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【豊島岡女子学園中学・高等学校】
生徒が祝う 生徒が魅せる 創立130周年

130周年 豊島岡女子学園 校長インタビュー
校長 竹鼻 志乃先生
順風満帆ではない歴史
今後も工夫を続けていく
130周年を迎えた豊島岡女子学園の現校長としての思いをお聞かせください。
竹鼻先生
私は授業で学校史を教えています。式典の祝辞で、中学の生徒会長が「苦労の連続だった」という話を持ち出してくれましたが、これまで伝えてきたことを覚えていてくれたと嬉しく思いました。
本校は決して順風満帆な歴史を歩んできたわけではなく、各時代のニーズに応える苦労があり、非常に工夫を重ねてここまでやってきた学校です。これからも積極的に工夫をしていかなければいけないと改めて感じています。
現在の貴校を見て”苦労“というイメージはあまり湧きませんが、学校史の授業ではどのようなお話をされるのですか。
竹鼻先生
本校は高名な方が開校したわけではなく、譲り受けた学校を守っていくために河村ツネ先生とその娘の女性3人が大きくしてきた学校です。生徒数の増加にともない土地がないため何度も移転して、最終的には戦争で校舎も焼け落ち、他校の教室を借りるといった経験もしています。
第4代校長の二木謙三先生が苦心されたから立ち消えることなく今も続いていると思いますし、第5代校長の二木友吉先生が工夫なさったので、これだけ多くの生徒が集まる大きな学校になったと話しています。
学校は
授業を行うだけの場所ではない
コロナ禍を経たことで、校内の伝承にも変化があるのでしょうか。
竹鼻先生
残念ながらコロナによってずいぶん変わってしまいました。以前は普通教室や特別教室のほかにトイレ掃除も生徒がやっていましたが、今はお願いできなくなりました。「創立130周年記念演奏会」では予定していた校歌の全体合唱ができませんでしたが、この3年間は学校の式典や行事で校歌を一切歌っていませんから校歌が歌えない生徒もいます。
コロナによる変化が起こる中で、守られたことやこだわられたことはありましたか。
竹鼻先生
対面での学びにこだわり、昨年(2021年度)もオンライン授業は一切行いませんでした。校内でもオンライン化は進んでいますから、授業だけなら可能ですが、学校は授業を行うだけの場所ではありません。人が集まり、いろいろな苦労や喜びを皆で共有する体験の方が大切だと思いますから、行事の準備のためにもクラブ活動のためにも生徒を学校に来させたいと考え、予防に努めて対面授業を続けました。
それこそ学校の姿勢の表れですね。
竹鼻先生
オンラインの授業を行うことはできますが、やったからといって生徒に学力が定着するかは別問題です。コロナ禍1年目(2020年)の4月から6月まではオンライン授業を行いましたが、その結果に良さを見出せず、やはり対面に勝るものはないというのが私たちの実感でしたから、対面授業にこだわっています。
現状では、対面授業や皆で喜びを共有し合う教育には、先生方のご苦労もあるかと思いますが。
竹鼻先生
本校の教員は生徒の笑顔のために、生徒の成長のためにといった気持ちで一つにまとまっています。生徒が喜ぶなら、生徒のためになるなら、という思いが先生たちの原動力です。
また、在校中だけ良ければいいと望んでいるわけではなく、社会に出てから活躍できる人を育てたいと思っています。ですから、「大変だろうから、今はやめておく」のではなく、「やるべき時期にやるべきことをやらせないといけない」と考えています。
その考えも学校として受け継がれてきたことですか。
竹鼻先生
あえて方針として打ち出しているわけではないですが、今、卒業生が探究活動にティーチングアシスタント(TA)として協力してくれ、土曜の午後にもTGサポーターとして在校生の学習アドバイスや相談のために来校してくれます。中学生のキャリア教育ではインタビューも受けてくれます。
その卒業生から「卒業後の今、豊島岡での教育が生きている」といった話を聞くと、自分たちのやり方を続けてきて良かったと思います。在学中は多くのいろいろなことをやらされて大変だったと思いますが、卒後後に「良かった」「生きている」と思ってくれればそれで良いのです。
機会が多いことで
生徒の活躍の場が生まれる
貴校を取材させていただくと、在校中は1年を通して次々と取り組みがあり、日々の勉強と並行して本当に忙しい毎日を送りながら、時間管理や行動力など将来に生きる力を身につけていくと感じます。
竹鼻先生
多くの行事を行うのは、いろいろな機会があることで、それぞれの生徒が活躍できる場が生まれるからです。どれだけ積極的な生徒でも、すべてを取り仕切る生徒はいません。学年を追うごとに、徐々に自分の得意な分野で力を発揮することを学び、そこで活躍していきます。
また、機会の中で先輩に触れて、憧れの先輩を見つけることも大切です。先輩と後輩で関わると、気配りができるようになり、特に先輩は自身の経験から後輩の悩みや不安に気づけ、優しくなれます。
本校では運動会の応援委員などいろいろな機会に上下の関係を作っていきますが、厳しい上下関係ではなく、後輩への優しい指導と先輩への憧れの関係によって生徒たちは成長します。
そういった多くの機会の中で生徒が成長するという世間のイメージは、今の貴校には薄いような気がします。
竹鼻先生
世間的には医学部に行く生徒が多い進学校というイメージのようです。実際に実積が物語っていますが、学校としては説明会で進学実績について一切お話ししていません。生徒が希望する進路を叶えられるような学力をつけさせることは学校の使命です。そこで医学部に行きたい生徒がいれば医学部に行ける学力をつけさせるのは当たり前なのです。
昔は進学実績についてお伝えしていました。大学進学実績を事細かに説明することを最初にやった学校だったそうです。当時は運動会も文化祭も全部教員主導で、生徒に活躍する場はありませんでした。それを15年ほど前に、まずは生徒会を生徒主体でやらせる先生が現れ、その方がいいと思う先生たちがいて、学校が変わっていったのです。今では、生徒が楽しめる学校であることをお伝えする方針に変えました。
中学から学ぶと
愛校心がより育つ
130周年となると、いろいろな面で変化や苦労がありますね。
竹鼻先生
学校の校風も変わってきました。中学入学生が増え、中学から高校へ上がる生徒が多くなると、学校自体がにぎやかになり、活気づきます。中学から学んでいくと愛校心もより育ち、先生たちも「生徒をもっと楽しませたい」という気持ちになります。
中高一貫校となり、130周年を迎えた今後が楽しみです。
竹鼻先生
130周年は完全中高一貫校になったうえでの新しいスタートです。6カ年でどれだけ成長させるか。そのためのプログラムの確立を急がなくてはと思っています。
これから6カ年でどういった生徒を育てたいですか。
竹鼻先生
新たなスタートではありますが、育てたい生徒像は昔から変わらないと思います。教育方針「道義実践」「勤勉努力」「一能専念」を実現できる人がいいですね。この3つの方針は在校中だけのものではない非常に良いものだと思っています。一能に専念できる力があれば他にも適応できます。コツコツと真面目に努力することに勝るものはなく、そういう準備ができている人にしかチャンスは巡ってこないでしょう。
この学校で学び、卒業したあとの人物像は?
竹鼻先生
幸せな人生を送ってもらえればよく、自分の世界でやりがいを感じながら自分らしく活躍してほしいです。そこで「豊島岡で鍛えられたから大丈夫」と思ってもらえるような教育をしたいですね。
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