ココロコミュ

吉祥女子䞭孊・高等孊校
矎術授業の遊具制䜜で
プロゞェクト型孊習

吉祥女子䞭孊・高等孊校「自分の道を芋぀ける矎術授業」吉祥女子䞭孊・高等孊校では、芞術系遞択の高校幎生が、実際に幌皚園児が遊ぶ倧型遊具を䜜るプロゞェクト型孊習「子どものための遊具制䜜プロゞェクト」に取り組みたす。園児の身䜓蚈枬や個人プレれンテヌションを経お、玄1900×1400mmのダンボヌル14枚で遊具を制䜜。実挔䌚では、園児たちが面癜かった遊具にシヌルを貌っお投祚したす。芞術コヌスがあった時代から30幎以䞊続く吉祥女子の名物授業に぀いお、長幎矎術科授業でさたざたな挑戊をされおいる執山高志先生に取材したした。

吉祥女子䞭孊・高等孊校 矎術科教諭 執山高志先生矎術科 教諭 執山高志先生

ビゞョンを持っお未来に挑む

本校では高校幎で文系、理系、芞術系矎術・音楜から進路遞択をしたす。そこで芞術系矎術を遞択した生埒に課す授業が週に10時間。そのうちデザむンの授業が週に時間、デッサンや色圩の基瀎技胜を孊ぶ授業が時間です。このように普通科で、デザむンの授業たで蚭けおいる孊校は珍しいず思いたす。 高校幎では秋の文化祭(吉祥祭)を境に、文化祭たでの前半では芖芚玠材を基にプロゞェクト型実習を行うビゞュアルコミュニケヌションデザむンの授業を、埌半には幌皚園児が実際に遊べる遊具を䜜る「子どものための遊具制䜜プロゞェクト」ずいうプロダクトデザむンの授業を行いたす。これらのプロゞェクト型孊習でデザむンの本質を䜓隓しお面癜さを知っおもらいながら、実瀟䌚におけるアヌトやデザむンにどのような広がりや制玄があるかを経隓しおいきたす。その結果、自分の嗜奜や進路に察する向き䞍向きがはっきりしおくるので、それを螏たえお高校幎の月たでに生埒䞀人ひずりに矎術倧孊の䞭でもどういう孊郚や孊科に行きたいかを考えおもらい、さらにその埌の自分の姿もむメヌゞしながら、ビゞョンを持っお未来に挑みたす。

専門家になるたでの具䜓的な道のりを高校授業で実感

将来を考えたずきに、䟋えば絵を描きたいなら画家やむラストレヌタヌずいう発想は出たすが、そこに行き着くための具䜓的な道のりは誰も教えおくれたせん。倧孊でも攟っおおかれおいるのが垞ですので、自分で開拓しおいく必芁がありたす。 そこで高校の段階で過皋を倧事にするデザむンの授業に取り組むこずには倧きな意味があるず考えたした。専門家に到達するたでの具䜓的な道が少しず぀芋えるようにするためのシチュ゚ヌション䜜りや道具立おを授業で行い、その過皋を䞀぀ひず぀自分で考えお乗り越えるこずで、生埒は「自分で解決した」「自分でクリアした」ずいう実感を䌎いながら、専門的な仕事ぞの芪和性を高めおいきたす。 ただし、ここで蚀っおおきたいこずは、瀟䌚の䞭の課題を解決するためにデザむン的発想や技術を䜿うわけですから、自分にずっおのベストデザむンが垞に最良ずいうわけではないずいうこずです。自分が考えた造圢や発想を入れ蟌んで䜕らかの圢にしお、その結果に誰かが満足しお喜んでくれるかどうかが倧切です。そういうデザむンの本質を実感する䜓隓ができるこずが、プロゞェクト型孊習の䞀番の䟡倀だず思っおいたす。

プロゞェクト型孊習「子どものための遊具制䜜プロゞェクト」の流れのむメヌゞ図

答えは珟堎にしかない

「子どものための遊具制䜜プロゞェクト」では最初に幌皚園児ずコミュニケヌションを図りながら、身䜓枬定を行いたす。知識ずしお知っおいるこずず知識を䜿えるこずは別で、䟋えば生埒は5歳児の平均身長が110センチ足らずであるこずはわかっおも110センチがどれぐらいのサむズかは実際に枬定しないず実感できないのです。やはり答えは珟堎にしかないずいうこずですね。知識ず行為が䞀臎する状況で初めお理解できたす。

子どものための遊具を制䜜するため、幌皚園児たちず觊れ合いながら身䜓枬定を行い、デザむンする遊具をむメヌゞしおいく

身䜓枬定
幌皚園児たちず觊れ合いながら身䜓枬定。身長や座高、頭囲など、子どものサむズを実際に枬定するこずでデザむンする遊具をむメヌゞしおいく。
制玄の䞭での発想ず飛躍

「子どものための遊具制䜜プロゞェクト」は、党員がひず぀ず぀䜜るのではなく、たずは暡型を䜜り、それをプレれンで絞り蟌み、最終の䜜品はグルヌプワヌクで䜜っおいきたす。グルヌプワヌクは仲良しでグルヌプを組たせないこずが倧切で、同じような発想の生埒同士の組み合わせ、たたは抜遞にしお、アむデアや発想の盞乗効果を狙っおいたす。 たた、ダンボヌルは14枚。接着は朚工甚ボンドずクラフトテヌプだけです。ダンボヌルには繊維の方向性がありたすから厚みや曲げやすい方向などを考えお無駄なく玙取りをする必芁が出おきたす。こうした制玄は瀟䌚に出おも実際にあるものです。 実は、生埒たちも条件がある方が考えやすいのです。〝自由に発想しお〟ずいうず、挠然ずしすぎおどこから手を぀けおよいのか迷いたす。ずころが制玄があるずそれを出発点にできるので発想する方向性が自ずず定たっおいき、それをきっかけに飛躍もできたす。思い切った蚀い方が蚱されるなら、制玄があったほうが面癜いものができる、遠いずころたで行けるず考えおいたす。 「子どものための遊具制䜜プロゞェクト」で求められるこずは、制玄を克服したずころに出珟する「子どもたちにずっおの面癜さ」ず「構造的な耐久性」です。暡型を䜜るだけではわからない䜓隓を通しお、生埒たちはデザむンの本質を孊びたす。

制䜜する遊具の暡型(å·Š)、プレれンで制䜜する遊具を絞り蟌む(右)

「子どものための遊具制䜜プロゞェクト」プレれンテヌション
遊具の5分の1モデルを䜿っお、個人プレれンテヌション。どのようなアむデアを詰め蟌んだ遊具なのか、子どもたちをどうやっお喜ばせるかを、たずは同玚生や先生に蚎える。このプレれンテヌションで実際に䜜る遊具を決めおグルヌプ分けをする。
䜜品制䜜で芋えおくる生埒の資質

プロゞェクト型孊習での䜜品制䜜によっお生埒自身も自分がどういうものが埗意で、どういう資質があるかが芋えおきたす。教員サむドの「こういう胜力があるから、こういう孊科がいいのでは」ずいう進孊指導にも぀ながりたす。 䜜品制䜜の過皋は、自分の思考の積み重ねがそのたた自分なりの方法論になっおいきたすから、理詰めできちんずしたものごずを考えるこずが埗意な生埒も出おきたすし、反察に盎感的に「こういうものを䜜りたい」ず匷くこだわる生埒も出おきたす。䟋えばプロダクトデザむンをやる堎合、きちんず䜜る生埒は䌁業内で暙準化できるようなものを䜜るこずに向いおいるかもしれたせんし、こだわりの匷い生埒はデザむナヌではなく職人のように点ものを制䜜する仕事が向いおいるかもしれたせん。そういうこずがある皋床、高校生の時点で芋えおきたすし、その䞊に本人の意志を重ね合わせおみるず、進孊先も具䜓的に絞られおいきたす。 その意味でも、最終的な遊具は党員に䜜らせるのではなく、プレれンテヌションず投祚で絞られるこずを課しおいたす。これが生埒それぞれの違いを際立たせるために必芁なこずなのです。ですから甘い点があれば厳しいこずもはっきり蚀っお、個々の違いを際立たせるようにしおいたす。厳しいこずを蚀われる生埒もいれば、耒められる生埒もいるのですが、私はそれを「差別」ではなく「区別」だず蚀っおいたす。それぞれの資質や埗意な方向に気づいお進みながら、具䜓的な歩みの䞀歩䞀歩を䜜っおいくのです。

グルヌプに分かれ、実挔䌚に向けお遊具の最終圢を制䜜しおいく遊具の機胜性や安党面を远求しながら遊具制䜜の䜜業を進める

「子どものための遊具制䜜プロゞェクト」グルヌプワヌク
グルヌプに分かれ、実挔䌚に向けお遊具の最終圢を制䜜しおいく。遊具の機胜性や安党面を远求しながら、段ボヌルの特性や枚数の制玄の䞭で、いかに子どもが喜ぶ遊具を期限内で䜜るこずができるかに、生埒たちは頭を悩たせる。
方法や手順は教えない

授業では、できるだけ方法や手順は䌝えたせん。それは生埒の血肉にならないのです。 生埒たちはこれたで、順番にやっおいけばわかる、できるずいうような教育を受けおきおしたっおいたす。それが今の䞻流かもしれたせんが、答えはそんなものでは出ない。答えは自分で出すものなのです。 特に䞭孊1幎の矎術では「どうすればいいのか」「どこたでやればいいのか」「どこたでやったらよい成瞟がずれるのか」をすごく聞いおきたす。぀たり今たで そういうふうにやっおきたんですね。ですから、自分で考えお、自分のやり方でやりなさいず蚀うず驚きたす。さらに「それをやったからずいっお必ずいい䜜品になるわけじゃないよ」ず蚀うず、質問した生埒は途方にくれたす。 矎術ではやり方の手順を螏んでも腕の差があっお同じ答えにはたどり着かないのですが、孊科詊隓は同じ手順を螏んだら同じ答えになりたす。そういう考え方を、方法や手順を教えないこずで壊したいなず思っおいたす。その結果、「だからこそ矎術は面癜い」ず蚀っおくれる生埒が少しず぀珟れおきたす。それが面癜いですね。

段ボヌルで出来た遊具でおもいっきり遊ぶ園児たち面癜かった遊具にシヌルを貌っお投祚する園児たち「子どものための遊具制䜜プロゞェクト」実挔䌚の様子

「子どものための遊具制䜜プロゞェクト」実挔䌚
幌皚園児を迎えおの実挔䌚。手加枛を知らない子どもたちが思い切り遊ぶず、考えに考えお制䜜したダンボヌル遊具が壊れるこずも。子どもたちが実際に遊ぶ様子を通しお、生埒たちは暡型を䜜るだけではわからないデザむンの本質を知る。

Studet Comment 「子どものための遊具制䜜プロゞェクト」のグルヌプワヌクに入った高校幎の生埒たち。
「子どものための遊具制䜜プロゞェクト」の面癜さや難しさは

自分たちのためではなく、子どもたちのために䜜る遊具なので、違う目線に立っお考えるこずができるずころが面癜いです。子どもたちがどうやったら楜しめるかを考えるこず、自分ではない誰かのために䜜るこずは、デザむンの仕事そのもので、貎重な経隓になっおいたす。
デザむンずいうのは、「これだ」ず思ったアむデアを出しおも、実際に䜜っおみるずダメだったずいうこずの繰り返しでできおいるのだなず感じおいたす。でも、劥協しおしたうず良くないデザむンになっおしたうので、熟考を繰り返すこずがいい䜜品に぀ながるず思っお頑匵っおいたす。
遊具を䜜る段ボヌルの扱い方を先生からすべお教えおもらえるわけではなくお、昚幎床の先茩の䜜品を参考にしたり、自分で調べたりするんです。自䞻孊習の郚分が倧きく、経隓から応甚させおいく必芁がありたす。倧倉ですが、それがすごく面癜いです。
䜜るこずが奜きなので、「子どものための遊具制䜜プロゞェクト」はすごく面癜いです。絵を描くこずずは頭の䜿い方が党然違いたす。でも、自分の思ったこずを圢にするこずはすごく難しいです。デザむンっお蚈画の末にあるのだなず実感しおいたす。
蚈画を立おおいる段階ず実際に䜜る段階では党く違い、そのずれに臚機応倉に察応できるか、そういう難しさが奜きだし、楜しいです。「子どものための遊具制䜜プロゞェクト」は、あたり難しくわかりづらいこずをやっおしたうず楜しめないし、かずいっおシンプルにしすぎるずそれはそれで楜しめない。子どもにずっお䜕がちょうどいいのかを考えるずころが難しいです。
自分たちで考えおれロから䜜るずいうのが新しいし、なかなか他の授業では少ないこずだず思いたす。自分たちで考え、工倫しながらやっおいくのは楜しいです。みんなで盞談を重ねお䜜っおいくこずは、将来に぀ながる倧事なこずではないかなず思っおいたす。い぀かそういう仕事もしおみたいなず思いたす。

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