【松蔭中学校・高等学校】
環境問題に立ち向かう女子高生
松蔭発Blue Earth Project

環境問題に立ち向かう女子高生 松蔭発Blue Earth Project 発見!私学力 松蔭中学校・高等学校
神戸の松蔭中学校・高等学校では、地球規模の環境問題の解決に向けて、女子高生が啓発のための行動を起こす、プロジェクト型のキャリア教育Blue Earth Projectを主催しています。2000年から国際理解交流や地域活動、奉仕活動として取り組んでいた「チャレンジプログラム」が、2006年以降Blue Earth Projectに進化。今では、宮城・福島・東京・横浜・名古屋・富山・沖縄など全国の女子高生が参加し、環境大臣や文部科学省、農林水産大臣からの受賞や表彰を受けるほど大きなプロジェクトへと成長しました。
高3の生徒が中心となって環境問題に立ち向かうBlue Earth Project。その活動や参加する生徒たちの想いを取材しました。

Blue Earth Project 2019 「プラスチック・スマート」キャンペーン スローガン「きれいな海と続く未来」

生き物豊かな美しい海を次世代に残し、地球温暖化を防ぐために、プラスチックごみを削減することを呼び掛ける。店舗には、“行動宣言カード”[マイバッグを持って買い物に行く!ごみを正しく分別する!などを書いてもらう]と主旨や説明を書いたPOPを置いていただき賛同したお客様のカード回収を依頼。キャンペーン会場のイオンモール神戸南や神戸ハーバーランドumieでは、生徒が啓発イベントを行う。

キャンペーンを説明して協力を依頼する 店舗アタック

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2019年のBlue Earth Projectに参加する高3生のうち、1月16日は11名の生徒が集まり、イオンモール神戸南と神戸中央卸売市場の店舗にキャンペーン協力をお願いする「店舗アタック」が行われた。
メンバーは2~3名のグループに分かれて、担当の店舗に交渉。営業時間中で時間をとってもらうことが難しいため、簡潔にBlue Earth Projectの主旨や今年のキャンペーンの内容、協力依頼について説明していくメンバーたち。ただ、大切なのはコミュニケーション。いかに相手に伝えるか、理解してもらえるかを重視して、イラストボードや資料を作って様々に工夫を重ねる。「頑張っているね」「いいですよ」という声がかかると喜びを溢れさせ、戻るとメンバー同士で報告。即答できない店舗には、返事の方法を丁寧に説明した。この土台となる活動の次に、啓発イベントが行われる。

環境問題に明るく立ち向かう 啓発イベント

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2019年2月16日、イオンモール神戸南でBlue Earth Projectによる啓発イベント「キャナルイベント」が開催された。
ステージでは、メンバーによる完成度の高い歌とダンスで注目を集めたうえで、環境問題をテーマにした劇へとスムーズに進んでいく。難しいテーマにも関わらず、客席の子ども達がステージを食い入るように見つめていた姿が印象的だった。
その後、客席をスピーディに撤収すると、環境問題のワークショップや展示が並ぶブースに変身。各コーナーを担当する生徒達は参加者と笑顔で会話しながら環境問題をしっかりと啓発していた。
自ら危機意識を持って、何とかして伝えようとしているからこそ、粗削りではあったが、プロでは出せない熱を感じる楽しいイベントだった。

Students Comment 女子高生にもできる環境問題 日々の習慣から変えていけば 誰でも参加できます!

◆Blue Earth Projectに参加しようと思ったきっかけを教えてください。

今津さん[高校3年/ステージ代表]
もともと環境問題に興味があったというよりは、女子高生がいろいろイベントを行うというシステムに興味を持ったのが初めのきっかけでした。中学生の時に先輩の活動を見て「おもしろそうだな」と思っていたので、高校1年から始めました。毎年Blue Earth Projectのテーマが違いますが、今起きている問題について知ってしまったら行動しないといけないという気持ちになってしまいます。環境問題を意識するきっかけにはなりました。

松井さん[高校3年/副代表・広報]
店舗を回って交渉することはなかなかないできない経験で、高校生のうちから社会経験を先取りできるのは自分にとってプラスなことが多いだろうと思ったので、参加してみました。
最近は、買い物に行ってもレジ袋を断るなど、自分の行動にBlue Earth Projectが染みついてきているなと思います。プラスチック関連のニュースにも敏感になりました。

佐藤さん[高校3年/ブース代表]
ずっと高校生になったら何かにチャレンジしてみようと思っていたんです。以前のBlue Earth Projectは、高校3年生だけが参加できるプロジェクトだったのですが、私たちが高校1年生の時に参加できることを教えていただき、参加しました。前はテレビで見ても他人事でしたが、今は「こんなこともやっているんだ」とか「こんなプロジェクトが進んでいるんだ」と、世の中のことについて興味がわくようになりました。

◆各店舗にキャンペーンへの協力をお願いする「店舗アタック」。その手ごたえや難しさは?

佐藤さん
社会の厳しさを感じるところがありますね。どう言ったら伝わるかを、自分たちで考えることがとても重要だと気づきました。資料作りや、最後に質問を聞くようにも心がけています。

松井さん
説明時に資料をお渡しするのですが、先に自分たちでわかりやすい資料を作っていってそれを見せながらお話しました。各チームの個性が出せるところでもあり、いろいろ工夫しました。

◆Blue Earth Projectとしての目標は?

佐藤さん
昨年度までは高校3年生だけがやってきたイベントを、今年は高校1年生から3年生までの全員で作り上げていくので、ある意味一番新しいステージやブースになると思っています。歴史に残り、語り継がれるようなものにしたいですね。

松井さん
私たちが高校最後にできることを、しっかり自分たちでやりたいですね。今後もBlue Earth Projectを後輩に繋いでいってもらい、松蔭らしい活動として残していきたいです。

今津さん
Blue Earth Projectを体験することで、学校は同じでもまったく関りがなかった人と、同じ目標を持ってステージやブースを作って一緒にお願いしていくことで仲良くなれるんです。それがどれだけすごいことなのかをわかってもらえたら、もっとすごいプロジェクトになると思います。

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◆自身の今後につなげたいことは?

今津さん
私は大学の経済学部に進学予定です。今、グローバル経済がフォーカスされていて、その中に環境問題や政治も絡むことが多いので、今後の自分にもつなげていきたいと思っています。

松井さん
今、世界でも環境問題が重視されているので、これからもそういうことを知っていきたいと思いますし、私は進学先が東京の大学の社会学部なので、環境に関連したことを選択したら面白そうだなと思っています。それに東京にはNPOでBlue Earth Projectを続けている先輩がいるので、コンタクトを取って、今後も関わっていけたらいいなと思います。

佐藤さん
私は高校1年生の時にBlue Earth Projectで商品開発をしたのがきっかけで、進学先も商品開発を学んでいくことを選びました。Blue Earth Projectで身につけたプレゼンテーション力を活かし、環境にも優しい商品を開発することにつなげていければいいなと思っています。

◆Blue Earth Projectに参加したから言える環境問題へのメッセージをお願いします。

佐藤さん
環境問題となると世界的な問題にもなりますし、規模が大きいと思われがちですが、実際には個人一人ひとりがやっていくことで少しずつ変わっていくものだと思います。

松井さん
私たち高校生、18歳でもできることなので、日々の簡単な習慣から変えていけば誰でも参加できます。皆さん一緒に頑張りましょう!

Teacher Interview 教育は気づきの種まき すぐに結果を求めるのではなく、失敗して、行動してから気づいてくれればいい 谷口 理先生 [キャリア教育担当]

― Blue Earth Projectは、10年以上前の「チャレンジプログラム」がスタートとのことですが、どのように進化してきたプロジェクトなのでしょうか。

谷口先生
最初は「チャレンジプログラム」といって、受験が終わった高校3年生を対象に1月、2月で70~80くらいのプログラムを立てて、病院コンサートや病院でアート作品を作るホスピタルアート、観光ガイドなど、いろんなことをやっていたんです。
ある年に乳がんの早期検診を推進する「ピンクリボンプロジェクト」に長時間かけて取り組んだところ、発表会で生徒全員が泣き出したんですね。やはり努力をすればするほど達成感があり、次のキャリアにつながっていくので、長期に渡るものもおもしろいと思い、2006年から間伐材を広めて森を守るグリーンエコプロジェクトを2年やりました。そして2008年からBlue Earth Projectという名前になり、広く環境問題を扱ってきたんです。

― 挑戦していくなかで、生徒たちの成長に手ごたえがあったからこそ続いてきたわけですね。

谷口先生
きっかけの1つは、AO入試や推薦入試で11月や12月に進路が決まった生徒達が、2月のある日「何もやることがない」と言ってきたんです。18歳の多感な女の子に対してこれではダメだと思いました。進路が決まった生徒こそ、時間が自由に使えるなかで、今まで机上で蓄積してきた知識を世の中で活かす体験をさせたいと思ったんです。
もう1つは、“member of society”という考え方がありますが、自分が社会の一員であることの気づきが早ければ早いほど、実際に社会に出るときに有利に働きます。Blue Earth Projectがすごく大切にしているのは、伝えること、コミュニケーション能力を上げること。生徒は「伝えるのが苦手だ」と言いますが、それは学校が伝える機会を与えていないだけで、やればできるんです。
さらに今の学校は危険と失敗をごっちゃにしています。私は危険なことはしてはいけないと思いますが、失敗はした方がいいと思っていて、今日の店舗アタックのように高校生がお店の人に頼むとうまくいかないことも多いのですが、そうして初めて世の中の厳しさを知り、失敗から学ぶ。これは教室の中では絶対に体験できないことです。
また、今の学校はインプットの機会は与えていますが、アウトプットの機会が少ない。でも、店舗アタックでは、私が10時間以上レクチャーした「なぜプラスチックがいけないのか」「どういう環境問題が起こっているのか」を、お店の人にアウトプットします。そのためには知識を再編集する過程が大事で、そういうインプットをアウトプットに持っていくための学びをさせたいんです。

― Blue Earth Projectの大きな柱が店舗アタックというわけですね。

谷口先生
柱は2つあって、店舗アタックともう1つが啓発イベントです。啓発イベントは、店舗アタックの1か月後から毎週3回あります。ブースの企画、ステージの企画など、チームにわかれてすべて生徒たちで企画してやります。そうやってBlue Earth Projectはこの15年ほど続いてきました。

― 今では全国で展開しているとのことですが。

谷口先生
3年前、東北の震災があった次の年に仙台の白百合学園の生徒さんが、ホームページでBlue Earth Projectのことを見てくれて、やりたいと言ってきたんです。そこで仙台白百合の先生と相談して、仙台白百合でBlue Earth Projectが始まりました。それから沖縄、名古屋、川崎、鎌倉、東京、富山、そして神戸と全国で200人以上の女子高生が情報交換をして、その年のテーマは1つでやっています。

― Blue Earth Projectを通して、生徒たちにはどういった成長を感じられますか。

谷口先生
私が見ていて思うのは、伝える力が確実に身につくことです。私は教育は気づきの種まきだと思っているんです。すぐに結果を求めるのではなく、行動した時に伝えることの楽しさや、社会の厳しさ、あるいは社会貢献することの楽しさなどに気づいてくれればいい。Blue Earth Projectでの活動で頑張った経験をしんどい時に思い出して、「何でもやってみよう!何でもできる!」という思いにつなげてくれれば嬉しいですね。

― やはり女子高生にしかできないことはありますね。

谷口先生
女子高生にしかできないことは、絶対にあるはずなんです。私は「年下影響力」と言っているのですが、自分よりも年若いものが一生懸命やっていたら自分らもやらなければいけないし、できるんじゃないかと思ってしまいます。実際にそういう意見が多くて、やはりこれは大事なことだと思いました。
初のエコ・レクチャーの時に、生徒たちに女子高生力というものを考えさせるんです。官庁や企業の人のように潤沢な資金や高度な技術力は一切ないけれど、女子高生でしかできないことが絶対にある。それは笑顔であり、発想力であり、年下能力であり、おしゃれな感覚。エコは、難しくやっても続かないんです。それを発信できるのは、女の子の持っている力や感性であり、それを大事にしてほしいと思っています。今だけではなく、5年後、10年後、20年後に、彼女たちが社会の中で輝いていることがすごく楽しみです。

 

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