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感謝、報恩、誠実
佛教の教えを根幹に、真摯に生きる生徒へ。

UPDATE:2015年6月26日
先生に聞こう 四天王寺中学校 鳩山 文雄校長
先生に聞こう 四天王寺中学校 鳩山 文雄校長
聖徳太子が説かれた「和のご精神」を礎として、おだやかで深い人間性を備え、世界に貢献できる女性の育成を目指す四天王寺高等学校・中学校。同校で各職を歴任され、2014年4月より校長として人を育て、心を育てる教育に挑戦されている鳩山文雄先生に、ご自身の教師としての原点や同校の重んじる教育について話をうかがいました。
わかる数学、自由な数学との出会い
鳩山校長

まずは教師になろうと思ったきっかけを教えていただけますか。

鳩山校長 私は四天王寺学園に奉職する前も含め、長らく数学の教師をしていました。数学の教師になろうと思った理由は、私が受験生の頃にさかのぼります。私は数学が好きだったのですが、確率の問題がとにかく苦手でした。当時、「大学受験ラジオ講座」という番組で、確率の問題の解き方を寺田文行という先生から教えていただいたのですが、それが驚くほどわかりやすかったんです。教え方の差を実感したんですね。もうひとつは、同じくラジオ講座で京都大学の小針晛宏という先生から「数学とはすごく自由だ」ということを教えていただいたことです。数学というと、答えは一つだというイメージがありますよね。ところがその先生はいろんな解法で自由に解くこと、数学はものすごく自由だということをその講座の中でおっしゃって、私の持っていた数学観を180度変えてくれたんです。自分自身がそういう出会いを経験したことで、早くから教師になろうと決めていましたね。
数学教師時代は、どのような先生だったのでしょうか。
鳩山校長 私は一人ひとりの生徒を大切にしたかったので、添削をよくしていましたね。公立の高校にいた頃、課題を出すと、生徒が解いてみてわからなかったことや質問、感想をノートに一緒に書いてくるんですよ。そういったものに私は全部返事を書いていたので、学校にいる時間では終わらず、家に持ち帰って、寝不足になりながら添削をしていました。数学の質問だけでなく、そのうち人生相談なんかも書いてきたりしましたね。でも、私にそれを書いてくるということは、私なりの考えが聞きたいということでしょう。それを無視して適当に手を抜くなんてことはできませんから、一生懸命答えていました。
時間もとられて大変だったと思いますが、やはり鳩山先生にとっての「教師」とはそういう存在だったのですね。
鳩山校長 生徒と接するために私は教師になったのかなと思います。ですから、今、校長になってしまうと寂しいんですよ。授業を持つことがなくなり、そういうやりとりができなくなる。私は毎朝校門に立ち生徒を迎えていますが、やはりそこには少しでも生徒と接していたいという思いがあるからです。
公立高校から私立の四天王寺中学校に来られて、どのような違いを感じられましたか。
鳩山校長 公立では男女共学でしたが、実は教育効果が上がるのは男女別学だと思っていたんです。成長期は、女子の方が早く成長しますよね。小学校までは共学でもそれほど問題ないかもしれませんが、思春期になってくると、男女別学の方がいろんな意味で教育効果が上がると思いますし、実際にそのように感じました。
つまり、四天王寺中学校に来られる前から、そのように感じられていたわけですか。
鳩山校長 そうです。女子校に来たからというわけでなく、教育は別学が一番いいと思っていました。アメリカは男女平等の国と言われますが、そのアメリカでも小学校・中学校と男女別学を取り入れているんです。医学の分野においても、男女の性差によって治療の仕方が研究されているように、やはり違うんですよ。ですから、私はより効果の上がる方法に取り組んでみたいと思い、男女別学であるこの学校に奉職したということです。
男女別学に欠かせないものとは
鳩山校長
四天王寺中学校に来られてから、生徒との交流で印象に残っていることはありますか。
鳩山校長 思い出に残っている生徒はたくさんいます。もちろん勉強の質問も受けていましたが、この学校でも人生相談ばかりです。卒業しても遊びに来てくれますし、仕事で悩んだ時に相談しに来てくれる卒業生もいます。この質問に答えようと思うと、どれを話そうかと迷うくらい多いですね。
先生がお持ちの開放的な雰囲気も理由のひとつのように思えます。
鳩山校長 私はしゃべりやすいんだと思いますよ。来る者拒まず…と言ったら言葉が悪いかもしれませんが、来てくれたら誠実に対応するというか、どんな生徒にも同じ姿勢というか、変にえこひいきすることもないのが、いいのかもしれませんね。
校長に就任したことでご自身に変化はありましたか。
鳩山校長 やはり学年主任をしていた頃は、自分の学年以外の生徒があまりわからなかったのですが、校長になってからは、生徒全員を大切にしたいという思いの強さが増しましたね。2300人の生徒のお父さんというか、おじいちゃんのような、そんな気持ちに変わってきました。私も息子がいますので、保護者の気持ちはわかっていたつもりですが、この仕事に就いてから、よりわかるようになりましたね。自分の子供のように感じるようになっていますから、悩んでいる生徒や勉強でつまずいている生徒がいると、先生方にしっかりケアしてほしいと思いますし、教員会議でもよくお願いしています。担任の先生や学年主任の先生方にも、そういう気持ちを持って生徒に接してほしいとより強く感じるようになりました。
鳩山校長
先ほど別学の素晴らしさのお話がありましたが、共学から女子校に来られて、女子校ならではの難しさや面白さなど、他にも感じられたことはありますか。
鳩山校長 共学は学校行事も男子がリーダーシップをとることが多いように思いますが、女子校では女性だけでいろんなことをしていかないといけません。リーダーもサポート役も全員が自主的に取り組む中で団結力が強くなりますし、企画力や協調性が養われていると感じますね。よく言われているような、女性だけだとグループが生まれたり対抗したりというイメージもあるかもしれませんが、そこは仏教の教えを根幹としている学校ですから、助け合い精神の方が強いです。やはり人間ですから時々はちょっとしたトラブルもありますが、それも生徒が主体となって解決してくれています。
それも学校の個性で、仏教教育という前提がなければ違う方向にいく可能性も考えられますね。
鳩山校長 そう思います。宗教を根幹とした私学の単性教育というのは素晴らしいものだと思います。どの学校にも教育方針や建学の精神などはあると思うのですが、単性教育の軸に宗教があると、心が伴うように思われます。心が伴わない単性教育というのはあまり効果が上がらないと私は思っているんです。宗教の教えを根幹とする男子校にも勉強以外で素晴らしいことが多いのは、同じことが言えるからではないかと思いますね。
四天王寺中学校というと「進学校」というイメージを強く持つ方も多くいらっしゃると思うのですが、それだけではない多彩な面をもつ、人を育ててくれる学校という気がしますね。
鳩山校長 外からご覧になっていると、勉強だけをしているようなガリ勉タイプの生徒が多いように思われるかもしれませんが、本校の生徒はガリ勉ではないですね。本当に切り替えがうまいので、遊ぶときは遊ぶ、クラブをするときはクラブと、何をするにもすべてに一生懸命という生徒の集団であると私は思っています。また、仏教というとお葬式でしか触れていない人にとっては、暗いイメージがあるかもしれませんが、仏教とはいかに生きるかを説いているわけで、明るい教えなんです。本校の生徒は本当に明るいですし、休み時間もとても賑やかですよ。
実感するのは卒業してから
オーケストラ部
この学校でこれだけは身につけて育ってもらいたいことは?
鳩山校長 感謝の気持ちと恩に報いるということ。これは私たちの学園訓でもあります。もうひとつは誠実さを持ってほしいということ。これらのことを大切に、真摯に生きてほしいというのが私の願いです。
普段の生徒たちを見て、先生の言葉や学園訓などが息づいていると実感することはありますか。
鳩山校長 本校では6年間、週に1時間の仏教の授業や、仏教の講話がありますが、正直なところ、その影響が実感としてわかってくるのは、卒業してからだと思っています。在校生でもわかる生徒はもちろんいるでしょうが、在校生の場合、何かに直面する場面というのは勉強の部分が多い。けれど、社会に出れば本当に大変ですから、そういう時に本校での教えが頭に浮かんで行動できたというのは卒業生からよく聞きますね。
卒業生たちが母校の良さに改めて気付いて報告してくれるのは嬉しいですね。
鳩山校長 そうですね。本校の場合はお母様、お婆様、三代揃って、卒業生という方も多いです。卒業生に自分の子供を入れたいと思っていただけるのは、本校の良さを実感していただいている証でもあるので、とてもありがたいことだと思います。
それぞれが伸びる適性を持っている
クリスマス・タブロー
四天王寺中学校にはいろんなコースがあり、多彩な生徒が集まっている分、お互いが刺激し合っているという面もあるのでしょうか。
鳩山校長 本校には、「医志コース」、「英数Ⅰコース」、「英数Ⅱコース」、「文化・スポーツコース」があります。もちろん受験される方は、コースを意識すると思いますが、例えば「英数Ⅰコース」と「英数Ⅱコース」は、中学1年の中間テストも期末テストも実力テストも同じ問題を受けることになっています。これはお互いに刺激となるでしょうね。中1の後半になってくると「英数Ⅰコース」の生徒が、ベストテンに半分くらい入っていますよ。つまり、たった1回の中学入試で学校やコースは決まりますが、算数が数学に変わり、英語もどんどん増えてくる、そうすると入ってからの成績はものすごく動きます。本校ほど入試時点の成績と入ってからの相関性のない学校も珍しいと思います。決して「英数Ⅱコース」の生徒がサボっているわけではなく、「英数Ⅰコース」の生徒の頑張りも大きいのです。要するに、入ってからの伸びというのは個人で全然違うということですね。中3くらいになると、ある程度落ち着いてきますが、中1・中2の段階というのは成績が大きく変わります。
では、入学時からコース分けはありますが、入学後はコースにかかわらず成長していけるということですか。
鳩山校長 そうです。私がいつも考えているのは、それぞれに伸びる適性があるということです。「英数Ⅰコース」の生徒は基礎をしっかりやったうえで応用力をつけた方が伸びる集団だと思っています。一方、「英数Ⅱコース」はどんどん難しい問題を多く解かせることの方が伸びる集団だと思っています。ですから私はどちらのコースもそれぞれが伸びてくれると思っていますよ。実際に「文化・スポーツコース」以外の生徒は、中2・中3進級時にコース変更の機会もあります。
学校行事はコースに関係なく、学年行事ということですが、その良さはどんなところですか。
鳩山校長 自分のクラスの生徒だけでなく、同じ学年の生徒を全員で応援するので学年対抗の体育祭は本当に盛り上がります。この体育祭では、各学年でダンスを披露するんです。例えば、中2のダンスは若くて元気の良いダンス、高3のダンスは本当に大人の女性の雰囲気を持ったダンスと、どちらもその学年にしか出せない素晴らしさがあります。ですから学年対抗ではあるのですが、後輩のダンスに感動したり、自分たちも高3になったらああいう風に踊りたいと憧れたり、お互いの学年を認めているという良さがあります。
6年間を過ごすことで、縦のつながりも生まれるわけですね。
鳩山校長 特にクラブ活動がそうですが、先輩が後輩の面倒を本当にやさしくみていますね。卒業式の送辞では本当に先輩への感謝に溢れていて、そういった意味で先輩後輩の関係がとてもうまくいっている学校だと思います。
変わりゆくもの、変わらないもの
校門
校長就任から1年が経たれましたが、これからも大切にしていきたいことはなんでしょうか。
鳩山校長 社会が変容していくなかで、変えなければならない部分は大きく改革進化、発展していきたいと思います。しかし、絶対に変えてはならない部分というのもあると思うんですね。本校は創立から93年目を迎えますが、人間としての確固たる宗教的情操や倫理、道徳観の涵養(かんよう)は今後も決して変わることはありません。
芯の部分は変えずに、例えば、時代に合ったコースを作るなど、いろいろな進化はしていくということでしょうか。
鳩山校長 その通りです。なぜ「医志コース」を作ったかといいますと、今まで以上に人を救う心の教育に力を入れ、医療に従事する人間として心得ておくべきことを中学1年からじっくり6年かけて育てたいからです。そして、医学界でも世界をリードする女性になってほしいと願います。リーダーシップが取れる生徒がどんどん出てくるということは、今後、女子校の魅力のひとつになると思います。
「医志コース」に続き、「文化・スポーツコース」が新設されましたね。
鳩山校長 本校は文武両道とよく言われており、オリンピックにも25名ほど出ていますが、勉強は勉強で世界をリードし、スポーツはスポーツで世界をリードしてほしい、両方で世界をリードしてほしいという願いをより具現化するために作ったのが「文化・スポーツコース」です。高等学校の「スポーツ・芸術コース」とも連携して、将来的に世界に羽ばたいていける生徒の育成に力を入れていきます。
実ったコース作り、その充実が課題
鳩山校長
「医志コース」が人気と注目を集める中、勉強に特化したコースを増設するのではなく、「文化・スポーツコース」ができたことで、学校の幅広さが伝わる気がします。
鳩山校長 これで、大きな変革の中のスタートを切ったと思っています。私は入学対策部長を9年間務めましたが、その時にこの学校が10年先、20年先にどういう学校であってほしいのかということを当時の常務理事先生とずっとご相談をしていて、しかるべき時期がきたらこういうコースを作りましょうという10年計画を、入学対策部長になった時に立てたんです。その計画が今、やっと完成したところです。
そんなに前から計画されていたのですか。
鳩山校長 10年前に「標準コース」を廃止して「英数Ⅰコース」と「英数Ⅱコース」だけにした当時から、「医志コース」や「文化・スポーツコース」の構想はありました。ただし、早急に何でも作ればよいというものではありません。中身のあるコースを作るためには準備期間も必要ですし、それまでに「英数Ⅰコース」、「英数Ⅱコース」を充実させることも重要でした。そういう流れを経てここまできたわけです。本校にはこれ以上、コースの新設は必要ないと考えていますので、あとはいかに充実させるかですね。
鳩山先生の目指す、コースの充実について教えてください。
鳩山校長 「医志コース」の新設に伴い、全てのコースのカリキュラムやシラバス(学習計画)の見直しに着手しました。そういうと固い感じがしますが、「医志コース」であれば、だんだんと医者とはどういうものなのかをわかってもらい、現役の医師の講演会などで視野を広げていってから実際に医療現場を見せるという段階を踏むということです。新しいコースも含め、すべてのコースを充実させる、これは奉職させていただいた四天王寺中学校・高等学校へのご恩返しかなと思います。
まさに感謝と恩に報いるということですね。では最後に、受験生や保護者の方へのメッセージをお願いします。
鳩山校長 受験生のみなさんは、自分自身の歩むべき道を模索し、常に前を向いて歩んでいただきたいと思います。自らの進むべき方向を決めたら、日々努力をして、大きな目標を持ってください。中学校に入ってからもみなさんはどんどん伸びていく可能性に満ちています。保護者の方に一番お伝えしたいことは、子供と一緒に走り、そしてお子さんの進路を喜んであげてください、ということに尽きますね。中学受験に成功するというのは第一志望校に合格することではないと思います。親と子の絆ができたら、もう中学受験に成功だと私は思っています。どこに入学なさってもそれは御仏が与えてくださったお子様にとって一番ふさわしい学校なのだと喜んで行かせてほしいと思います。保護者の方が喜ばなかったら、中学に入ってからのやる気も変わってしまうと思います。中学受験はとにかく子供と一緒に走ってあげてほしい。一緒に走ることで絆が生まれます。
四天王寺中学校	ホームページ
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