2016年8月に同志社中学校で行われた国際ロボットコンテスト「Robo STEAM 2016」。同校の技術科の学びプロジェクトとして開催されたこのコンテストには、同志社中学校の生徒のほか、香港の小中学生、日本の桃山学院中学校の中学生、金沢工業大学夢工房に参加する中学生に、奈良教育大学附属中学校の卒業生もボランティアで参加。混合チームを作って協力し合いながら、課題をクリアするロボットを制作しました。前日から交流を深めてきた子供たち。国も言葉も年齢も知識も異なる中、貴重な体験をしながら大きく成長する姿を紹介します。

Robo STEAM 2016 in Doshisha
International Robotics Competition
preparations for the competition
― 準備 ―







競技前の練習時間は3時間半。競技での課題は、制限時間内に壁のあるコースを方向転換しながら走行して、途中3ヶ所の的に輪ゴムを射るという難題だ。アーム付き2輪ロボットを作り走らせるだけでなく、課題通り動くように自動制御できる高度なプログラミングが求められる。









基本は、香港と日本の混合チーム。公用語は英語だ。言葉の壁やプログラミングの知識の差を実感しながらも、制限時間内にロボットを作り上げたい気持ちは皆同じ。だからこそ、身振り手振りや思いつく限りの英単語を駆使して、必死で意見を交わしながらロボットを作りあげていく。


Sくん[中学1年]
僕は英語が少し話せるぐらいで、同じチームの香港から来たKenくんの中国語もよくわからないから、言葉は通じないことが多かったです。ロボットを作ったり、同じことを一緒にやるときは身振り手振りや表情で伝えていくうちに通じ合えるということがよくわかりました。今回の経験をしたことで、言語をいっぱい話せるようになりたいと思ったし、話すためには慣れが必要だと感じたので、こういう国際交流の場にどんどん挑戦したいです。
僕は英語が少し話せるぐらいで、同じチームの香港から来たKenくんの中国語もよくわからないから、言葉は通じないことが多かったです。ロボットを作ったり、同じことを一緒にやるときは身振り手振りや表情で伝えていくうちに通じ合えるということがよくわかりました。今回の経験をしたことで、言語をいっぱい話せるようになりたいと思ったし、話すためには慣れが必要だと感じたので、こういう国際交流の場にどんどん挑戦したいです。


Yさん[中学1年]
私のチームは香港の姉妹2人と同志社中の2人です。私は英語が好きなので、走行のコース決めなど少しずつですが、英語で話すことができて楽しかったです。プログラミングには興味がありましたが、全く知らなかったのでお任せになってしまい、先生に記号の意味やわからなかったことを教えてもらいました。
私のチームは香港の姉妹2人と同志社中の2人です。私は英語が好きなので、走行のコース決めなど少しずつですが、英語で話すことができて楽しかったです。プログラミングには興味がありましたが、全く知らなかったのでお任せになってしまい、先生に記号の意味やわからなかったことを教えてもらいました。
Aくん[中学3年]
今回は「プログラミング」と聞いて、それだけで興味を持って参加しました。ロボット作りも楽しかったです。ただ、僕は英語がすごく苦手なんです。今回参加したことで、プログラミングの技術や知識があるだけではダメで、コミュニケーションをとるためには英語ができないとだめなんだとわかりました。僕が英語を話せて相手の話も理解できたらもっと交流ができると思うので、これからはもっと英語を頑張ろうと思います!
今回は「プログラミング」と聞いて、それだけで興味を持って参加しました。ロボット作りも楽しかったです。ただ、僕は英語がすごく苦手なんです。今回参加したことで、プログラミングの技術や知識があるだけではダメで、コミュニケーションをとるためには英語ができないとだめなんだとわかりました。僕が英語を話せて相手の話も理解できたらもっと交流ができると思うので、これからはもっと英語を頑張ろうと思います!
competition
― ロボットコンテスト ―









制限時間の中で、コースを走行し的を射ることができるか。判定スタッフが見守る中、何度もチームごとにトライする子供たち。「さっきはまっすぐ走ったのに」「どうして動かないの?」「飛べ!」「もう1回お願いします!」と口にしながら、時間ギリギリまで粘り、何とかベストを尽くそうとする各チームは、すっかり仲間になっていた。


Oさん[中学3年]
私のチームは全員日本人で石川県の中学生と一緒に取り組んだのですが、プログラミングにすごく慣れていてびっくりしました。私はプログラミングの初心者だったので、難しかったですね。でも、ロボットとコンピュータをつなぐといろいろ操作ができることもわかったし、全部が初めてだから驚くことばかりで新鮮でした。次はもっと英語を使って、交流できたらいいなと思います。
私のチームは全員日本人で石川県の中学生と一緒に取り組んだのですが、プログラミングにすごく慣れていてびっくりしました。私はプログラミングの初心者だったので、難しかったですね。でも、ロボットとコンピュータをつなぐといろいろ操作ができることもわかったし、全部が初めてだから驚くことばかりで新鮮でした。次はもっと英語を使って、交流できたらいいなと思います。
Fさん[中学3年]
プログラミングはよくわからないし、チームの他の2人が香港の人で言葉がわからなくて、とにかく大変でした。コミュニケーションが難しくて、ジェスチャーや紙に書いて必死で伝えましたが、香港の人たちはプログラミングが得意で、私とはレベルが違ったので、ただ見ていることが多かったです。とにかく一緒に頑張りました。
プログラミングはよくわからないし、チームの他の2人が香港の人で言葉がわからなくて、とにかく大変でした。コミュニケーションが難しくて、ジェスチャーや紙に書いて必死で伝えましたが、香港の人たちはプログラミングが得意で、私とはレベルが違ったので、ただ見ていることが多かったです。とにかく一緒に頑張りました。


Nくん[中学1年]
香港の人と同志社生と3人のチームで、ロボットの組み立てを僕が担当しました。前をどれだけきれいに見せるか、後ろから見たらどうなるかにこだわり、的が高いのでできるだけ発射位置が高くなるよう工夫しましたが、バランスをとるのが難しくなってかなり苦戦しました。頑張った結果、最終的には1つめの的には当てられましたが、もっと好成績を出さたはずだから悔しいです。今回は英語が話せないことと、普段使わないプログラミングの言葉の難しさもありました。この経験を踏まえてもっといろいろ勉強していきたいです。
香港の人と同志社生と3人のチームで、ロボットの組み立てを僕が担当しました。前をどれだけきれいに見せるか、後ろから見たらどうなるかにこだわり、的が高いのでできるだけ発射位置が高くなるよう工夫しましたが、バランスをとるのが難しくなってかなり苦戦しました。頑張った結果、最終的には1つめの的には当てられましたが、もっと好成績を出さたはずだから悔しいです。今回は英語が話せないことと、普段使わないプログラミングの言葉の難しさもありました。この経験を踏まえてもっといろいろ勉強していきたいです。
winner announcement
― 結果発表 ―









各受賞チームにはトロフィーと表彰状が授与された。歓声や拍手が起こり、嬉しそうなチーム、悔しそうなチームと表情はそれぞれだが、共通してやり切った印象があった。言葉でのコミュニケーションが難しく、プログラミングの知識にも違いがあった中、共に協力して解決の道を探った子供たち。沼田先生も最後に英語で総評をされ、意義ある時間について子供たちに説かれた。

![同志社中学校 教頭 沼田和也先生[技術科]](/wp-content/uploads/2017/02/intv_photo_e18_2.jpg)
「もの」があることで、言葉の壁を超えられる!
子供たちは、間に「もの」が入ると、それほど高い語学力がなくてもコミュニケーションができるんです。正確で精度の高いやりとりはできなくとも、今回のようにロボットを作るぐらいならコミュニケーションは十分に取れるので、言葉の壁を下げる良い手段でもあると思います。さらに競い合い、発表までに時間制限があることも、子供たちがなりふり構っていられなくなって一緒に頑張ることにつながったと思います。このような経験は子供達にとってとても大事なものです。国境を越えていろんな人と子供の時に触れ合った、つながった、一緒にやったという経験が、平和教育にもつながるだろうなと思っています。友達がその国にいたら、その国に対する思い方や感じ方も変わります。ロボットを作るだけではなく、いろいろなことを学んでいると思いますね。
身近で次代を担うアジアと、継続した交流を
アジアを重視するのは、アメリカやヨーロッパの国の人と交流しても、その後も交流を続けることは時差や費用の問題もあって難しいからです。でも、アジアは近い。仲良くなっても続かないと意味がないのです。また、同じような顔をしているのに英語をしゃべらないと伝わらないというショッキングな事実に子供が直面することも、アジアの面白さです。西洋人と話すときは顔かたちも異なり別の緊張がありますが、身近な感覚があり同じような顔をしているのに言葉が通じないわけですから、英語の必要性を理解します。OECD(経済協力開発機構)では、今後、中国とインドの中間所得層の人口が世界の半分を占めるという予想も出ていますし、経済やビジネス、物づくりの世界では、実のところアジア諸国とのつながりが深いのではないかと思います。そのうち日本にとってのより実行的な意味での「国際」は、アジアとの交流を意味するようになるでしょう。だからこそ、次の時代を生きる子供たちとアジアの人との交流を大事にしていきたいなと僕は思っています。
子供たちが交流する国際的な場を作りたい
今後は韓国、台湾、インド、中国、ベトナム、フィリピンなどアジア各国の生徒達と共に、こうした交流イベントをやりたいと思っています。近い展望でいうと、アジアでSTEMキャンプを開催したいですね。STEMというのはサイエンス(科学)、テクノロジー(技術)、エンジニアリング(工学)、マスマティックス(数学)という教育分野をプロジェクトの真ん中において、いろいろな科目のいろいろな要素を融合し、協力しながら解決して、学んでいこうという教育分野。国も言葉も違う子供たちが交流し、助け合い、刺激し合い、様々な課題に向かっていく体験ができる国際的な場を作りたいです。その意味で、今回の「Robo STEAM 2016」は、貴重な第一歩ですね。
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