京都橘中学校
京都橘中学校の伝統行事へ 民舞発表会
「後輩に足跡を残すことが伝統になっていく」

京都橘中学校では、文化祭(橘祭)で中学1、2年生が合唱、中学3年生が民舞「京炎そでふれ!」を発表します。中でも中学3年生の民舞は、夏休みやその前後の時間を利用して外部の大学生から指導を受け、各クラスでパフォーマンスを創り上げるという恒例の取り組みへと成長。伝統行事として定着してきた中学3年生の「民舞」について取材しました。

本番で後輩たちに感動を!伝統を生む中3生の民舞

8月末、橘祭本番1週間前の午後。京都橘のセンターホールでは、中学3年生全員が橘祭で披露する民舞「京炎そでふれ!」の練習を行っていた。生徒たちの前や周りを京都学生祭典おどり普及部の大学生が数人で囲み、模範演技を見せてくれたり、声を掛けて指導をしてくれる。途中、大学生が「京炎そでふれ!」の難しい箇所だけを披露し、「結構複雑です」と告げると、中学生たちは不安そうな顔でため息をついた。
けれど、そこであきらめてしまう様子はない。大学生の手拍子や掛け声に合わせて、手を上げ、足を出し、体を回転させ、折り曲げ、飛び上がり…と教えられた踊りを必死になって自分のものにしていく。あきらめたり、ふざけたりする生徒はいない。発表が迫っていること、クラスの発表であること、そして大学生の指導が今日で終わりということもあってか、とても真剣で緊迫した空気が流れる中、練習が続いた。
その後は体育館へ移動し、今度は音楽をかけながら先の練習を音に合わせて踊っていく。やはり音楽があると体を動かしやすいのか、全員がより活き活きとしてきた。指導する大学生によると「京都橘生は自主練もしてくれていて教えがいがある」とのこと。このひたむきな姿勢が本番で感動を生み、それを見た次の学年が憧れ、受け継がれる伝統になっていくのだろう。このあとも本番まで生徒たちの努力の日々は続いた。
橘祭での民舞発表会
橘祭での民舞発表会
Teacher Interview 全力で最高のものを先輩から後輩へ。それがつながった時に橘の伝統になる
大野紀子先生[中学3年担任・数学科]

一生懸命踊る姿がかっこいい先輩を見て
付けられた価値観

― 京都橘中学校の橘祭で、中学3年生が民舞を披露することになった経緯を教えてください。
大野先生 中学生は合唱発表会で、高校1年生は合唱コンクールなんです。そうすると一貫生の生徒たちは、中1から高1まで4年連続合唱になってしまうんですね。そこで体育大会のように一致団結して一緒に体を動かすものを何か一つ入れようと、民舞のアイデアが出ました。中学3年生は1期生から「京炎そでふれ!」を続けています。
― 練習スケジュールはかなり厳しいのですか。
大野先生 学期末試験が終わってからの7月中に大学生の方に4回ほど来ていただいて、夏休み明けから橘祭までの10日ほどの授業時間に6時間、あとは放課後を使っての練習になります。いつも、間に合うかとはらはらするスケジュールですが、練習期間が短いことは生徒たちもわかっているので、パートリーダーを男女何人ずつか決めて、計画してやっていますね。中学3年生ですから、担任はなるべく指示は出さず、本人たちでやらせています。
― 先ほどの練習でも必死さが伝わってきました。短時間でどうにか自分のものにしようというのは、自主的でないと難しいかもしれませんね。
生徒の頑張りを見守り支える大野先生
生徒の頑張りを見守り支える大野先生

大野先生 そうですね。これまで先輩の姿を見て一生懸命踊るのがかっこいい、適当でやる気がないとか踊りを覚えられていない人はかっこ悪いという価値観を持っているみたいです。だから一生懸命やってくれます。
それに、2クラスなのでクラス対抗になりがちですが、6期生の彼らは学年でいいものを創ろうという気持ちが強く、2クラスの男女がそれぞれ合同で練習することを、自分たちから提案してきました。私からは、先輩として学年一体となって後輩にいいものを見せてあげてほしいとお願いしています。そして卒業すると、次の3年生に伝統になって道がつながるんです。足跡を残してあげてほしいとよく言っています。
― 中学3年生ですから、年頃としては恥ずかしさがあるのかと思いましたが、そういう態度は見られないですね。
大野先生 7月の練習の時はなかなか動けないんです。どうしていいかわからず、ちょっと恥ずかしさもあるんですね。でも夏休みが明けて日がないことを自覚し、生徒たちも「やらねば!」となってきます。

学年方針は「タフであれ」
揉めても話し合って成長してほしい

― 民舞を通して、生徒の皆さんの成長を感じることはありますか。
大野先生 体を動かすことが好きな生徒もいれば苦手な生徒もいますし、上手に踊れる生徒もいれば踊れない生徒もいます。でも、全力で一生懸命踊ればそれが一番いいんだということは理解して一生懸命動こうとするし、それに対して笑うこともありません。民舞のパートリーダーになった生徒たちは悩みながらも「これして」「あれして」と声を出してやっています。表には出さない悩みはあると思いますし、揉めることがあっても話し合って成長してくれたらいいなと思います。
― クラスのまとまりも変わってきますか。
大野先生 変わりますね。いろんなことを経験してきていますから、今の時点で中学1年とは全然違います。今回もどこか揉めて、揉めた中で成長して、その時に担任がフォローに入ればいいと思っています。あとは子供たちの力です。6期生の学年方針は「タフであれ」です。今の時代は打たれ弱い子が多いので、転んでも自分で立ち上がれと言っています。
― 京都橘の伝統として民舞をこれからも受け継いでいってほしいですか。
苦手そうな生徒には応援の声をかける
苦手そうな生徒には応援の声をかける

大野先生 そうですね。私は1期生が中2の頃から「君たちが1年過ごして取り組んできたことを下級生たちは見ている。だからそれを全力で最高のものにしていけば、下級生はさらに良いものにしようと思ってやってくれる。それがつながった時に橘の伝統になる」という話をしてきました。京都橘中Vコースは開校して日が浅いので、クオリティの高い、内容のある伝統を創っていきたいという思いが、私の中で最初からあったんです。今の中学3年生にも、「中1、中2が君たちを見ている。君たちを見て彼らは成長する。君たちがいい加減なことをすれば下級生もいい加減になる。それは自覚しよう」と言っています。
― 先生に「こうしなさい」と指導されるよりも、後輩が見ている、先輩がすごいという方がモチベーションも違ってくるし、本当の意味での伝統になるのかもしれませんね。
大野先生 校長がよく話す「EQ」(Emotional Quotientの略、心の知能指数)という言葉が本校のポイントです。人と人とのコミュニケーション能力、表情や言葉掛けひとつひとつが大切という話を折に触れてあり、それをまた担任がするということが、今繰り返し行われているので、生徒たちも感じ取ってくれているのかなと思います。

SPECIAL COMMENT
京都橘中3生を指導する
京都学生祭典おどり普及部の皆さん
京都橘中3生を指導する
京都学生祭典おどり普及部の皆さん

おどり普及部とは?

京都大学、同志社大学、立命館大学など、京都にあるいろんな大学から踊り手が集まってできている団体です。普段は大学のチームごとに「京炎そでふれ!」というオリジナルの創作おどりを踊っています。「京炎そでふれ!」を600人で踊って、ギネス世界記録を達成したこともあります。

京都学生祭典 おどり普及部

京炎そでふれ!とは?

「京炎そでふれ!」は13年前にできたオリジナルの創作おどりです。沖縄の民謡楽器四つ竹(よつたけ)を、京都も竹に縁が深いということで持って踊ります。「京炎」には「学生の燃えるような想いを京都から全国に発信したい」という願いと、「共演」「競演」という意味があります。「そでふれ」はことわざ「袖振り合うも多生の縁」と「friend」、涙を象徴する「そで」を踊りで「振り払う」ことが由来です。
京都橘の皆さんが躍るのは、「京炎そでふれ!スペシャルバージョン」という演目で、一番スタンダードな5分半ぐらいの長さの演舞です。踊られる方に合わせて、ちょっと簡単にしたバージョンやゆっくりバージョンなどもあります。

指導の難しさやポイント

踊りの基礎がある子とない子に教えるのはやはり違います。いろんな学校に教えに行きますが、各校で生徒さんの雰囲気は違い、授業だから義務的にやっている中学生になかなか話を聞いてもらえなくて、こちらがしんどいですね。京都橘中学の皆さんはすごく意欲的で、自主練もしてくれているようで、すごくやりやすいです。時間は限られますが、必死で食らいついてきてくれるから進みも早いです。

京都橘生へのメッセージ

小学校や中学校の時に「京炎そでふれ!」を知った子が大学生になっておどり普及部に参加してくれたり、「その踊り、知ってる」と言ってきてくれたりして、私たちもやりがいを感じて頑張っています。こちらの学校でも何年も続けているということですから伝統の踊りになってくれればいいなと思いますし、今後そういう出会いの機会があると嬉しいです。

合唱発表会と合唱コンクールも伝統に…

橘祭では、中学1・2年の合唱発表会、高校1年の合唱コンクールも開催。練習では、音大の講師を招いて指導を受け、美しいハーモニーを届けるために、皆が一つになって歌声を合わせます。開校当初から行われている合唱披露も、京都橘の伝統として受け継がれています。
中学1・2年の合唱発表会、高校1年の合唱コンクールの練習の様子。音大の講師を招いて指導を受けます。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でココロコミュをフォローしよう!