発見!私学力 関西大学中等部・高等部 応援団 先輩から後輩へ 受け継がれる応援合戦

関西大学中等部・高等部では、6月の体育祭を中高6学年が縦割になり、赤・青・黄の3団に分かれて競います。最大の見せ場は、応援合戦の演舞。高校3年の各色の団長を筆頭に副団長、団員、チアリーダーなど異学年の生徒約50名による応援団が、体育祭に全力投球する全校生徒を讃え、エール交換や応援歌を披露するのです。関西大応援団の先輩から指導を受ける演舞はすでに3代続き、技や心が確実に伝承されている応援団。2016年度の団長3人にその魅力を取材しました。
練習 PHOTO GALLERY 苦しい練習の日々 先輩たちのような演舞をやるんだ!
4月末から6月の体育祭本番までの短い練習期間に、演目や内容を考え、団員たちで共有しながら応援や演舞を形にしていくハードな日々。学年も性別も超えた団員たちの結束が、体育祭当日には熱い感動と、大きな達成感を生む。
本番 PHOTO GALLERY 感動の体育祭本番「応援合戦」迫力ある伝統の演舞を披露!
団長を中心に全員一丸となって完成させた中等部・高等部応援団による応援。種目は赤・黄・青に分かれるが、応援合戦は3色がひとつになって、関西大学応援団の先輩から受け継いだ演舞を披露する。圧倒の応援は、すっかり体育祭の名物になっている。

関西大学中等部・高等部応援団 INTERVIEW

青団団長 髙塚くん(高校3年)黄団団長 蓮井さん(高校3年)赤団団長 古田くん(高校3年)林 誠浩先生

鳥肌が立ち、見入ってしまう関西大学応援団「こんなことがしたい」「やりたい」と心から思えた。-髙塚くん-

ココロコミュ
Question
関大中等部・高等部の体育祭の応援団による演舞は、いつ頃から行われているのですか。
林先生
Answer
応援団自体は開校当初からあり、競技中の各色の応援のみをしていたんです。それが4年前の高等部2期生(現在は5期生)が関西大学の応援団を見て、「自分たちも演舞をやってみたい」と提案してきたのが今の形の最初です。その時は体育祭の1週間ほど前だったので、高校3年の応援団長3人だけがそういうことをしようと動きました。翌年からはもう少し形のあるものにしたいと、大学の応援団にも指導に来ていただきながら作っていったんです。
ココロコミュ
Question
関西大学中等部・高等部は2010年に開校した新しい学校ですが、応援団が作られたというのはやはり関西大学の影響が大きいのですか。
林先生
Answer
そうですね。大学の応援団を生で見て「自分たちもやってみたい」と思った2期生の気持ちが発端ですから、影響は大きいですね。やはり大学の応援団は迫力がありますし、学校としても近くに大学生の先輩がいることを活かさない手はないと思っていました。
ココロコミュ
Question
確かに中高校生から見ると刺激的だと思いますが、3人は初めて大学生の応援団を見たときの印象や自分が応援団に入ろうと思ったときの気持ちを覚えていますか。
髙塚くん
Answer
僕は小学校の時に応援団長をやらせてもらって大きな達成感を味わったので、高校に応援団があると聞いた時からやりたいと思っていました。大学生の応援団は迫力が全然違っていて、見ただけで鳥肌が立ち、見入ってしまうもので、「僕もこんなことがしたい」と心から思え、高校3年間応援団を続けました。
蓮井さん
Answer
私は中学3年の時も応援団で、高3の3団長の応援を見て「こんな応援があるんだな」と思っていたんです。高校1年で大学生の演舞を初めて見せてもらったときには、「これが応援団なんだ!やってみたい!」と強く思いました。中学3年で見たときの団員は全員男子でしたが、女子の私でも関係なくやってみたいと思ったんです。
古田くん
Answer
当日の3人の雄姿
当日の3人の雄姿
僕は、高校1年のときたまたま応援団に入ってしまって、演舞をすることも知らなかったんです。4月以降体育祭までは練習時間にあてるので、その期間は部活もできず少し迷惑に思うこともありました。でも、大学生の演舞を見せてもらったときに圧倒されて気持ちが変わりました。結局高校3年間続けられたのは、その時の感動と、部活ができないことより応援団での達成感の方が強かったからかもしれません。
ココロコミュ
Question
応援団は立候補ですか。
林先生
Answer
各学年から有志を募りますから、毎年メンバーは変わります。ちょっと興味が出て1年だけ参加する生徒もいますし、去年の演舞を見てやりたいと言ってくる生徒もいます。応援団は中学1年から入れますが、高校3年が応援団長をやるのは決まっています。3色の団全員で約50人です。
ココロコミュ
Question
4月から6月の体育祭までの2ヶ月は、どういう流れで進んでいくのですか。
蓮井さん
Answer
4月末にメンバーが決まり次第、今年やる演目を決めます。ゴールデンウィークに入るので、その間に歌詞を覚えるなど歌の練習をしてきて、ゴールデンウィーク明けにグラウンドで一人ひとりが大声を出せるように練習してから、振付に入ります。振付はすでにあるので、それを大学生の方に教えてもらいながら練習していきます。

先輩から受け継いだ 「楽しもう」という気持ちを受け継いでほしい。-蓮井さん-

ココロコミュ
Question
応援団での喜びや苦労などを教えてください。
古田くん
Answer
演舞で先輩・後輩の縦の関係を保ちつつ、みんなで仲良くなれて輪が広がっていったことが楽しかったです。高1から高3までやっていたので、年によってメンバーは異なったのですが、その年ごとに違うメンバーと仲良くなれるのは良かったですね。苦労は、人によってどういう言葉を掛ければいいかにすごく悩んだことです。一度怒鳴ってしまったことがあったのですが、それは全員に効果があるわけではないので、個人個人の違いをよく考えて声掛けする必要があるんだなと思いました。
蓮井さん
Answer
3年間続けた達成感はもちろんですが、一緒にやっていた後輩が「応援団をやりたい」とか「高3になったら団長になります」と言ってくれたことがすごく嬉しかったです。難しかったところは、古田くんも言っていたように、一人ひとりの思いが違うので、応援団に対する熱の差があります。継続してきた子は決まった時からヒートアップしていますが、そうではない子たちはテンションが下がっているので、そこを同じモチベーションまで引き上げるためのコミュニケーションが難しかったです。
髙塚くん
Answer
3人の団長への後輩からのメッセージ
3人の団長への後輩からのメッセージ
今年の演目を決めて大学生の方に相談した時に「これは大学生でも難しい演目だから、君たち高校生にはまだ無理だ」と言われたんです。でも団長3人で話し合った結果、僕たちの中でその演目をやりたい!という気持ちが強かったので挑戦しました。練習もしんどいと言われている分「もっと頑張ろう!」という気持ちになったし、逆に「絶対やってやろう!」という気持ちが強くなって練習にも力を入れられました。最終的にやり遂げることができたことは本当に嬉しかったです。高校を卒業した先輩たちも来てくれたのですが、「よくやった! よく伝統を継いで、団長をこういう良い形で終われた!」と声をかけてもらえて、やってよかったと感動しました。
ココロコミュ
Question
先輩から受け継いだものや、後輩に引き継いでいきたいものは何ですか。
髙塚くん
Answer
先輩からは演舞の動きにメリハリをつけろと何度も言われてきました。止まる時は止まって、動く時は俊敏に動く! それと団長が後ろにいる後輩たちを引っ張るんだということも思っていましたから、自分が団長になってもそれはすごく意識していましたし、後輩にも引き継いでほしいと思います。
蓮井さん
Answer
私は、自分が高1の時の団長さんが気さくな方で、「楽しもう」ということを打ち出されてすごく団員の仲が深まったんです。それで私も応援団をやるからには「楽しもう」という気持ちを全員に持ってほしいと思ってやってきましたし、その気持ちを受け継いでいってほしいです。そうすればもっとクオリティをあげた応援を作っていけるし、みんなで作り上げて良かったと思えるはずです。
古田くん
Answer
先輩たちはみんな優しくて他の学年をつないで楽しくやってくれていたので、僕もそういう存在になりたいという気持ちはありました。その思いをつないでいきたいです。

先輩から受け継いだ 「楽しもう」という気持ちを受け継いでほしい。-蓮井さん-

ココロコミュ
Question
応援団での活動を通して、個人的に変わったこと、成長したと感じることはありますか。
蓮井さん
Answer
私はずっと学級委員などリーダー的な役割についてきましたが、今までは見て思ったことを言うだけでした。でも応援団をやって先輩後輩との関係を築いていく中で、自分の譲れないところはしっかり言いますが、他の人の話をよく聞くことの大切さも知りました。応援を一緒に作り上げるので、いろんな子に話しかけたことが大きいと思います。
古田くん
Answer
僕は前に出るのが得意ではなかったのですが、応援団を通して自信がつき平気になりました。自分に対する周りの評価が気になっていたのですが、ある時に「自分はこんなに気にしているけど、周りはそれほど思っていないんだな」と気づいて、そこからやりたいこともできるようになりましたし、人に何を言われても気にならなくなりました。応援団をやったことで、自分を素直に出せばいいんだと思えるようになったんです。
髙塚くん
Answer
普段は同じ学年としか交流する機会がなく、中高一貫校であってもクラブ以外では縦のつながりはあまりありませんでした。でも応援団で一種のファミリーのような意識が芽生え、同じ青団の子に積極的に話しかけ、自分1人で動いているのではないことを実感したし、いろんな話をすることで意見を共有することの喜びを知りました。
3人の団長への後輩からのメッセージ
3人の団長への後輩からのメッセージ
3団のTシャツとはちまきにも熱い寄せ書き
ココロコミュ
Question
そんな応援団があり、先輩後輩の関係性を作っていける関西大学中等部・高等部はどんな学校ですか。
蓮井さん
Answer
今までは先生が決めたことを生徒が分担してやるだけのところもあったのですが、今年は特に生徒主体の体育祭や文化祭になってきています。私たち応援団も、応援に関わる演目をいろいろ考えたり、体育委員も体育祭の種目決めを一からやったり、生徒主体でやる学校になっている感じがします。
ココロコミュ
Question
応援団で得た経験を、将来どのように生かしたいですか。
髙塚くん
Answer
今後、こうして団体で動く機会は少なくなるかもしれませんが、団体で動くことで生まれる力があると知ったことは大きいです。僕は将来教員になりたいと思っているので、応援団でやらせてもらったような、皆をまとめることや個性を引き出してあげることなどを活かしたいと思っています。
蓮井さん
Answer
将来は自分で会社を経営することを目標にしているので、応援団で経験した一人ひとりと関わることの大切さを活かしたいと思います。
古田くん
Answer
僕は応援団で多くの人と出会い、その大切さを学びました。これからそういう場がどれくらいあるかはわかりませんが、些細な関わりを活かせるように、ひとつひとつの出会いを大事にしたいと思っています。
先輩の姿に刺激を受け、中高生の壁を破って、自分たちの理想とする応援を追求していく関西大学中等部・高等部応援団。体育祭での熱い応援は毎年感動を呼び、すでに同校の名物になっているようです。開校から7年目で新設校のイメージが強かった同校ですが、校内では着実に伝統と先輩・後輩の絆が作られ、受け継がれていることを実感した取材でした。