園田学園中学校
“数学+ICT”
少人数制を活かした、きめ細かなICT教育で
生徒一人ひとりのやる気と学力をアップ

園田学園中学校では、生徒全員が入学時からタブレット(iPad)をもち、ICT を活用した授業を受けています。真新しい校舎の全教室にはホワイトボード、プロジェクター、Wi-Fiが完備されており、教員や生徒のタブレットが同時接続できる環境が整っています。今回は、数学科で積極的にICT教育を実践されている吉村先生の中学2年の授業を取材しました。

授業レポート

授業風景写真1

通常は習熟度別に行われる数学科の授業ですが、今回はグループ学習のため18名が参加。「みんな、ハサミをもってきましたか?」。先生がもつ超特大のハサミを見て、大笑いする生徒たち。リラックスした雰囲気で授業が始まった。

タブレット授業写真
授業風景写真2

今日の課題は、「四角形を4つに切りわけて並び替えをし、別のカタチをつくる」。グループごとに配られた四角形の紙を切って、平行四辺形にすることに挑戦。前の授業で習った「平行四辺形の5つの条件」をタブレットで検索する。
ハサミでざくざく切っていく生徒もいれば、定規を使ったり、折り目をつけて慎重に切っていく生徒も。「自分たちで考えることが大切」「4つのパーツを裏返すこともOK」「目的をもって切ってください」と、先生が声をかける。

授業風景写真3
授業風景写真4

四角形を4つに切って平行四辺形にすることは意外と難しい。生徒たちはグループごとに相談しながら、切ったパーツを合わせたり、離したりすることを何度も繰り返す。
考える時間を多くとるのは、実際に手を使って作業することがとても大切だから。「辺の長さが一緒でないと合いませんよ」と先生がヒントを出すと、正解に近づくグループが現れた。

タブレット授業風景写真2

次の課題は、「どんな切り方をして、なぜ平行四辺形とわかるのか、グループ で話し合い説明してみよう」。平行四辺形を完成させることができたグループは、その手順をタブレットで撮影し、説明を加えて先生に送信する。

先生授業写真
先生授業写真2

豊臣秀吉が行った太閤検地を、社会の教科書に載っている資料を見せて紹介。辺や角度がバラバラの4つの田畑を長方形にする公式を使って、正確に計測することができた当時の測量技術に驚く。
自分のタブレットの展開図をホワイトボードに写して、解答していく吉村先生。各辺の中点を結ぶ対角線で4つに分割したあと、対角が中央に集まるように動かせば、平行四辺形ができることがわかった(はとめ返し)。

参考:はとめ返しを説明するために授業で使われたフリーソフト
http://www.juen.ac.jp/g_katei/nunokawa/DynamicMath2/Hatome2_2.html

teacher interview

園田学園中学校

数学教諭
吉村 章 先生

授業や宿題にタブレットを活用し、
「考える時間」や「取り組む量」を増やす

ー 数学科にICTを導入するメリットについてお聞かせください。

吉村先生 数学科では、特に図形やグラフでICTが活躍します。図形を回転させたり、立方体の切断面を角度を変えて見ることができるアプリが充実しているので、タブレットを導入してから授業がやりやすくなりました。グラフの表を一人ひとりに配布する手間もなくなりましたね。なにより、計算問題をその都度ノートに書き写す必要がなくなったので、生徒たちの考える時間が増えたことは画期的です。
その一方で、すべてタブレットに頼るのではなく、実際に自分で見て手を動かし、疑問をもつことも大切だと考えています。今日の平行四辺形について考えるグループ学習のように、ハサミで切ったパーツを手元で合わせながら考える作業は、空間図形に進むための準備にもなります。

授業風景写真授業風景写真

ー ICT教育を実践されるうえで、工夫されていることはありますか。

吉村先生 「平行四辺形はこのような図形です」と、こちらから一方的に結論を言っても生徒たちの頭の中には残りません。例えば、今日のように社会科の「太閤検地」の資料を見せるなどして、記憶に残ったこと、興味をもったことが次の発展につながるように工夫しています。
また今回の課題では、正解にたどりついたグループは、正解までの手順をタブレットで写真撮影し、私に送るように指示しました。その画像を使って、グループ発表まで行うことを目標にしています。

ー 宿題もタブレットで提出できるそうですね。

吉村先生 生徒が私に送信することができる通信箱には、宿題を出す「提出箱」と、個別の質問をする「質問箱」の2つがあります。宿題のなかでも、証明が必要な問題はノートに書いて撮影し、穴埋め問題ならタブレット上に記入して提出します。
提出された宿題は、つぎの授業開始までに私がまるつけをして返しますが、宿題についての質問が届けば、ときには夜中でも答えることがあります。難しい方程式の問題を出した場合などは、挑戦する生徒と何度もやりとりすることができるようになりました。正解にたどりついた場合は、花まるを付けて返しています。
たとえ私が返信しなくても、生徒たちは「無視された」「返ってこない」と文句は言わずに、会ったときに「宿題の質問を送ったから見てください」と声をかけてくれます。タブレットの宿題なら、通学に時間がかかったり、部活で帰りが遅くなる生徒が電車のなかですることもできるので、宿題の提出がかなり定着しました。

タブレット使用画面1
生徒から送られてきた質問にヒントを出す
タブレット使用画面2
何度もやりとりをして正解にたどりついた解答

ー 勉強に対する姿勢など、生徒たちに変化はありますか。

吉村先生 本校は少人数制なので、それぞれの考えをみんなで共有して、課題を解決しようという雰囲気があります。ICTの導入によって、ヒントをもらいながらグループで競い合ったり、みんなの前で発表したりする機会が増えました
例えば、生徒の解答のなかに間違いやすいポイントなど、みんなに伝えたいことがある場合は、授業で共有するようにしています。生徒たちのタブレットに解答用紙をリンクして、解答者本人に発表させることもありま、みんなの前に出なくても、席に座ったままでタブレットを使いながら発表することができます。
このような小さな積み重ねによって、生徒たちに根気強くがんばる姿勢が身についてきたと感じています。ベネッセの学力推移調査で、Sゾーンに到達している生徒が各学年に複数名出るなど、ほぼ全員の学力が入学後に向上していることに、ICT教育が貢献していると思います。

授業風景写真2

ー 今後のICT教育に対する取り組みを教えてください。

吉村先生 本年度から、数学科、社会科、英語科において「タブレットドリル」を導入しました。数学科では、毎日2枚のプリントを宿題として配信しています。教員は各生徒の学習の結果や時間、回数のほか、理解度の把握もできるようになりました。生徒の理解度に合わせてプリント配信ができ、生徒は苦手なところを何度も取り組めるところもタブレットのメリット。うれしいことに、生徒たちのドリルに取り組む量が大幅に増えました
今後もICT教育の発展に合わせて、教員は対応していく必要があると考えています。生徒たちがICTを用いて発表する機会を増やしたり、教科を超えたICTの活用にも取り組んでいきたいです。

 

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