第3回 学生シンポジウム 2019
-これからの時代を考える-

学生シンポジウム
「学生シンポジウム『これからの時代を考える』」は、大阪府下のグローバルリーダーズハイスクールや私立高校、大学から自主参加した学生が、テーマに基づいた講義を受け、議論や発表を行うプログラム。今年度は、テーマ「食」に沿った3回の講義を受け、学生たちが5つの論点から選択して意見発表に臨みます。講義の様子や学生たちの様子など、各日のレポートをお届けします。
第3回
家庭から見る食と健康
~発酵・発酵食品~
発酵料理研究家
中川奈央講師

和食の基本を成す「発酵食品」がもたらすもの
ユネスコの無形文化遺産に登録された日本の食文化・和食。ヘルシー志向も追い風となって世界での認知度も人気も急上昇の和食に欠かせないのが、出汁の“うま味”と味噌・しょう油などの発酵食品です。第3回目の講義は、和食を「健康的でおいしい」料理へと形成したうま味と発酵の知られざる実力について、料理教室なども開催する発酵料理研究家の中川奈央講師にお話いただきました。
今でこそ「UMAMI」と表記され、甘味・酸味・塩味・苦味とともに基本味の1つに数えられるうま味ですが、日本人によって発見された当初、海外では理解されなかったといいます。異なった食文化ゆえの結果ですが、中川講師によれば、日本人の味覚バランスがそれだけ優れていた証拠だといえるそうです。
うま味は発酵や熟成によって増加するといいます。つまり、うま味と親和性の高い日本に、ぬか漬けや納豆、酢、日本酒に焼酎などの多種多様な発酵食品が伝えられているのは当然のこと。そうした中から、夏バテ防止に注目が集まっている米麹の甘酒、花粉症やアトピーといったアレルギー症状の改善が期待される納豆など、発酵食品が秘めたパワーについて紹介されました。
最後に発酵菌を使った新たなメニュー開発をはじめとした、有名ラーメン店とのコラボといった活動に言及。発酵食品の広がる可能性が中川講師から熱っぽく語られました。

続いてグループディスカッションに突入。付箋に書き込んだ“気になるワード”をグループごとに持ち寄ってテーマを設定します。「うまくまとめられなくても話す過程が大切」という中川講師からのアドバイスもあり、リラックスムードの中で学生たちの発表が行われました。
「私たちにとってうま味は、甘いや酸っぱいに比べれば“漠然としていてよくわからない味”というのが正直な感想です。食の欧米化で現代人の舌は鈍感になっているのではないでしょうか。うま味は和食の基本となるものなので、大切にしなければと感じました」
「日本食の素晴らしさは、食材の良さをそのまま楽しめる“だしの文化”であること。これは塩分を控えられるなど生活習慣病の予防にも役立ちます。そして、ダイエットや健康にもいい発酵食品が他国より発達していること。この2つに結論づけられると思います」
「発酵食品、特に健康に納豆の問題はニオイ。このニオイが克服できれば、もっと普及できるのではないかと思います。さらに世界へ日本の発酵食品を広めるには、チーズと同じ酪酸菌が使われているぬか漬けがきっかけになるのではという意見が出ました」
「環境の改善にも役立つという納豆菌の応用の広さに驚きました。過酷な状況にも耐えられるというタフさから、将来は宇宙食に使われるのではないかと夢が膨らんでいます。ニオイ・粘りなど、欠点とされる部分を改良した納豆が作られればいいとまとまりました」
「苦手な人が多いというのが発酵食品。健康増進のためにももっと広めるにはどうすればいいのか。人気の料理や大好物にうまく融合させられれば若い人にも食べやすいはずなので、メジャーなメニューにもっと発酵食品が使われればいいという結論になりました」
発酵食品の健康パワーや有用性を改めて認識した今回の講座。これをきっかけに日本の伝統食そのものに興味が広がれば、課題となっている食文化の継承についての新たな一歩となることでしょう。

 

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