TOP » 学校力レポート » 京都橘中学校・高等学校「新校長インタビュー」

EQを磨き進学実績を上げる。それが本校の両輪。

今年で創立112年を迎えた京都橘中学校・高等学校。2010年に開校した中学校Vコースの1期生も今年高校2年生になり、6年一貫教育の真価が問われるときが近づいています。そんな期待が高まる京都橘中学校・高等学校の新校長は、保健体育科の教員として同校一筋に指導されてきた三輪欣之先生。生徒指導部長、副校長を経て今春校長に就任された三輪校長が、長年の経験を活かして考えられた京都橘の未来へ向けた教育について語ってくださいました。

4月に新校長に就任されました。まず、先生がお考えの京都橘の教育方針を聞かせていただけますか。

環境が整った校内
【三輪先生】私は長年、本校の女子バレーボール部の監督をやっておりまして、今も続けています。その意味では、これまで文武の“武”で学校を引っ張ってきた人間ですから、私が校長になったらそういう学校になるのではないかという誤解を生んでいるようです。しかし、それは違いますと事あるごとに説明しています。過去の校長先生方が築かれてきたもの、学問の都という京都の土地柄を考えると、本校教育のメインはあくまで学習であり進学です。それに付随したものがたくさんあって、その中のひとつがクラブです。私が校長になって一番強化したいことは、進学面での実績作りであり、本道をしっかりと強化することなのです。
16年連続全国大会出場の女子バレーボール部を育てられてきたわけですから、誤解が生まれるのもわかりますね。
【三輪先生】そうなんです。しかし、本校はこの施設面のキャパシティーから考えると、文武の“武”の部分は完成に近いと思うんですね。高校の女子バレーボール部、男子サッカー部、吹奏楽部は、総合進学(A)コースの生徒が中心ですが、それ以外のクラブは全コースの生徒が所属していて、これが本校の追求したい文武両道の形なんです。私はそこを目指したいと思っています。

文武両道のために、どういったご指導を考えられているのですか。

熱心に授業に向かう生徒たち
【三輪先生】まずは教員の授業力をスキルアップしたいと思っています。この春に全教員の授業を予告せずに見に行ったのですが、コースを問わず本校の生徒には一生懸命やろうという姿勢が強くあり、教員にどれだけ力があるかが生徒にとって大事だということを感じさせられました。そこで教員の力量を上げるとともに、チーム化することを考えています。
スキルアップしてチーム化?

高校女子バレー部
【三輪先生】そうです。発想はすべてバレーの監督なのですが、バレーの監督がまず一番に考えることは選手のスキルアップなんですね。たとえばメンバーが10人いて全員が10までスキルアップできれば全員が楽しい。ところが、6人しかスキルアップできていないと、それ以外の人が楽しくない。そうするとチームが、ぎくしゃくしてきます。楽しくないと思っている人間がいる集団は、力が10×10にならない。しかし、全員のスキルがそろったチームは、10×10が200になる可能性があるんです。そういうものを秘めている目に見えない集団力、チーム力を京都橘の教員にも何とか作りだせないかなと。教員がそうなれば、当然生徒にも還元します。
チーム力について先生はとてもお詳しいと思うのですが、10×10が200になるためには何か秘策があるのですか。
【三輪先生】それは、チームの中にEQ(Emotional Quotientの略、心の知能指数)の高い人間が何人いるかです。その人数が集団の中に多いと、チーム力は上がります。私の経験として、バレーボール部が全国優勝したときのチームにはEQが高い選手が多いんです。タイミングを察知したり、発言する内容も素晴らしかったり、こちらが感動させられる生徒がいたりします。
そのEQが社会に出た時に役立つんですよね。
【三輪先生】そうなんです。IQも大事ですが、今の世の中はEQを求めている部分が大きいと思います。まずは、そういう能力が大事なんだということを知り、自分の感情をコントロールし、自分以外の人の感情を読み取り、自分がいる集団が今どうあるのかを認識し、向上させるためには何が必要かを見極める。そして、どのタイミングでどんな発言をすればいいのか、またはどのタイミングでどんなことを言えばこの集団の意識が下降してしまうのか、そういうことがしっかりとわかっている。それが本当に賢いということではないかなと思うんです。EQの高い人間を育てる、それが私の信念です。EQを磨くこと、進学実績を上げること、それが本校の両輪です。

京都橘中学校はVコースの実績が注目されますが、コース体制について何かお考えはあるのでしょうか。
【三輪先生】実は2015年の募集から高校に進学する3年後にコースを選べる体制にします。これまでは6年一貫カリキュラムであるVコースだけでしたが、中学3年間でいろいろな経験を積んで、自分の興味関心が変わってくる生徒もいるんです。その結果、Vコースの内部進学を辞退し、京都橘高校を受験してクラブをするという生徒が出てきたんです。それは、同じ京都橘なのにあまり望ましいことではないなと。
部活が盛んな御校ならではの悩みですね。
【三輪先生】そうかもしれませんね。それで、Vコースに入ったら6年間Vコースではなく、高校に行く3年後にVコースかBコース・Aコースかを選べるようにしました。
中学生と言えば大きく成長する時期ですもんね。

民舞発表(文化祭)
【三輪先生】球技系のスポーツでは“ゴールデンエイジ”という年代があって、8歳から14歳の頃の吸収力は、一生で一番いいと言われているんです。スポーツでは発達曲線を用いて証明されているのですが、学習面ではそういう証明はされていません。でも私は、学習面にも“ゴールデンエイジ”はあるのではないかと思っているんです。だからそういう年代の生徒を預かったときに、特に最初の2年間の第1タームで「生徒の心に火をつける」ことを京都橘としてはテーマにしています。
スポーツで人を伸ばすことを実践されてきたので、すべて伸びることを前提に考えられているんですね。

合唱発表(文化祭)
【三輪先生】そうですね。子供は大きな可能性を持っているので、私たちが決めつけてはいけないんです。「この子はこんなものだ」というのが一番ダメです。「違う、違う。もっと伸びる」と信じることです。それをすごく感じたことがありました。今春高校を卒業したバレーボール部の3年生で1人、滋賀大の経済学部に入ったんです。バレーボール部の高3生とは4月頃に進路の面談をするのですが、そのときに「滋賀大学行きたい」と。驚きましたが、「もし実現したらバレーボール部の中でも一つの歴史になるからやってほしい。でも、だからといって練習を免除するわけにはいかない」と伝えました。その生徒はレギュラーではなかったのですが、1月にある春高バレーまでずっと一緒に練習していましたし、家が滋賀県東近江市で片道1時間半の通学で、朝練があるから朝は5時半に家を出ます。でも、覚悟を決めてやるというのはこれだけやれるんだと周りが思い知らされるくらいやって、現役合格をしました。その生徒には「私の先生やな」と言いましたね(笑)。

そうした関わり方が生徒を伸ばすのかとも思いますが、三輪先生が長年の教師生活で大切にされてきたことがあれば教えてください。
【三輪先生】まず、生徒が自分の先生だということです。私が教師なのですが、子供から学ぶこともすごく多い。基本としてそれがあります。さっきの話なんか典型ですね。あと、生徒の表情をよく見るようにしています。朝「おはよう」というときのちょっとしたしぐさ。何も聞きませんが、生徒の顔を見たときに何となくわかるその感性を、自分で磨いておくようにはしています。生徒とは付かず離れずいることを、心がけています。
でも、校長先生になられると距離が変わってきますね。
【三輪先生】とても寂しいです(笑)。やはり校長はいろいろと忙しくて、生徒と直接関わる時間がないんですよ。授業見学が一番身近に感じられますね。あとはバレーボール部の監督は引き続きやっています。
バレーボール部の監督は今後も続けられるのですか。
【三輪先生】うちの教職員もそれはわかってくれています。「三輪先生からバレーをとったら抜け殻になる」って(笑)。
中学からの1期生が卒業を迎えるなど、今後は京都橘の注目度、期待度が高くなりますが。
【三輪先生】今、関西地区は中学入試が全般的に厳しいですから、私立の中学校の魅力をもっといろんな機会で保護者に伝え、わかってもらいたいですね。本校としては、定員の60人の新入生を迎え続けることが最大の目標です。それができて初めて次にいろいろなことに挑戦できるんです。この環境の中でゴールデンエイジを過ごしてほしいし、ここにきて過ごして初めてわかる良さがありますから、それをしっかりと伝えていきたいと思います。
今後、生徒たちに期待することは?
【三輪先生】どんな形でもいいから社会に出て、世の中に貢献してほしいと思います。そのための中高一貫教育です。京都橘で6年間過ごしたあとに大学に行って社会に出て、そこで何をするかが大事なのです。どんなことでもいい。地道に社会に貢献する。そういう意識で働く人になってほしいですね。自分があって世の中があるし、世の中があって自分があるのだから、その両方を大事にできる卒業生をたくさん作りたいです。
大きなチーム京都橘を創られようとしているのですね。
【三輪先生】そうなればいいなと思います。
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