自主的にテーマを決めて学ぶ習慣が付くと思います。
  たしかに、この授業が試験のとき直接的にプラスに影響することはあまりないかもしれません。しかし、目先の学力は意識せず、生徒の長い人生の中で自ら学ぶことで様々な事に対応できる人間を育てることが、長い目で見ると大事なことだと思っています。
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  情報リテラシーを身に付けさせるために授業で「調べ学習」をするという話がしばしば聞かれますが、それは逆ではないかと私は思っています。私たちはそうしたリテラシーをすぐには求めていません。むしろ、自分が興味をもって学ぶためにいろいろ調べていると、情報リテラシーがあとから自然とついてくるというように考えています。なにより興味を持って学ぶのが先です。
  PISA型「読解力」も同様です。自分の興味を手さぐりしたり、自分にとって大切な問題に立ち向かったりする中でこそ、そんな力は養われるのでしょう。
  自分の学びたい分野を自由に学ぶには、情報を集めて分析しないといけない。そうすると文章を理解するなどの情報処理能力が当然身に付くので、振り返ってみればPISA型「読解力」が身に付くものだと思います。
  私は情報リテラシーを身に付ける手順を、家を建てることにたとえる時があります。ノコギリやトンカチは家を建てる大工道具ですが、それらを熟達しただけでは決して家は建ちません。設計図を描いて、小さな本箱や犬小屋を作るところから始めて、やがては家を建てるような経験を繰り返していく中でこそ、ノコギリやトンカチといった道具が自分のものになるのです。
  情報リテラシー、それは『図書館やネット上で情報を探す力』、『パソコンを使う力』、『論理的な文章能力』、『フィールドワークの力』などです。つまり、論文をつくる力のすべてが情報リテラシーです。それらの力はその時代によっていろいろ変化します。しかし、本校のカリキュラムと学校図書館は、生徒がある分野を学びたいと思った時に「この本を読めばわかる」とすぐに差し出せるように資料を準備し、「こんな力をつけておくと便利だよ」と道具類を差し出してトレーニングできるようにしています。あとは生徒がそうした資料を「使いたい」と思うその時を待つのです。
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司書教諭 南 百合絵 先生
  本校での図書館業務は大きく分けて3つあります。1つ目がカウンター業務、2つ目が蔵書構築業務、3つ目がレファレンス業務です。 1つ目のカウンター業務では、貸出・返却作業をしています。この作業では、生徒を待たせないこと、話しかけやすい雰囲気であることを意識しています。ただ機械的に貸出・返却をするのではなく、カウンターに来る生徒の様子を見て、どんな本が図書館リブラリアで動いているのか把握しています。また、折に触れ生徒に話しかけ、いざというときに頼られる関係を作るよう努めています。
  2つ目の蔵書構築業務では、『授業で利用される本など生徒の要求を知り良書で応える』、『生徒が役に立つと評価した本が本当に役に立つ本である』、という2点を基本の考え方としています。探究科担当の片岡先生は「本棚に教育力がある」とよくおっしゃっています。本棚の前に立って眺めていると、背表紙が語りかけてくるような力のある本を増やすという意味でも、良い本棚を作ることを大事にしています。その具体的な目標としては、生徒が「このテーマで卒業研究をする」と言ったときに、そのテーマの本が3冊揃うことを目指しています。
  3つ目のレファレンス業務とは、耳慣れない言葉かもしれませんが、図書館において司書が利用者の求める情報を調べて答える業務です。図書館リブラリアでは、この業務に多くの時間を割いています。
  図書館リブラリアには3名の図書館スタッフが常駐しておりますので、休憩時間や授業中も生徒の話に耳を傾けています。
  自学自習で探究的な学習を進めていく中で、生徒は興味・関心を持っているテーマに関する本を自分で図書館から探して読み進めていきます。その際、図書館スタッフは、どの本を選んでいいのかわからない生徒には、話を聞いて生徒が興味を持っていることを言語化し、本を探しやすくする手伝いをします。さらに、テーマを決められない生徒には、興味・関心を持っていることに関連することや連想されることなどを一緒に考え、その範囲を広げたり、絞ったりすることでテーマを見つける手助けも行っています。
  我々図書館スタッフも、生徒の名前を見れば研究テーマが分かるほど生徒とのコミュニケーションを大事にしていますし、片岡先生も授業で必要な情報は共有するよう工夫してくれています。
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  探究学習で図書館リブラリアを使う頻度が多いことも関係していると思いますが、生徒は気軽に足を運んでくれています。目的の本を借りてすぐ帰る生徒はあまりおらず、休み時間ごとに足を運んで図書館スタッフと次に読む本の相談をしたり、おしゃべりをしたり、友だちと本棚の間をぶらついたりと思い思いに時間を過ごしています。
  図書館スタッフは生徒が利用しやすい環境を整えるのはもちろん、また来たくなるような工夫をいつも考えています。具体的には、本棚にサインをつけたり、新着図書案内や図書館クイズ、ちょっとしたスペースを使って学園祭の写真コンテストの優秀作品の展示などを行っています。その成果もあって、貸出冊数で大阪府下1位を記録しました。
  また、市立図書館からの団体貸出を利用しており、図書館リブラリアにない本は貸していただけるので、生徒のリクエストにも柔軟にすばやく応えることが出来ます。
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   学校図書館の仕事において難しいことはたくさんありますが、一番難しいことは本を選ぶことだと感じています。
  探究学習で使用する本に関しては、必要だから購入するということが前提になっていますが、特に読み物の本に関して「購入する・しない」ということを慎重に判断しています。
  私個人として、世間で流行っている本の中には、内容が薄い印象を受けるものもあります。しかし、本校の生徒も流行っているからというだけで、そういった内容の薄い本を選んでしまっていることがあります。そこで、図書館リブラリアでは、地味な装丁で自分では手に取らないような本であっても、本当に力のある本を選書し、生徒が関心が向くように地道に薦めています。
  生徒を見ていると、特に中学生は声かけなどのサポートがあったほうが本を読むことにつながっていくと感じます。生徒に「おもしろい本ない?」と言われたときは大チャンス! 流行りものしか読んでこなかった生徒が、これまで読んだことのない本と出会う絶好の機会です。読みたい分野を聞いて何冊か本を紹介し、その中から選んでもらいます。何冊か紹介すると、生徒はその中から本を選べるので、1冊だけ紹介するよりも本を借りてもらえます。そんな風にして私がすすめた本を、生徒が「おもしろかった!」と報告してくれることが楽しみです。
  生徒には、多くの活字に触れ、さまざまな内容の本を読むことで、物事の本質を見極め、大切なものは何かを判断できる人になってほしいと願っています。
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