大谷中学校(大阪)
自分の個性を愛し、生かし、美しい花を咲かせる
そんな生徒を育てることが大谷中高の使命

中高一貫教育を行う女子校として100年以上の歴史をもつ大谷中学校・高等学校。2017年に校長として就任された堀川義博先生は、「心のフレームの大きな女性を育成する」をモットーに、生徒の体験を重視する教育を行っています。同校独自のカリキュラムやめざましい進学実績、そして今後の展開について話をうかがいました。
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校長堀川 義博先生

大谷中学校・高等学校 校長。大阪府の私立男子中高で40年にわたり教鞭を取り、うち18年は教頭として勤務。2017年から大谷中学校・高等学校の校長に就任し、初めて女子校での指導を行う。「心の教育に性別の差はない」と語りつつ、男女の特性の違いにも注目し、就任以来、様々な取り組みを行いながら“大谷中ならではの女子教育”を展開している。

自分だけでなく、他人の幸せを願えること。
それこそ「心のフレームの大きな女性」

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― 男子校ひとすじ40年の教育実績をお持ちですが、女子校の校長として赴任されて、とまどいなどはありましたか。
堀川校長 よく聞かれるのですが、まったく感じませんでした(笑)。大切なのは生徒の心の教育であって、そこに性別は関係ないと思っています。とはいえ、男女それぞれの特性はあります。その特性を尊重して、どう生かしてあげるかに女子教育・男子教育の存在価値があります。
例えば女性は、他人と協力して物事を進めようとする「協働意識」が強いですね。だから他人の心もようを読む力があり、さらに調整能力にも長け、他人に対する優しさや思いやりも豊かにもっています。それは女性の非常に優れた特性だと、本校に赴任して実感しました。
― 堀川先生は「心のフレームの大きな女性」を育てたいとおっしゃっていますが、具体的にはどのような女性でしょうか。
堀川校長 心のフレームの大きな女性には、4つの特長があります。1つめは、自分と他人の命を大切にできること。命は天から授かりもので、そのありがたさをちゃんと知っている女性です。2つめは、常に感謝の気持ちをもって人生を歩もうとする心構えをもっていること。
3つめは、誰とでも対等な視線で対話ができること。グローバル化が進んだ現在は、対話の時代です。どちらが優れているか、劣っているかという競争の時代ではありません。私たちはみんな互いに助け合い、支え合って生きているのですから。
そして4つめに、自らを成長させる志を持ち続けること。それも自分のためだけでなく、他人の役に立つために、自らの成長を望むことです。

― 自分だけでなく、他人の幸せも考えられる女性ということですね。
堀川校長 その通りです。本校の教育理念は「次世代の命を育む女性にこそ、高い教養と豊かな魂を」ですが、この4つを備えたフレームの大きな女性は、まさにそれを体現すると思うのです。そういう女性を育てていきたいですね。

やってみるだけの体験型とは一線を画す、
本質に切り込むカリキュラムが大谷中高の底力

― 大谷中学校には「医進」「特進」「凛花」の3コースがありますが、それぞれ、どんなカリキュラムを実施されていますか。

医進コース

最難関国公立・私立大学の医系・理系学部をめざす。
2年ごとにステージ別に目標を立てた学習と、効率的な先取り型カリキュラムで最難関突破のための高い学力を養成する。
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特進コース

難関国公立・私立大学の全学部への現役合格をめざす。
学びながら文系・理系を選択可。高2で文・理に分かれた選択科目を受講し、文系志望者は「特文クラス」に入ることができる。
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凛花コース

話せる英語力を習得し、世界で活躍できる女性をめざす。
広い視野を獲得するため、同校独自の教育プログラム・プロジェクトを通して自ら考える力を育成する。
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ドラフトチャンバー

堀川校長 全てのコースを通して生徒たちに実際に体験させることを何より重視し、身をもって思考力、表現力、判断力をつけさせています。生徒が社会に出て、正解のない問題に対応しなければならない場面が、今後ますます増えるはず。それに対して自分で判断し、行動するための思考力・応用力を身につける必要があるからです。
例えば「医進コース」では、理科で数多くの実験を行っています。その中にはカエルの解剖もあります。2人で1匹を解剖するのですが、そのカエルは、生徒が産卵させてオタマジャクシからカエルまで生物室で育てています。実験がきっかけとなって理科の面白さに開眼し、理系をめざす生徒も多いです。
理科の実験にはかなりこだわりがあるので、ドラフトチャンバー(※)などの高度な実験機器も揃えています。中高でこれを備えているのは、なかなかないと思いますよ。
(※)局所排気装置のこと。有害物質対策に使用する。

― 貴校には“リケジョ”が多いと有名ですが、そのお話をうかがって納得しました。では「特進コース」「凛花コース」ではどのような体験を?
堀川校長 一例を挙げると企業探求です。様々な企業を調べて「もし自分たちが商品を作るなら」という視点で業務を見学することもあります。街頭で一般の方にインタビューしながら、市場で求められる物は何か、どんな物を作れば消費者は喜んでくれるのかを考えます。
ただし、単に売れるだけの物を考えてもダメ。ものづくりには「世の中の役に立ち、人の幸せにつながるものを作る」という理念があるべきです。体験を通し、人の心の部分まで分け入って深く考えていくのが本校のやり方です。

個性を尊重する教育が、
最難関国公立大学から求められる生徒の育成につながった

―2017年度は進学面で変化があったとおうかがいしています。
堀川校長 京都大学の特色入試に1名が合格、大阪大学の「世界適塾入試」には5名が合格しました。さらに難易度と競争率の高さで知られる東北大学の航空工学科にも1名が合格しています。大阪大は合格した学部も法学、人間科学、看護、歯学、基礎工学と様々で、いろいろな分野で活躍してきた生徒たちがその力を認められた結果といえるでしょう。東北大に合格した生徒は、将来は宇宙飛行士になりたいという夢をもっています。どの生徒も、本当に将来が楽しみです。

―すばらしい成果ですが、理由は何だと思われますか。
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クエストカップ

堀川校長 本校が今、求められている21世紀型教育を実行する学校として期待されているからだと思います。基礎的な学力、知識、技能は確実に備えつつ、思考力や問題解決力、コミュニケーション力など、今後ますます必要になるスキルもしっかり身につけていると認められているのでしょう。
本校は特定の大学や学部に入れるための進路指導はしていません。なぜなら、教育の原点は個性を認めて伸ばすことだからです。その子の個性が最高に光る進路を生徒と一緒に見つけて、「あれが君の舞台だから、自由に、思い切り踊っておいで」と送り出す。そうすると、どの生徒も本当に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれます。それが私たちの誇りです。
―生徒の個性をどのように見つけておられますか。
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堀川校長 個性を見つけるのは、本人より家族より、むしろ教師が向いていると思っています。自分のことは意外と自分が一番わからないものですし、親にとって子供は宝なので、期待するあまり正確に見極められないところもあるのではないでしょうか。その点、教師は第三者として生徒がもっている素晴らしい個性を客観的に見ることができます。
人の個性はいろいろな花のようなものだと思うときがあります。どの花にもその個体だけがもつ美しさがあり、優劣をつけられるものではありません。それと同じよう
に、本校の生徒にも自分の個性を認め、愛し、存分に生かせる人になってほしいと思っています。そして自分の個性と同じように、他人の個性も認め、尊重できる人間になってほしいですね。
―各コースの今後の展開について教えてください。
堀川校長 「医進コース」は“行間を読める医療関係者”を育んでいきたいです。小説を読むときなど、よく行間を読むという表現をしますが、それと同じで病気だけでなく、人の心のひだを読み取って対応してほしいのです。これからは医療技術に長けているだけでなく、患者の気持ちに寄り添う医療人が必要になると思っているからです。
「特進コース」は文理ともに、調整能力を備えたリーダーを育成していきます。法曹界、民間企業、行政などで人を思いやり、誰とでも同じ目線でコミュニケーションを取ることのできる女性になって、社会の様々な場面で活躍してもらいたいですね。
「凛花コース」は世界を舞台に輝く女性になることをめざしています。グローバルマインドをもって世界で交流できる女性になるためには、英語というツールは必須ですが、それだけでは足りない。自ら課題を見つけ、英語を使って自分の意見を発信できる女性になってほしいと思っています。
―来春よりスタートする高校募集に関してはどのようにお考えですか。
堀川校長 大谷の社会的使命は、豊かな魂をもつ女性をより多く社会へ輩出することです。今後労働力人口が500万人以上減少するといわれている中、シニア世代や外国人の労働参加、AIの活用など、様々な方策が検討されていますが、それにもまして女性の力が求められています。女性の特性のひとつとされる調整能力は、この多様化の時代、対話を武器に大いに発揮されるのではないでしょうか。また多様化の時代だからこそ、女子校、男子校、共学校、と多彩な環境で学んだリーダーが必要ではないでしょうか。女子教育はさらにその重要性が増すと考えています。6か年教育で培ってきた女子教育の理念を、3か年教育においても実践し、学校生活では行事等を共有し、学習体制については、6か年一貫課程と3か年課程それぞれ分離して教育を実践いたします。
6か年の伝統と3か年の新しい風、それぞれが互いに良い影響を及ぼしながら、ますます輝く大谷中学校・高等学校となることを期待しています。

 

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