【関西大学中等部・高等部】
ゼミ形式の探究学習が
生徒の“考動力”を刺激する

発見!私学力 関西大学中等部・高等部 ゼミ形式の探究学習が生徒の“考動力”を刺激する
関西大学中等部・高等部の学びのキーワードは「考動力」の育成。自ら考えアクションを起こせる人間になるために、関西大学の教育の柱である“学の実化”を目標に掲げ、中等部では「考える科」「総合学習」で基礎を学び、高等部では3年間にわたってプロジェクト学習に取り組みます。その集大成の一つが卒業論文の執筆。ゼミ形式の授業内容や研究テーマとの向き合い方など、その中身について優秀論文を獲得した生徒2人に語っていただきました。

探究学習とは?

卒業論文を仕上げるまでの流れ

S1(高1)グループで研究の基礎を学ぶ!


国土交通省神戸運輸管理部施設見学フィールドワーク

4系列(社会・人間・自然・安全)の中の10のゼミ(経済産業/地域創生/政治/国際協力/文化歴史/教育/都市環境/自然環境/危機管理/災害事故)から1つを選択。関西大学を訪ねる研究室訪問から始まり、グループワークやフィールドワークなどを通じて研究や論文作成の基礎を学ぶ。

S2・S3(高2・高3)自らテーマを決めて探究活動!


関大SDGsフォーラム

所属ゼミの学びに沿って生徒一人ひとりが研究テーマを決定し、探究活動は本格始動へ。卒業論文執筆に向けた文献探しや資料収集は個人で行い、企業等へのフィールドワークやハワイ研修などもその一助に。卒業論文は高2で完成。高3では5月・6月に実施される卒業研究発表会に向けて各自プレゼンの準備をする。


卒業研究発表会

長田くんの探究!

卒業論文テーマ

水墨画で描かれた猿に関する考察
―牧谿作「観音猿鶴図」を例に取り上げて―

文献探しに苦労したけれど、好きなテーマだから走れました
Q. 数あるゼミの中で「文化歴史ゼミ」を選んだ理由は?

A.長田くん
中等部の頃から日本史・世界史を問わず歴史が大好きでした。奈良や京都に行く機会があれば必ず文化財を見てまわり、中でも絵画に惹かれていました。ですから、高1から始まる探究学習で「文化歴史ゼミ」の名前を見つけた時は迷わず選択し、自分の好きな水墨画を研究できると思いました。

Q. ゼミの授業はどういう形で行われますか。

A.長田くん
高1では主にグループワークを行い、高2から自ら決めたテーマで本格的に研究を始めます。毎週ある探究学習の授業は本校の先生が担当し、そこへ外部講師として関西大学の教授が年に6回教えに来られます。関大以外にもNPO法人から外部講師(グローバル企業のOBの方)が来られているゼミもあります。

Q. 高1のグループワークではどのような取り組みを?

A.長田くん
僕たちのグループは戦争の歴史を学ぶために大阪砲兵工廠(おおさかほうへいこうしょう)について調べました。先生から文献を記録する大切さを教わり、論文を書く手順も学びます。グループワークを終えると簡易的に論文をまとめますが、これが次のステップの卒業論文に向けた予行演習になりました。

Q. 高2からの個人研究はどのように進めるのでしょう?

A.長田くん
まず研究テーマを決めるのがスタートです。僕はもともと歴史文化財に興味があり、水墨画が好きだったので6月の半ばには卒業論文のテーマが決まりました。他よりも早かったかもしれません。そこから執筆に必要な文献を探していくのですが、これが本当に大変でした。

Q. どういったことに一番苦労しましたか。

A.長田くん
牧谿(もっけい)という中国・宋の時代の画家について調べる際、記された文献がとにかく少なかったんです。学校の図書室やネットで調べられることは限られているので、担当の先生の知り合いを頼って夏休みに京都国立博物館に足を運びました。そして一旦卒論を仕上げましたが説得力に欠ける点がまだまだあるとわかり、今度は冬休みに大阪府立中之島図書館に行きました。大学生の姉にも協力してもらって6時間ほど缶詰状態で資料を集めました。

Q. 卒業論文の執筆を通じて何を得られましたか。

A.長田くん
好きなことを研究する楽しさを実感できたのは大きかったです。良い論文に仕上げるために調べようとすればするほど深掘りができ、自ら積極的に行動できるようになりました。テーマにした水墨画についても今まで知らなかったことがたくさんあり、ますます魅力を感じています。大学進学後はこの分野の研究に取り組みたいと思っています。

エピソード
苦労して卒業論文を仕上げ、いざ提出すると、まさかの枚数オーバー! 10枚以内の制限を勘違いして30枚も書いていたんです……。何とか15枚程度にまとめ直したもののそこから減らすのは難しく、最後は先生に特例で認めてもらいました(笑)。

加藤さんの探究!

卒業論文テーマ

高槻ミューズキャンパスの
初・中・高等部生に対する非常食の課題

非常食の現状を知ったからこそ、提案型の論文にできました
Q. なぜ「災害事故ゼミ」を選んだのでしょう?

A.加藤さん
日本は自然災害の多い国だと実感したのが東日本大震災でした。小5の時に岩手県の被災地を訪れ、津波の跡を自分の目で確かめて本当にショックを受けたんです。そうした体験もあり、災害に関心を持って研究することは大事だと思いこのゼミを選びました。

Q. 高1のグループワークで取り組んだテーマは?

A.加藤さん
高1の秋に京都へフィールドワークに行った際、そこで外国人観光客に対する災害時の非難誘導についてグループワークを実施しました。災害に遭遇すると交通機関が止まり、避難場所に留まることも想定されます。その時にどのような非常食を準備しているのか調べるために京都市に取材しました。

Q. それが卒業論文のテーマを決めるきっかけに?

A.加藤さん
もちろんこれもきっかけの一つですが、一番大きかったのは高2の6月に大阪北部地震の被害に遭ったことです。自分が被災者になり、担当の先生と一緒に学校の備蓄倉庫にも足を運びました。そうした経験から栄養面も含めて「非常食はもっとこうあってもよいのでは?」と考えるようになりました。

Q. 卒業論文を執筆するにあたり大変だったことは?

A.加藤さん
私のテーマの場合、先生からいただく情報や文献資料を収集するだけでは確かな研究に結びつかないと感じました。学校のフィールドワークのほかに、個人で高槻市後援の防災フェアなどにも参加して担当者の方から直接話を聞いたり、実際に非常食を口にしたりすることで考察できたことがたくさんありました。

Q. 3年間の探究学習を通じて成長できたことは?

A.加藤さん
卒業論文の執筆は、読み手にどれだけ上手く伝わるかを常に考えて取り組みました。探究学習を始める以前は文章を書くのが苦手で、日常生活でも日本語が下手って言われることもたびたびでした。でも、論文の執筆や高3時の卒業研究発表会でプレゼンテーションを経験し、自分の言葉で相手とコミュニケーションをとれる自信がつきました。

Q. 卒業研究発表会ではどのような心がけを?

A.加藤さん
まずテーマ自体に興味を持ってもらわないと発表は成り立たないと思ったので、話し始めの導入で2018年を象徴する漢字だった「災」をクイズ形式で出しました。そこで関心を惹き、私のテーマである災害時の非常食の発表につなげたんです。プレゼンテーションはそうした工夫も大事だと学びました。

エピソード
テーマを決めた後、災害心理学も盛り込めないかと思い、高2の夏休みに関大の社会安全学部に取材しました。しかしその内容があまりにも重く、半年ほどの執筆期間で論文にできるほど甘くないことを痛感。こうした経験もあったからこそ非常食1本にテーマを絞れました。

Teacher’s Message

研究開発部主任
松村湖生 先生

長田くんも、加藤さんも、卒業論文は素晴らしい完成度で優秀論文に選ばれました。しかし、スタート時からすべて順調だったかと言えばそうではありません。今、後輩の高1生たちがグループワークの課題を決める時期に入っていますが、正直上手くいっていません。担当の先生方は日々会議を重ね、生徒とも何十回と議論しています。長田くんも加藤さんもそうした経験を積んで成長しました。

探究学習の目標は本学の教育指針である「学の実化」です。その礎が中等部の「考える科」や「総合学習」の学びで、そこから高等部の探究・研究活動につながります。本校の探究学習は、開校時から実践してきたものですが、今のように本格的にゼミ形式で活動したのは2016年から。その成果として期待するのが一人ひとりの“考動力”の向上です。社会に出た際、世界に貢献できるグローバルリーダーの素養を培ってほしいと願っています。

 

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