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帝塚山学院泉ヶ丘中学校の理科実験授業

UPDATE:2016年01月04日

学校力レポート帝塚山学院泉ヶ丘中学校

帝塚山学院泉ヶ丘中学校には中学1年生、2年生段階で数多くの理科実験授業が用意されています。実験を通して、課題の発見と探求という思考の流れを学ぶと共に、生徒たちの自主性や興味の幅を広げる狙いがあり、知識を測ることから知識を使いこなす能力を測ることに舵を切るとされる新しい大学入試制度への対策としても大いに期待できる取り組みと言えます。今回は、同校の理科実験授業を取材し、自身も理科の教員である教頭 井元成浩先生と理科教諭の西村亮俊先生にお話しをうかがいました。

イオン化傾向とレモン電池の実験授業の様子

3種類の金属を推定しよう

イオン化傾向の差が大きい金属の組み合わせであれば電圧が大きく、差が小さい金属の組み合わせであれば電圧が小さいという特徴をヒントに、手渡された3種類の金属が何かを特定する実験。実験をする生徒たちの豊かな表情が印象的です。

電子オルゴールを鳴らしてみよう

電圧の高い金属の組み合わせを特定した班は、電子オルゴールを鳴らす実験に進みます。自分たちで作った電池で鳴らした場合と市販の乾電池で鳴らした場合を比べます。さあ、どんな音色が聞こえるでしょうか。中央の机の班が代表して発表します。

実験設備の充実に注目

Interview to Teacher

井元成浩教頭 / 西村亮俊先生

新大学入試制度に向けての取り組み

ココロコミュ
新しい入試制度に向けての取り組みについてお聞かせください。
井元先生
それぞれの科目に対して興味を持って積極的に勉強することや課外活動など、これまで学校としてやってきたことは、全部新入試に関わってくると思います。「自分を表現できる生徒を育てる」という意味で新しい取り組みも行っていきます。
西村先生
理科としては、自主性や周りの人といかに共働していくかを重要視しています。中学・高校を通して教室での勉強だけではなく実験を通して、自分で考えて動いたり、人と協力して役割分担をしたり、人の意見を聞いたりする力は養えるので、新入試制度にも十分に対応できると思います。

ココロコミュ
今までの理科の授業から大きく変わった点はありますか。
西村先生
大きく変えたところはありませんが、以前と比べると実験の量と頻度は増えています。実験前には教室での考察や話し合う時間も設けますので、そういった時間が、授業時間の多くを占めるようになってきています。
ココロコミュ
新大学入試制度だけではなく、
学校として理科の捉え方に変化があったということでしょうか。
西村先生
以前から、いい参考書を使って分かりやすい講義を受けるという、大学受験対策のための授業のあり方に疑問を感じていました。それを変えようと、生徒たちが考えられるような授業を増やしています。

多彩な実験で生徒の自主性を育てる

ココロコミュ
慣れていない器具を使う実験を、中学1年生から取り入れているのはなぜですか。
西村先生
中学1年生にはマッチを使えない生徒もいるので、まずは実験器具の使い方から教えています。新しい器具を使う時は、実験前に1時間かけて触って実際に使わせるんです。まだ危険なものを判断できないので、それも一緒に指導しています。大人なら当たり前だと思うことも中学1・2年生から細かく指導していると、自然と自分たちで考えるようになっていきます。
井元先生
大学でやるような実験も取り入れています。「危ないのでは」と心配されるかもしれませんが、やらせないことが実は一番危険です。もちろん安全は確保しつつ、一歩手前のことをやらせてみて初めて本当の危険が理解できます。全ての指示を教員がするのではなく、ある程度は自分たちで気付かせることも大切です。
ココロコミュ
自主性が出てきたと感じる実験は、具体的にどんなものがありますか。
西村先生
「白い粉末の区別」や、「混合物の分離と蒸留」などがいい例かと思います。
「何をするか、どういう結果になるか」だけを最初に伝えて、あとは生徒が考えて動きます。実験器具も必要な物を取って使うというスタンスです。

ココロコミュ
必要な器具がセットされているわけではないんですね。
西村先生
器具は工夫次第で減らせますし、時間も短縮できます。それを生徒たちがそれぞれの班で役割も決めながら進めていくんです。班の中でどんな役割が必要かを伝えるだけで、あとは好きにやらせています。そうすると、時間を見る人、記録する人など、自然と分かれてやっています。
ココロコミュ
授業時間がかなり必要になってくるのでは?
西村先生
物理・科学の分野は週に3回ありますが、学校として中学校1・2年生の間に3年間の内容を終えるという目標があります。教室での授業はなるべく早く、ちょっとした興味を惹くような話を交えながら進めて、実験室ではひとつの目的を達成するために時間をかけています。差が激しいかと思いますが、その差がメリハリにもなっています。

多彩な実験内容で、理科に対する意欲が変化

ココロコミュ
貴校ならではという実験はありますか。
西村先生
豚の目の解剖などはかなり珍しいと思います。また実験室や講義室が4つあり、薬品もかなり幅広い種類が揃っていて、環境は整っていますね。
ココロコミュ
実験を通して、生徒さんの理科に対する意識や勉強意欲に変化はありましたか。
西村先生
生徒が好奇心旺盛になり、夏休みの自由研究の相談など、自主性が出てきたと感じます。そういう生徒たちの実験レポートは、自分たちで決めたテーマで進んでやっているので、とても充実していますね。「この実験をして、次はこれが知りたくなった」と、次に続いていくような研究になっていて僕も勉強になります。
井元先生
実験後に教科書で勉強すると違った見方ができます。大学受験に向けての基礎学力はきちんとつけながら、さらに実験をすることで発見があって、新たな興味の幅が広がっていくんです。

ココロコミュ
理系を目指す生徒さんも増えてきていますか。
西村先生
小学校時代は嫌いだったけど、今ではテストで90点以上取るようになって理科がおもしろいというような生徒も実際にいます。もし実験がなかったら違ったのではないかと思います。「先が知りたい」という生徒は、男子だけではなく女子にも増えている傾向にありますね。
ココロコミュ
新しい環境で刺激になったんですね。
井元先生
中学1年生から始めて高校まで、やり続けることが大切です。新しい学校に来ていい刺激があると、生徒はぐっと伸びるんです。もっと伸びるようになるかは、環境が大切です。そのきっかけ作りを学校で提供してあげられればと。
ココロコミュ
そういう学びを経験して、どういう風に興味を広げていってほしいですか。
西村先生
今の生徒たちは賢くて、「こんな疑問を持ったけど自分には難しいだろう」と諦めてしまう場合が多いんです。素朴な疑問を持ったら大学に入ってからでも自分で調べ続けていってほしいと思います。変に大人にならずに諦めず、好奇心を持ち続けてほしいですね。

一人ひとりの個性を見つけ、「出る杭を伸ばす」教育

ココロコミュ
普段の指導で、心がけていることは何ですか。
井元先生
生徒がやろうとしたことを絶対に邪魔しないこと。大人の既成概念で時間の無駄になるのではないかと思っても、実際にやってみなければ分かりません。教員は生徒の話をよく聞き、まずやらせてみることを心がけています。授業の中でも生徒の意見は積極的に取り入れますし、それがきっかけですごい発見があることもあります。

ココロコミュ
そういう環境で育った生徒さんは、社会に出ても強そうですね。
井元先生
強いと思います。勉強ができた生徒だけでなく、在校生時代にいろいろな経験をした生徒が社会で活躍しています。それぞれの教科の先生が生徒一人ひとりにアプローチし、出る杭を伸ばし、好奇心のある粘り強い生徒を育てていきたいと思っています。理系に関して言うと、日本の研究者が目覚ましい活躍を見せていますが、それは学生時代の自由な発想の土壌から出てきた結果だと思います。本校では、理系も文系も、集団ではなく一人ひとりの個性を伸ばして卒業させたいと思っています。

帝塚山学院泉ヶ丘中学校
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