松蔭中学校・高等学校

Interview 司書

左から井上先生、眞鍋先生、正路先生、大河先生
松蔭中学校・高等学校には生徒の図書委員がなく、司書が図書館の業務にあたっています。現在は4人が在籍し、充実した図書館活動の実現のために見事な連携プレーで生徒のリクエストに応えています。今回は司書歴18年の眞鍋先生と司書歴3年の大河先生に話をうかがいました。
本は人生の行方を照らすもの、そのための図書館でありたい
松蔭図書館で大切にされていることを教えてください。
【眞鍋先生】シーンと静かで何か物音をたてたらバッと振り向かれるような図書館は中高の図書館には似つかわしくないと思います。気楽に遊びに来て、ちょっと一息つける場所であることを大切にしています。情報が集まっている場所ですが、堅苦しいところではないと思っています。
ワークショップや読書会の開催など、生徒の皆さんと接する機会も多いと思いますが、普段はどのような交流をされるのでしょうか。
【大河先生】小説が原作の映画の話など、本当に普通の世間話のような感じですね。教科担当の先生に話すときほどかしこまっていないと思います。

【眞鍋先生】私たちは点数をつける教員ではないので、気楽な友達の延長上の年長者という感じだと思います。中高生という多感な時期ですので、時には家や教室では反抗的な姿勢を見せたりイライラしたりすることもあると思いますが、本を読んでいるうちに落ち着くというか、気持ちをほぐす効果があるのか、そういった意味では第二の保健室のような場所でもあるのかもしれません。
利用状況はどうですか。
【大河先生】借りる・借りないは別として、毎日必ず1~2回は図書館に足を運ぶ生徒は結構います。昨年、貸し出しの最も多かった生徒はインタビューに参加してくれた田中さんで、601冊です。
ここだけはどこの図書館にも負けない、というポイントはありますか。
【眞鍋先生】ライトノベルと漫画本とタレント本は入れないという縛りはあるのですが、それ以外に関してはだいたいリクエストがあった時点ですぐに入れています。司書が帰りに書店で購入する場合もありますし、Amazonで発注すれば翌日に届きますから、公共図書館でリクエストするより早く入ると思います。また、資料として使う本はもちろんですが、読み物として生徒が読みたい本を入れているという自信はあります。
学校の図書館の本って、Amazonで買うこともあるんですね!
【大河先生】公立の学校では見積書や稟議書が必要なのでAmazonでの購入は出来ないと聞いたことがあります。

【眞鍋先生】 本校では領収書さえ出れば、Amazonでも古本屋でもジュンク堂でも大丈夫です。正直なところ、先生方が推薦図書として挙げてくれる作品は意外と絶版や品切れの本が多いので、特にAmazonが使えるようになったのは非常に助かりました。
3年前から司書が4人体制になったそうですが、メリットを教えてください。
【大河先生】先生から授業やイベントなどの関連でリクエストがあった時に、すぐに充実した特集コーナーを作れるところでしょうか。それぞれが詳しい分野も違うので、1つのリクエストに対して幅広い視点で選書できると思います。そうすることで生徒の選択肢が豊かになればいいですね。

【眞鍋先生】正路さんは美術系に強く、大河さんは以前「兵庫県立こどもの館」勤務だったので児童文学が、井上さんは大学で専攻していた自然科学系、私は英文学系という風に各自の得意分野を活かしています。また本校の蔵書だけでなく大学図書館や公共図書館からの団体貸出も数十冊単位で行って、授業の調べ学習時には少なくとも一人一冊の本がいきわたるよう配慮しています。
先生のおすすめの図書を教えてください。
【眞鍋先生】カズオイシグロ著『わたしを離さないで』です。ヘールシャムという特殊な施設で育った3人の男女の話なのですが、大人になった主人公の独白から始まるミステリー仕立ての小説です。最初の方で話の全体像はなんとなく分かるのですが、残酷と思えるほど困難な状況でも自分が今置かれている状況をどう受け入れて、どうやってそれを好転させて自分らしく生きていくかというメッセージが込められた、素直な読み応えのある作品です。


【大河先生】私のおすすめは、うさこちゃんシリーズです。翻訳をしている石井桃子さんは【おとなになってから 老人になってから あなたを支えてくれるのは 子ども時代の「あなた」です】という言葉を残されています。生徒たちは今、ちょうど大人と子供の間という思春期の難しい時期ですが、小さい頃に家族に読んでもらったことを思い出すと、親とケンカした時や友達と難しいことがあった時に、気持ちがちょっと楽になるというか、波立った心に寄り添ってくれる本なのではないかなと思います。絵本は短い時間でも読めるので、忙しいときでも寝る前にちょっと開くだけで心が休まるのではないかと思います。
今後、図書館でやってみたいことや目指したいことはありますか。
【大河先生】読書会は始まってからまだそれほど回数を重ねていないのですが、割と好評です。普段は飲食禁止ですが、読書会の時だけは作品にちなんだお菓子を作ったり、飲み物を用意したりします。料理教室を楽しみに参加する生徒も多く、なかなか普段は図書館に来ない生徒達も来てくれるので、読書会は今後も続けていきたいなと思います。

【眞鍋先生】その延長上で、ビブリオバトル(※)なども実施出来るといいなと思います。本が好きな生徒は比較的おとなしい子が多いのですが、前へ出て自分の意見を1人でプレゼンできるようになれば、卒業してからもよそでも自信を持って他人の意見も聞きつつ自分の意見も出せるようになるのではないかなと思います。
※ 2007年に京大情報科学研究科共生システム論研究室の谷口忠大氏によって考案された知的書評合戦。参加者が面白いと思った本を1人5分間で紹介し、それぞれの発表の後に参加者全員で2~3分の質疑応答を行う。全ての発表が終了した後にどの本が一番読みたくなったかを基準に投票を行い、最多票を集めたものを「チャンプ本」とする。

先生の書評

本好きの先生にオススメの本を自由に書評して頂くコーナーです。

この本は、鳥取環境大学の小林先生による「先生!シリーズ」の第一弾。大学や大学の周辺で起こった動物たちとの“事件”や、学生たちとの楽しいやりとりなどが、ユーモアたっぷりにつづられています。思わず目をひくユニークなタイトルですが、これも大学の中で起こった事件なのです。その他にも、研究室でヘビとハムスターが同時に逃げてしまったり、大学林でアナグマに遭遇したり、拾った木の化石からアリがでてきたり…。また、大学にあるヤギ部での出来事も。そんな動物たちとの事件を紹介するなかで、動物たちの習性、そして人間の脳の癖などについても、分かりやすく説明されています。
何より、動物を前にした著者がとても楽しそうで、動物が大好きだという気持ちが文章にあふれています。だからこそ、動物とふれあうことや動物の研究をすることの面白さが伝わってきます。また、野生動物に興味をもつきっかけになるかもしれません。楽しく学べる1冊です。

わたしは、小さいころから、本や絵本がとても好きなのですが、それと同じくらい図書館という場所もとても好きです。小さいころ、母に図書館に連れていってもらうことが、何よりの楽しみであり、喜びでした。学生のころは、休憩時間や放課後によく学校の図書館を訪れていました。自分の好きな本、読みたい本を選んで借りることができる場所、本棚がずらりとならんでいる風景、本の匂い、シンとした静けさ、空気、私にとって図書館は小さいころから特別な場所でした。大学を出てからも、そんな図書館で働きたく、今の仕事を選びました。
そんなわたしがオススメしたいのは、最近図書館に入ってきた『日本の最も美しい図書館』。図書館の写真集です。図書館の建築や構造、デザインはとても神秘的で美しいと思います。これもわたしが図書館という場所が好きな理由の一つです。
球形のプラネットが宙に浮かぶ近未来の宇宙のような東京都の「成蹊大学図書館」や、上品かつ子どもも親しめるつくりになっている、まさに児童書のお城のような「国立国会図書館国際子ども図書館」、6000の丸窓から光が差し込む石川県の「金沢海みらい図書館」、キノコの形をした本棚がむかえてくれる京都府立植物園内の図書館「きのこ文庫」、兵庫県の図書館もいくつか載っていますよ。どの図書館も、一館一館がまったく違う雰囲気を持っており、眺めているだけで楽しい1冊です。なかでも表紙になっている秋田県の「国際教養大学中嶋記念図書館」がわたしはいちばん好きです。吹き抜けの天井に傘のように張り巡らされた格子状の木々、その下にアーチ状に段々とひろがる本棚は本当に美しく、うっとりしてしまいます。
思わず読書するのも忘れちゃうかも?!一度は訪れてみたい!日本の美しすぎる図書館、あなたも眺めてみませんか?

2016年1月14日 更新
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