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2014年に取材した記事です。
先生に聞こう 追手門学院中学校・高等学校 数学科教諭
幅の広い力を生徒に手渡せるような指導を

先生になろうと思ったきっかけを教えてください。

谷川先生 中学生時代に所属していた陸上部の顧問の先生の存在が、先生になろうと思ったきっかけですね。
数学の先生で、僕は数学が好きだったので質問したり、クラブのことで叱られたり、いろいろとお世話になって、「この人みたいになりたいな」とボンヤリと憧れるようになりました。
高校ではバスケット漬けの3年間を過ごしましたが、いざ大学選びをする時になって「数学の教員免許が取れる大学に行こう」と考えるようになり、結果的にその中学時代の先生と同じ大学の同じ学科に進みました。
意識してその大学を選ばれたのですか?
谷川先生 それはたまたまですね。後でその先生から聞いて、同じ大学だと知りました。
その顧問の先生は、どんな先生だったのですか?
谷川先生 メリハリがある先生でした。厳しい時は滅茶苦茶厳しいのですが、楽しむ時はモノマネを披露したり、生徒3人を相手に腕相撲をして自慢の腕力を見せつけたり、いつでも生徒を夢中にさせていました。
力も強いし、足も速いし、頭もいいし、面白いし、何でもできて凄いなあと思いましたね。今は公立中学校で校長先生をされています。
今でも繋がりが?
谷川先生 何か大きなイベント事がある時には、こちらからも連絡しますし、連絡をいただくこともあります。最近では3年前に子どもが生まれたときに手紙を書きました。
ご自身が先生になってから、その先生の影響を感じることはありますか?
谷川先生
谷川先生 僕は教師として、「幅の広い力を生徒に手渡せるような指導」を心がけています。このような考えの根底には、その先生の影響があるのかなと思います。
僕は教員の世界しか知らないので、企業を語るのも変なのですが、社会では幅の広い人間が求められていると思います。スペシャリストも大切ですが、いろんなことができて、いろんな人と付き合えて、砕けた部分もあって、でも仕事はしっかりできるという人が求められるのかなと。
その後、高校を経て、教育学部に進まれて、ストレートに追手門学院に赴任されたのですか?
谷川先生 実はそこにもいろいろありました。大学卒業時に、教員になりたいという気持ちと、大学院に進みたいという2つの気持ちがあったんです。
4回生の秋からは両方の勉強を進めて、結局、大学院に受かり、4月から大学院で代数学の研究をすることになっていました。
なるほど。
谷川先生 ところが、当時やっていた家庭教師のアルバイトで生徒の成績が伸び、そこのご両親が私を高く評価をしてくれたんですね。それで、その生徒が通っていた学校の採用試験を受けることになりました。
その結果、非常勤として採用され、大学院には進まずに教員になったんです。そこで1年勤めさせていただくと、常勤になって担任を持ちたいという想いが出てきたのですが、ある日、同級生に常勤の誘いが2つ来まして、1つ余ったということで、私を紹介してくれたんです。それで採用されました。
引く手あまたですね。
谷川先生 いろいろなつながりが大事だなと思います。タイミングですね(笑)。
生徒まみれになってやっていく
生徒との印象深い思い出を教えてください
谷川先生 いっぱいありますね。今年で追手門学院に来て13年ですが、初めて担任した高校1年生の生徒は印象深いです。23歳の先生と血気盛んな16歳の生徒という状況で、いろいろなトラブルがありました。
トラブル?
谷川先生 今の年齢で諭すように言えば、トラブルにもならなかったのでしょうが、当時は若かったですし、ガツンと言って反論されて。
例えば、「ロッカーに教科書を忘れました」と生徒が言って、僕が「授業の準備がなっていない。何を考えているんだ」となると、生徒は「そこまで言わなくてもいいだろう」と。僕の方も気持ちに余裕があれば、その場その場で対応もできるのですが、その時は皆に平等に指導しなくてはいけないという考えや先輩の先生の教えもあり、ブレたらダメだと思っていましたので、キツくなってしまう訳です。
今はどうですか?
谷川先生
谷川先生 今は、メリハリが感覚的にわかるので、空気が変になることはないですね。その当時は手綱を締めるばかりで、反発を食らっていました。彼らが大人になって、わかり合うことができた時は嬉しかったですね。
他に印象的なエピソードは?
谷川先生 初めて同じメンバーの担任を中学校で3年間持ち上がったことがありました。中学3年間は濃くて、行事も多いですし、生徒と担任がとても仲良くなるんです。そのクラスは男子が14人、女子が10人の24人でしたが、卒業を目前にした中学3年のある日、朝礼のために教室に入ると女子10人の内、7人がいなかったんです。
事件ですね。
谷川先生 残っている生徒に聞いても知らないというので、全教員で校内・校外を探したんですよ。最終的に僕が見つけて話を聞いたら、残っている女子とのトラブルでした。その中の1人の女の子が泣きながらみんなに謝って、「いい卒業式を迎えたいから、こんな関係やめよう」と言ってくれて解決しました。やはり少人数でずっと一緒にいるといろいろありますが、当時は僕も若くて気づくことができなかったんですね。高校生にもなると自分たちで人間関係を調整もできるのですが、中学生は何でも全力なので、こういうことがあるんですね。でも、しっかり面倒をみるというのが追手門学院の売りですから、生徒まみれになってやっていかないと。
その時と今の“まみれ方”の違いは何ですか?
谷川先生 今は親の気持ちに視点が変わってきました。俯瞰で見つつ、まみれるというか。自分も子供ができて、生徒のご両親のことを尊敬するようになりました。そこが見えると変わってきます。
「単指示」を積み重ねる
では、授業で大切にしていることを教えてください。
谷川先生 今、中学生の授業担当が多く、とくに中学1・2年生を受け持つことが多いのですが、その中で意識していることは、「単指示」を積み重ねるということです。指示を一つに限ります。高校生には「ノートを開けて、このページを開いて、赤ペンを持って、黒板を見てください」と言ったらそうしますが、中学1年生はまだほとんどができない。だから、例えば授業で私がしゃべる時は、いっさいシャーペンなどは持たせません。聞くことに集中させます。僕の授業は聞くときは聞く、問題を解くときは解く。それだけに授業は厳しく感じると思います。
人の印象に残すには、要点を3つぐらいに絞らないといけないと言いますが、中学生は1つなんですね。どのタイミングで「単指示」ではなくなるのですか。
谷川先生
谷川先生 僕の感覚でいうと、中学3年生ぐらいです。6年を3つに分けて考えたときの第2ステージあたりから、生徒の反応を見て変えていきます。意識的にやっているわけではないですが。
数学の研究者になろうと思われていたほどの数学好きだと思うのですが、数学を教える上で大切にしていることは?
谷川先生 年代によっても違いますし、レベルによっても違うのですが、数学は正解にたどり着かなくてもいいんです。
なぜかというと、数学の中で答えがわかっているものは、100の内1ぐらいなんですよね。ということは後の99は答えがわからないことばかりで、数学者はそこに手を出して研究をしているんです。中高生がやっているのは数学の中の答えがわかっているところだけなので、答えよりも過程が大切。
高校生にはどういう過程で導いたのかを問います。社会に出てからの問題も、答えが出ていないことが多いと思うのですが、自分で考えて、自分で解決していくことは数学も同じなんですよ。
研究を志していた方ならではの意見ですね。授業は具体的にどんな感じですか?
谷川先生 今年は教科主任をしているので、テクニカルに解く方法も教えます。
中学1年生は数学をかじったところなので、まずは答えをしっかりと出せるようにする。自分で考えて答えを出すということをやっています。数学の本質はわからないことに、どうアプローチするかなので、今は再現です。まねることから学ばせていますね。
SSクラスを担当されて、今までと違いはありますか?
谷川先生 指導方法が変わりました。生徒達は6年間同じです。
人間関係にはかなり力を入れて、厳しくも温かくを心がけています。
やはりここで人間関係が狂ってしまうと、勉強どころではないと思うのです。安心できる環境があってこその勉強だと思うので、お互いに伸びていける環境作りを大切にしています。
次世代教育を活用したい
授業以外で情熱を持って取り組まれていることを教えて下さい。
谷川先生 趣味という趣味もなくて、帰り時間も遅いので、子育てを手伝うくらいですね。でも、SSクラスの1期生の担任を任されたことは嬉しかったです。
1期生の足跡を2期生、3期生が辿っていくので、今の生徒達のこともそうですし、これから続く生徒達のためにも、いい足跡を残していこうというのは常に考えますね。
また、生徒自身もプライドを持って入ってきていますが、プライドを持つことは悪いことではないと最近は感じます。まだ、幼い子供たちをたきつけて、変に偉そうになってもダメですからバランスは大切ですが、1期生としてしっかり頑張ってほしいと思っています。
SSクラスは人間関係も大切にしながら、学習面でもプライドを持たなくてはいけない。大変ですね。
谷川先生 SSクラスとの関わりが、やはり私が情熱を持って取り組んでいることですね。
今、1年が経って、生徒は仲が良いですし、欠席も少ないですし、このままスクスク伸びていってほしいです。
今後の計画、新たな取り組みについて教えてください。
谷川先生
谷川先生 今、本校では、次世代教育に力を入れています。
全教員にiPadが配布され、Wi-Fi環境も整い、スクリーンも教室に完備していて、活用されている先生が多い中、私はなかなか使いこなせていないんです。
SSクラスの生徒は全員にiPadを持たせていますが、生徒の方がわかっているという状況もまずいなと思っていますから、使いこなせるようにこの部分でのチャレンジをどんどんやっていきたいなと。
追手門学院は英語教育などでもiPadなどのITを活用されていると思うのですが、数学科はどうですか。
谷川先生 数学で使える領域としては大きく2つあって、1つは幾何分野の図形です。角度や体積がとても示しやすい。
もう1つは代数分野で関数です。
関数はグラフなのですが、条件に合った点の集まりがグラフで、生徒がそれに触れる機会があまりなく関数のグラフは絵のようなものと考えている節があります。でも、本質がわかっていないと、面積を求めたりするような応用の意味がわかりませんから、その意味では使いやすいですね。
今の中学生は幾何が苦手で、立体の切り口がイメージできない。それは遊びが足りていないんだと感じます。
手を動かしてこないとわからないことなんです。だから、使っている先生に習って僕もどんどん活用したいです。
子供の話をしっかり聞く
SSクラスでの今後のチャレンジは?
谷川先生 高校に上がった段階で、高校から入学してきた子達との間に違いが出る、そういう集団に引き上げたいですね。それに、これまでも中高6年一貫生が行事では中心になっていましたが、クラブ活動でももっと中心になってほしいです。
では最後に、ココロコミュ読者へのメッセージをお願いします。
谷川先生 僕も子供ができて3年ですので、読者の皆様にアドバイスするのはおこがましいのですが、実践していかないといけないと思うのが、子供の話をしっかり聞くということですね。当たり前なのですが、なかなかできないことなんです。自分の子供が壁にぶつかった時に、自分の経験を押しつけるのではなく、子供の話を聞いてあげられるかどうかが大切で、親としても、教師としてもそこは大事だなと思います。
中学1年生、中学2年生を受け持たれている中で、生徒の話を聞いてあげると何か変わりますか。
谷川先生 目に見えて変わるというよりも、安心感ですね。解決ではなくて、聞いてもらえる、聞いてもらえた。もっというと、遊んでもらえた。そんな安心感が子どもを伸ばすと思います。
どういう聞き方をしたらいいですか。
谷川先生 教師である前に人間としての感情で応えればいいと思っています。
立場がどうではなく、人間として話を聞くことで、子どもは安心すると思うんですよ。だから、素で返せばいい。
叱るときは教師であることを演じることもありますし、それはそれで大事なのですが、取っ払うことが大事なときもあるんだろうなと。
追手門学院のいいところは、生徒の素直さと先生の情熱だと思っています。真正面からぶつかれる人が多いです。だから、安心して任せていただきたいし、安心してお話ししていただきたいです。
クラブも大事にできますし、行事も大事にしています。
幅の広い人間に育てることができる学校だと思いますから、ぜひ本校に来てもらいたいですね。
谷川先生
追手門学院中学校・高等学校 ホームページ
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http://www.otemon-jh.ed.jp/
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