新コース編成導入の意図や詳細について、入試広報部の平内秀樹先生に話をうかがいました。

入試広報部 平内秀樹先生
これまで中学3年間は、6クラス平等編成という形でやっていたのですが、実状を言うと、上位からボーダーギリギリの生徒まで、学力の差は大きくありました。入試時の力がそのまま生徒の力というわけではなく、どんどん伸びていきますから、これまでは中の上ぐらいのレベルを基準に指導を行ってきました。以前の男子校時代は、「付いてこい」という少し強引な方法でも力を伸ばせていたのですが、共学になった現在では、習熟度に合わせてより丁寧に指導していった方が生徒の学力も伸びやすいという結論に達しました。

本校は都会と違い、のんびりした地域にあるので、まだまだ伸びしろのある生徒がたくさん入学してきます。力のある大器晩成型の生徒も多いので、そういう生徒をしっかりと伸ばせる仕組みを考え、新コース編成として導入することにしました。生徒の習熟度に合った丁寧な指導を行い、目指す進路を実現できるようにと考えています。中学3年間でコースに分けてそれぞれの習熟度の中で基礎力、応用力をつけ、高校へ向けた高い学力をつけられるかが勝負です。わざわざ私立に来ていただくので、中学3年間のメリットは出していきたいですね。
Sコースは2クラスで、発展的な内容に取り組み、早期から高い学力を育成するコースです。中3からは、2段階の習熟度別クラスに分かれ、教科によっては高校の学習内容にも取り組みます。高1からは、理系のS特進・特進と文系のS特進に分かれ、進路目標に向けた高い学力を養成していきます。早期から明確な進路目標を持つことにより、積極的に効率よく学習に取り組め、高3では進路実現に向けたより実践的な学習を進めていくのです。
Aコースは4クラスあり、中学2年間で着実に基礎学力を身に付け、計画的に伸長させていくコースです。中3では発展クラスと標準クラスに分かれ、発展クラスはSコースと同様の授業を行い高校から理系のS特進・特進と文系のS特進に分かれます。標準クラスは、高校から理系(1クラス)と文系(2クラス)に分かれて、計画的に実力を養成していきます。文系クラスは高2から特進クラスと標準クラスに分かれ、高3では各自の進路目標に応じたクラスに分かれて目標の実現へと繋げていきます。
新コース編成では、学年移行時に成績によりAコースからSコースへのコース変更が可能ですから、原則として中2まではSコースもAコースの進度や教材、カリキュラムの時間数は同じです。Sコースは発展的な内容を中心に、Aコースは標準的な内容を中心に学習します。中3からは、それぞれのコースの中で習熟度に分かれますので、SコースとAコースで違いが出てくることになります。

新コース導入での大きな変化は、「関学コース」がなくなるということです。今までは高1で「関学コース」を選べば関西学院大学に進むことができましたが、6年をかけて学力をつけ自分の目指す進路を実現していこうという「新コース制」の中では、高1で進路がほぼ決まる従来の「関学コース」の運営が難しくなります。関学との提携は続きますので、関学進学希望の生徒は、高3時に提携校推薦を利用して進学する事になりました。高1でコース選択をしてのんびりと高校生活を送るのではなく、高3になるまで一般入試でも合格できる実力をつけたうえで、関西学院大学の推薦制度を利用してほしいと思います。

高校に入れば、基本的にコースが確定しますので、SコースとAコースで進度を統一することはなくなり、それぞれのコースの特徴を活かした指導を行っていきます。ただ、カリキュラムとしては、理系はほぼ同じです。文系は志望が国公立大か私立大で、高2あたりから変わってきますね。また、理系の標準から特進へ、理系の特進からS特進へと、コース間の変更も学年が変わるごとに成績によって若干名の移動は可能としています。ただ、進度が各コースやクラスで違ってきていますので、その分は春休みに補習を予定しています。

今、来年の実践に向けて、教科担当ごとにどう指導していくかを細かく検討しているところです。特に、Aコースの生徒にしっかりとモチベーションを持たせながら教えていくところは、大切になってくると考えていますね。また、補習の体制がカギになります。これまでクラブ練習の休みが週1日でしたが、中学では週2日を休みにして補習を実施します。それぞれの生徒の状態に応じた補習ができるよう、検討しています。たとえば、Aコースで力のついてきた生徒はSコースに近いような補習があり、Sコースでつまずきかけている生徒に対しては、そのあたりをフォローできる補習を行うようにしたいと考えます。また、新コース編成を導入しても、本校の文武両道の精神はそのまま継続して、クラブと勉強の両立は大切にしたいですね。
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