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How toじゃない職業倫理観を知ってほしい

清教学園中学校では「現場の生の声」を重視したキャリア教育を行なっている。さまざまな取り組みの中でも、職業倫理観を教えるために大きな役割を担っているのが「Navi」という冊子の存在だ。今回は、PTA協力のもと月1回のペースで作成されている「Navi」について、そして清教学園が実践するキャリア教育に関して話を伺った。
「Navi」とは? 
月に1回のペースで発行される4ページの冊子。年度末には総集編として1年間の内容をまとめたものが小冊子となり配布されている。構成作家、不動産鑑定士、調理師、弁護士、WEBデザイナーなど、多岐に渡る職業人が毎号につき1人紹介される。主に保護者や卒業生が執筆やインタビューに応じており、各自の職業人としての仕事内容や、どうしたらその職業に就けるのかなど、誌面いっぱいに職業に関する情報が集約されている。

発行から14年。今年で144号目を迎えた「Navi」

「Navi」の歴史を教えてください
森創校長
森創校長
1998年に第1号が発行され、現在まで続いています。初期は職業紹介という形ではなく、「仕事とは何か?」を教えるコラムが中心でしたが、その後各職業について詳しく取り上げる、という今の形に発展していきました。今年で14年目の取り組みになり、最新号は144号となります。
取り組みが始まったそもそものきっかけは、「PTAと学校側の意識が合致した」ことにあります。90年代後半、本校は進学実績面において徐々に結果が出始め、さらに全人教育の面でも発展を遂げるべく、大学卒業後まで含めたキャリアプランを教える必要がありました。同時期にPTA会長を務められていた方も、キャリア教育の重要性を考えておられ「学校とPTAが協力して生徒のために何かできないか?」という思いから「Navi」が誕生しました。【森校長】
14年間続けることができた理由を教えてください。
「Navi」を取り囲む制作体制が整っていることが理由だと思います。現在「Navi」の制作はPTAのNavi委員会を中心に行なっています。Navi委員会は11名の組織から成り、お子さんの卒業ごとにメンバーが替わるのですが、毎年意識の高い人たちばかりです。「前年よりも更に良いものにしたい」という向上心と、責任感を強く持って活動していただいておりますので、14年もの間続けてこられたのだと思います。 【森校長】
本校のPTAはとても活発的です。集まる機会も多く、運営委員会や本部委員会は月1回のペースで開催されています。また、PTAの事務局が学校内にあり、事務局職員も在駐しております。「Navi」の発行も100号を超えておりますので、毎回職業が重ならないよう工夫して人選を行なっているようです。PTAのみなさまのネットワークを活かし、過去には「不動産鑑定士」や「一等航空整備士」など、普段生徒たちが耳にする機会の少ない職業についても、紹介させていただきました。【増田副校長】

学校とPTAが協力し合える関係

学校とPTAの関係について教えてください
PTAの活動は多岐に渡り、「Navi」の他にクリスマスイベントやサークル活動なども行なっています。PTA役員は卒業ごとに替わっていきますが、学校側は変わらずサポートできる体制が整っているので、事務局などを通してバックアップしています。「Navi」をご覧になった方が、その情報量に驚かれて「どうして本校ではこのような冊子をつくることができるのですか?」と聞かれることがあります。それはひとえに、学校側とPTAの間で良い関係が築けているからだと考えています。PTAの方々は、生徒たちを、そして本校を支えていきたい、という熱い志を持った方々が多いのです。「清く、貧しく、美しく」がPTAのモットーなのですが、「貧しく」という表現は、華美にならず地道に子どもたちの為にできることを考えていこうという志だと解釈しています。外見のイメージではなく、ちゃんと中身を判断して本校を選んでいただけたと真摯に受け止め、これからも共に生徒を育てていきたいと考えています。【森校長】
「Naviの日」というイベントも、PTAが中心となり行なっているのですか?
増田義一高校副校長
増田義一高校副校長
事務局を通して学校もサポートさせていただきますが、基本的にイベントの仕切りも全てPTAのみなさまが中心となり行なっています。「Naviの日」は年に1回行われており、実際に職業人の方々にお越しいただくというイベントです。誌面上では伝えきれない生の声や、座談会を通し、生徒たちにより身近にさまざまな職業の素晴らしさを感じてもらう目的があります。
当日はさまざまな職業人にお集まりいただくのですが、「真面目に仕事をしないといけない」と、みなさん最終的に同じ結論を話していただけるのが印象的です。文字だけでは伝わりにくい職業倫理観を様々な職業人の体験を通し伝えられる、とても貴重な機会だと考えています。【増田副校長】
「Navi」以外で実施しているキャリア教育はありますか?
年に2回のペースで卒業生講演会を行なっています。現役の大学生と社会人の方々にお越しいただき、大学での様子や仕事内容を講演いただくという内容です。「Naviの日」と違う点は本校の卒業生であるということです。卒業生講演会では、卒業後にどのような進路を選び、今の職業に就いたのか。そして在学中は何に熱中していたのかなど、卒業生の視点から語っていただきます。 他には大学の研究室訪問や看護体験などもあり、年間を通じて定期的にキャリア教育が受けられるよう、プログラムを用意しています。【増田副校長】

学校とPTAが協力し合える関係

「Navi」を通して生徒に何を伝えたいと思いますか?
一度読んでいただければわかると思いますが、この冊子には職業現場の生の声が詰まっています。「Navi」を通して職業を知り、「Naviの日」でより理解を深め、生徒たちそれぞれが「働くこと」についてじっくり考えてもらいたいと思います。「パン屋さんになりたい」など、幼い頃は将来の夢を漠然と抱いているものですが、中高の段階ではイメージをより具現化していく必要があります。世の中には様々な仕事があるということを知ってほしいと考えています。【森校長】
大学卒業後の将来を描ける人になってほしい、と考えています。一昔前のキャリア教育は大学入学までがゴールでした。しかし、私たちが実践しているキャリア教育は、大学卒業後の将来です。「〇〇大学の〇〇学部に行く方法」などは「Navi」には書いてありません。どのような道筋を辿って、仕事に就くかという答えはひとつではないと考えています。様々な職業の生の声に触れ、職業倫理観を知り、将来の夢を抱くきっかけになればいいと思います。【増田副校長】
森野章二中学副校長
森野章二中学副校長
「Navi」の良さは、How to本ではないところだと考えています。特定の職業につくための方法ではなく、「警察官とはどのような務めであり、どんな意義を持っているのか」などの情報がたくさん詰まっています。毎号登場する職業人は違いますが、どの人も「働くことの意味」について触れてくれます。
中高の段階から、「Navi」を通して職業倫理観を少しずつ醸成してほしいと考えています。【森野副校長】

「清く、貧しく、美しく」活発に活動する清教学園PTA

清教学園はPTAの活動が非常に活発であり、年間を通して様々なイベントや発行物を企画している。生徒を支えるものや、PTA会員同士交流を深めるものまで、その活動内容は多岐にわたる。清教学園PTAが行なっている取り組みを紹介しよう。
Navi
Navi委員会が中心となり制作を行なっている。取材対象者は主に保護者や卒業生で、寄稿やインタビューという形でそれぞれの仕事内容や思いを綴ってもらい、掲載している。
Naviの日
PTAが中心となり年に1回開催している。6名の職業人に1日2回の講演を依頼、生徒たちは少なくとも2つの職種に関して講演を聴くことができる。生徒は基本的自由参加だが、前回の開催時には180名が参加し、関心を集める一大イベントとなっている。
PTA新聞「ミックスニュース」
年に3回発行されている広報誌。PTAの活動内容や、イベントレポートなど、活動報告が中心。12名の広報委員が中心となって取材を行なっている。
はーとふる軽っちゃ
年に3、4回行われる自由参加のイベント。企画は毎回変わり「ポーセラーツ体験」「クリスマススワッグ体験」「太極拳講座」などジャンルを限らず様々なイベントが企画されている。
国際交流活動
姉妹校のカーメル校の生徒、PTO(PTA)の来日時にはウェルカムランチョンなどの交流行事を企画。また、「我ら地球人」というイベントを定期的に開催している(内容:清教学園のネイティブ教師でハワイご出身のナオミクニタケ先生に『ハワイアンフードとハワイの話を楽しむ』というテーマでトークショーを開催など)
聖歌隊
高校入学式、清教フェスタ、同窓会総会、PTA総会、学園祭、クリスマスコンサートなどの行事で賛美歌を披露している。

インタビュー ナビ委員長 角谷好弘さん

「Navi」をはじめて手にした時、どのような印象を持たれましたか?
子どもが入学後、すぐに配られたNavi総集編を見た時、「実際に職業に就かれている方々が持っている情報が、わかりやすく紹介されている」と感じました。「Navi」制作を14年前にはじめた先輩方も、そのような情報を生徒に伝えたいという熱い思いがあったのだと思います。
「Navi」を制作するにあたり、苦労することを教えてください
ご自身の職業を紹介してみよう、と思われる保護者はきっと多いと思うのですが、いざ執筆をお願いすると躊躇される方も多く、説得するのに毎回苦労します。また、生徒が知りたい職業のニーズにいかに答えるのかも苦労する点です。子どもたちに知ってもらいたい情報と、子どもが知りたい情報、互いを考えながら、号ごとに被りのない職業を伝えられるよう人選を行なっています。
「Navi」を制作するにあたり、心がけていることを教えてください
「Navi」は寄稿という形をとっておりますので、筆者の原文を尊重するよう心がけています。原稿量によっては2号に渡り上下で紹介することもありますが、筆者の思いをこちらから文章の誘導がなくても毎回素晴らしい文章を頂いております。子どもたちに「自身の職業について伝えたい」という気持ちが、良い文章頂ける結果になっているのだと感じます。
「Navi」を通して生徒に何を伝えたいと思いますか?
生徒たちには「Navi」を通して「自分たちが思っている以上に職業の広がりがある」ことを知ってほしいと考えています。いくつもある選択肢の中から、職業を決めるのは大変難しいことですが、人に言われて決めるのではなく最終的には自分で解決し、決められる人間になってほしい。勉強の進め方やコース選択など、職業選択以外でも決断を迫られる場面に遭遇した時、「Navi」の取り組みが、答えを見つけ出すヒントになればいいと考えています。
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