洛星中学校・高等学校
「私の教育 私学の子育て」
藤田副校長インタビュー

藤田武久先生
先生からのメッセージ

私の教育
私学の子育て

先生が考える教育ってなんだろう?
私学の先生が思う子育てってどんなもの?
決まりごとも正解もない教育や子育て。
生徒たちと深く関わる先生から、そのおモットーや考え、想いをうかがいます。
洛星中学校・高等学校 副校長
藤田武久先生

Vol.3

教育とは、自分で考え
自分でやれる人を育むこと

洛星中学校・高等学校 副校長
藤田武久先生
洛星中学校・高等学校副校長。同中・高の25期生で、大学卒業後に数学科教師として母校へ赴任。生徒募集委員長、教務部長・副部長を歴任し、現在は副校長として母校を支え、後輩たちを指導する。長年続けているテニス部の顧問は現在も継続中。学生時代からの反響板同好会では今も顧問として活動する。

藤田武久先生

裏方に徹することができる反響板同好会 
仲間とともに汗を流せるのは洛星の伝統

過去に戻れるならば、高校2年生に戻りたいといつも思います。洛星では高校3年生は受験の準備に入りますので、実質的に高校2年生が最高学年で、行事など学校全体を取り仕切って、自分たちが後輩にいろいろ伝えなければいけない学年なんです。しかも6月に研修旅行があり、9月に文化祭と体育祭、12月にクリスマス・タブローと行事が目白押しでとにかく忙しい。あまり勉強はしていなかったですが、友達や後輩と一緒にいろんなことができた一番面白い1年間でした。
洛星時代の私は目立つのが嫌で、あまり表舞台には立たなかったですね。この学校で教師になってから私の記録を見たら、中学の担任が「もっと前に出るべきだ」と書いていました(笑)。担任の先生はよく見ていますね。
私は文化祭では、ステージの裏方をやっていたんです。しんどいけれど、みんなで一緒に汗をかいて働くことが面白かったんですね。当時、修道院のブラザーの方がいらっしゃって、校内の いろいろな備品を手作りされていました。 合唱やオーケストラの公演のときに ステージ設置する横側の音響の反響板も作られました。鉄骨のフレームを入れ た大きな木製の板を 、片側3枚をつなぐのですが、その1枚ずつを滑車を使って人力で引き上げる のに少なくても十数人いないと立てられず、ちょっとしたテクニックも必要なんです。そこで、当時それに 関わった人間が集まって、反響板同好会ができました 。約35年前のことで、 それは2018年の今も脈々と引き継がれ、生徒と一緒に私もいまだにやっています(笑)。
裏方に徹することができる反響板同好会の生徒たちをすごいなと思って見ています。クリスマス・タブローや文化祭などの行事に来てくれる卒業生たちも、それが終われば 大勢の人が 片付けを一緒に手伝ってくれます。それは本校の良さであり伝統ですね。卒業してからも学校のことを愛してくれているし、学校という器だけではなく、後輩の面倒も見てやろうという気概を持ってくれている人がたくさんいます。それが後輩に受け継がれ、またその後輩が卒業して次の後輩に受け継がれて、どんどんつながっていく…洛星の子育ては、先輩からの学びが大きいと思いますね。

藤田武久先生

つまずく生徒の気持ちがわかるから
「自分が教えることができる」

教師になろうと思ったきっかけは、年下の子の面倒をみるのが嫌いではなかったからです。後輩とつるむのも好きでした。それに小学生のときボーイスカウトをやっていて、大学になるとリーダーになり、子どもたちにいろんな活動をさせるのも楽しかったんです。アルバイトも家庭教師や塾の講師をしていて、子どもにいろんなことを教えるという経験があったんですね。
実は、中・高校時代は数学が得意ではなかったんですよ。
私自身、出来が良くなかったから、つまずく生徒や理解できない生徒の気持ちがわかるんです。大学は工学部で人とは違うから、「自分が教えることができる」と思いました。
教師になった当初は、私も若く、生徒とあまり年も離れていなかったので兄貴的な感じで接することができればと思っていました。1年目は中学1年生と高校2年生を担当し、その高校2年生とは今でもよく会います。年齢でいうとちょうど10歳下だったことと、その学年がやはり高校2年生だったからかもしれませんね(笑)。

自分で考えて自分でやりなさい

教師になった当初からずっと言い続けていることは、「自分で考えて自分でやりなさい」ということです。周りが自分のために何かしてくれると思ったら大間違いだと。これは勉強だけではなくいろんなところで言えることです。
今の時代、いろんな物事に対して「こういうことが起こったらこうしましょう」というマニュアルがたくさん出ているわけですが、そのマニュアルを見ればわかるようなことは誰でもできます。そうではなく、そこからもう1つ上をいくオプションを、自分で見つけてやらなければいけないと思うのです。
誰かに言われなければ動けないではダメで、周りをよく把握して、自分がどういう立ち位置にいるのか、自分はどういうアクションをしなければいけないのかまで考えられるようにならなければと思います。そのためには常々視野を広げておくこと。そしていろんなことを経験するだけで終わらせるのではなく、自分のものにして、それを後でちゃんと使えるように体得しておかなければいけません。
たとえ失敗しても同じ失敗を繰り返さず、良いことがあればそれをさらに良くするためにはどうすればいいかを考える。どんどんバージョンアップしていくこと、自分にとっても周りにとっても良くしていくこと、それが大切かなと思います。もちろん、一朝一夕でできるものではありません。
確かに中高の6年間は、感受性豊かでたくさんいろんなことを覚えられる6年間ではあるけれど、完成できるかというとそれはできません。6年間で「自分で考えて自分でやる」ためのコツを、つかんでもらえればと思いますね。

藤田武久先生

100点でなくていい。10点プラスで構わない

本校では、文化祭や体育祭といった行事を大切にしています。それは、「会得」「体得」できるものがたくさんあるからです。授業では絶対に学べないことがありますね。
特に文化祭では生徒が教師のところに良く相談に来ます。いろいろアドバイスはしますが、何もかもすべて教えるのではなく、生徒たちが自分で工夫し考えるというステップを絶対に残したいと思います。最近は、いい意味でも悪い意味でも成果主義です。見える形で成果を出さなければいけないという風潮になっています。でも、よく考えてみたら、成果は大事だけど、そこに至るプロセスこそが大事なんです。数学も成果よりそこに至るまでが大事で、そこに至るまでにどれだけのことを考えて答えにたどりついたかが得点になります。100点満点の答えなんて出せないけれど、100点でなくていいんです。10点プラスで構わないわけです。

「放課後」という言葉が嫌い

教師になって良かったですね。私たちの仕事は人を育てることです。卒業する瞬間までどんな人になるかなんてわかりません。そして将来、目立つ活躍をする生徒もいれば、目立たなくても頑張っている生徒もいろいろ出てきます。そのために教養は持っておかなければいけないから教師はいろんな授業をやっていくわけですが、教科書に書いてあることを学ぶだけではなく、それを通じて何か考える力をつけられるようになってくれればと思います。
それは決して授業時間内だけではありません。私は「放課後」という言葉が嫌いなんです。小学校は下校時刻まではグラウンドで遊んでいいのですからまさに「放課後」かもしれませんが、中学・高校の場合は「放課後」という時間にクラブ活動をしたり、自習をしたり、図書館で本を読んだり、学校の中にいて学んでいます。「放課後」という時間にこそ大きな意味があるんです。
本校では、学ぶ時間だからこそ高校2年まではどこかのクラブに所属して活動できるように、一定のクラブ活動の時間は保証しようという形ですし、すべてのことを学校で完結する必要はなくて、地域での活動でもいい。私のようにボーイスカウトをやってもいい。授業以外の時間にもどんどん学ぶ場を増やしてほしいです。

藤田武久先生

学校と保護者で一緒に子どもを教育

本校では入学式の日に「あくまでも子どもの教育は親の務めです、本校はその一部を委託されています 」と保護者にお伝えします。洛星での教育がすべてではなく、「一緒にやりましょうという姿勢です」と、ずっと話しています。
やはり中学生くらいでは、まだまだ親から学ぶことや家庭内でのしつけが必要です。また教わるばかりではなく、家族と一緒にいる家族の一員であることも大事なのです。学校だけではできないことがたくさんありますから、学校で子どもの教育のすべてが終わると思わずに親と一緒にやっていくことの必要性を伝えています。

「優しい」を普通にできる子

男子校の良さのひとつだと思いますが、本校には優しい行いができる子が多いです。そういうところが外部の方が文化祭などに来られて「洛星はいい学校だ」と思ってもらえるところだと思います。
誰かが困っていたらすぐに助けてあげられる優しい子が多いんですね。例えば、学校に来るお客さんに道を聞かれたら、普通なら「あっちです」と言うだけで終わるところを、わざわざ学校まで一緒に案内してくれたりします。
卒業生が後輩の面倒を見るという伝統は、まさにそういう優しさの現れだと思いますね。クリスマス・タブローの準備のために、仕事を休んで毎年来てくれる卒業生もいるくらいです。彼らにとっても年間行事になっているんですね。
中学生や高校生も、自分から優しくしなければ、という気持ちがあるわけではないと思うのですが、困っているから助けてあげるのが普通で当たり前と思ってくれている子が多いように感じますね。中学・高校時代にそう思ったら、その考えは一生続くんじゃないかと思いますよ。

藤田武久先生

入学時はそれぞれ違っても
卒業時は全員が同じ洛星生に

本校は昔からいい意味で変わっていないですね。悪い意味でも変わっていないかもしれません(笑)。その中でいいなと思っているのが、昔と今で卒業していく時にはさほど違いはないことです。
確かに環境が変わり、入学時は20年、30年前の生徒とは違います。昔は普通にさせていたことが、今の生徒は経験不足で、大人がかなり手をかけないとできないことが多くなりました 。でも、少なくとも卒業していく時には、昔の卒業生と変わらない洛星の卒業生 にしたいと思っています。だから今おられる本校の先生方の仕事は大変なんです(笑)。でも、それでこそ洛星です。それができなくなったら洛星という学校は、中身もやり方も変えていかなければいけないと思います。
例えば大学合格実績で言うと、一時に比べて数字が悪いと言われるかもしれませんが、数字だけを追いかけることはしたくないし、それよりはもっと先の社会で活躍できる人材が育っていけば良いと思っています。それに向けての中学・高校の6年間だと考えれば、ここで学んだことを悲観する必要はないし、意味あることを十分やっています。

「あの人のようになりたい」と思われる人こそリーダー

今、いろんなところに「リーダー」という言葉が出てきます。世の中でも「次世代リーダー」という言い方をしますし、本校の学校案内のパンフレットにも「よりよいリーダーとなるように」とあります。しかし、「リーダー」と言っても、形式的にポストとして人の上に立つばかりでなくてもいいと思うんです。縁の下の力持ち的な存在だって構わない。それでもなぜ「リーダー」と言うかというと、「あの人のようになりたい」と思われる人であれば、人を導くリーダーだからです。
リーダーで、しかもグローバルなんて言葉がつくと、目に見える形ですごく活躍しなければいけない感じですが、そんな人ばかりでも困ります。「次世代リーダー」って何なんだ?と思いますから(笑)。それよりも、いろんな形で社会貢献すればいいし、いろんな人間がいたらいい。そういう意味でも本校の卒業生は、いろんな活動の場を持っていますよ。銀行員や商社勤務などもたくさんいますが、自分のやりたいことをやれている人たちが多いんです。そういう意味では、やりたいことをしっかりとやれたら、自然と「リーダー」になっていくのではないかと思っています。



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