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洛南高等学校附属中学校
洛南が始めた本気のキャリア教育

もっと楽しい勉強をしよう!!洛南が始めた本気のキャリア教育

洛南高等学校附属中学校では、生徒に「より豊かな学問の世界の存在」と「将来を見据えた勉強への取り組み方」を伝えるさまざまなキャリア教育を行っています。なかでも京都大学で研究をする洛南卒業生による洛南在校生への「京都大学講演会」と内容盛り沢山の「英国語学研修」は、同校でしか実現できないプログラム。これらの取り組みを通して生徒たちがどのように成長したのか、先生と在校生に話を聞きました。
※2018年現在、英国語学研修は学校が企画運営をした2016~17年の催行を元に旅行社が企画運営しています。
Student&Teacher INTERVIEW 大橋 雅宏先生/古賀くん/竹中さん/平井くん

キャリア教育の目的は
「少し先にある広い世界」を見せること

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キャリア教育を行う際に、どんなことを重視されていますか。
大橋先生
生徒たちに「大学合格だけを目標にする勉強でなく、もっと楽しい勉強をしよう」というメッセージを伝えていくことです。もちろん受験は大切ですが、「大学入試に通ればよい」というだけの勉強ではあまりにも寂しいですよね。そこで受験勉強の先に、さらに刺激的で面白い学びの世界があることを、生徒たちに伝えられるキャリア教育をしていきたいと考えました。

京大講演会の様子

京大講演会

具体的な企画として、2015年12月に行った「京都大学講演会」があります。これは洛南から京都大学に進学した先輩、および京都大学で教鞭を取っている先輩に講演をしてもらい、現場で彼らの「ナマ」の声に触れる取り組みです。附属中学の3年生と「空パラダイム」(内部進学生)の高校1年生を対象に、京都大学の時計台百周年記念ホールを借りて行いました。まさにオール洛南の京大イベントです。京都大学の全学部生に参加してもらうことを目標に、卒業生名簿はもちろんFacebookなどSNSも利用して多くの卒業生に協力を依頼しました。たくさんのOB・OGが「後輩たちのためなら」と賛同してくれたおかげで実現した企画です。

まず3名の教授にご自身が洛南生だった頃のエピソードや京都大学に進学した理由、現在の研究領域を選んだきっかけ、研究内容などについて話をしてもらいました。続いて京都大学の在学生や卒業生から、学部紹介をはじめ、生き方や学問に対する心構えなど、さまざまな話がありました。当日参加できなかったOB・OGからもメッセージをもらって冊子にまとめ、参加者全員に配りました。
京大講演会の様子
京大講演会の様子
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講演会に参加した皆さんは、どんな感想をもちましたか。
平井くん
全学部の詳細や研究内容について話が聞けたので、とても面白かったです。特に、医学部の先輩の「僕が医師になりたいのはお金のためでなく、本当に人を救いたいと思っているからです」という話がすごく印象に残りました。
竹中さん
京大講演会の様子

この講演会がなければ卒業生と間近で接する機会をもてなかったと思うので、本当に参加してよかったと思いました。私は志望する学部が決まっており、その学部の話だけ聞けばいいかなと思っていましたが、全学部の話を聞いてそれぞれの学部の魅力がわかりました。さらに他学部と比べたことで、志望学部に入りたいという想いがより強くなりました。そういった意味でも有意義でした。

古賀くん
洛南には京都大学を志望する生徒が多いので、講演会に参加した後で「あらためて京都大学に進学したくなった」といっていた友人がいました。
大橋先生
工学部や理学部でどんな研究が行われているか、すぐイメージできる人は少ないですよね。しかし先輩・後輩という身近さからくるフランクな雰囲気の中で、卒業生からリアルな話を聞けて内容が理解しやすくなり、よい刺激を受けられたのではないでしょうか。講演会が終わった後も多くの生徒が京都大学の学生食堂に集まり、先輩たちをつかまえていろいろ質問していました。先輩たちも夕方まで付き合ってくれて、生徒から感謝の声が上がっていました。この取り組みは今後も続けていきたいと考えています。
京大講演会の様子
京大講演会の様子

キャリア教育のねらいと
共通する海外語学研修

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今春企画されたイギリスでの語学研修に、キャリア教育と共通する点があるそうですね。
大橋先生

イギリス語学研修の様子

イギリス語学研修

はい。イギリスでの語学研修は厳密にはキャリア教育ではありませんが、より広い学びの世界を見せる、生徒たちに刺激を与えるという意図はキャリア教育と同じですね。2016年3月に行ったこの語学研修は、内部進学を希望する中学3年生を対象にしました。内部進学ならではのゆとりを生かし、受験勉強の先を見据えた進路に生かせる経験をさせたいと考えたからです。

そこでコミュニケーションツールとしての英語を体験できる語学研修を試みました。研修先にイギリスを選んだのは、世界の歴史に大きく関わってきた国だからです。「世界史の教科書で勉強したものが目の前にある」という経験は、生徒の視野を大きく広げてくれるだろうという期待がありました。また英語の発祥地であることも考慮しました。
イギリス語学研修の様子
イギリス語学研修の様子
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貴校ならではの特徴はありますか。
大橋先生
イギリス語学研修の様子

第一に、希望者が全員参加できることです。人数を限定したり、英語力で選抜したりという条件は設けていません。希望する生徒全員に海外で生きた英語に触れる経験をしてもらいたいからです。
次に、プログラムが非常に盛り沢山であることです。観光やホームステイはもちろん、英語でプレゼンテーションを行ったり、地元の学生とスポーツをしたり、ショッピングをしたりなど、いろいろな体験ができます。せっかく学校で企画するのだから、個人ではできない経験を提供したいと考えています。

イギリス語学研修の様子
イギリス語学研修の様子
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英語でのプレゼンテーションを企画された意図はどこにあったのでしょうか。
大橋先生

イギリス語学研修プレゼンテーションの様子

イギリス語学研修プレゼンテーション

与えられた課題をこなすだけの受け身の研修になるのは避けたかったので、生徒が能動的に取り組めるプレゼンテーションを考えました。日英文化の比較をテーマに出発前に概要を考え、画像など必要なデータを準備していき、現地で内容を精査したり、わかりやすい伝え方を検討したりしました。発表当日はホームステイ先のファミリーも見学に来て、総勢50名ほどのイギリス人の前でプレゼンをしました。ほとんどの生徒が非常に緊張していましたが、内容に合わせて衣装を用意したり、英語で漫才をしたり、面白いジェスチャーをしたり、全員が本当に頑張りました。現地の人たちにもとても好評でした。

今回の海外研修ではプレゼンをはじめ発表する場が何回もあり、「どこかで失敗してしまうのでは」と心配しましたが、生徒たちはこちらの予想以上に臨機応変な対応を見せてくれました。あらためて「どこに出しても恥ずかしくない生徒たちだ」と実感しました。
イギリス語学研修プレゼンテーションの様子
イギリス語学研修プレゼンテーションの様子
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参加した皆さん、研修中に印象に残った出来事を教えてください。
平井くん
僕のホストファミリーはベジタリアンで、さらにテレビもラジオも持たない人たちだったので、まずその生活スタイルに驚きました。毎日の食事では日本で食べたことのないものがたくさん出てきて、ルーだけみたいなカレーを食べたときは特に衝撃を受けました(笑)。
竹中さん

イギリス語学研修ホームステイの様子

イギリス語学研修ホームステイ

日本とイギリスの文化の違いです。例えば日本では食事も団らんもリビングで楽しむ家庭が多いと思いますが、イギリスでは食事はキッチンでとり、団らんはラウンジですると明確に分かれています。そういった文化の違いを知り、お互いに理解し合えたことがよかったです。

古賀くん
英語で行ったプレゼンテーションです。僕はペアを組んだ生徒と一緒に、日英のお化けをテーマにプレゼンをしました。日本のお化けの例として河童を、イギリスのお化けの例としてドラキュラを取り上げ、それぞれに仮装して河童とドラキュラの対談形式で発表したんです。発表そのものも面白かったですが、準備をする中でイギリスの学生とたくさんディスカッションできたことが本当に楽しかったです。
イギリス語学研修ホームステイの様子
イギリス語学研修ホームステイの様子
ココロコミュ
研修を終えて、「成長したな」と思う点はありましたか。
平井くん
日本とは全く違う生活を送ったので、肉食やメディアが恋しくなったこともありますが、イギリスでしかできない貴重な経験ができたと捉えられるようになりました。質素な生活を通して、自分にもモノやメディアに頼らない暮らしができるんだという自信がつきました。
竹中さん
イギリスの人たちは何に対しても自分の意見をはっきり言うのですが、私は「あなたはどう思う?」と聞かれてもうまく返答できず困りました。この経験から、研修後は物事に対して「自分はこの件についてどう思っているか」をちゃんと考えるように意識しているので、少し成長したのかなと思います。また、イギリスで「頑張れば英語が伝わる」と実感でき、英会話に自信を持てるようになりました。
古賀くん
あらためて英会話の難しさを実感したので、帰国してからは常に「もしネイティブと話すなら?」と意識しながら英語を勉強するようになりました。将来は外交官になりたいという目標があるのですが、この語学研修を通じて、あらためてその思いが強まりました。
平井 健志郎くん/竹中 桜さん/古賀 達也くん
大橋先生
この研修を終えて、生徒たちが海外に対して感じていた「壁」がなくなったという印象を受けました。初めて海外に出るときは誰でも抵抗があるものですが、思い切って行けば楽しい世界が待っていると実感できたのではないでしょうか。この実感が、大学進学後は留学しようとか、就職は外資系も検討してみようとか、何年か後に新たなチャレンジにつながるのではないかと楽しみにしています。

より知的好奇心を刺激する
キャリア教育をめざして

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キャリア教育を行う際に、どんなことを重視されていますか。
大橋先生
大橋先生

実現したい取り組みは本当にたくさんあります。その1つとして、大学内の施設見学や卒業生の研究室訪問など、学問や仕事の現場を生徒たちに見せたいという企画を考えています。セキュリティの問題があるので難しいかもしれませんが、これはぜひ実現させたいですね。本校は、生徒の進級と共に担任も持ち上がる仕組みです。そのため年を追うごとに生徒たちへの愛情が自然と深まって、「生徒たちによりよい経験をさせてあげたい」という想いが強くなり、それが新しい取り組みにつながっているのだと思います。これからも生徒により面白い学びの世界を見せられるよう、頑張っていきたいと思います。

洛南高等学校附属中学校

洛南高等学校附属中学校
洛南がユニークなキャリア教育をしているという話を聞き、インタビューにしうかがった。一つは、京都大学で行われた洛南卒京大生による洛南在校生のための講演会。もう一つは、イギリスでの語学研修だ。二つのイベントに共通するは、「しっかり」「たっぷり」のプログラムで、生徒達にこの上なく豊かな刺激を与えるところだ。しかし、内容以上に素晴らしいと感じたのは、在校生のために集まり、講演後も夕方まで話をしていたという卒業生や、生徒のプレゼンテーションを見に来たというホームステイ先のファミリーなどの存在だ。頑張る生徒達と応援する人達の素敵な関係性に洛南のキャリア教育の魅力がある。

 

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