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生徒一人ひとりに
居場所のある学校でありたい

UPDATE:2015年9月25日
報徳学園中学校「「なりたい自分」を実現! 将来につながる能力を磨くキャリア発達教育」
大阪唯一のカトリックの共学校である賢明学院中学高等学校。学院のモットー“THE BEST”が示すように、2020年の大学入試改革へ向けて中学・高校ともに新コース制に、いち早く取り組んできました。今回は2015年に同校の校長に就任された大原正義先生に、2016年度より始動する中学の新コース制と、同校の根幹であるカトリック教育についてうかがいました。

大原正義先生プロフィール

大原正義先生
1979年より私立中学・高校で宗教教員として奉職。
1996年、前任校にて研修制度を利用して、英知大学大学院人文科学研究科宗教文化専攻入学。1998年修士号取得。進路指導部や生徒会顧問を歴任。2012年、賢明学院中学高等学校副校長に赴任、2015年同校長に就任。

2016年始動!新コース制

Providence Course プロヴィデンスコース(男女30名)
先進的な授業で、高度な問題発見・解決能力を身につけ、
社会でリーダーシップを発揮できる人材を育みます。

基礎学力の習得を徹底すると同時に、問題解決能力を向上させ、発展的な学習に取り組むことができる、向上心のある人格・高い学力を養成します。AL授業(内容先行授業)により、物事の先を見るための思考力・判断力、物事の背景を見抜くための洞察力を早期に身に付け的確に物事の真を理解できる、グローバル社会に通用するリーダーシップを持った人材を育成します。
Grace Course グレイスコース(男女60名)
行事やクラブなどで個性を育み、丁寧な学習指導で基礎学力を養成。
個々の才能を最大限に伸ばします。

教科学習や体験学習などのキャリア教育を通して、世の中が必要としている力を身につけ、様々な学習への関心・意欲を高めます。自らの将来観を描くことによって、はっきりとした学習の目的を見つけます。学ぶことの目的を見つけることで、目標に向かって努力する内発的な学習意欲を養います。
入学案内パンフレットより抜粋

才能を開花させる
自己肯定の精神

新しいコースづくりの際に心がけたことは何ですか。
【大原先生】
生徒は皆、才能を持っていて、いかに開花させるか、それを手伝うのが教師だと思っています。もちろん、本人の努力は不可欠ですが、そのための仕掛けづくりをカリキュラムに反映させるように腐心しました。
生徒の才能を開花させるために必要なものは何ですか。
大原先生
【大原先生】
自信を持たせるというか、褒めるということだと思います。「北風と太陽」でいうと、どちらかといえば私は太陽だと思っているのですが、本人をその気にさせるというのが、進路指導においては非常に大切だと思います。
どういったシーンで生徒たちを褒めているのですか。
【大原先生】
個別に話すこともありますし、全体朝礼の場もあります。私は、自分の可能性に気付いていない生徒が多いと思います。自分の良いところ5つあげてごらんと言うと、ほとんどの生徒が5つもありませんと答えるのです。そんなはずがありません。ですから、自分の持っている良いものを気付かせることが凄く大切だと思っています。
生徒たちに自分の良いところに気付かせるにはどうすればよいのでしょうか。
【大原先生】
カトリック教育の根底には、自己肯定があります。私たちは神様からつくられた、最高傑作だというのがカトリック教育の根底にないと駄目だと思っていますし、生徒や先生たちにも伝えています。聖書の創世記1章31節に、神様がこの世界をつくられて全てをご覧になられたときに、「極めてよかった」と祝福したという記述があるのですが、それは、私たち一人ひとりに対しての祝福でもあるという話をしています。

「神の恵み」と
「神の計らい」

「グレイスコース」と「プロヴィデンスコース」という、全国的にも珍しいコース名からも、思い入れの強さが感じられます。
【大原先生】
中学のコース名は、あえて、音で聞いただけではわからないようなものにしようと思いました。逆に高校のコース名は一目でわかるものにしたかったのです。キリスト教の学校ですから、ラテン語のコース名にしたかったのですが、なじみがあまりにもないということで、この2つのコース名に落ち着きました。
どのような意味が込められているのでしょうか。
【大原先生】
先生方からも募集をしたところ、まず、グレイスという名前が出ました。ラテン語の“Gratia”を語源とし、一般的には「優美」「気品」「思いやり」を表しますが、キリスト教的には「神の恵み」と訳されます。プロヴィデンスの方はずいぶんと迷いまして、最終的には、みんなで相談しました。プロヴィデンスは、ラテン語の“vid”「見る」から派生した言葉で、“pro”「前もって」と“ence”「こと」が前後に付き、直訳すると、「前もって見ること」。キリスト教的には「神の計らい」と訳されます。全国の私立中学のコース名をずいぶんと調べましたが、少なくともこの二つがある学校はないと思います。
内容については2つのコースでどのような違いがありますか。
職業を考える授業より
【大原先生】
まず、私たちが大学入試制度改革に向けて、目指す基礎的なものはグレイスコースに詰まっていると考えていただいて結構です。プロヴィデンスコースではさらに発展的な学習に取り組み、グローバル社会に通用するリーダーシップを持った人材を育成します。一番のコンセプトは、先ほど申し上げたように、生徒の才能をいかに開花させるかです。今までの知識中心の勉強だけではなく、もっと自分の判断力・思考力を高めるための学びを実践していきます。プロヴィデンスコースでは、グレイスコースより高度なものが出てくるかもしれませんが、プロヴィデンスコースでやることをグレイスコースでは全くやらないということではありません。
大学入試制度改革にともない、賢明学院の生徒たちが身に付けていかなくてはいけない力とは何だと思われますか。
【大原先生】
「探究力」と「表現力」です。ただ、私はそういう教育をこれまでやってこなかったとは思っていないのです。カトリック教育というのは、目に見えないものを見ていこうという精神が根底にあると思うからです。様々な物事に対して、その背景、その奥にあるもの、その先にあるものを、見ていこうとする、そして伝えていくことを、既にやってきたと思っています。今回の大学入試制度改革では、それがよりクローズアップされたということだと思います。

全ては実社会で
活躍できる力のために

新教育プログラム「アイキューブプロジェクト」について教えてください。
【大原先生】
アイキューブプロジェクトというのは、ICT(Information and Communication Technology の略称)を活用した教育の総称です。 “Intelligence(知的)”、“Interest(興味・好奇心)”、“Interactive(相互)”の3つの“I”を主眼に置いて、単にタブレット端末を使った学習ということではなく、「書くICT」「表現するICT」「操作するICT」を実践していきます。「賢明って面白いな」と思ってもらえる授業をどんどん取り入れていきたいと思います。
NOLTY(旧能率手帳)の導入も、新しい取り組みですか。
【大原先生】
昨年も一部の学年で取り入れていたのですが、今年は中1から高2までが手帳を導入しました。自分で学習計画を立て、学習管理をする力を身につけさせたいと思っています。言わば、「書くICT」です。
ICTというとタブレット端末などのイメージが強いですが、手書きというアナログな活動を同時に進めるのが、おもしろいですね。一足先に取り入れている学年があったということですが、何らかの手応えが見られたのですか。
生徒たちの手帳活動、略して「帳活」は、優れた活用術を紹介する学内新聞に取り上げられることも。
生徒たちの手帳活動、略して「帳活」は、優れた活用術を紹介する学内新聞に取り上げられることも。
【大原先生】
はい。手帳を使って自分たちの振返りをしてみたときに、勉強時間が増えたとか、きちんと予習・復習するようになった生徒が多かったのです。導入前から出来ている生徒も大勢いましたが、手帳で計画をたてることで、計画の重要性を再認識し、先を見通しながら調整する力が養われたのでしょう。また、計画をたてることができていなかった生徒には大きな進歩です。まだまだこれからだとは思いますが、他のことも一つずつ出来るようになっていけば素晴らしいですね。
プロヴィデンスコースのAL授業とは何ですか。
【大原先生】
“Anticipate Learning”の略で、直訳すると「内容先行授業」です。単なる教科書の先取り学習ということで終わらぬよう、物事の先をみる思考力や判断力、物事の背景を見抜くための洞察力を早期に身に付けさせるためのプロヴィデンスコース独自のペースで進める授業です。
ペースアップによって生まれた時間をプロヴィデンスコースではどのように活用するのですか。
【大原先生】
1年間の探究の成果を発表、発信する場である「クエストカップ」のためのプログラムを取り入れて、より深く課題に取り組めるように活用します。クエストカップには、高校生が2年連続で全国大会に出場しましたが、来年は中学生にもチャレンジさせてあげたいと考えています。
クエストカップの発表における、御校ならではの特徴はありますか。
【大原先生】
まだ2回の出場なので、そこに学校の特徴と呼べるものはありません。個々の生徒たちのアイデアが強いでしょうね。本校ではクエストカップを「表現するICT」と位置付けています。生徒たちが企業からの課題に取り組む中で、実社会を意識するという点ではキャリア教育的な部分もありますね。本校から出場した生徒はこの春、宮崎大学の公募推薦入試に合格しました。やはり進路にも、つながっていくのかもしれません。

本当の意味での
グローバル教育とは

御校は「英語の賢明」ともよく言われていますが、英語教育にはどんな特徴がありますか。
留学生募集の情報や留学生からのメールが随時張り出される廊下の掲示版。中央には世界時計も。
留学生募集の情報や留学生からのメールが随時張り出される廊下の掲示版。中央には世界時計も。
【大原先生】
本校は、通常の授業の他に普段の生活の中でも英語に触れる機会が多く、中学2年生で台湾、中学3年生でスイスに語学研修に行きます。私も同行したことがありますが、生徒たちは英語でスキーを習って、英語もスキーも日々上達していきました。また長中短期留学経験者は2010年より189名にのぼりますし、海外からの学校訪問者も138名と、英語だけでなく、多文化に触れることがたくさんできる学校だと思います。
英語が話せるようになることは目的ではなく、手段の一つであって、その先への広がりを感じますね。
【大原先生】
例えば、英語が上達して、将来、海外で働くことになったとします。外国に赴任した人が、その国の人を見下すような気持ちを持つようならば、私は本当の意味でのグローバル教育は成功していないと思います。相手を受け入れ、理解し、尊重できる人間に育ってほしい。本校のグローバル教育は、そこまで目指しています。
そうなるためにも、自分を肯定することが大切なのですね。
【大原先生】
その通りです。カトリック教育は、勝ち組をつくる教育ではありません。自己を肯定し、開花させた才能を何の為に使うかというと、人の為に使えることが自分の幸せだと感じる人間に育ってほしい。そういう心の支柱を持っている人間は、海外に出ていってもリーダーシップを発揮できると思います。
大原校長先生のお話からは、2020年の大学入試改革に向けての取り組みである新コース制に対する熱い想いと同時に、カトリック教育ではそういった探究型の学びをこれまでも実践してきたという自負も感じることができました。太陽のような校長先生のもとで、自分の才能に気付いた生徒たちが、これからどんな花を咲かせてくれるかがとても楽しみになる取材でした。
報徳学園中学校・高等学校 ホームページ
賢明学院中学校 ホームページ
http://www.hs.kenmei.jp/
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