常翔学園中学校・高等学校

日本一の富士山登山!成長基盤をつくった最大の挑戦を振り返る!

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日本一の富士山登山!成長基盤をつくった最大の挑戦を振り返る! 常翔学園中学校
日本一の富士山登山!成長基盤をつくった最大の挑戦を振り返る! 常翔学園中学校
常翔学園中学校では2023年度から中学2年生を対象に『富士山登山』がスタートしました。人間的成長・精神的成長・学年集団としての成長を遂げ、常翔学園で過ごす6年間の基盤を作ることを目的に、日本一の山に138人で登頂。達成感だけでなく、目標達成のために必要な要素を明確化し、登山後にはルーブリックを使って自己評価するといった意欲あふれる新行事です。体験した中学2年生2名と学年主任の中野先生の言葉から『富士山登山』へのチャレンジとその成果に迫ります。

JOSHO GAKUEN JUNIOR HIGH SCHOOL Mt.FUJI CLIMBING

富士山登山スケジュール<抜粋>

第1日目

8:20 学校集合
16:20 静岡県世界遺産センター(事前学習)
20:00 学年集会/夜の全体学習

第2日目

9:00 富岳風穴トレッキング
13:00 富士山五合目から登山開始
17:00 富士山七合目(山小屋)到着

第3日目

3:30 起床
4:00 出発・途中休憩でご来光
10:30 富士山頂到着
11:30 下山開始
15:30 富士山五合目到着
20:00 学年集会/夜の全体学習

第4日目

9:10 三島スカイウォーク
12:20 浜名湖グルメパーク
17:50 学校到着

STUDENTS INTERVIEW


常翔学園 富士山登山 生徒インタビュー勉強や日常につながった
富士山登山で身についた自信

中学2年
Tさん / Kくん

仲間に助けてもらった富士山登山
日本一の山に登れた!

― 富士山登山に対して2人はどのような思いを持っていましたか。

Kくん
「人生で一度は登った方がいい」とテレビで紹介されていて、個人で登るよりも学年で友達と一緒に登る方が楽しそうだし、登りが厳しくても誰かと話しながら登れば精神的にラクだから、仲間がいる登山は心強いと思っていました。クラスでもみんなで富士山に登ることへの気持ちが盛り上がっていったと思います。

Tさん
私もテレビで見て「登ってみたいな」と思いましたが、そう言いながらも自分が登る機会はないだろうと考えていました。だから、日本一の山である富士山に登れることは嬉しかったです。

― 事前に金剛山や伊吹山にも登ったそうですが、準備段階を経て富士山登山への対策を考えましたか。

Kくん
僕は富士山に登ることになって、体育の授業を本気で受けるようになりました。ラジオ体操や伸脚、補強運動(筋トレ・ストレッチ)などもしっかり意識しながら取り組むようにしました。僕は小柄なので体力に自信がなく、せっかくの機会なのに登り切れなかったら後悔が残るだろうなと不安も感じていたので、自分なりに準備しました。事前に登った金剛山や伊吹山は疲れましたがみんなで話しながら登って楽しかったので、登山が嫌だという気持ちはなかったです。

Tさん
私はもともとボーイスカウトに入っていて、登山にもよく出かけていました。1日に56キロを歩いて山を7つも登る「56キロハイク」に行ったこともあり、特に不安はありませんでした。登山用の持ち物もある程度揃っていたし、準備は上着を買ったくらいでした。

― では、富士山登山を振り返っての感想をお願いします。

Kくん
水分管理が大変でした。僕は水をよく飲むのですが、山の上は水があまり売っていないうえ高価で、買うお金もなくなってしまって困りました。干からびている状況の中、友達が5合目あたりで全員に配られたスポーツ飲料を譲ってくれたり、他の友達も水を分けてくれたりして何とか助かりました。「そんなに水はいらないだろう」と舐めていたことで痛い目を見ました。山の上は想像以上に過酷なこと、物を運ぶことは大変だと体験して理解しました。
感動したのは登っている途中で、みんなでいなり寿司を食べながら見たご来光が湖に映ってとても綺麗だったことです。登山は1日目の宿に着くまでは疲れましたが、2日目は写真を撮るのが楽しくてあっという間でした。栄養補給用に持っていたお菓子を友達と交換したことも楽しかった思い出です。

Tさん
私は8合目あたりで急に吐き気がしてきて、1人でうずくまってしまいました。一緒に登っていた人たちは先に進んでもらって、中野先生と一緒に休憩して、中野先生に励ましの言葉をかけてもらいながら他の遅くなった人と一緒に山頂を目指しました。大変でしたが、最後まで登り切れて良かったと思います。しんどかったので景色は楽しめませんでしたが、富士山に登れたことが何より嬉しかったです。先に登っていた友達が頂上から応援してくれたので頑張れたし、頂上に着いたら友達が自分のことのように喜んでくれたので、とても嬉しかったです。

― 1日目の宿でご家族に手紙を書いたそうですが、何を書いたか覚えていますか。

Kくん
僕は「大丈夫だよ、登ってくるね」というような、家を出るときの挨拶程度の軽い内容を書いたと思います。でも、この手紙が登る前の気分のリセットになりました。やっぱり不安があったなかで親に手紙を書いたことで、少し心が落ち着いたような気がしました。

Tさん
手紙を書く時間があまりなかったので、みんな「何を書けばいいの?」と慌てていましたが、私は「元気に頑張って帰ってきます」と書きました。

― 富士山登山から帰ってきてルーブリックで自己評価をしたそうですが、自分の評価内容を覚えていますか。<評価はS→A→B→C→Dの順>

Kくん
「登りきれた!」という喜びが大きかったので、Sをつけたものが多かった気がします。評価項目に「礼を正す」があったのですが、登山中に誰か一人でも「こんにちは」と言うとみんながつられて「こんにちは」と言えたので、挨拶はできていたとSを付けました。反対にDにしたのは、水を買うための小銭の管理ができていなかったことや、水を1本紛失したのできちんと整理しなければいけないということでした。

Tさん
私もほとんどがSとAだったと思います。特に「時を守る」をSにしました。旅館での私のいた部屋は常に机の上に全員分のしおりを置いてすぐに見られるようにしていましたし、時計も見ながら「今、何分前だから用意しよう」と協力して声掛けをしたんです。普段から学校で5分前行動の大切さを指導されていたので、学校の外でも5分前行動をして余裕があるようにしました。反省点はバスの過ごし方で、寝ている人もいるのに興奮して隣の人と話をしてしまって、もう少し静かにしたら良かったと思っています。

【富士登山:行事ルーブリック 凡事徹底編】
S 常に小さい方のしおりを持ち歩きながら5分前行動をすることで、先を見通し余裕のある行動ができる。 誰かが前で話そうとしたら、姿勢を正し反応しながら話を聴くことができる。 DVDが上映していない時は他の人の迷惑にならないような声で話をすることができる。 部屋の中では常に荷物の整理整頓ができており、靴もきちんとそろえることができる。 体を洗って浴槽に入り、出る時はタオルでしっかり体をしっかり拭いてから出ることができる。 食後、片付けがしやすいように同じ食器を重ねながら、後片付けまで協力してきちんとすることができる。 バスの運転手さん・添乗員さん・旅館の方に挨拶とお礼の言葉をきちんと言うことができる。
A 5分前行動をすることができる。 誰かが前で話そうとしたら、静かにし相手の顔を見ながら話を聴くことができる。 DVD上映中は私語をしないで過ごすことができる。 朝、部屋を明け渡す時は掃除をする人のことを考え、最初とほぼ同じ状態にして明け渡すことができる。 待っている人のことを考え男子は15分、女子は20分で浴室を出ることができる。(3日目は男子は20分、女子は25分) 配膳がスムーズに行くよう手伝えることを探して積極的に動くことができる。
B 周りに迷惑をかけないよう、5分前行動ができるよう努力はしている。 誰かが前で話そうとしたら、静かにし相手の顔を見ながら話を聴くことができる。 旅館の中では走ったり騒いだりしないで過ごすことができる。 使った用具(洗面器・腰掛け)を片づけてから出ることができる。 朝、先生や友達に挨拶することができる。
C 集合5分前に登校することができる。 誰かが前で話し始めたら、自発的に静かにすることができる。 自分のゴミをバスに捨てないで持ち帰ることができる。 他の部屋に出入りせず、自分の部屋だけで過ごすことができる。 ふざけたり、大声を出したり、泳いだり、走ったりしないで入ることができる。 三食ともしっかり食べ配膳されたものは残さずに食べる。 朝、先生と目が合えば会釈をすることができる。
D 朝の集合時間(8時20分)の集合時刻に間に合う。 誰かに指摘されれば、静かにすることができる。 持参したお菓子は登山の休憩時のみ口に入れることができるというルールを守ることができる。 旅館の設備や備品を大切に利用することができる。 入浴に必要なものを持参し浴室に忘れ物をしない。 周りの人が不快にならない、大きな声を出さずに食事ができる。 目の前を通り過ぎる。
項目 1. 時を守る 2. 場を清める
2.1 話を聴く
2. 場を清める
2.2 バスでの過ごし方
2. 場を清める
2.3 部屋での過ごし方
2. 場を清める
2.4 お風呂での過ごし方
2. 場を清める
2.5 食事中の過ごし方
3. 礼を正す
コンピテンシー ⑥倫理観・⑦行動力
学校ルーブリック ⑥世の中のルールやマナーを理解し、遵守する姿勢がある。⑦自分のなすべきことを認識し、自ら行動することができる。
【富士登山:行事ルーブリック 登山編】
S 誰かが前で話そうとしたら、静かにし反応しながら話を聴くことができる。 登山ですれ違う見知らぬ人に気持ちの良い挨拶をすることができる。 小銭や防寒具など必要なものはいつでも取り出すことできる。 酸素を十分に取り入れながら、ゆっくりのスピードで登山を続けることができる。 出発前、荷物の整理、後片付け(寝具の整頓・ゴミの持ち帰り)など周囲への気配りがきちんとできる。 登山班全体に気を配り、しんどい子がいたら、励まし、一緒に登ってあげることができる。 自分の足で山頂まで行き、最後までやり遂げた時の達成感を味わい、苦しいことから逃げずにやり遂げることの大切さを学ぶことができる。
A 誰かが前で話そうとしたら、静かにし相手の顔を見ながら話を聴くことができる。 ガイドさん、看護師さん、山小屋でお世話してくれる人に挨拶とお礼の言葉をきちんと言うことができる。 必要なものは全て持って行き、不要なものは持って行かないようにして、なるべく荷物を軽くすることができる。 喉が渇いていなくてもこまめに水分を補給することができる。 翌日の登頂と下山に備えて、消灯後すぐに就寝することができる。 遅れてしまう子を抜かす時に「頑張れ!」と励ますことができる。 山頂まで行き、日本一高いところからの景色を堪能し、満足感を味わう。
B 誰かが前で話し始めたら、静かにすることができる。 この日、初めて出会う人に挨拶することができる。 前日に、忘れ物がないよう登山に必要なものを自分で準備することができる。 朝食・昼食・夕食、出されたものをきちんと食べることができる。 暴れたり、大声を出したり、周りの人に迷惑をかけないで過ごすことができる。 しんどそうな子がいたら「大丈夫?」と声をかけ、先生に伝えることができる。 自分のベストを尽くし、満足感を味わう。
C 自分のゴミを富士山に捨てないで持ち帰ることができる。 朝、先生と目が合えば会釈をすることができる。 前日、十分な睡眠時間をとることができる。 宿泊する7合目の山小屋まで行くことができる。
D 持参したお菓子は登山の休憩の時だけ口に入れる。 目の前を通り過ぎる。 自分の持ち物には記名している。 五合目に到着後、しばらくゆっくりしてくつろぐ。 決められた場所に荷物を置き、みだりにうろうろしないで過ごす。 登山の際は、仲の良いクラスメートだけでなく、いろんな子と話をしながら親睦を深める。 富士山登山に挑戦する。
項目 1. 場を清める 2. 礼を正す 3. 物の準備 4. 高山病対策 5. 山小屋での過 ごし方 6. 仲間と協力する 7. 挑戦・達成感
コンピテンシー ⑥倫理観 ⑩主体性 ⑥倫理観 ⑤協調性・社会貢献 ④行動力
⑦自己肯定感
学校ルーブリック 世の中のルールやマナーを理解し、遵守する姿勢がある。 自分の意志で自分を高めようと心掛けている。 世の中のルールやマナーを理解し、遵守する姿勢がある。 他者とのコミュニケーションを図り、協働しようという姿勢がある。 自分のなすべきことを認識し、自ら行動することができる。  自分自身を価値ある存在として肯定的にとらえ、前向きに生きる姿勢を持っ

富士山登山を体験して知った
自分の未熟さ

― 富士山登山を体験した後、自分自身に変化や成長はありましたか。

Kくん
富士山登山で物の管理や整理ができていなかったことを反省したので、富士山登山後は机の上やプリントをきれいに片付けようと思うようになりました。それに「2日間かけて登った富士山より大変なものはあまりないな」と思ったので、マラソンや持久走は気楽に取り組めるようになっています。それに富士山登山後の2学期の中間テストの成績も良くなりました。「JOSHO+」<*1>で遅くまで残っていたからだと思いますが、いつもだったら途中で投げ出していたので頑張る力が付いたのかなと思います。意識していませんが、日本一の富士山に自分が登ったことで少しだけ自信がついたかもしれません。今後は、他で富士山登山の話が出ても、自分の体験や思い出とともに話せるのが嬉しいです。
<*1>学習塾と連携し校内で開催される個別学習塾

Tさん
私は登山の経験があるからと富士山登山を舐めてかかって痛い目にあったので、今後はいろいろなことに慎重になろうと思いました。学校ではテストが始まる2週間前に計画表を立てるのですが、いつも面倒で立てていなかったんです。でも、富士山登山が終わってからは、「準備は大事だな」と思って計画を立てるようになりました。持久走も疲れないように余裕を持って走っていましたが、今後は少し頑張って、疲れるほど走りたいと思います。富士山登山でも友達が助けてくれましたが、体育でも友達が応援してくれているので、仲間がいれば頑張れるかなと思います。

― 富士山登山のような貴重な体験がある常翔学園ですが、常翔学園の良さを教えてもらえますか。

Kくん
僕は情報技術研究部に入っています。ロボットを改造するための部品をたくさん買え、充実した活動ができるのは、私立校ならではだなと思います。施設も良く、勉強できる環境が整っています。僕は自主的に自学自習ができないタイプなので、勉強に取り組みやすい場所があることは嬉しいです。機会がないと「後でやろう」と先伸ばししてしまいます(笑)。

Tさん
他の学校と比べてもいっぱい勉強する学校ですが、富士山登山など楽しい行事もいっぱいあります。両方あることが良さで、その中で成長していけます。

TEACHER INTERVIEW


常翔学園 富士山登山 先生インタビュー ドキドキワクワクするチャレンジ
成長実感ができる富士山登山

学年主任
中野 裕文先生

目標に向けて地道に一歩一歩登り
最後にみんなが無事に帰ってくるのが登山の成功

― 今年からスタートした富士山登山は、どのような経緯で始めることになったのでしょうか。

中野先生
2022年度から新コース「スーパーJコース」が始まり、新しい挑戦をしていこうという中で、校長補佐の根来和弘先生が富士山登山を行事として検討されていました。これまでもたくさんの行事はありましたが、生徒が成長実感を味わえる行事を入れたいと私も感じていました。そこで生徒たちがドキドキワクワクするようなチャレンジをして自分が成長できたと実感が持てる行事を実現したい思い、富士山登山の実施に向け動き出しました。
登山は競争ではなく、目標に向けて自分の足で一歩一歩登ります。その過程は人生や受験勉強と同じだと思います。自分のできる限りのチャレンジをして、何かを感じて成長してくれたらと思っていました。そして「最後にみんなが無事に帰ってくる」ことが成功のポイントだとも考えていましたので、安心・安全の富士山登山を大切にしました。

― 生徒が成長実感することを重視されたわけですね。

中野先生
これから東大、京大、医学部を目指す生徒もいて、大学受験を乗り切るための厳しい時期も迎えます。自分が決めた目的・目標に向けて一歩一歩進んでいく時に、中学時代に日本一の山に挑戦したこと、仲間と励まし合う良い関係の中で得た経験は、必ずその後の土台になり、しんどいことがあっても、あきらめそうになっても、「あの時頑張れたから」と思えるようになると考えました。今後生徒たちは沖縄への修学旅行や海外にも行きますが、10年後に印象に残っているのは学校生活の基盤となった富士山登山ではないかと私は思っています。

― 富士山登山実施において重視されたことはありますか。

中野先生
大事にしたのはスモールステップです。いきなり富士山に登らず、まずは金剛山、次に少しレベルの高い伊吹山に登り、「きっと富士山も登れる」といった見通しを持たせました。小さい成功を積み重ねながら前進させることが大切だと考えたのです。
そして準備の重要性も伝えました。登山は命に関わりますから、装備を整えて臨む必要があります。また心の準備としても、800回ほど富士山に登られているベテランのガイドリーダーの方に富士山を登ることの意義や事前準備で大切なことを2回にわたりお話をしていただきました。また事前に生徒がお互いに富士山登山への思いを語り・聞き合う機会を設けたり、現地では保護者の方に手紙を書いたりして、少しずつ心の準備を整えていきました。
行程は4日間をかけ、現地ではまず標高の少し高いところに1泊して体をなじませ、2日目も「富岳風穴」というトレッキングコースで30分ほど体を慣らしてから富士山の5合目に行きゆっくりと出発しました。頂上でご来光を見るプランがよくありますが、そのためには登山の1日目に8合目の途中まで登らないといけません。それでは途中でリタイアする生徒が増えると考え、登山の1日目に7合目の一番奥の山小屋まで行きそこで休憩しました。登山の2日目の朝に山頂に向かい途中でご来光を見るプランにして、一人でも多くの生徒が頂上まで行けることを優先したのです。
ただ、途中でやめてしまう判断をすることも正しいと思っていましたので、自分の納得できる挑戦をして、自分で下山を決断させることも必要でした。体のことを考えず自分の思いだけで登ってしまうと、全体に迷惑をかけてしまう可能性もあります。3000mあたりまでは全員が行けたのですが、その後に個人差や体力差を考え下山した生徒もいました。自分の思いを突き通すだけでなく、周りのことを考え「途中で下山する」という自己判断ができたという部分にも成長が見られました。全員が無事に帰ってきたことが何よりの成功だったと思っています。

― 自分で判断して下山した生徒もいたわけですね。

中野先生
そうです。命をかけてまでやることではありませんから、自分の挑戦を全うして自分が納得したらいいと思っていました。ですから生徒には状況を説明したうえで、下山の判断は生徒自身に決めてもらいました。最後は自分で判断して決めたことが大事だったと思っています。

富士山登山の体験を自己評価
反省点を次へつなげる

― 富士山登山で中野先生が印象に残っていることはありますか。

中野先生
ものすごくしんどい大変な4日間でした(笑)。でも、先生方も生徒も達成感は最高に大きかったと思います。仲間と一緒だから力が出せて、最後まで頑張り切れたという生徒が多かったので、そういう良い関係を築きながら目標達成できた経験を、これから先の人生で生かしてほしいと思っています。
現代の子どもたちは視野が狭く、学校に来ても話す子が限定的で、隣に座っている子がどのような趣味や興味を持っているのかを知らないことも多々あります。三泊四日で富士山に登頂するという目標に向けてみんなで頑張ろうという気持ちを共有しながら、いろんな子と同じ部屋になったり、お風呂に入ったり、会話をする機会を得たことも良い経験になったはずです。

― 中学2年生に富士山登山を体験することにも意味があったと思われますか。

中野先生
そうですね。中学2年生は中だるみの時期でもありますが、体も出来上がってくる時期であり、心も大きく成長する時期ですから、目標を富士山登山として自分のベストを尽くすという経験は貴重ではないかと思います。
富士山登山から帰ってきた生徒たちは例年に比べて落ち着いているように感じます。中学2年生というともっとトラブルがあるはずですが、生徒同士の関係性ができたのか友達同士のトラブルが少ないように感じます。保護者から「中途半端ですぐやめてしまう子が、富士山に最後まで登れたことをきっかけに、良い表情で前向きに勉強も頑張るようになった」というエピソードも聞いています。5分前行動も普段からできるようになってきて、学校外で学び必要性を理解したことが普段の学校生活にも生きている気がしています。

― 日本一の富士山に頑張って登った!で終わるのでなく、学校ルーブリックを活用して自己評価までしっかり行うところも常翔学園の行事の良さですね。

中野先生
本校では自律的学習者の育成を大きな目標にしています。そのために「この行事はどういう目的・目標で行われ、どういう力をつけてほしいのか。そのための理想の行動や姿はどういったものなのか」をルーブリックで明確化しています。目標となる理想の姿を可視化して共有することで、生徒はそこに向かって動いていくのです。
行事を体験した後にはルーブリックを自己評価の道具として使います。ルーブリックを見て自分のできていること、できていないことを振り返り、自分の現在位置を把握して、次に何をすればいいのかを確認して学びを改善していきます。

― 生徒たちの自己評価を見てどう思われましたか。

中野先生
凡事徹底と呼んでいる「あたり前のことを人には真似できないほど一生懸命やる」ということは、まだまだ課題があり改善点でもあると思っています。物の管理や整理整頓が苦手であったり、バスの中では周囲への配慮が足りず大きな声で話してしまう生徒もいたりするので、富士山登山でできていなかったことを意識させ「次の挑戦はこうだよ」と目標を明確化していきたいと考えています。反対に「できていること」を伝えることも大事にしています。

― 富士山登山が成功したからこそ、次のチャレンジも見えてきましたか。

中野先生
コース改編の初年度で、新しいことを始めていく学年です。新しいことにはどんどん挑戦したいと思っています。教員が楽しんで挑戦しないと生徒たちも面白くないので、いろいろなチャレンジを楽しんでしていきたいです。大事なのは生徒たちが幸せな中学生活を送ることであり、それはイコール幸せな教員生活でもあります。生徒たちが幸せなら僕らも幸せ。そのために必要な要素は、やはり安心できる環境でドキドキワクワクのチャレンジができて、自分の成長が実感できることだと思っています。