神戸国際中学校・高等学校
校長インタビュー

神戸国際中学校・高等学校 校長インタビュー
1クラス20人という少人数体制でグローバル人材の育成を目指す神戸国際中学校・高等学校。同校では自由と自主性が重んじられ、未来を切り拓いていく生徒の個性を引き出し伸ばすための充実した教育環境が整っています。今回は、同校が目指す教育指針と育みたい生徒像について、2017年度より同校に赴任された澤田陽一校長に話をうかがいました。
Profile
校長
澤田 陽一先生
神戸国際中学校・高等学校 校長。兵庫県の県立高校で38年にわたり教鞭を取り、2校の県立高校に校長として赴任。
2017年4月から神戸国際中学校・高等学校の校長に就任し、初めての私立女子中高での指導で生徒たちの積極性や自律性に新鮮な驚きと感動を覚えながら、同校独自の魅力を高めるため様々な取り組みを行っている。

目指すは「個を生かす、進学に強い女子校」

澤田校長
― 神戸国際中学校・高等学校に着任されて、どのような印象をもたれましたか。
澤田校長 校舎の美しさや豊かな自然など、公立校とはまた違う環境が素晴らしいと思いましたが、特に感動したのは体育祭での様子です。小人数なので生徒が1人で何役も担い、共学なら男子がするような力仕事もすべて女子が行います。彼女たちの姿を見て、生徒たちの自治能力の高さと責任感は女子校だからこそ育まれる力だと実感しました。

―数ある女子校の中でも神戸国際中学校・高等学校は、制服やチャイムがないという自由な校風、個性的なカリキュラムなど独自の魅力があります。澤田先生の中でのこれからの理想像はありますか。
澤田校長 本校が目指す姿として、私は「個を生かす、進学に強い女子校」というコンセプトを考えました。「個を生かす」というのは学校としての個性をはっきりさせる、そして生徒1人ひとりの個性を伸ばすという意味があります。本校は英語・フランス語の2カ国語が必修なこと、海外での語学研修や留学のプログラムが豊富なことなどの特長がありますが、それらの特長をさらに磨いて輝かせ、国際理解・グローバルな人材の育成に、より力を入れていきたいと思っています。
そして「進学に強い」については、最近の本校の進学実績を見ていただいてもわかるように、2017年の卒業生46名中11名が東京大学や大阪大学をはじめとする国公立大学に進学しています。およそ4人に1人が国公立大学進学という実績は、他の私学女子校に比べても決して引けを取らないと思います。

―高い進学実績ですが、その理由は何だと思われますか。
澤田校長 3年前から実施している「トワイライト・レクチャー」が大きな役割を果たしていると思います。本校は中高ともに1限を45分として7限まで授業をやっていますが、その後に中学校は週2回、8限目を設定してパソコンを使った学習をします。高校1、2年生は週3日で8・9限目まで設定し、18時に終わります。高校3年生は月~金曜日までの5日間、8・9限目を設定して18時まで学習します。いわば校内予備校のような存在です。

トワイライト・レクチャー

中学校1年生から高校3年生までを対象にした放課後補習。
中学生

全員参加でe-ラーニングを活用した自学自習を通し、基礎基本の定着を目指している。

高校生

希望制で1、2年生は国語・数学・英語、3年生はそれに加えて世界史・日本史・地理、政治・経済、物理・化学・生物を実施。一部の科目では予備校講師を招き、大学入試を意識した学習を行う。

澤田校長
―貴校は文系と同じく、理系にも強いというイメージがありますね。
澤田校長 確かに近年、医歯薬系コースを希望する生徒が増えています。本校の生徒の保護者は医師、歯科医、薬剤師などの方も多く、子供を医歯薬系に進学させたいというご要望をいただいたことから「医歯薬系コース」が設置されました。そのため名称も理系ではなく「医歯薬系コース」で、現在は全体の4割近い生徒が志望しています。

― ほかにも多様な行事があることも貴校の特長ですね。
澤田校長 特に中学校ではサマーキャンプやイングリッシュキャンプ、校外学習や芸術鑑賞会などいろいろな行事を行っています。もちろん勉強はしっかりやっていますが、勉強だけではやっていけません。学校行事を通して楽しさも知ってもらいたいです。

生徒が行きたい道に進めるよう全力を尽くす

ニュージーランド研修

ニュージーランド研修

― 貴校は国際教育において非常に恵まれた環境がある学校だと思います。海外で活躍する人材の育成についてはどうお考えでしょうか。
澤田校長 語学力とグローバル人材の育成には常に力を入れたいと考えています。本校は創立から27年をかけてグローバルな人材を育成してきたという、付け焼刃ではない積み重ねがあります。それを特化していっそう輝かせたいのです。例えば現在はネイティブの教師は英語が4人、フランス語が2人で、本校の規模で6人のネイティブを配置している学校というのはそう多くないと思います。
これはまだ構想の段階ですが、高校では新しく「グローバルリーダーコース」を設置したいと考えています。いろいろな大学で海外でのインターンシップが行われていて、その高校バージョンを作りたいと思ったことがきっかけです。また高校と同じく中学校でも、入学時からコース設定をする取り組みを考えています。

海外語学研修
海外語学研修
―その中で育成したい生徒像はどんなイメージですか。
澤田校長 世界で活躍するために最も重要なのは、自分の総合的な能力を高めその力を発揮することです。語学力は単なるツールでしかありません。真にグローバルな人材の育成は中高だけで完結するものではないと思っているので、生徒たちにはぜひ大学という高みを目指してほしい。希望する将来をつかむために「いける大学」ではなく「いきたい大学」に合格できる学力をつけてほしいと思っていて、そのために本校があるのだと理解しています。
―さらに先があってこその中学・高校であり、そういう意味でも御校で希望の大学にいける学力をつけることが大事なのですね。
澤田校長 国際感覚を磨いてもらうために留学プログラムも見直し、高1の晩秋~初冬に実施していた3週間のニュージーランド留学を今年から中3で行うことにしました。これは新テストを視野に入れた2020年対応でもあります。さらに高校で来年から1年間の留学期間中の授業料を奨学金として免除する取り組みを実施したいと考えているのですが、実現すれば長期留学に挑戦しやすくなると思います。

様々な経験をし、荒波にもまれてこそ
教師は成長できる

―貴校は生徒に対して細やかな指導をされていますが、やはりこの規模だから可能なことでしょうか。
澤田校長 それは確実にありますね。少人数制授業のメリットはよくいわれていますし、英語や数学については20人以下の人数で学んでいる学校も多いと思いますが、本校はすべての授業をそれくらいの人数で行っているんです。だから全体に目が行き届きやすく、生徒のつまずきにも早く気づいて対応できます。
―澤田校長は長年、県立高校で教鞭を取っていらっしゃいましたが、私立の中高一貫校についてはどう思われますか。
澤田校長 非常に大きな可能性を感じています。例えば高校で前に戻って学び直したいと思っても中高が別では限界がありますが、一貫校なら6年間全体を見越した教育が可能です。本校は特に中学校での学びが非常に重要だと考え、現在、中学3年間のカリキュラムの見直しについて検討委員会で協議しています。
―どういった点を検討されているのですか。
澤田校長 医歯薬系に進む生徒が増えているものの、大多数の生徒は文系の科目を得意としています。言い換えれば理数系、特に数学が苦手な生徒が多いんですね。その弱みを克服するためには中学の数学をしっかり理解させた上で次へ進むこと、生徒が授業に遅れないように意識することが大切です。一貫校では先取り学習がよく行われますが、本校も高1の授業を中3で実施しています。特に数学は中学に比べ、高1になったとたん授業のスピードがすごく速くなるんですよ。その時期に数学に対する苦手意識をもたせないための対策なども、検討委員会で議論をしています。こういった改善で文理ともに強い女子校という将来像につなげていきたいです。

自然豊かな自由な環境で学力も心も育てる
自然豊かな自由な環境で学力も心も育てる

求められるのは、学力を伸ばし心を育てること

―着任されてから様々な取り組みを進めておられるのですね。
澤田校長 最も意識しているのは、お預かりした生徒1人ひとりの個性や能力を引き出すために、私たちは最大限の努力をしなければならないということです。生徒の可能性をどこまで伸ばしてあげられるか、そこが教育者の腕の見せ所だと教員にも伝えています。
先程、学校が目指すコンセプトとして「個を生かす、進学に強い女子校」を紹介しましたが、その他に今年のスローガンもあるんですよ。それは「学力を伸ばし心を育てる」です。
―そのスローガンに決められた理由は何でしょうか。
澤田校長 学力を伸ばすことは重要ですが、道徳心を育てることも同じように重視しているからです。例えば最近、電車で立っているお年寄りに学生が席を譲らないという光景をよく見かけますが、それで良いのでしょうか。生徒の道徳心や公共心を育てていくという目標の中には国際理解も入っています。文化の違いを認めて心を育てるというのは今、最も求められていることだと思います。
―今後、貴校の強みとして力を入れていきたいことを教えてください。
澤田校長 教員の育成にますます力を入れていきます。学校の良し悪しを決めるのは、日々生徒と触れ合っている教員一人ひとりの指導力と授業力がすべてといっても過言ではありません。例えば今年から数学と理科の教員に、兵庫県立教育研修所で公立の中高の先生と交わって視野を広げてもらう試みをしました。様々な環境に身を置き、多くの体験をすることが教師にとって最大の研修になると考えるからです。公立校の教師はいわゆる底辺校からトップ校に転勤することも、その逆もあります。しかし私学は転勤がなく腰を据えてじっくり教育に取り組めるメリットがある一方で、視野が狭くなる恐れもあると思うのです。それを避けるためにも、教員には可能な限り研修に出てもらうように心がけ、指導力と授業力を活性化していきます。

 

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