【雲雀丘学園中学校・高等学校】
自然体験活動で育てる感性
創立70周年記念事業「里地里山 いのちの環プロジェクト」

里地里山 創立70周年記念事業 いのちの環プロジェクト 自然体験活動で育てる感性 イベントレポート 雲雀丘学園中学校・高等学校
雲雀丘学園70周年記念事業のひとつとして昨年の11月から進められているのが、学園敷地内の窪地を生き物が生活するビオトープ(ため池)と水田に作りかえ、学びの場として有効活用しようという取り組み「里地里山 いのちの環プロジェクト」。取材当日行われた幼稚園児や小学生、保護者、中学・高校生の自主参加による共同作業の様子や、すでに始まっている体験を通した学びについて中高生と先生が語ってくれました。

– レポート –
Report

昨年11月の第1回の作業では4日間で延べ800名が参加して、田んぼと池の成型や防水シートの敷設、田んぼに土を入れて米作りや生き物が住める環境づくりを行ったという。2回目となる今回は2日間で総仕上げ。田んぼでコメ作りができるように、土と腐葉土を運び入れる。

Arrow
Arrow
Slider

中高生は約4トンの腐葉土をたんぼ①に運ぶ作業を担当。
寒さのせい?新鮮さ?腐葉土からは湯気が立ち上る。

Arrow
Arrow
Slider

幼稚園児、小学生、保護者は、11月から追熟中の腐葉土を田んぼ①②に移動。
近畿大学の学生たちも手伝ってくれる。子どもたちは夢中で腐葉土をバケツに入れ、掘り返されたでこぼこ道を何度も往復して土を運ぶ。

Arrow
Arrow
Slider

中高生たちは連携してバケツリレー。張り切って一度にバケツを抱えすぎて「バケツは一つずつにしてね」と先生からお願いされるほど。リズムを刻むように安定した流れでバケツを移動させたり田んぼに入れていく生徒たち。やらされているのではなく、自らやっているせいか、作業がスムーズで楽しそうだ。

2時間ほどをかけて、中高生が担当していた約4トンの腐葉土がどんどん減っていき、最後にはきれいな更地に。すべての腐葉土が田んぼに入ると、生徒たちもやり遂げた喜びにあふれた。

Arrow
Arrow
Slider

子どもたちはふざけたりせずに黙々と土を運び、自分の背丈と同じくらいの小山が田んぼの中に次々とできた。最後には腐葉土の下に敷かれていた防水シートが見え、予定していたすべての腐葉土を運び切った。

– インタビュー –
STUDENTS & TEACHER Interview

岸本先生
理科教諭/科学部顧問/
「里地里山 いのちの環プロジェクト」中高担当
馬立くん
中学2年/科学部中学部長
小高くん
高校2年/生徒会高校副会長

自然に触れ合え、自然体験できる場を校内に

― 「里地里山 いのちの環プロジェクト」は70周年記念事業ということですが、このプロジェクトの概要、学校としての取り組み理由を教えてください。

岸本先生
今、作っている場所はもともと湿地のような場所で、「もったいないね、何か作ろうか」という話があったんです。本校には幼稚園、小・中・高とあるので、「みんなが校内で自然に触れあえる身近な場所として整備したい」「子どもたちに自然体験させるにはあの場所しかない」と学園長先生が一念発起されてスタートしたのが、この里地里山プロジェクトです。

― その結果、幅広い年齢での参加ですね。こちらは基本的に自由参加ですか。

岸本先生
完全に自由参加です。中高生の参加は今回の方が多いと思います。申込があったのは32、3人ですね。11月は幼稚園児や小学生、その保護者とも共同で作業しました。

馬立くん
科学部からの参加は多いですが、それも自由参加で、やりたい人が来ている感じです。

― 馬立くんの参加理由は?

馬立くん
こういう自然に関する活動や体験がいっぱいしたいと思っていて、そういう目的もあって科学部に入ったんです。だから、こういうイベントには積極的に参加しているので、11月も参加させていただきました。でも、11月はかなり重労働だったので、疲れましたね(笑)。

― 小高くんは高校2年生ですが、高校生の参加は珍しいのですか。

小高くん
前回は僕だけでしたが、今日は高校2年生が4人いました。僕は雲雀丘学園に小学生からお世話になっていて、学校が大好きで何か役に立てることができないかなと思っていたら、今回の募集があったんです。この作業は基礎中の基礎で、おそらく将来にずっと残っていくものを作ることになると思ったので、ぜひ参加させていただきたいと思いました。

― 雲雀丘学園は環境問題などに積極的に取り組んできた学校だけに、今回のプロジェクトでも一歩進んだ他とは違うことができそうですね。

岸本先生
もともと本校には環境大使という活動があって、いろいろな環境問題に取り組むグループがあったのですが、今年度から全員に募集をかけるかたちに変更になりました。本校はソーラーパネルもありますし、研究者体験など、サントリーからご支援いただいている縁もあり、環境に対して何かやりたいという思いが強く、生徒も先生も意識が高いので、このプロジェクトが良い機会になって次につながっていくと思います。

雲雀丘のやってみなはれ精神 何でも自分でやってみようを大切に

― 馬立くんは科学部で自然に関することに興味があったとのことですが、ゼロから田んぼや池を作ることをどう思いましたか。

馬立くん
そういう体験は聞いたことも参加したこともなかったので、「マジか!」と驚きました(笑)。

岸本先生
今回運んだ土は腐葉土で、ふかふかで軽かったのですが、11月は防水シートを敷いて、本当に重たい土を入れたんです。土を運んだ記憶しかない(笑)。

馬立くん
それが一番辛かったです。枕木みたいなゴロゴロ転がっている邪魔なものを掘り起こして、その撤去もしました。作業の流れを全然知らなかったので驚きましたが、おもしろかったです。田んぼや池を作る過程が知れたし、時間や労力がかかっていて、自分たちが普段見ている池もこんな風に大勢の人が頑張って作ってくれたんだなと思いました。

岸本先生
別の場所にもともと地元のNPO団体と共同で環境大使が活動していた「きずきの森」という森があるのですが、科学部はそこでも池づくりをやっているので、かなりいろいろな発見があったと思います。

― 小高くんは、里地里山プロジェクトに参加して発見や驚きはありましたか。

小高くん
僕の中では池は穴掘って水を入れて終わり、田んぼは耕して植えたら終わりくらいにしか思っていなかったんです。だから水が漏れないようにシートを敷いたりモミガラを炭にしたものを蒔いたりと、植物や水のことを考えてすべきことがいろいろあるんだと知りました。予想以上にいろいろ手を加えて自然に近い形を作っていく過程には感動しました。

― それを自分が体験したわけですもんね。

小高くん
雲雀丘学園には「やってみなはれ」という創立の精神があって、「やってもらおう、見ておこう、頑張ってもらおう」じゃなくて、「自分でやろう、自分で頑張ろう、自分たちで何か作り上げていこう」ということが大切にされているんです。それに僕もすごく共感していて、「やってみなはれ精神」があるから、今回も池や田んぼづくりに参加しました。力仕事で非常にしんどい部分はありましたが、達成感はありましたね。

体験によって深められる知識 自分の意見が持て、視野も広がる

― 今日の1日でも風景が大きく変わりましたが、今後はどのような予定ですか。

岸本先生
まずは田んぼを完成させて稲を植えることですね。それを収穫してみんなで食べて分かち合うことがひとまずの目標です。

― 学校内でその体験ができるんですよね。雲雀丘学園には、様々な体験の場が設けられていますが、それらを通して自分の成長を実感することはありますか。

馬立くん
よくあります。僕は雲雀丘学園に来るまで、そういう活動に自分から行くタイプではなかったんです。でも、ここでいろいろな体験をしたことで、言葉でしか聞くことがない「地球の環境を守ろう」に対して、自分の意見を持ちたいと思うようになりました。そして意見を持つなら、経験を積んで地球環境について自分の知識をしっかり深めたいと思って、こういう活動に活発に取り組むようになったんです。まだ途中ですが、中高生活でしっかりと意見を持てるようになって、雲雀丘を卒業したいと思っています。

小高くん
雲雀丘はただ体験するだけではなくて、そこからさらによりよくするための改善策はないかと考えさせてくれる学校なので、僕たち生徒もすごく学べます。それに今回のプロジェクトは環境だけではなく、SDGsの15番目の目標「陸の豊かさも守ろう」にも絡められることです。そうやって世界にも視野を向けさせてくれることはすごくありがたい環境だと思いますし、僕自身、少しずつですが、世界や社会が見られるようになってきたことを実感しています。

― 岸本先生も「里地里山プロジェクト」での経験を、その先につなげていってほしいと思われますか。

岸本先生
そうですね。私も理科の教員で、特に生物をやっていますので、教科書を見るだけでは「こんな生き物がいるんだな」と思っても生徒の心に残らないことはよくわかっています。実際に田んぼに触れてみて、周りの生き物や植物に触れてみて、実体験となって自分の身になると思うので、こういう体験は正直まだ足りないぐらいです。やはり自然体験をしていないと人間的な成長は望めません。今は30人程度の活動ですが、本校は千数百人の生徒がいるので、もっと参加者を増やして取り組んでいきたいと思っています。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でココロコミュをフォローしよう!