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自学自修を発展させたE-Study

UPDATE:2016年06月01日

甲南の「E-Study」で自分の発想を大事にする人に 自分のテーマにこだわり、関心を持ち続けられる人に

甲南高等学校・中学校が行う、生徒自身の興味あるテーマについて探求し、生きる力を育てるプログラム。それが、中学での「自学自修」と、高等学校での「E-Study」です。今回は、「国際」「環境」「経営」「経済」「法」「社会問題」のカテゴリーから生徒自身がテーマを選び、文献やインターネットのほかにもフィールドワークを取り入れた調査・研究に高校2年の1年間をかけて取り組み、最終的には研究成果をプレゼンテーションする「E-Study」に注目。クラス代表として発表した生徒2名の研究を紹介するとともに、「E-Study」を指導される吉沢先生を取材しました。

生徒に聞くE-Study テーマ「多角経営はリスク管理になるのか」

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浅木くん 高校3年
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【テーマ選び】多角経営って何だ!?

会社経営に興味があり、父の会社を調べてみたら結婚式場やレストラン経営などを手掛けていて、さらに調べるとそれが多角経営というスタイルだとわかりました。大企業には車とピアノなど多角経営をしている会社も多く、それがおもしろいと思ってテーマに選びました。

【調査結果】複雑なバランスで成り立つ多角経営

多角経営のメリットの1つはリスク管理ではないかと思っていたのですが、思っていたほど単純なものではありませんでした。いろいろなことが複雑に絡み合ってバランスをうまく取って経営が成り立ち、端的な答えがあるわけではないことが調べてみてわかりました。

【苦労・工夫】アポイントがなかなか取れない…

調査のために企業にアポイントを取っても、経営のことなのでなかなか教えてもらえず苦労しました。フィールドワークにも行きましたが身内の会社になってしまい、会社の歴史や部門などのことしか分からなかったです。

E-Studyの成果】計画を立てて進めることの大切さを学んだ!

興味がある好きなテーマを調べるので、モチベーションを高く持ったまま取り組めました。また、完成する日が決まっていたので、この日までに誰と会って話を聞くなど計画を立てて進めることが必要で、今までは目の前のことからやっていましたが、ゴールを決めて段取りを決めていく大切さを学びました。調査で会ったことがない人と話をしたことも将来につながる貴重な経験です。

生徒に聞くE-Study テーマ「ヒットスマホアプリの共通点と次世代のカタチ~スマートフォンアプリ産業はビジネスになるのか~」

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藤井くん 高校3年
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【テーマ選び】スマホのゲームアプリは人気ビジネス!?

スマートフォンのゲームアプリが人気で、それが新しいビジネスになっていくのではないかと考えテーマに選びました。スマートフォンは自分自身も使うし、周りの友達もほとんど持っているので、身近で共感してもらいやすいことも大きかったです。

【調査結果】調査で見えてきた3つの特徴

スマホのゲームアプリに限定すると、3つの特徴がありました。ゲームのジャンルやアプリの中毒性、スマホやタブレットにおけるシンプルで画期的な使い方が調査でわかりました。

【苦労・工夫】元ゲーム会社の企画担当者に取材

苦労したのは、フィールドワークの連絡を取るのに時間がかかったことです。電話やメールで連絡を取ろうとしても、大企業には取り合ってもらえないことが多く難しさを感じました。最終的には、元ゲーム会社で企画をしていた人に話をうかがったのですが、質問を10数個考えていき、世代別に人気のあるアプリの特徴や、ゲームがなぜスマホの中で売れるようになったのかなどを聞きました。おもしろかったのは、インタビューをしていくうちに自分が立てた仮説が合っていることがわかったことです。

E-Studyの成果】計画性とコミュニケーション力が重要だ!

自分から動いて計画を立ててやることに意味があったと思います。いつまでにこのレポートをまとめるか、いつフィールドワークに行くかの計画を立てないと完成させられません。また、フィールドワークでの人との接し方は今後も役立つと思いますし、コミュニケーションの大切さを実感しました。クラスの人たちの発表を聞いて自分の知らない世界のことも知れる面白さもありました。

これまでの「E-Study」のテーマ

・ジーンズにおけるブランド戦略
・大阪人と兵庫人~言葉の意識とその行動の比較~
・ファスナー革命~進化するファスナー
・ユニクロはなぜスポーツ業界に参入してきたのか
・第一印象~人はどのようにして他人を判断するのか~
・放射能の影響~将来を担う僕達が知らなければならないこと~
・凶悪犯罪~精神鑑定は必要か~
・日本の漫画はなぜ愛されるか~なぜ世界に通用するのか~
・インターネットと中国の著作権問題
・文房具屋が100円ショップより人気になるには~100円ショップと文房具屋の違い~
・100円ショップと消費者~100円ショップがこれからもっと発展していくためにはどうすればいいのか~

先生に聞くE-Study

先生に聞くE-Study E-Study 吉沢郁生先生 INTERVIEW

4つの「E」で学ぶ「E-Study」

本校では、グローバルコースにもアドバンストコースにも高校2年時に週に2単位の「E-Study」の授業があります。
「E-Study」とは、

・テーマを設定・探求する(Exploration)
・フィールドワークを体験(Experience)
・研究成果をレポートと発表で表現(Expression)
・意見交換(exchange)


という4つの「E」の学びです。
各自が自分のテーマを設定して、それを探求していき、レポートにまとめて提出します。
調べる際には、学外の研究者やそのテーマで実際に仕事をしている人の実際の声を聞くフィールドワークが必須です。
最後にはクラスの皆の前でレポートを発表し、質問を受けるなど意見交流を行います。

難しいテーマの掘り下げ

テーマ設定は生徒の自由です。ただ、掘り下げることが難しく、概要を調べるだけで終わってしまったりしますが、本当のテーマはその先にあるのです。例えばコンビニエンスストアがテーマなら、セブンイレブンとファミリーマートはどう違うのか、コンビニの統廃合にはどんな戦略があるのかなど、そういう具体的な作業ができるのがテーマ設定です。
しかし、なかなか生徒だけでは難しいため、個別に関われるように40人の生徒に対して担当の先生を3人つけています。教えるというより水先案内人のようにヒントや方向性を与えることで、行き詰りながらも生徒たちはテーマを深めていくのです。
また、読書量もテーマを深めるうえで大きく影響してきます。これは個人差がありますし、今の生徒はネットで情報を調べたら充足してしまうところがありますので、そこでも個別に指導しています。
難しいテーマの掘り下げにおいて最も効果的なのは、「E-Study」の授業が始まる学年の最初に先輩の良いレポート例を紹介し、学年末にはその学年の中から良かったレポートを発表することですね。身近なモデルを見ることで、生徒も自分のテーマに足りないものを理解するようです。

交渉に苦労して、現場を知ることの大きさ

頑張って1本まとめた生徒は達成感を持っていると思います。特に大きいのは、フィールドワークに行って現場の人に会う体験ですね。交渉に苦労し、コンタクトを取って断られる経験は実は大事なことです。
さらに現場に行けば、本やインターネットにはないような苦労や真実を見聞きしますから、もっと本気になります。こうした体験が、ダイレクトに将来につながるわけではありませんが、それぞれの生徒がキャリアを考えるひとつのきっかけや刺激にはなっていると思いますね。
生徒には「E-Study」を通して、自分の発想を大事にする人になってほしいと思っています。
また、諦めずに自分のテーマにこだわり、関心を持ち続けられる人になってほしいです。
好きなこと、こだわっていることを持ち続けていれば、いつか花が開きます。途中で諦めずに、方向を少し変えればうまくいくこともあることを学び、将来に生かしてほしいと思います。
今回取材した浅木くんは、この「E-Study」が学びたくて甲南高等学校・中学校に入学したと言います。それほど中学での「自学自修」、高校での「E-Study」は魅力的で、先輩方の調査や研究を見ると、自分も興味や関心のあるテーマに取り組んでみたいと思えるのでしょう。テーマの掘り下げは難しいようですが、苦労して探求していくことは将来にもきっとつながります。実践的な学び「E-Study」が、人気かつ定着している理由はそこにもありそうです。
<a href=http://cocorocom.com/labo/school/103.php>甲南中学校</a>
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