ココロコミュ

【本郷中学校・高等学校】
先輩後輩の1stステージ “合同授業”

誰かのための勉強ができる人へ 1stステージ “合同授業” 本郷中学校・高等学校
2022年に創立100周年を迎えた本郷中学校・高等学校では、「文武両道」「自学自習」「生活習慣の確立」を教育方針に、生徒同士が切磋琢磨しながら人としてたくましく育っていくための個性あふれるプログラムが実践されています。確かな学力だけでなく、本郷での中高6年間でしか育てられない“人”を作る学校。その1stステージとなるプログラム「合同授業」を取材しました。
本郷の「合同授業」とは?
先輩の中学2年生が後輩の中学1年生に向けて、主に数学の定期考査対策や勉強法を教えながら、相談・質問を受けアドバイスをする特別授業。2011年からスタートした。年に3~4回実施され、1年間同じ先輩後輩でペアを組んで本郷の学習ノウハウを先輩から後輩へとつなぐ。
第1回目の5月は初めての定期考査や本数検<*1>対策として、前年度の中1の1学期中間考査(数量・図形)の問題と、中1の2学期第1回本数検の問題を素材にして行われた。

<*1>本数検…本郷独自の数学検定試験である本郷数学基礎学力検定試験の略称。長期休暇明けに年3回行われる。生徒は得点によって「級・段」が認定され、先輩後輩に関係なくチャレンジできることから、「自学自習」を実践する大切な機会となっている。

合同授業REPORT
先輩から後輩へ学びをつなぎ
後輩から先輩へ憧れをつなぐ合同授業

本郷中 合同授業

先輩と後輩の1stステージ
合同授業スタート!

5月に行われた今年度初めての「合同授業」。先に決められた座席表通りに着席すると、隣の席には見知らぬ先輩か後輩がいて、生徒間には少し緊張が見えた。
昨年の定期考査問題が配布され、「自己紹介をしたら、自分たちのペースで適宜進めてください」と先生がひと声。それを合図に授業がスタートすると、先ほどまで静かだった教室内の空気が変わり、生徒たちがそれぞれ交流を始めた。

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本郷中 合同授業

交流で生まれる
先輩後輩の信頼と尊敬

まずは中間テストの過去問に挑戦する中1生と、その様子をそっと見守る中2生が多い。中1生からはあまり声は聞こえてこないが、中2生は「こう教えよう」と準備してきたのか、最初から問題を一緒に解いたり、教科書を見せて解説したりと、戸惑いが少なく先輩力を発揮しているように感じられる。中1生への接し方も優しく、おとなしそうな中1生も先輩とどんどん距離を縮めていった。

本郷中 合同授業

緊張が談笑へ
同じ先輩と後輩で1年間を過ごす

時間が経つにつれて、中1生から質問をしたり、先輩からアドバイスを聞いてポイントを書き留めたりと、コミュニケーションが深くなっていく。テスト前の勉強時間、テストで気をつけること、数学以外の教科の勉強のコツ、部活のこと、知っている先輩の話。豊富に話題が飛び交い、全体に笑顔が増えてきた頃、第1回「合同授業」は終わりを迎えた。
これが1年に1回きりなら“貴重な体験”。しかし本郷では、同じ先輩と後輩で、1年を通して数回の「合同授業」が行われる。1年間の活動の終わりや彼らが高校生になったときに、どのような関係性が育っているのか、この授業からどのような効果が生まれているのか見てみたい。

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STUDENTS VOICE
本郷中2年生 合同授業コメント

中1に恥ずかしいアドバイスはしたくない!
自分の勉強法も反省できる合同授業

中学2年生 5組級長
1年生は受験直後ということもあり、いろんなことがわかっている状態でとても教えやすかったです。質問されたテスト対策の勉強法についてもうまく答えられました。事前に考えていた「数学はやっておけば解けるので、問題集をちゃんと解くといい」ということを言ってあげました。
中2として「合同授業」に参加したことで、僕自身の勉強法も反省しました。いつもテストを短記憶で乗り超えようとしていたのですが、そんな勉強法を中1にアドバイスするのは恥ずかしいので、ちゃんと勉強をして良い成績を取りたいと思います。
本郷の先輩と後輩は、気遣わなくても気軽に喋れる関係です。僕はバレーボール部で、先輩と多く話すわけではありませんが、関係は良好です(笑)。勉強面でも先輩が頑張っているのを見ると、先輩が頑張っていたから自分も頑張ろうという気持ちになれます。本郷は、みんな礼儀が正しくて、授業も聞きやすいです。勉強するときは勉強するけど、遊ぶときは遊ぶ。めりはりがちゃんとつけられる人が多いと思います。

上級生冥利に尽きる時間

中学2年生
私が合同授業を受けたことは一度しかなかったが、新鮮に映った記憶がある。そのため、今回1年生の手引をするにあたり、「授業や塾とは違う新鮮さ」を意識して問題を解説してみた。私の手引が上手く行ったのかは正直わからないが、1年生にとって新鮮な理解を与えられたのなら、私の手引が成功したと思っている。行き当たりばったりになってしまった所もあるが、1年生が図形に興味を持ち、数学の問題を解く楽しさを覚えてくれたなら上級生冥利に尽きる。

1年生の質問が鋭い!

中学2年生
1年生の質問がとても鋭かった。部活との両立や苦手なところの克服など、自分が1年生の頃にぶち当たっていたところを質問されたので、少し戸惑ったが、しっかりとした答えは返すことができたかなと思う。

人に教えることは難しい

中学2年生
人に自分の学んだことを教えることは簡単ではないということを知れました。今度、合同授業をするときには、もっと1年生の立場になって、親身に教えられるようになりたいと思いました。

STUDENTS VOICE
中学1年生 合同授業コメント

優しいし質問しやすい先輩
本郷は人と人の関わりを大事にしてくれる

中学1年生 5組級長
僕は定期考査の勉強方法がよくわかっていなかったので、「合同授業」でこれを聞こうと決めてきました。先輩は、「日々の復習はしっかりして、定期考査前にはテスト範囲をもう1回復習する。それを繰り返していくといいですよ!」と丁寧に教えてくれました。先輩に言われたことを定期考査でも本数検でも毎回きちんと頑張って、安定した成績をキープできるといいなと思います。
部活でも、僕はサッカー部のキーパーなので、ボールのキャッチの仕方を先輩がわかりやすく教えてくれました。本郷は先輩が優しくてなんでも質問しやすいし、すぐ教えてくれます。
人と人との関わりを大事にしてくれるいい学校だなと思っています。

細かく親切に教えてくれた先輩

中学1年生
今日の合同授業では、中2の先輩が間違った計算式やケアレスミスなどを「おしい!」などと言いながら細かく親切に教えてくれました。次からは計算ミスなどに気をつけようと思えたので良かったです。

来年の教え方の参考にしたい

中学1年生
中2の先輩に実際に教わることができて良かったです。先輩はわかりやすく教えてくれました。来年は自分たちが教える番なので参考にしたいと思いました。

教えてもらったことをこれから活用!

中学1年生
先輩の説明がわかりやすく、また教科書には載っていないようなとても斬新なやり方で数学の問題を教えてくれたので、しっかり理解できました。自分の他の質問に対しても具体的に、たくさん教えてくれたので、これからの定期テストで活用していきたいなと思います。中2の先輩、ありがとうございました!!

TEACHER INTERVIEW
本郷中学校・高等学校 入試広報部長 数学科
野村 竜太先生

先輩の頑張りを見て自分も頑張る
相乗効果の最初の種まき「合同授業」

先輩後輩のつながりのきっかけ作り
中2が中1に定期考査を説明

― 中1・中2の「合同授業」の趣旨を教えてください。

野村先生:
本校には、生徒が6年間部活を続け、部活の先輩・後輩のつながりが強いという文化があり、そのつながりを勉強面でも持てないかと考えたのが「合同授業」のスタートラインです。いろいろな教科での取り組み方を考えましたが、最終的には数学科の授業内で中2が中1に勉強を教え、先輩後輩のつながりのきっかけ作りをすることになりました。 
中1生に「定期考査とは何なのか」を教えるのが大きなテーマで、中2生が中1で解いた定期考査の過去問を一例として見せつつ、定期考査についての説明や勉強法のアドバイスをします。そこでの重要なポイントは、将来的に“勉強”というキーワードで、後輩が先輩を見られるかどうかです。

― “勉強”というキーワードで、後輩と先輩がつながるきっかけですね。

野村先生:
そうです。私たちも、「合同授業」の翌日から先輩の教室に質問に行く中1生が現れるとは期待していません。ただ、瞬間的ではなく、ゆっくりと効いて、数年後に高校生になって具体的な進路が見えてきた時に、同じような大学を目指した先輩を意識してほしいのです。「やっぱり先輩はこれだけ勉強しているんだ」「先輩はこんなふうに努力したんだ」と、先輩の頑張りを見て自分も頑張ってもらいたい。その最初の種をまいているのが「合同授業」で、6年間の最後には実を結ぶ実感を持っています。

人とのつながりを感じることで
“人のための勉強”に意識を変える

― 1学年しか違わない中2生が、中1生に教えるメリットは何でしょうか。

野村先生:
本校では、中学入試は「〇〇中学に行きたい」と自分のための勉強だったけれど、本郷で6年間学んで迎える大学入試は、自分のためだけではなく人のための勉強であると意識付けをしていきます。つまり“自分のための勉強”から“人のための勉強”に意識を変えてほしいのです。そのためには人に関心を持つこと、人とのつながりを感じることが必要です。
その最初の段階として、中2生が自分の勉強時間である授業1回分を削って、中1生に定期考査について説明して相談にのる「合同授業」は、自分のためではなく人の役に立っているという気持ちが芽生えてきます。本郷での6年間では、自分がよければいい、自分のスキルだけ上げればいいではなくて、人とのつながりや人のために自分の時間を費やしてまで何ができるかを考えて勉強するようになってほしいのです。

― 確かに、人の役に立てる人になろうとは言いますが、学校生活で人の役に立つ機会は少ないかもしれません。

野村先生:
もちろんボランティア活動など人の役に立つ方法はいろいろあると思いますが、生徒を6年間預かる中で、先輩後輩、仲間同士が高め合う場をどれくらい用意できるのかは、本郷の大学入試に向けてのテーマです。本郷で6年間をどう過ごすかより、6年後にどうなって卒業していくのかが一番大切だと思っています。

学校生活での苦手な経験は
社会に出た時の大きな強みに

― 「合同授業」での生徒たちのやりとりで、印象的なものはありますか。

野村先生:
卒業生のケースでは、中1の後輩がとてもよくできて、中2が中1のすごさを知ることもあるようです。さらに自分が中2になったときには「中1の時にもらったアドバイスに自分の考えをプラスして伝える」といったケースもあります。アドバイスの財産がどんどん足されていくのです。
また「合同授業」では中1の数学の定期考査の過去問を見せていますが、中には「先輩、他の教科の過去問もください」とお願いする生徒もいます。先輩が快諾すると、そのやりとりを聞いていた他の中1生が「先輩、僕もください!」とお願いする(笑)。それを問題ではないかと聞かれることもありますが、本郷的にそれは“あり”なのです。教員も過去問が通用しないように新しく問題を作りますし、生徒が欲して自ら情報を手に入れるために動くことは素晴らしいと思っています。それも本郷の学びの伝承です。

― 10年以上続けられてくると、意外な成果や発見の繰り返しですか。

野村先生:
当初は中1のためにと思ってやり始めたのですが、5、6年経つと中2にも効果がある、成長があると思うようになりました。中高一貫の6年間では中だるみが起こると言われがちですが、「合同授業」があることで、何となく学年が上がっていくのではなく、「先輩になったんだ」と自覚する良さがあります。「合同授業」でも自分だけ点数を取る、自分の偏差値を上げることだけがすべてではないということを、言葉以上に彼らが体感してくれています。

入試問題の解答・解説も生徒会が作成。生徒目線での丁寧な解説やポイントはわかりやすい。これも先輩から後輩への本郷の伝統。

本郷の面倒見の良さは
先輩が後輩を見る面倒見の良さ

― 本郷は進学校として学業最優先の学校と思いがちですが、先輩後輩といった人と人のつながりによって成長させていく教育の強みをどのようにお考えですか。

野村先生:
中学受験の説明会でよく使われる“面倒見の良さ”という言葉がありますが、本郷の面倒見の良さは僕ら教員にあるのではなく、先輩が後輩の面倒を見る面倒見の良さであり、他校とは違う面倒見の良さなのです。本郷には歴史的に人と人とのつながりを持つ文化があり、先輩後輩や仲間とのつながりによる面倒見の良さが本校の強みです。

― その意味でも「合同授業」は今後も続くと思いますが、進化や挑戦の予定はありますか。

野村先生:
去年は「合同授業」の先輩後輩のペアが本数検でどれくらいの点数を取ったのかを競い合うチーム戦に挑戦してみました。中2の先輩がどんなアドバイスをしたことで、中1の後輩の成績がいかに上がったのかも見せました。「合同授業」はクラスによっても雰囲気が違いますから、毎回教員も緊張しますが、今後も本郷らしい取り組みとして続けていきたいです。

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