
創立の精神に「孝道」を掲げる雲雀丘学園。環境に配慮することは、他者への思いやりや人間力の向上につながるという考えのもと、環境教育活動を学園の教育の核に位置付け、様々な取り組みを行っています。体験型授業などのソフト面だけでなく、日々の学校生活のなかでも環境問題を意識できるハード面の充実も大きな特徴です。今回は、環境教育推進委員会委員長の奥本光廣先生と、前任の井関雅彦先生に話をうかがいました。
雲雀丘学園の環境教育の代表的取り組み
ECO弁当
地産地消やフードマイレージを意識した食材で、生徒本人が作った弁当を持参する日を中学では6月、高校では7月に設けている。事前に家庭科の授業でも作り方を指導するなど、サポートも万全。この取り組みを機に、普段から自分でお弁当を作るようになる生徒もいる。
環境大使
環境に意識が高く、校内外で環境活動を行う有志の生徒集団。畑作や森の保全活動を通して、全校生徒・地域・家庭の橋渡し的役割を担い、様々な環境活動を提案している。
SPP
(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)
科学技術に関する観察・実験・実習などの体験的・問題解決的学習活動を支援するSPPに2013年に採択された。近畿大学のマグロの完全養殖の研究など、高度な体験学習をきっかけに、大学進学後の学びについて考える生徒も多い。
中1 里山外来種駆除
宝塚市の市民管理緑地「きずきの森」で行っている自然体験活動。植樹やハリエンジュという外来種植物の駆除を体験し、里山と人のくらしについて考える機会となっている。
中2 水と森からの恵み
夏に実施される林間学舎の際に行われる、植樹と大山への登山などの自然体験活動。サントリーの水科学研究所の訪問も実施。
中3 沖縄の環境
中学3年の11月に実施される沖縄研修の際に、美ら海水族館に行き海洋生物にふれる他、全員でサンゴを海に植える活動を行っている。
高2 感響講座
高校2年の6月に実施される北海道研修の際に、「源流から海へ」「森の声をきく」「森の民アイヌに倣う」「ヒグマの森作り」「エゾシカの保護管理」といったテーマでチームに分かれて行う体験学習。事前学習などで一層感度を良くし、心に響く体験をしていこうとの想いを込め、環境ではなく感響の字を当てている。
環境フォーラム
雲雀丘学園が取り組む環境活動の報告と提言を行うイベント。環境大使が中心となって生徒が運営も手掛けている。中学1年生から中学3年生の取り組み、SPP、環境大使の活動からそれぞれの代表者が1年間で学んだことを生徒や保護者に発表する。二部は各界の有識者による講演を実施。
太陽光パネル
太陽光パネルの電力数値は玄関に掲示されており、2016年の春からは中学1年生が毎日データを記録している。季節や天候に即して、どれくらいの電力をまかなえているのか、秋冬以降には蓄積データの解析を予定。
グラウンドの
芝生化
グラウンドの芝生化は今から10年前、創立60周年記念を機に校舎の建て替えを行った際、生徒の発案で生徒会が中心となり兵庫県にかけあって補助を受け、実現。芝生の植え付けも生徒が行い、現在も芝刈りなどの手入れは環境大使が行っている。
屋上の緑化・
雨水の有効利用
屋根からの熱をやわらげ、空調の負荷を低減し、省エネルギー・CO2の削減につながる屋上の水耕栽培には、タンクに貯めた雨水を活用している。
ゴーヤ・
トマト苗配布
ゴーヤは学内の被服室の外に設置しゴーヤカーテンにしている他、中学1年生全員に苗と栽培記録票を配布している。トマトの苗は希望者のみ。ゴーヤカーテンの設置やトマトの栽培過程で親子間でも環境に関するコミュニケーションが増えたとの声もある。