【大阪青凌中学校・高等学校】
ICT環境の充実で
理想の教育を展開

大阪青凌中学校・高等学校 ICT環境の充実で理想の教育を展開
2020年4月に島本町のサントリー研究所跡地に移転し、新たなスタートを切った大阪青凌中学校・高等学校。最新鋭の設備を誇る教育環境はいかにして作られたのか。そこにある想いとは? 就任から10年を迎えた校長の福力 稔先生に、大阪青凌の“今”をうかがいました。
校長 福力 稔 先生
校長 福力 稔 先生
Profile
奈良県の県立高校の教員をスタート後、大学院の非常勤講師に。その後、二部の夜間大学と大阪青凌社会科教諭を兼任。教頭として約8年、校長になって10年。現在も年に1回は中学生の前で授業を行う。
7年の準備期間をかけた
ICT環境整備

福力先生が大阪青凌の校長に就任されて10年。この間に大阪青凌で実行されてきたことを教えてください。

福力先生通常、学校は前年度を踏襲する形でさまざまな行事等を行うことが多いですが、本校ではこの10年間で一度もそれがなかったです。中でも急激に進んだのは7年前には着手したICTです。我々はファーストランナーではなく、むしろ「そろそろやらなければいけないのではないか?」といった考えで始まりました。すでにICTを取り入れている学校へ見学に行くと気づくことも多くあり、iPadやChromebookといったハードを入れるだけがゴールではなく、ハードを入れる時に学校全体にどういうグラウンドデザインがあり、どう使うかを考えることが大事だと理解したのです。結果、ソフトウェアとして我々が取り入れたのがベネッセのClassi(https://classi.jp)で、同時にGoogleのClassroom(https://edu.google.com/intl/ALL_jp/products/classroom/)も入れました。

7年前から段階を追ってICTを取り入れられていたことは、他校にない成果があったのではないですか。

福力先生一番大きかったのは、教員と生徒に同時導入をしなかったことですね。最初の3年間は教員だけに導入して使用しました。生徒にはデバイスを持たせずにソフトウェアのみを導入したのです。その間に教員で試行錯誤をして「こうした方がいい」、「ここは気を付けないといけない」といった課題を出し、その課題をつぶしていく形で、今から4年前に生徒にiPadを導入しました。
その後、全国からいろいろな学校が本校へ見学に来たり、公立校からは導入過程の講演を依頼されたりしましたが、そこで質問されるのが「青凌は生徒への導入にどれくらいの準備をかけたのか」ということです。「3年間です」と言うと皆さん絶句されます。特に公立校は1ヶ月前までどのデバイスが来るかわからない気の毒な状態のようで、現場の先生方には同情しました。導入にあたっては、事前に弱点を検討し、つまずきを予測する必要があると思います。時間をかけてきた我々でもコロナ禍の休校時にアクセス数が一気に増えてClassiが動かなくなったときは、同時に導入していたClassroomで対応することになりました。

100% ICTではないことを大切に
100% ICTではないことを大切に

2020年4月に島本町の新校舎に移転されましたが、移転以降の教育の変化や進化はどこでしょうか。

福力先生全面的にiPadを使うことになったため、教室の黒板がなくなり、ホワイトボードになりました。短焦点プロジェクターとアップルTVがありますので、先生方がMacbookやiPadを教室へ持って行き、ワイヤレスでつなげて前面に映すことができます。生徒の発表もすべてワイヤレスです。それらは事前にこういう形で授業を展開したいと考えたことを実現できたと思います。
一番大きな変化は、教員が黒板に書き、生徒が黙って写すという時間がなくなったことです。例えば国語の一単元で10時間を使っていたところが7,8時間で終わり、残りの時間を生徒の発表やグループ討論に使えるようになりました。進度も早くなっています。それは新しい校舎になって出てきた効果ですね。

生徒の皆さんの反応はいかがでしたか。

福力先生高校生は順応が早いです。先生も若い先生ほど環境を活かした授業を行っています。例えば物理の先生は、演習問題が5問あっても授業内では2問しかできず、理解できていない生徒もいますから、5問のすべての解説を大阪青凌のYouTubeサイトに上げたりしています。生徒は、自分のわからないところを繰り返し見ることができますから、「非常に便利」という声があがっています。
授業前には先生がネット上で資料をPDF形式で配布しますから、生徒は事前に動画を見て、プリントを配られた状態からのスタートになり、非常に効率がいい状況です。

保護者はICT環境下での教育のメリット・デメリットも気になると思いますが。

福力先生本校では、100% ICTではないことを大切にしています。例えば教科書は従来通り紙の教科書です。デジタル版も広まりつつありますが、画面注視は目に良くないうえ、紙にはめくることで好きな箇所へ飛べる便利さがあります。大学の研究でも、デジタル媒体は紙媒体に比べて記憶が定着しないという結果が出ていますし、先行した韓国やヨーロッパの国も撤退していますからデメリットが大きいのだと考えます。ですからノートも紙に書き取りたい生徒は紙で良いのです。強制はしていません。あくまでiPadはツールであり、全てにおいてそれを使うことが目的ではありません。自分が便利に使えることが重要なのです。

ICT環境の活用を、中学生にはどのように指導されるのですか。

福力先生中学生は事前学習や心構えを重視しています。iPadをどのように使うのか、何のために配っているのかをしっかり教えないと、単なるおもちゃになります。子どもにとってiPadは魔法の箱ですから、特に中学1年生には時間をかけてしっかり指導します。

生徒が普通を取り戻せるように
生徒が普通を取り戻せるように

ICT環境下の教育以外に、新校舎になって可能性が広がったことはありますか。

福力先生子供たちにとって、駅から学校まで徒歩が可能になったことは非常に大きいです。以前は最終の下校時刻が19時でしたが、今は高校生が20時まで自習しています。放課後、一番多い時で150人前後が残って勉強していますね。ただ19時以降は先生に質問はできない形になっています。中学生は以前と同様の18時半です。

コロナ禍の2年間での生徒たちの様子はどう感じられていますか。

福力先生今の中学と高校の各3年生は、2年間がコロナ禍でのグレーな生活だったので、本当に可哀そうです。ただ、制約はありましたが去年と今年は修学旅行も実施でき、生徒たちはとても喜んでいました。高校生は海外が国内になったり、中学生は期間が短くなったりしましたが、実施さえできたら生徒たちはそういったことがすべて吹っ飛ぶのです。その姿を見て、コロナ禍での実施は本当に大変なのですが、安易に中止にしてはいけないと思いました。

ICT環境の整備、校舎の移転、コロナ禍での対応など様々な状況を経て、福力先生が確認できた大阪青凌の教育の核は何でしょうか。

福力先生やはり先生方の思いがとても強い学校だということです。昨年の2ヵ月の臨時休校後の学校再開前も、一人ひとりとスカイプで面談をされ個々の状況を判断されていました。そういう先生方を見ていると、校舎というより本校の強みは先生だと思います。

今後の挑戦や取り組みとして、考えられていることはありますか。

福力先生これだけ制約がある中で、心がしんどくなっている生徒は少なからず出ていると思います。家庭の事情が子供に影響を及ぼしていたり、圧迫していたりといった弊害があると思いますので、先生方が話を聞いて和らげてあげられればと思っています。
今、ICTを活用して、正常に戻すための努力を少しでもできればと考え、終業式に行う私の話を今年はやめて、バックに写真を集めて癒しの音楽をかけた映像で生徒に心を癒してもらおうと計画しています。子どもたちの胸に少しでも刺さってくれればと思いますし、新しいことをやろうというより、少しでも正常に戻そうという考えです。
臨時休校の2か月間の先生と生徒とのコミュニケーションで最も多かった声は「学校に早く行きたい」というものでした。当たり前のことが当たり前にできず、クラブも長期間できなかったためストレスも溜まっています。生徒たちが戻りたいと思っている普通を取り戻せるように努力していきたいと思います。

 

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