【東洋大学附属姫路中学校】
未来につながるキャリア・フロンティアの多様な学び

東洋大学附属姫路中学校 未来につながるキャリア・フロンティアの多様な学び
東洋大学附属姫路中学校で中学1年から行われている「キャリア・フロンティア」。アクティブラーニングの要素を取り入れ、物事の本質に向かって深く考える力を育成する同校独自のプログラムです。「キャリア・フロンティア」から広がった興味、さらには見えてきた将来の夢までを、体験してきた高校1年生が語ってくれました。生徒たちの未来につながると信じて、「キャリア・フロンティア」を推し進めてきた中高一貫コース主任の黒河潤二先生も、その成長や変化に喜びを溢れさせます。
中学校の創立から5年。少人数教育での丁寧な指導で、生徒たちに潜む力を開花させる東洋大学附属姫路中学校を取材しました。
キャリア・フロンティア
文章を書く作業を中心に据え、発表・討論を通してコミュニケーション能力を、課題研究を通して課題発見力と課題解決能力を、習得する東洋大学附属姫路中学校独自のプログラム。「情報収集力」「情報編集力」「情報発信力」といった新大学入試にも対応できる力を育てている。

中学1年 野外オリエンテーション/姫路研究/海と神戸/TOYO STUDY FESTA
中学2年 バイオテクノロジー入門/富士山の魅力/広島平和学習/弁論大会
中学3年 中学3年 京都の伝統/数理探究/沖縄テーマ学習/海外語学研修に向けて
高校1年 高校1年 バイオ・ナノ課題研究プロジェクト/修了研究
高校2年 高校2年 海外大学でのPBLプログラム/修了研究/ディベート
各学年 各学年 キャリア教育/震災学習/作法指導/国際交流プログラム

Student&Teacher INTERVIEW
アクティブラーニングが当たり前
「キャリア・フロンティア」を積んできた
生徒たちの強みがそこにある

東洋大学附属姫路中学校には様々な取り組みがありますね。Kさんが自分が成長した、もしくは変わったということで、印象に残っているプログラムを教えてください。

Kさん 中1の英語暗誦大会です。私は校内で良い成績をいただき、校外の大会にも連れていってもらいました。その時に、「グローバルというのはきっとこういうことなんだろうな」と実感することができました。自分よりスピーチがもっと上手な子がたくさんいて、その子たちの練習に生で触れられました。また、日常会話も全部英語だったり、英語が母国語だったりする人たちがたくさんいて、「世界って広いな」と思いました。
その体験によって、Kさんにも何か変化はありましたか。

Kさん それまでは校内の順位や偏差値などを基準に考えていたのですが、世界の広さを実感したことで、校外にも意識がいくようになりました。いろいろな面で勉強に対する姿勢がとても前向きになったと思います。

英語暗誦大会

黒河先生も、Kさんの成長は感じられていたのですか。

黒河先生 僕自身がすごく印象に残っているのは、「キャリア・フロンティア」の姫路研究で彼女たちのグループが玩具館を調べたときです。入学当初はものすごく活発というわけではなかったのですが、その時に彼女はグループの中心になって、たいへん立派な発表をしてくれました。地域の玩具やその博物館の果たす役割、どうやって運営されているのかなどを、中1とは思えない視点でまとめたんです。これがきっかけになったのか、学年が上がるにつれて積極性が出てきましたね。
「キャリア・フロンティア」を通して、自分に対する発見や成長はありましたか。

Kさん 中1の姫路研究で初めてパワーポイントを使ってまとめたんです。そのときに、友達から「一番見やすかったよ」「ここはどうやって作ったの?」と言われて、もしかしたら私はこういう発表に向いているのかもしれないと、初めて思いました。
そこで気を付けていたのは、自分の聞きたくない発表はしない、ということですね。班の中でどんな発表にするか相談していた時に、伝えたい情報が多すぎて最初は全然まとまらなかったんです。それを班の中でやってみたら、「これは聞きたくない」という人がほとんどだったので、「じゃあ聞きたいと思える発表を作っていこう」というのがスタートでした。そこから発表するときは、聞きたいと思える内容や声はどんなものだろうと考えて作っています。着眼点がよくても、伝え方が悪いと相手に伝わらないし、聞きたくないものは聞いてもらえません。着眼点とは別に、伝える手段を工夫することが大事だと思っています。

姫路研究での発表

班の意見をまとめて、リードするなかで、徐々に積極性が出てきたのですか。

Kさん 最初は誰かがやってくれるだろうと思っていたのですが、誰もやらない状態が続いて、「じゃあ、私がやるよ」となりました。その時から班が円滑に動くようになって、そうすると私も「こっちも向いているのかもしれない」と思うようになりました(笑)。
普段まとめるときは、先生からはほとんど指示がありません。そうすると、どういう形式でまとめようかとか、どういうレポートにまとめようかと自分たちで話し合います。「こういうのが自分は好きだ」、「こういうのがいいと思う」という意見をお互いにはっきりと伝え合うことにもつながっていき、結果的にいい感じにまとまっていきました。
学校としては「キャリア・フロンティア」を通して、生徒自身が考え、行動していくことを大事にされているのでしょうか。

黒河先生 もちろん細かい指導はしますが、基本的には生徒たちが作り上げたベースは崩さずに発表をさせていきますから、そこでどうすればよりうまく発表できるかを生徒自身が考えます。人に伝えるためには何が必要かというのは、経験の中でしか学べないことです。発表の仕方についてもいろいろ形を変え、テーマを変えながらやっていますので、それぞれの学びの中でリーダーになる生徒はいますし、フォローに回る生徒も出てきます。そういう点で言えば、最初の頃とは別の生徒が、いまはリーダーになっているというケースも見られますね。今夏も高1生がバイオ・ナノの課題研究に行きましたが、課題研究プロジェクトのまとめを発表させるときも、自然にグループができ、リーダーが自然発生的に生まれていきました。そうした世間で言われているアクティブ・ラーニングが当たり前のようにできていることが、「キャリア・フロンティア」を積んできた生徒たちの強みになっている気がします。

バイオ・ナノ課題研究プロジェクト

「キャリア・フロンティア」でつけた自信
興味を持った投資信託も自分で
段取りや計画を立てて楽しめる

「キャリア・フロンティア」で培ってきた視点や行動力は、他の学校生活や勉強面などにも影響していますか。

Kさん 校外で言うと、私は趣味で空手道をやっているんです。そこで、自分と相手との“ま”や、次は相手が何をしてくるだろう、それにどう返そうかというのを考えるのが、すごく早くなったと思います(笑)。
それに、中3の時に黒河先生の経済の授業を聞いて、お金の流れにたいへん興味がわき、ニュースを見るようになりました。その流れで投資信託も始めました。ニュースがお金の流れに及ぼす影響やお金の流れが世界にどう影響するかに興味が出てきたんです。そこから、将来は国税専門官になりたいと考えるようになりました。
黒河先生の社会科の授業だそうですが、具体的にどのような授業内容なのですか。

黒河先生 少し変わった経済の授業なんです(笑)。株価ボードが前のモニターに映しだされているとか、日本の借金がリアルタイムでどれくらい増えているかなども教材に取り入れていきました。経済の教科書は、そのまま読んでいてもおもしろくないんです。だからそれを少しリアルに落とし込んでいくようにしています。
経済の授業をやる時に、僕には前提になっている考え方があります。それは日本の社会科の授業で一番欠けているのはお金の話だということです。日本ではお金の話をするのは卑しいなどと捉えられがちですが、生徒たちが生きていくため、また自分の希望ややりたいことを叶えるためには、お金が必要です。ですから、自分の資産を守り、手堅く運用していくのは、生きていく上で絶対に必要なスキルなんです。でも、その教育が日本では完全に欠落しています。アメリカでは6年生くらいで投資教育をやっています。
Kさんは、経済の授業でどこに一番興味を持ったのでしょうか。

Kさん 株価の動きですね。リアルタイムで取引が行われているとは知っていたのですが、リアルタイムと言われても実感がなかったんです。でも、授業中にずっとボードの上で株価が変動していて、「リアルタイムってこういうことか!」と感じることができました。株の取引に挑戦してみたいと思って母に相談してみたら、母も私に合うと思い、近いうちに勧めようと思っていたということでした。株にはあっという間に損をするなど怖いイメージがあったので、他にもっと安全なものはないかと思ってたどり着いたのが、投資信託でした。投資信託は100円からでき、少額ならおこづかいから始められるので、やってみようと思ったんです。
やはり「キャリア・フロンティア」の学びが、そういった興味の広がりや実行力につながっていくんですね。

Kさん そうだと思います。姫路研究の時からインタビューの予約を自分で取り、インタビューの内容も自分で考えたので、自分はやってきた、できるんだという自信があるんです。投資信託もできるのではないかと思ったときに、自分で段取りや計画を立てることを楽しめました。

東京証券取引所へ見学に

生徒たちがどれだけ多様になれるかが
これからの学校教育でとても大切な要素

黒河先生は「キャリア・フロンティア」での学びを、生徒たちにどのように活かしてほしいですか。

黒河先生 自分に合ったものを見つけ、自分の興味・関心を広げていき、それを進路につなげていってもらいたいですね。学校教育はキャリア教育ですから、最終的には自分のキャリア形成に「キャリア・フロンティア」での経験を活かしてほしいというのが正直なところです。自分のキャリア形成の目標を高いところにおけば、一定レベル以上の大学に行かなければならないでしょうし、そうすると勉強のモチベーションもまた上がっていくと思います。
今、新しい大学入試で思考力・判断力・表現力と言われていますが、ある程度自分で筋道を立てて他人にわかってもらえるように話す力は確実に身についている生徒が増えています。そして、Kさんも同様ですが、入学時と比べてしっかり声が出るとか、きっちり話せる生徒も増えましたね。それは「キャリア・フロンティア」の中で学んで、自分で発表してきて、評価してもらって、自信をつけてきたことの成果でしょうし、作業指導を続けたことも大きいと思います。
他も含めてさまざまな学びによって、6年間で成長していくわけですね。

黒河先生 いま、世の中で多様な人材が求められている中で、生徒たちがどれだけ多様になれるかがこれからの学校教育でとても大切な要素になってくると思います。その生徒を指導してくださる先生方も、画一的ではなく多様でなければいけないのではないかなと思います。本校にはいろんな価値観を持っておられる先生方がいますから、その価値観をぶつけあって、このような生徒たちが育ってきているのだと思います(笑)。
最終的に高2で修了研究をまとめていくとのことですが、どのようなものですか。

黒河先生 修了研究では自分でテーマを設定して、自分なりの解決法を追求して発表します。今年の発表でもたいへんおもしろい発想が育ってきていると実感できました。そこで探究したことを、いまの高3で、推薦入試の自己推薦文を作る時に使っている生徒も結構いますね。
修了研究を終えられて、「キャリア・フロンティア」が形になってきたことを実感されたのでは?

黒河先生 そうですね、ようやく形になってきたなとは思います。ただ完成したと思ったらそこまでなので、これからいままでできなかったことを見直していって、中身をよりブラッシュアップしていきたいですね。
そして、「キャリア・フロンティア」を経験した生徒が卒業して、今度は後輩たちの学びに力を貸してくれるようになることが僕の願いです。生徒が学校外で、「キャリア・フロンティア」での学びを活かして、さまざまな場面で活躍し、自分の人生を豊かにしてくれるというのが一番だと思っています。

 

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