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第2回 学生シンポジウム 2019
-これからの時代を考える-

学生シンポジウム
「学生シンポジウム『これからの時代を考える』」は、大阪府下のグローバルリーダーズハイスクールや私立高校、大学から自主参加した学生が、テーマに基づいた講義を受け、議論や発表を行うプログラム。今年度は、テーマ「食」に沿った3回の講義を受け、学生たちが5つの論点から選択して意見発表に臨みます。講義や学生たちの様子など、各日のレポートをお届けします。
第2回
「自国の食」――とは何か
懐石料理 雲鶴 料理長
島村雅晴講師

「持続可能な食」のために今できることを考える
SDGs――持続可能な世界を実現するための国際目標――の達成に深く関わる「食」の問題。人口増加にともない、需要が1.7倍に膨れ上がると予測される食の安定的な供給に向け、私たちに何ができるのか。第2回目の講義は環境負荷を軽減させつつ、食糧増産を可能にする新テクノロジーの話題を軸に、懐石料理 雲鶴 料理長・島村雅晴講師に今後の展望などを含めてお話いただきました。
植物由来の代替肉“ビヨンド・ミート”から培養肉、ゲノム編集食品まで、技術革新により次々と「新しい食品」が生み出される昨今。これらのテクノロジーには、動物の肉が不要になる、肉厚のマダイが養殖できるなどメリットが数多くあるのですが、世界に広く受け入れられるのはまだ先のことだといいます。「食べてみたいですか」の問いにも、会場の学生たちの意見は五分と五分。そこで島村講師は語りかけます。「不安だからと拒絶するのではなく、自分で調べて考えてほしい」と。そして、その姿勢こそが問題解決にもっとも必要なことだと力説されました。
続いて、さらなる食の問題解決に対するさまざまなアプローチを解説され、本来「食品の需要と供給」は廃棄率をゼロにすれば釣り合っているという、私たちにも身近な話題で濃密な1時間30分が締めくくられました。
その後、島村講師から説明のあった「ブレインストーミング」と「KJ法」という手法を使ってグルーブディスカッション。各校を混合させた4~5人のグループに分かれ、議題「持続可能な食への取り組み」について意見をまとめ、代表者による発表が行われました。
「ゲノム編集食品にはメリットが多いが、『人間の都合で生物を作り変える』ことに対する倫理観がどうしてもつきまとう。安全性の検証はもちろんだが、この倫理観に対応するためには、もっと知識を増やす必要があるという結論になった」
「日本はどんどん人口が減っていくのに、無理してまでそんな加工食品を食べる必要があるのか、代替肉より体に良いものを作ったほうが有意義じゃないのかというのが率直な意見。環境問題と食肉の問題は切り離して考える必要があるのではないか」
「ゲノム編集技術の詳細を知って、遺伝子操作のイメージが一変。私たちが抱いたような安心感をもっと広めるためにも『ゲノム広告』とでもいうべきものが必要になるはず。食通の芸能人を起用した広告案など、いろいろなアイデアが挙がった」
「アマゾンのジャングルを焼き払って畑を広げるなど、目先のメリットや人間のエゴで動物の居場所を破壊しているという話を聞いて、持続可能な世界を実現するには、未来のデメリットに目を向けて環境問題に取り組むことが大事だと話し合った」
「魚の養殖のために必要とされる大量のエサが、資源の枯渇や生態系のバランスを乱す海洋汚染につながっているという事実をはじめて知った。私たち同様にこうした事実を知らない人が多いことが一番の問題だと感じた」
それぞれの視点でとらえた問題点から、やるべきことが浮き彫りとなってきました。知ったこと、考えたことを無駄にせず、具体的な方策についてこれからの彼らが行動・実行していってくれることが期待されます。

 

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