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先生に聞こう 関西大倉中学校 大山朋子先生
英語教師こそ長くやりがいを持てる仕事
教師になろうと思われた経緯を教えてください。
大山先生 もともと大学は、社会学科の福祉コースに入って社会福祉士になる勉強をしてきたんですね。大学に入る時点で教師か社会福祉士かを悩んだのですが結論が出せず、目の前のことを一生懸命やって、見えてきた時にまた考えようと思っていたんです。大学3回生になって就職活動を始めたときもまだ進路が決めきれず、いろんな業種を見た結果、英語の教員になることが自分にとって長くやりがいを持てる仕事になるのではないかと感じて、そこから教員免許をとることにしました。それがスタートです。
自分がいた学部では社会科の教員免許しか取れなかったので、言語教育系の大学院に在籍して、並行して英語の教員免許を取りました。
英語の教師にこだわられたのはなぜですか。
大山先生 高校1年から2年にかけて1年間カナダに留学して、そのときホストマザーとして1人のお婆様にお世話になったのですが、うまく意思疎通ができなかったんですね。最後はそのお婆様と家族のように仲良くなれたのですが、その関係を客観的に見たときに、生まれた国も違う、育ってきた文化や背景も違う人たちと英語という言語一つでわかりあえることが素晴らしいなと思ったんです。
私が英語を話せなければ、彼女との人間関係が深まることもなかったわけで、英語は自分を世界の人たちへつないでくれるツールだなと。それを子供たちに教えてあげたいと、そのときから思っていたんです。
それを、教員という形でやりたいと明確に思ったのが、大学3回生のときでした。
福祉コースにいらっしゃったのに、思い切りのある決断ですね。
大山先生 不思議と迷いはなかったですね。自分にとってのやりがいを探した結果の決断だったので。
幼い頃から教師に憧れる気持ちはあったのですか。
大山先生 全くなかったですね。
母親が幼稚園の教師でしたが反抗心が強かったので、あえてその選択肢を自分の中からなくしていました。人と関わる仕事は絶対にしたいと思っていましたが。
留学経験が大きかった?
角先生
大山先生 そうですね。そのお婆様と関われたことが大きかったですね。
何があったのか、お聞きしてもいいですか。
大山先生 自分が嫌だと思っていることがあって、それを早くに言えば良かったのですが、嫌な思いをされると遠慮して半年ぐらい我慢をしていたら、自分の中で不満がいっぱいになってしまったんです。
ホストファミリーを変えようかと悩んでいたのですが、ご近所の方が「思うことはきちんと話をしたほうがいいよ」と言ってくださり、つたない英語で泣く泣くお婆様と話をしました。そうするとお婆様も私がホストを変えるのではないかと不安を感じておられたようで、お互いが思っていることを話すことで2人なりの改善案を導き出せて、そのあとはとても仲が深まったんです。
日本語しかわからない自分だったら、そういう交流はできず、彼女とわかり合えるきっかけもなかったと思うので、そこで英語の素晴らしさを感じたんですね。
留学に行く前から英語は得意だったのですか。
大山先生 英語が話せたら格好いいなと憧れてはいたのですが、中2までは特に苦手でした。留学も格好いいなという憧れと勢いだけで申し込んだので、留学出発前の空港で自分のやったことの大きさを実感して、行きたくないと泣きましたね(笑)。
先生のおかげだったと言われない教師
原点となった留学経験は、先生の中でどのように生きていますか。
大山先生 教員ですから教科としての英語を教えるわけですが、自分の最終的な目標としては、それだけにとどまらず、社会に出て生きていく中で自分を広げていくツールとしての英語を教えたいと思っています。
それは、留学経験が大きいと思います。
教科以外の面で、なりたい教師像はありますか。
大山先生 教師としては、生徒が力をつけたり、何かを成し遂げたりしたときに、先生のおかげだったと言われないような、そっと手を差し伸べられる教師であれたらいいなと思っています。
先生のおかげと言われるようにではなく、言われないことを目指すのですか。
角先生
大山先生 周りの人間がいないと何もできないと思ってほしくないし、自分の力でやってきたという自信が生徒たちを大きくすると思うんです。
ただ、目標はあるものの難しくてまだまだできていないのですが(笑)。
英語の授業では、どんなことを大切にされていますか。
大山先生 3つあります。
まず1つは、子供たちの発達段階に応じた指導をしてあげることですね。文法を教えることでいうと、思考力がまだ深くない中学生と、深く知りたいと思う高校生では違った説明の仕方をします。特に中1の場合は、複雑なことをわかりやすく話す授業より、自分で問題を解けるようにする授業が一番大事なんです。中学生は先生の話し方や言葉をよく覚えているので、いかに頭の中に残していくかを考え、印象付けて言ってあげることを大切にしています。
例えば疑問詞は一番前に来ることを、中学生の場合は「疑問詞はでしゃばり!」と大きな声で言ったら、その印象が頭に残って、問題を解くときにそれに気をつけるようになるんですね。
なるほど。
大山先生 2つめは彼らが自分で気づいていけるような授業をすることです。全部教えるのではなく10のうち9まで言うと、「では、ここはどうなるの?」と疑問を持つ。そういった「どうしてだろう?」と思う要素をあえて残すことが大切かなと思っています。
3つめはあと少し手を伸ばせば届くぐらいのところで、生徒を引っ張ることです。生徒は今持っている力が限界だと思ってしまいがちですが、私たちの予想以上の能力を持っていることが多いので、限界だと思って満足させずに、もう少し頑張ったら届くとところを見せる。それがあまりにかけ離れていると、ゴールが見えず子供もやる気をなくしてしまうので、プラス1ぐらいで引っ張っていきたいというのは授業の中では思っています。
方針に明確で迷いがないですね。英語が苦手な生徒さんに対しては、何か心がけていらっしゃいますか。
大山先生 6年間生徒の成長を見てきて、彼らが英語を苦手だと思う理由は、読めない、書けないがすごく大きいんですね。読めないということは発音ができない。「Table」を「タブレ」と言ったり、「Orange」を「オランジ」と言ったりするのですが、そういうローマ字読みをしている子はなかなか英語力が伸びないんです。早くから音と文字を結びつけていくことができると、読めるようになって、覚えていけて、成績も上がっていくんですね。
6年間見てきて大事だと思ったのは音読指導だったので、とにかく音読をさせています。
生徒を信頼して待つことの大切さ
生徒さんとの印象的な思い出はありますか。
大山先生 去年初めて6年間受け持ってきた生徒を卒業させたのですが、そのときに改めて教師になって良かったと感じたんですね。
6年間にエピソードはたくさんあるのですが、あえて一つ言うと、高校3年生の進路指導のときの話が印象深いです。
具体的に話してもらえますか。
角先生
大山先生 ずっと海外に出ていく仕事がしたいと言っていた女子生徒がいて、そのための大学選びをして放課後も勉強を一生懸命頑張っていたのですが、あるとき彼女からは聞いたことがない大学や学部に志望変更したいと言ってきて、「大学に行っても無駄じゃないか。とりあえず行くけど」となげやりな発言をするようになったんです。
何度聞いても、その理由を話してくれず、何が彼女をそうさせたのか本当にわからなくて悩みました。
受験前ですか。
大山先生 はい。だから受験に間に合うか不安でしたが、無理強いすると彼女との人間関係が途絶えてしまうのではないかという心配があったので、自分から話してくれるまでとにかく待とうと思ったんです。
かなり心配しましたが、最後は彼女が泣きながら話かけてきてくれて、お互いじっくり話をしました。
そのときは「やっと来た。待って良かった」と思いましたね。
結局、彼女が一番望んでいた大学には合格しなかったのですが、今の彼女の姿を見るとあのとき彼女の想いをつぶさなくて良かったなとつくづく感じますね。
信頼して待つことの大切さを彼女から学んだ気がしています。
生徒の行動に感極まって泣く
授業以外では、女子硬式テニス部の顧問をされているとのことですが。
大山先生 はい、クラブ指導はすごく楽しいです。
私はずっと水泳部だったのでラケットの振り方もわからない状態で顧問を始めたんですね。指導していくうえで自分なりのクラブ方針を考えたときに、一つのことを一生懸命取り組むことは素晴らしいし、自分と向き合い、その苦しみを乗り越えて成長する場所だなと。それを自分が体感していないと生徒にも伝わらないと思って、自分もテニスを始めて、一般の試合に出てみたり、負けて泣いたりしています(笑)。
やはり自分なりの目標を持って体験して感じたことを生徒に話すことは、大切だなと思います。
生徒にはどのようなお話を?
大山先生 最初に入部説明会を行うのですが、そこで生徒には「引退するときにこのクラブに入って成長できたなと思ってほしい。テニスを頑張る場所でもあるけど、人として成長する場所でもある」と話します。
勝負にこだわることも大切ですが、その中で成長することを大切にしてほしいと思っています。
テニスの初心者だったということは、顧問になられた最初は苦労されたのですか。
角先生
大山先生 はい、すごく悩みました。毎日お腹が痛かったです(笑)。
テニスもわからないし、顧問として生徒をどういうスタンスで見たらいいかもわからず、今のやり方でやろうと思ったのは4~5年経ってからですね。
関西大倉には、校内行事も多くありますね。先生はクラス対抗行事などでどのようなタイプなのですか。
大山先生 もともと自分の感情を出すことが恥ずかしいところがあって、前に受け持っていた六貫生は一歩離れたところで見ていたんですね。
教師になったばかりでどういう関わりをしていけばいいか迷っているときでもあったのですが、卒業時に生徒から「最初は冷たい先生だと思っていたけど、熱い先生だとわかりました」と言われて、ちょっと反省したんです(笑)。
態度や言葉で見せないとわからないこともあるんだなと思って、今はぐいぐいと生徒の中に入っていくようにしています。
先ほどからの先生のお話に、涙がよく登場するので、感情を表に出されるタイプかと思っていました。
大山先生 そんなに泣くほうではないんですけどね(笑)。
悔し泣きとか映画を見ての涙はあるんですが、教師になってからの自分の涙で衝撃的だったのは、生徒の行動に胸がいっぱいになって感極まって泣くという経験を初めてしたことです。
高3のバスケットボール大会で、私の受け持ったクラスが男子8人、女子14人だったのですが、決して運動が得意な人も多くなく、元バスケット部が2人いるぐらいのメンバーだったんです。そのメンバーで準決勝まで進めたのですが、相手がほぼ全員元バスケットボール部というチームと対戦することになり、最後の1、2分に3ポイント差ぐらいで負けている状況になったんですね。
そのときにレギュラーで出ていた5人の生徒がタイムをとって、控えに入っていた生徒に「出るか?」と聞いてくれたんです。
勝ちにこだわるとそういう選択肢はなかったと思うのですが、控えの生徒もすぐに頑張ると言って円陣を組んだんですよ。
その両方の生徒たちの思いがすごくうれしくて、大会後の終礼で「優勝はできなかったけれどみんなに誇りを感じる。そういう場面を共有できたことに感謝している」と言って生徒と一緒に号泣しました。それは忘れられないですね。やはり教員をしていると、そういうドラマが生まれてくるんですね。
教員になる道を選ばれたことは、やはり間違いなかったですね。
大山先生 そうですね。良い生徒にも恵まれていますし、この学校に来させていただいたことも、自分が教師であることもすごく感謝しています。
交流の場を広げて自分の成長に
今後、挑戦したいことはありますか。
大山先生 教科としての英語は、インプットがすごく多いんです。たくさん単語を覚える、たくさん読む、たくさん聞く。けれど、それに見合ったアウトプットがまだまだ少ない気がするんですね。知識としては持っているので、自分の考えとして表に出すという将来につながる力をもっと鍛えられるように、授業の中でアウトプットできる指導法を手さぐりで考えているところです。
国別にTOEICやTOEFLの結果が出てきますが、6年間も英語をやっているわりにレベルが低いというのが世界から日本の英語教育への評価だと思うんですね。実際にそうだと思いますが、大きな違いは英語を話す環境が圧倒的に少ないんです。ヨーロッパは話す機会が多くて、文法が多少おかしくても自分の考えが伝えられるんです。文法を間違っていいとは思わないですが、考えていることを言葉に出すことに慣れています。生徒たちにもそういう機会を増やしたいと思いますね。
角先生
何か具体的な対応はされているのですか。
大山先生 チームティーチングでネイティブの先生に週1回は来ていただいて、その先生のテストは自分の家族の紹介を考えて発表させるようにしてもらっています。自分が今持っている言語能力で、考えて伝えるということを、少しずつ授業に入れていますね。
今後、プレゼンや暗唱大会などの機会も作っていきたいと思っています。
先生のお話をうかがっていると、いろいろ深く考えられて、教師歴7年とは思えないのですが、何か影響を受けられたものがあるのでしょうか。
大山先生 大学や大学院のときに出会った先生や友だちとはよく議論をしていて、その中で自分の考えを広げていけたことは大きいですね。
あと、国語教師の大村はまさんという方の著書に「教えるということ」という本があって、それを読んだときに今の私の元になっているようなことが書かれていて衝撃を受けたんですね。「静かにしなさい」というのは教師として二流で、静かになるような授業をしていかなくてはいけないとか。そういった本には影響を受けたところが大きいですね。
私が生徒たちに大学へ行ってほしい、いろんなフィールドで勉強をしてほしいと思うのは、高学歴を求めるという意味ではなく、人生のステップアップをしていく過程で出会う人に与えてもらう影響はとても大きいと思うので、交流の場を広げて自分の成長につなげてもらいたいと思うからです。
では、最後にココロコミュの読者にメッセージをお願いします。
大山先生 やはり「待つ」ということが大事ではないかと思います。
子供たちはいつ、どこで、芽を開花させていくかはわからず、その芽をつぶしてしまうと出てくるはずだった芽も出てこないと思うんです。子供たちの可能性を信じて、放っておくのではなく導きながら待つことが大事かなと思います。
その意味では、生徒の成長をいろんな角度から見守っていけるのが六年一貫の魅力ですね。私たちも生徒の芽をつぶさないようにしたいと思いますし、一人ひとり素晴らしいものを持っていますから、生徒の持つエネルギーを絶やさずに、発揮する機会を逃さないように、信じて待つことを大事にしたいです。
 
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