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情報を水や空気のように扱える日を目指して…
清教学園のICT教育による学習成果

UPDATE:2015年10月19日
情報を水や空気のように扱える日を目指して…<br />清教学園のICT教育による学習成果

2015年、スーパーグローバルハイスクール(SGH)アソシエイト校に認定された清教学園中・高等学校。SGHの授業の一環である情報の時間には、ICTを活用した学習支援環境や「eポートフォリオ」というシステムを使ったグローバルで先進的な学びが行われています。「eポートフォリオ」は、学習のプロセスや学習成果物を蓄積し、自己評価・相互評価など多面的評価が可能。生徒・教員・保護者のそれぞれが閲覧・利用でき、6年間の学びをまとめて集約した作品としての役割だけでなく、それを評価し合うことで「学びのPDCAサイクル」を実現できます。ココロコミュでは、高校1年生の授業を取材し、清教学園のICT教育による学習成果を探りました。

eポートフォリオを使ったICT授業

理科の授業
理科の授業
クラス全員に、1台ずつiMacがある情報科教室。「まなBOX」(eポートフォリオ)に入ると、各グループの発表内容を、画面を見ながら報告・相談することもできる。各発表に対する評価画面も出てくる。アクティブラーニングの実践を中高レベルで行うことは難しいが、「eポートフォリオ」を使えばそれも可能になる。
理科の授業
理科の授業
このクラスのテーマは「メガソーラー」などの再生可能エネルギー。10のグループに分かれ、選択したテーマについて調査し、スライドやパワーポイント、ときには動画も用いて発表していく。将来、社会に出るとチームで働く可能性も高い生徒たちは、互いに情報をシェアしたり、課題を見つけ合ったりしながら、意見をまとめ調整し発表する力をつけていく。
理科の授業
理科の授業
各グループの発表終了と同時に、「まなBOX」に評価や意見を各自が入力。掲示板のように次々と書き込みがアップされていき、自分以外の意見もタイムリーに確認できる。また、生徒・教員・保護者が閲覧可能であるため、書き込み内容には責任が発生し、評価の重要性だけでなくSNSの正しい活用法も学べる。

Interview to Teacher

特任教諭 田邊則彦先生
特任教諭 田邊則彦先生

生徒達にとっては
「学びのポートフォリオ」
先生にとっては
「教えのポートフォリオ」

今日の授業でも使われていた「eポートフォリオ」について教えて下さい。
【田邊先生】
そもそもポートフォリオというのは、建築家、画家、彫刻家などが、自分の作品・作風をクライアントに見せて、自分の作品作りを理解していただくための資料のことです。そして「eポートフォリオ」というのは、それをデジタルで表現したものです。デジタルで表現するということはデータベースを活用するということなので、自分がしまっておいたものを検索でいつでも探すことができる。それから、友達が頑張った成果、あるいは卒業した先輩達の残していった成果も参考にすることが出来ます。そういう仕組みですね。
その仕組みを、清教学園ではどのように活用されているのですか。
【田邊先生】
清教学園で今採用している「eポートフォリオ」は生徒達にとっては「学びのポートフォリオ」なんです。つまり、自分がどういうプロセスを経て学んできたか、どういう成果物を作り上げたか。そして、その中でどういう力をつけたかを確認するための道具ですね。一方、先生にとっては「教えのポートフォリオ」で、自分が授業で生徒に与えた学習課題、そこでつけさせた力などをまとめて、この単元でつけた力やその時に工夫したことを残していく。そして、授業改善につなげていくのです。ビジネスでいうところの「PDCAサイクル」を学びと教えの双方中で回していく形にして「eポートフォリオ」を活用しています。
「eポートフォリオ」は、大学で実践されているシステムだそうですが、中学校や高校で取り入れる上で注意されていることはありますか。
【田邊先生】
大学生は自分でゴールを設定して、適切な手順を踏むという“考える力”が備わっているといった前提がありますが、中等教育、初等教育ではそういう前提には立てません。その意味ではいま本校で取り組んでいる「eポートフォリオ」は、先生、友達、あるいは保護者と一緒に歩んでいくことを支えるためのシステムと考えてほしいですね。ただし、あくまでも目標は、自分で学んでいける生徒になってもらうことです。最初は先生や親がゴール設定しても、そのうちに自分でゴール設定をできるようになってほしいんです。設定したゴールが自分の実力よりも高いゴールだったら、苦労する中でゴール設定をどうすべきだったのかを学びますし、逆に実力よりも低くゴールを設定したとすると、物足りなさに気がつくでしょう。そういったことを、生徒自身が学び方を学ぶという形で、習得していってくれることを願っています。
「eポートフォリオ」は、学校だけでなく、各家庭とも連動しているんですよね。
【田邊先生】
学校と生徒と保護者の間のコミュニティを形成するという機能があります。学校で使っている内容が家庭からも見られるようになっていて、家で保護者がアクセスすれば、学校で子供がどんな勉強をしているのか、どんなコメントを先生や友達からもらっているのかをいつでも確認できるのです。学校と家庭とが一緒に子供を支えていこうというシステムでもあるのです。
「eポートフォリオ」には多様な評価が可能という利点もありますが、評価というものはとても難しいと思うのですが。
画面
【田邊先生】
そうですね。何のために評価しているのかがぼやけてしまうと、評価のための評価になってしまって、評価に振り回されてしまいます。ここでつけたい力がどういうものなのかを教員がしっかり踏まえ、こういう学習成果が出たということは、こういう力がついたんだと生徒自身にも分かるような形で示そうというのが「eポートフォリオ」の評価における狙いです。 別の言い方をすれば、評価の可視化です。あなたはなぜA評価なのか、どうすればA評価になれるのか、現状ではどういう点が優れているのか、どういう点を伸ばせばもっと良くなるのか、というのを具体的に示す試みです。また、どこを改善したらいいかとか、自分の何が高く評価されているのかが分かれば、もっと頑張ろうとか、今度やるときは前回の失敗を繰り返さないようにしようという振り返りができますよね。それを自然にできるようにしたいと僕は思っています。
このシステムは、今後の大学入試改革への対応でも役立つのではないでしょうか。
【田邊先生】
そう思います。主体的な学びをして、中等教育の間にこんな力をつけてきたのだということを「eポートフォリオ」の中にきちんとまとめていって、それを大学に示せるような時代が来るのではないかと思っています。大学入試が知識や理解ばかりを見ているかというと、決してそうではなく、素晴らしい問題も沢山あります。さらに、一人ひとりが違った学びをしてきた足跡を見てもらいたいとも思うんです。同じキャラクターを中高で作り上げて、大学にバトンを渡すのではなく、「この子はこんないいところを持っている」「この子はこんな素晴らしいところがあるんだ」ということをちゃんと見せられる道具として「eポートフォリオ」を使ってもらいたいのです。
田邊先生は2013年から清教学園の特任教諭に就任されたそうですが、貴校のICT教育に手応えはありますか。
【田邊先生】
コンピューターの時間がコンピューターの操作を覚える時間と誤解されていた時代は終わったなと思いますね。コンピューターが表現やコミュニケーションのための道具として使われ始めた実感があります。こういうことを調べてみよう、結果をまとめてみよう、自分の得た情報をみんなと共有してみよう、そしてディスカッションをして疑問点を明らかにし、それを解決するにはどんな資料を集めたらいいか考えてみよう。そういう流れを本校の生徒達は自然に受け入れてくれているのではないかと思っています。
今後、「eポートフォリオ」をどのように発展させていきたいとお考えですか。
【田邊先生】
「eポートフォリオ」が本当の価値を発揮するには、いつでもネットワークにアクセスして、使える環境が必要です。だから、生徒達に1人1台の情報端末を持たせて、必要な時にいつでもネットワークに繋いで学びを蓄積する、あるいは友達の評価を確認する、あるいは先生からの指摘を元に自分の学びをもっとブラッシュアップしていけるようにするというのが夢ですね。去年の夏、全ての教室で無線LANを使えるようにしてもらいました。そういう意味では少しずつ実現していっています。
そんなICT教育を行っている清教学園に興味を持つ保護者へメッセージをお願いします。
【田邊先生】
中等教育の段階からネットワークを活用して、情報を水や空気と同じ様に自然に扱えるようになっていれば、将来いろいろな場面で応用できると思います。水を飲む時や空気を吸う時に、「あれをやっちゃいけない」「これをやっちゃいけない」とは言わないですよね。同様に、清教学園でも、情報を自由に使える環境を提供して、生徒たちには思い切った学びを主体的に・積極的に進めてもらいたいなと考えています。もちろん、子供達のセキュリティを確保するという学校の役割を果たしつつです。
「eポートフォリオ」を活用した授業では、1人に1台Macがある環境を十分に生かし、近年各所でその重要性が問われるアクティブラーニングを実践した授業を見ることができました。多くの学校がさまざまな形でICT教育に取り組んでいますが、清教学園は半歩先を行っている授業になっており、今後どのように発展していくのか、生徒たちにどのような成果が表れるのか楽しみです。
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