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卒業生インタビュー / 翻訳家 鹿田昌美さん

UPDATE:2016年03月29日

夢中で仕事をやってきて振り返ったときに、私の原点はプール学院での学びにあったと気づきました。― プール学院卒業生 翻訳家 鹿田昌美さん ―

1879年に創立し、137年の歴史を有するプール学院中学校・高等学校からは、これまでに多くの卒業生が巣立ってきました。今回紹介する翻訳家の鹿田昌美さんもその一人。これまで60冊近くの翻訳本を出版されていますが、その活動の基盤には同校で受けたキリスト教教育、英語教育が多大に影響しているそうです。今回は、卒業生である鹿田さんにとってのプール学院、翻訳家という職業に対する思いをうかがいながら、同校の教育の魅力を探ります。
SCCプログラムとは SONODA CHRISTCHURCH CAMPUS
翻訳家。「ゴシップガール」シリーズ、ベストセラー「フランスの子どもは夜泣きをしない」など、小説、ノンフィクション、実用書、児童書と幅広いジャンルを手がけ、訳書は50冊を超える。プール学院中学校・高等学校、ICU国際基督教大学卒業。
Lady Lesson
フランスの子どもは夜泣きをしない
ソウル・サーファー
1.『レディ・レッスン~ポジティブガールの教科書~』
ケリー・ウィリアムズ・ブラウン/大和書房
2.『フランスの子どもは夜泣きをしない パリ発「子育て」の秘密』
パメラ・ドラッカーマン/集英社
3.『ソウル・サーファー サメに片腕を奪われた13歳』
ベサニー ハミルトン/ヴィレッジブックス

本当の気持ちを話すことができるプール学院時代の友達

ココロコミュ
中学・高校と6年間過ごされたプール学院時代を振り返ると、気づくことはありますか。
鹿田さん
プール学院の6年間は、すごく守られていたと思います。勉強はもちろん、勉強以外のこともたくさん教えてもらえた時間だったと、社会の荒波にもまれて改めて振り返ったときに気がつきました。プール学院は戦前からあり、大阪では女子教育の先駆け的な学校です。その中で学校の理念や規律、マナーといったものに触れながら生活することで、背筋が伸びていたところもあったと感じます。
ココロコミュ
具体的な思い出となると何が浮かびますか。
鹿田さん
合唱コンクールですね。行事に向けるみんなの情熱がまぶしかったです。時間をかけて一生懸命練習して、泣いたり怒ったりするのが、あの頃は当たり前でしたが、社会に出るとなかなかできない経験です。女子だけの学校だからこそ、純粋な気持ちで一緒にやれて、生き生きとしていた部分もあったと思います。
ココロコミュ
女子校の良さですね。中高のお友達とは長く付き合われているのですか。
鹿田さん
はい、今も仲が良いです。「不幸を一緒に悲しんでくれるのが真の友」とよく言われますが、私は「幸せを一緒に喜んでくれるのが真の友」だと思っています。プール学院時代の友達とは、本音で話せて、純粋な気持ちで付き合うことができます。
礼拝の思い出がよみがえる清心館。
当時は何気なく聞いていた毎日の祈りやメッセージは、中高時代に与えられた幸せだったと今ならわかります。

プール学院時代に身につけたことが、仕事に役立っています

ココロコミュ
鹿田さんは現在翻訳家としてご活躍ですが、その活動の基盤にプール学院での学びがあると思われているそうですね。
鹿田さん
私がやっている翻訳業は、英米の書籍を日本で紹介するという仕事ですが、英米文学を語る上で欠かせない要素が3つあるんです。それは、マザーグースと聖書とシェイクスピア。マザーグースはイギリスのわらべ歌です。中1の英語の先生に英語の楽しさと共にたくさんの歌を教えていただきましたが、このマザーグースが新聞記事などで慣用句のように使われることがあるんです。小説には聖書からの引用も多いですが、聖書の言葉を知らないと全くわかりません。これはマザーグース、これは聖書に由来している、とピンとこないと、誤訳になってしまうんです。それらを一から勉強するのではなく、プール学院時代に自然に身につけたことが、今の仕事にとても役立っています。
ココロコミュ
それは翻訳家になったから気づいたのですか。鹿田さんが翻訳家を目指されたきっかけは?
鹿田さん
この仕事に巡り合え、夢中でやってきて振り返ったときに、私の原点はプール学院での学びにあったと気づきました。20代は違う仕事をしていて、まさか自分が翻訳本を出す仕事をするとは思っていなかったんです。社会に出て仕事をしてもしっくりこなくて、自分に何が向いているのかを模索していたのですが、翻訳だけは人に褒められたんですね。それで試行錯誤して20代後半になってから翻訳者の仕事を目指しました。
ココロコミュ
学生時代から英語は得意だったのですか。
鹿田さん
プール学院に入って英語が好きになりました。マザーグースを教えてくださった先生との出会いが大きかったですね。英語に親しんで6年間を過ごし、大学はICU国際基督教大学で語学科コミュニケーション学を専攻しました。アメリカへ1年間の交換留学に行き、メディアと女性、メディアと子どもの関係について勉強しました。これもまた今の仕事や興味の対象とつながっているのですが、当時は意識していませんでしたね。
校舎の建て替えにより、鹿田さんが在学中の名残りは、清心館の階段の手すりのみ。しかし、学校の雰囲気には懐かしさを感じるそうです。

社会人として一番大事なことは、約束を守ること

ココロコミュ
翻訳のお仕事を選んで良かったと思われますか。
鹿田さん
当時は、手堅い仕事を選ぶか、イバラの道だけど翻訳の道を選ぶかで迷ったんです。なぜ翻訳がイバラの道かというと、本を出せる人は一握りで、仕事が来るまで収入が見込めないからです。でも、私がそこを目指したのは、高1の英語の先生が教えてくれた英語のことわざ「チャンスの前髪をつかみなさい」を覚えていて、これだ!と思えたからです。初めて本を出してから16年ほど経ち、家庭を持った今も相変わらずフリーランスで翻訳を続けていますが、不思議なことに仕事が途切れたことはありません。その意味では、選んで良かったし、合っているのだと思います。
ココロコミュ
仕事をされるうえで大切にされていることはありますか。
鹿田さん
社会人として一番大事なことは、約束を守ることだと思っています。私の仕事なら締切を守ることですね。フリーランスは、締切をひとつ落とすと次の仕事がこなくなりますから、寝食を後回しにしてでも必ず締切を守っています。そんな中でも、翻訳すること、英語を読むことが大好きだから頑張れるし、得意な分野だから自信を持ってしがみつけるのだと思います。
LRCの入り口近くでは、鹿田さんの翻訳本が並んだコーナーがあります。女性や子供に関連した作品も多く、後輩たちにも読まれています。

自分の土俵の中で、自分が吸収したい何かを一生懸命探す

ココロコミュ
最近は、英語を使う仕事にあこがれる人も多いと思いますが、必要なことはあるのでしょうか。
鹿田さん
もし英語で仕事をしたいなら専門分野を持つことですね。医療、科学、文学、動物など、どんな分野でもよいので、専門知識を持つことで、そのジャンルの仕事に英語でアプローチすることができます。英語は道具であり、言葉のコミュニケーションの手段だと考えてほしいですね。
ココロコミュ
英語が得意というだけでは、仕事ができないわけですね。
鹿田さん
どんな英語の専門の方でもおっしゃることですが、英語だけでなく、母語(日本語)と自分の国の文化を大事にすることが必要です。私は、本を読むことをおすすめします。言葉も学べるし、知らない世界を知ることもできて、人としての引き出しが増えます。自分が育つ環境を大事にして、まずは自分の土俵の中で、自分の吸収したい何かを一生懸命探すことが大切だと思います。
ココロコミュ
お話をうかがっていると、やはりプール学院時代が鹿田さんの基盤を作ったことが伝わってきます。
鹿田さん
大学に進学し、社会に出てから初めて、プール学院にすごく守られていたということ、いろんなことを学ばせてもらったことに気づきました。私はプール学院での学びがすべて今につながっているように感じますし、どんな人でも何かしらつながりはあると思います。だからこそ、在学中に得意なことをしっかりと温めて、大人になってから、その糧を頑張るエネルギーに変えてほしいです。翻訳だけでなく、他の仕事でも必ずそうできると思います。
恩師の山村茂樹先生と一緒に。卒業後もお世話になった先生が在籍されていることで学校に行きやすいのは、私学であるプール学院の魅力のひとつです。
中高時代の学びが鹿田さんのようにここまで直結している人は珍しいかもしれませんが、教科に対する柔軟な取り組み、宗教教育の影響など、プール学院の教育が卒業生に大きく影響していることが確信できる取材となりました。道を選ぶとき、悩んだときにプール学院時代を思い出して考える…そんな鹿田さんのような卒業生がいることが、プール学院の魅力だと思います。
<a href=http://cocorocom.com/labo/school/86.php>プール学院中学校</a>
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