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上宮中学校の生活指導に関するコンテンツ

2011年に共学化し120年以上続いてきた伝統校としての重みに、新しさが加わった上宮中学校。 歴史を感じる校舎の雰囲気は変わらないものの、廊下ですれ違う生徒は男女が交じり新鮮な印象だ。 そんな上宮中学校が、男女共学化になっても大事に守り続けてきたことがある。それは「生活指導の徹底」だ。「より厳しく、より温かく」をモットーに、学力だけではなく心の教育にも重き、全教員で生活指導を行なっている上宮中学校。今回はそんな上宮中学校の「生活指導」をさらに深く知るべく取材を行なった。 
生活指導の根幹
生活指導を行う上で大切にしていることを教えてください。
殿井鉄夫 教頭
  大切にしていることは生徒に「理解させる」ことです。
 本校では昔から「○○をしたら罰則として○○をさせる」という指導は行なっておりません。なぜ指導されているのか、生徒が時間をかけて理解することを大切にしています。ですから、一人ひとり対応は違いますが「頭ごなしに怒らない」という点は全教員が意識しています。
 浄土宗・法然上人の教えのもと創立された本校には、教育の根幹に「正思明行」の校訓があります。「正思明行」の校訓を理解してもらうため、中学生には入学後すぐ「どのような学校であるのか」を説明します。また、週に1回の「宗教」の時間でも、生きる意義や命の尊さなどを生徒と一緒に考え、みんなで理解していきます。校訓や宗教の授業を通して「何が正しいことなのか」を、時間をかけて教えているからこそ説得力のある生活指導が出来ているのだと思います。
※「正思明行」…物事を正しく見つめ、明らかに実行すること
【殿井教頭】
吉村仁志 教頭
 宗教の情操教育が基盤にあり、その上で生活指導が成り立っていることは、本校の生活指導の特徴だと考えています。本校の校訓や学順にはじめは生徒たちも戸惑うようですが、週に1回の宗教の授業を通して徐々に理解を深めていきます。入学してきた生徒が、先生に対してタメ口を使ってしまったり、言葉が乱暴だったり、ということも稀にあります。その際には「より厳しく、より温かく」のモットーで、先生に対しての言葉遣いや挨拶などを丁寧に指導しています。これからも「生活指導」と「宗教教育」の相互関係を大切にしていきたいです。
【吉村教頭】
保護者との関係
保護者と学校が信頼関係を築くため、心がけていることを教えてください。
 保護者と接する機会を多く設けて不安を解消する、ということを心がけています。本校は保護者会組織が6年前に変わりました。それまで代表者中心だった保護者会を、全員参加できる「保護者懇親会」にしていただきました。それ以降、保護者のみなさまからは「横のつながりができて風通しがよくなった」という評判をよく聞きます。さらに、保護者会では外部から講師を招かれて「教育懇談会」が年に数回開かれています。校内では教育相談が主催となって「保護者・教職員のための 勉強会」を開いております。
 このような研修会によって、思春期の子どもの心理を知り、子どもを育てるために必要な知識や心構えを学ぶ機会をつくっ ています。本校では、このような工夫により、教員と保護者が一緒になって生徒を見つめ育てる機会が増えたと感じています。
 また、保護者の声を聞く「保護者アンケート」にある「他の人にこの学校を薦めたいと思うか?」という問いに対し、半数以上が毎年「ぜひ薦めたいと思う」と回答していただいております。保護者と学校が強い信頼のもとに協力をしていくことは大切なことです。この協力関係こそが、生徒たちが充実した学校生活を過ごすためには欠かせないと考えています。
【殿井教頭】
 本校では年に1回「保護者アンケート」を実施しています。生徒、担任、保護者の三者が同じアンケートに記入し、互いの温度差を無くして関係改善につなげる、という取り組みです。アンケートの内容は多岐に渡り、生活指導、学習面、友人関係、方針理解など…約20項目用意されています。担任も自己評価をつけ、保護者、生徒からも担任に対する要望や評価を書いてもらいます。学校生活を予備校的な手段として考えることもできますが、本校が重視しているのは「充実した学校生活」です。勉強だけに注力する環境をつくることが目的ではありません。仲間と共に充実した思春期を過ごす為に、家庭と学校の連携が築けるよう、三者のズレを無くす努力を常に心がけています。
 学校説明会などで保護者のみなさまには「一度学校にお越しください。そして他の学校にも足を運んで色々検討してみてください。その中でも本校がいいと思える方はぜひ受験してください」と言っています。6年間を過ごす場ですので、本校で学ぶことを本当に喜んでいる生徒は成長できます。しかし、中学受験に対する思いを引きずっている生徒は、充実した学校生活を送ることが困難になる場合があります。中学受験というものは、案外保護者自身が受験の失敗を引きずっているケースが多いのです。子どもは親のそんな心情を敏感に感じ取ります。入学後、後悔しない為にも受験前に本校のことを知っていただき、生徒たちを見ていただきたいです。生徒たちを見てもらえば本校の良さや大切としていることは見えてくると考えています。
【吉村教頭】
生徒と教師の関係
教師は生徒に対してどのような距離感で指導をしていますか?
 本校の教員は、厳しいですが生徒との距離感はとても近いです。他の学校と比べることはできませんが、生徒との距離の近さに驚く転任教師の反応を見ていると、本校独特の親密さがあるのだと感じます。また、教員によって生徒との距離に差がないのも本校の特徴です。どんなに長い教師歴があったとしても、担任を持つまでに本校では3~4年かかります。その間に上宮らしさとは何かを、教科担当を通して学んでいくのです。教員同士の横のつながりを大切にしているからこそ、上宮らしさをみんなで共有していくことが可能なのだと思います。本校の場合、教員が単独で問題を抱え込むことはありません。小さなことでも学年全体の問題として指導を行います。何か問題が起こった時はどのような手順で連絡をし、解決すればいいのかという方法も全ての教員が共有しています。教師同士が協力し合うこと、そして役割をはっきりさせることで、無駄のない問題解決につながると考えています。
【吉村教頭】
 心の病などで学校に通えなくなってしまった生徒に関しては、担任が一人で問題解決を行うのではなく、専門の先生にも協力していただきます。本校は大阪の私立中学校で最初にスクールカウンセラーを導入するなど、メンタリティの問題には早くから取り組んでいます。臨床心理士の資格を持つスクールカウンセラーと教育相談係の先生を中心に生徒の対応にあたっています。何か問題を抱えた生徒の相談があった場合には、スクールカウンセラー2名と、他に専門の先生を含めた数名からなる「ケア委員会」が中心となり会議を開きます。そこでも解決できそうにない時には、学校が契約している心療内科や精神科の先生などを紹介することもあります。医師の紹介まで含めて学校で責任を持って対応するというのは珍しいかもしれません。本校では、教師と生徒の関係を「担任と生徒」という一本の道に絞るのではなく、複数の道を作って一番いい解決策を選ぶことを重視しています。
【殿井教頭】
上宮で成長した生徒
上宮に入学して卒業するまでの6年間で特に「成長した」という、思い出に残る生徒はいますか?
 入学した頃は、目立たず大人しい印象だったT君という生徒のことを、強く覚えています。ボーッとしているように見えて、実はとても集中力が高い生徒でした。
 読書に没頭するあまり、家に帰る時間を忘れて家族が大騒ぎになっているとは知らず、駅で本を読みふけっていた、なんてことも過去にはあったようです。それくらい好きなことには時間を忘れて没頭できる性格だったのです。
 本校では中学1年生の段階で成績が芳しくない生徒には両親に来てもらい、三者面談をすることになっています。T君もその対象となり、お父様にお越しいただくこととなりました。大抵の両親は神妙な顔つきをされるのですが、T君のお父様は終始ニコニコしているのです。話を伺うと、お父様はT君を責めるのではなく、T君の個性を伸ばすことに重きを置いておられました。面談の時も「本当にこの学校に入れてよかった。入学する時もギリギリだったんだから、成績が悪いのは仕方がない。徐々に頑張ればいい」とT君のことを励まされていたらしいです。後に伺った所、お父様は本校のことをとても気に入ってくださっており、T君が本校に合格した時も盛大にお祝いをされた、とのことでした。
 その後T君は中2、中3と徐々に成績を上げ、高校生になるとさらに成績は良くなっていき、最終的には希望していた有名私立大学に全て合格するという結果を出しました。T君の頑張りももちろん素晴らしかったと思うのですが、T君のご家庭が本校のファンでいてくれたこと。子どもを信じて個性を伸ばす教育を、家庭と学校が協力して出来たことがよかったのだと思います
【吉村教頭】
 ひとりの生徒には絞れないのですが、クラブと勉強との両立が出来ている生徒の、成績の伸び方にはいつも驚かされます。クラブ活動を頑張っている生徒は、引退した後の勉強の追い上げ方が違います。きっとクラブ活動で培った集中力が勉強にも通じるのでしょう。
 また、大規模中高一貫教育だからこそ変わっていける環境もあると考えています。本校にはさまざまな生徒がいます。すぐにカッとなったり、落ち着きのなかった生徒が、6年間かけてソーシャルスキルを身につけることで、徐々にクラスに馴染みいい方向に変わっていく様子を何度も見てきました。多くの生徒がいるからこそ、そのように認め合う心も生まれていくのだと思います。勉強だけに集中することも大切ですが、6年間という濃い時間の中でできる「友だち」という存在は思春期の子どもにとっては大きな存在です。自分の居場所がある、ということは何にも代え難い本当に大事なことだと思います。学習指導、進路指導、生活指導は重要ですが、教師には生徒の将来を見据えて彼らを守り、ゆっくりと支える能力も必要だと思います。 学校は生徒たちの居場所を作れる場所でありたいと考えています。
【殿井教頭】
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