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発見!私学力|図書室のタブレット利用読書推進プロジェクト

UPDATE:2016年06月21日

読書によるインプット・アウトプットで表現力や読解力を!タブレット利用ソフト「Seiryoライブラリー」

毎年生徒の書評を集めた「青凌生のための読書案内」を発行し、朝読にも力を入れる大阪青凌中学校。活発な読書教育の流れを汲んで、タブレットで操作する独自のソフト「Seiryo ライブラリー」が図書室に導入されました。蔵書を検索できるだけでなく、生徒自身が読んだ本の「既読リスト」を作ったり、書評を書き込んだりもできるクラウド利用の新たな取り組み。プロジェクトの企画から生徒の指導までを行われる司書の岡崎竜也さんに話をうかがいました。

読書意欲の促進につなげるクラウドプロジェクト

ココロコミュ
これまでも読書教育が盛んな大阪青凌中学校ですが、図書室で「Seiryoライブラリー」を始めることになったきっかけは何ですか。
岡崎さん
本校では、生徒の書評や教員の書評が載った「青凌生のための読書案内」を毎年発行していて、9年間続いています。ただ、年に1回という更新頻度や情報量に限りがあり、書籍検索もやりにくいという課題が見えてきて、学校全体もICT化が進んでいく中で図書室もクラウドプロジェクトに乗り出そうということになりました。情報量や更新頻度を上げるとともに、生徒個人の読書記録を残していくことで、読書推進につなげていきたいと思ったんです。
司書 岡崎竜也さん
司書 岡崎竜也さん
ココロコミュ
「Seiryoライブラリー」の目的としては?
岡崎さん
「Seiryoライブラリー」は本校独自のもので、2015年11月から設置して、2016年度から本格的にスタートしたプロジェクトです。一番の目的は、生徒の読書意欲の促進ですね。まずはタブレットに触ってみるといったゲーム感覚を取り入れ、それが読書のきっかけ、情報や知識を活用するリテラシー能力の向上にもつながればいいなと思っています。今はまだ図書室内だけでの利用ですが、今後は図書室外でも利用できればというのが学校としての考えです。
ココロコミュ
「Seiryoライブラリー」ではどんなことができますか。
岡崎さん
生徒が読んだ本の記録を「既読リスト」として残していけることが大きな特徴です。書評を書いて自分の読書記録を残すこともできますし、既読本は「既読リスト」に本棚のように並びますから、視覚的にも本を読んだことがわかりやすくなっています。既読にしていくと、今月の既読数が確認できて、自分の読書ペースが確認できます。1冊の本に対する自分が書いた書評と他の人が書いた書評の読み比べもでき、感じ方や視点の違いを知れることも特徴の一つです。
ココロコミュ
これまで「青凌生のための読書案内」という冊子で読んでいた書評が、ネット上で簡単に探せて、読めるわけですね。
岡崎さん
そうです。書評は目安が約200文字で300字まで入ります。その書評に対して「いいね」ボタンを押すと評価も可能です。人に評価されることによって、次に読んだ本の書評もまた書こうという意欲が湧いてくるようです。

Seiryoライブラリー

既読リスト
【既読リスト】
自分の既読本リストが本棚のように並び一目でわかる。
書評
【書評】
1冊の本に対する自分の書評と他の人の書評を読み比べできる。
書評いいねボタン
【書評いいねボタン】
書評には「いいね」ボタンで評価ができ、生徒の読書意欲を刺激!

タブレット化によって本と人をつなぎ、評価し合うことで人と人もつなぐ

ココロコミュ
図書室内にも様々な特集コーナーやリクエストコーナーがありますが、「Seiryoライブラリー」にも特集があり、リクエストや検索もできるんですね。
岡崎さん
今は、「2015年度ベスト貸出ランキング」のデータをランキング化して掲載し、同時に図書室で展示しています。特集を組むことで本を手に取ってもらえたらと思いますし、今後は展示以外の特集も「Seiryoライブラリー」内で組めればと思っています。図書室で貸出中の本は実物がありませんが、「Seiryoライブラリー」なら表紙画像を見ることができることも利点です。今の生徒は表紙のイラストがかわいいと手に取ることも多いので、新しい本や人気のある本、書評を書いてくれた本はできるだけ表紙画像を付けるようにしています。書店で見て気になっている本は、視覚的な部分から読むきっかけになることも多いようです。
ココロコミュ
設置から約半年ですが、生徒の読書活動に変化は感じますか。
岡崎さん
「青凌生のための読書案内」では夏休みの課題である書評から厳選して載せていましたが、「Seiryoライブラリー」に書評を書くことは自発的な行為になり、「読んで誰かに表現する」という行動ができています。1冊の本を読んで書評を書き、周囲から評価されて2冊、3冊と書いていくという動きが少しずつ増えていますので、もっと広がっていけばいいなと思っています。
図書館の一角にあるタブレットコーナー
図書館の一角にあるタブレットコーナー
ココロコミュ
書評を書くことは、生徒の読書能力を上げる効果が高いですか。
岡崎さん
読んでインプットし、それを書評としてアウトプットすることによって、自分の中に読書としての記憶が残ります。また、書かされているのではなく自分から書いているので、次に読む時もただ字を追うだけではなく、考えながら自分が何を感じているかを残しながら読むようになります。それが表現力や読解力につながっていきます。
ココロコミュ
実際に生徒の書評は、面白い内容になっているのですか。
岡崎さん
自分が思ったことと、人に薦める言葉がうまく書けている点は良いと思います。高校1年の入学前に課題図書の書き方指導はありますが、中学生は自由に書いてもらっているので、まだ文章が一言だけの生徒もいますし、見せ方を工夫して自分の考えを書く生徒もいます。書評は投稿という形で、一旦僕が確認してアップするという流れです。「おもしろい」「感動した」など一言だけのものは載せないようにして、次にその生徒が来た時に、「何がおもしろかったのか」「どこに感動したのか」を書くように指導します。それによって、自分が感じたことの表現の仕方を少しでも学んでもらえたらと思っています。
ココロコミュ
「Seiryoライブラリー」のプロジェクトの成果は、今後まだまだ期待できそうですね。
岡崎さん
タブレット化によって本と人をつなぎ、評価し合うことで人と人もつなぐ。そこにこのプロジェクトの意味があると思いますので、今後改良しながらもっと活性化していきたいですね。

Seiryoライブラリー

書籍検索
著作名から探す
【書籍検索】
「Seiryoライブラリー」書籍検索画面。探しやすさが、読書への近道。
みんなのリクエスト
Seiryoライブラリー
【リクエスト】
図書室内に掲示された「みんなのリクエスト」と、「Seiryoライブラリー」リクエスト画面。リクエストもタブレットを利用して気軽に行え、図書室からの返事も確認できる。
2015年度BEST貸出
Seiryoライブラリー
【貸出】
図書室内に掲示された「2015年度BEST貸出」と、「Seiryoライブラリー」の「2015年度BEST貸出ランキング」画面。タブレットで見ると、より順位がわかりやすく、表紙の印象も残りやすい。
温かで開放的な雰囲気が魅力の図書館を活用した読書教育に力を入れる大阪青凌中学校。タブレットを触る興味を、読書や書評へつなげる画期的な取り組みは生徒にも好評で、徐々に浸透してきた手応えを感じられているようです。「読書離れ」が深刻だと言われますが、好奇心が旺盛な中高生は小さなきっかけによって興味を持つということもわかりました。今後どのように展開されていくのかに注目です。
<a href=http://cocorocom.com/labo/school/152.php>大阪青凌中学校</a>
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