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カウンセラーのつぶやき

★  子どものうつ病(気分障害)

世界的な不況の影響を受けて、大人の世界でうつ病が増えていることが報道されています。大人だけでなく、子どものうつも増えているようです。utubyo-1.jpg身体の成長だけでなく、心の変化 も速い子どもに対して、気分障害との診断がされることはまれでなのですが、小 学校高学年の不登校児童の保護者が、「うちの子が病院でうつと診断された」と 困惑して相談に見えることが続けてありました。
30年くらい前までは、精神病理を次の表のように分類して、うつ病は内因性 精神障害とされていました。
精神障害 心 因(心理的・社会的要因)
身体因 内因…先天的な素質+環境的な影響 脳の機能的障害
(原因はまだ明らかでないが何らかの身体的原因があると推測される)
外因…外から脳に侵襲があった場合や、脳以外の身体的疾患が基礎にある
(すでに原因が明らかにされている)
ところが、最近の研究では、日常的な軽い落ち込みと、気分障害と呼ばれるほどの深刻な落ち込みとをはっきり区別することはできないと考えらるように変わってきたのです。
気分障害の原因
うつ病は、ひとつの原因から起こるのではなく、いくつかの原因が複合的に影響して発症すると考えられています。主な原因として長期にわたるストレスが引き金となると考えられていますが、同じストレスを受けても反応には個人差があり、全員がうつ病を発症するわけではありません。遺伝的要因や神経伝達物質の影響も関係していると考えられています。
遺伝的要因とは、親族にうつ病の人がいると、うつ病になりやすい体質が遺伝すると考えておけばよいでしょう。遺伝はあくまでも発症リスクを高める原因のひとつでさまざまな原因が複合的に絡み合ってうつ病が発症するとされています。
神経伝達物質の影響は、脳内の情報交換に欠かせないノルアドレナリンやセロトニンが減少していくことで、うつ病を発症してしまうといわれています。
気分障害の診断
utubyo-2.jpg  気分障害では診断の確実な根拠となる身体所見はみられないため、精神症状、身体症状の存在、経過などから診断されます。
まず「気分障害といえるレベルの抑うつ状態があるかどうか」を判断することから始まります。次に、その状態が続いている期間、変動性などを確認し、幻覚妄想など他の精神疾患の可能性を除外します。気分障害と考えられれば、躁病相の有無を確認し、双極性気分障害(躁うつ病)、単極性気分障害など、分類・タイプを判断します。
気分障害の分類
気分障害は単純に分類すれば次のようになります。

①身体因性気分障害
疾患や薬剤の影響で起こるもので、糖尿病、慢性腎不全、消化器  疾患や、降圧剤、インターフェロンなどの薬物療法に伴い、生じることが知られています。

②内因性気分障害
特に原因がないのにひとりでに起こる気分障害で、うつ状態のみが現れる単極性気分障害と、うつ状態と躁状態が時期を違えて同じ人に現れる双極性気分障害(いわゆる躁うつ病)に分けられます。

③心因性気分障害
家族の死など精神的ショック、心理的葛藤をきっかけに発症するもので、内因性気分障害との区別が難しいのです。

気分障害の大部分は内因性で、しかも中高年の疾患とされてきました。また、心因性気分障害といわれるものの心因や反応をおこした原因とみなされるできごとは、実は内因性気分障害の発病状況因(誘因)の可能性が大きいといえます。
子どもの気分障害とは
ストレスの多い現代社会にあって、子どものうつ症状も確実に増えているといわれています。基本的には、子どものうつ病の症状も同じですが、大人のうつ病とは少し印象が違います。体がだるい、頭痛がするといった身体的な症状ばかりが前面に出る「仮面うつ病」という状態になるケースが多いといわれています。子どもは、心身共に発達過程にあり、落ち込んだ気分を大人のように言葉で表現できないため、行動や身体症状として現れることが多いといわれています。具体的には、普段は喜んでするスポーツやゲーム、友達との遊びなどに対する興味を失い、食欲もなくなって体重が低下したり、不眠が起こったりします。このほか、AD/HD(注意欠陥/多動性障害)や学習障害などの影に隠れていることもあり、うつ病の発症に気づかれにくいのが特徴です。また、子どものうつ病の症状は、思考力や集中力を妨げ、勉強にも影響してきます。
いつもと違っておかしいなと感じたら、まずは親子関係に問題はないか、あるいは、いじめなどの有無を調べたりして、環境を整えましょう。
次の状態が2週間以上続いた場合は、うつ病の可能性が考えられますので、専門家に相談したほうがよいでしょう。

* 悲しそうな雰囲気
* 無気力
* 友人や社会的な場から引きこもる
* 楽しむ能力が減退する
* 拒絶されている、愛されていないといった感情をもつ
* 睡眠障害が起きたり、悪夢をみる
* 自分を責める
* 食欲減退、体重が減る
* 自殺を考える
* 大切にしていた持ちものを手放す
* 新たな身体的苦痛を訴える
* 成績が落ちる
気分障害の症状

気分障害では、生命力の低下が認められ、様々な精神症状、身体症状が現れます。

①精神症状
感 情
意  欲 ・ 行 為
思   考
気  分
身体感情
自我感情
個 人 面
社 会 面
形  式  面
内  容  面
抑うつ気分
憂うつ
絶望感
悲哀・淋しい
不安・焦燥
苦悶
イライラ
無感情
不調
不健康感
不全感
低下
過小
自責感
劣等感
悲観的
絶望
自殺念慮
制止
寡言・寡動
混迷状態
焦燥・徘徊
行動力低下
集中力低下
根気なさ
無気力
閉居
厭世
脱落
自殺
思考抑制
優柔不断
集中力低下
思考力低下
記憶力低下
微少的
罪責
マイナス思考
心気妄想
虚無妄想
貧困妄想
疾病妄想



②身体症状

気分障害は、精神症状だけが現れるものではなく、次表のような身体症状が生じることが多いのです。これらの症状は、しばしば気分障害の症状とは考えられず、様々な診療科で身体の病気として治療されていることもあります。
気分障害の症状として最も多いのが不眠です。不眠は、寝つきの悪い入眠障害、眠りが浅い熟眠障害、夜中や早朝に目覚める早朝覚醒などに大別されるが、特に多いのは熟眠障害と早朝覚醒です。
 睡 眠
呼 吸 器
感 覚 器
 消 化 器
循  環  器
生殖器
泌 尿 器
入眠困難
熟眠困難
早朝覚醒
朝方抑鬱
頭重・頭痛
呼吸困難感
過呼吸症
候群
味覚異常
めまい
耳鳴り
口渇
食欲低下
下痢・便秘
腹部膨満感
腹痛
やせ
胃部不快感
悪心・嘔吐
心悸亢進
頻脈
胸部圧迫感
発汗
性欲低下
勃起不全
生理不順
頻尿
排尿困難
全 身 感 覚
疲労倦怠 しびれ感  冷感
肩・首こり 腰部・背部痛 関節痛
四肢疼痛 筋肉痛

気分障害の症状は、一般に朝に悪化し、午後か夜にかけて徐々に改善するという日内変動が見られます。しかし、「ずっと落ち込んでいるわけでないから大丈夫」と安易に考えてしまいがちです。

受診の目安
子どもに問いかけて確かめてみよう
①下記のどちらかがあてはまる。
  • 抑うつ気分である。
  • 何事にも興味がわかず、楽しくない。
②上のどちらかがあてはまり、以下の項目が4つ以上あてはまる。
  • 食欲がない(または食欲がありすぎる)。ダイエットや食事療法をしていないのに、極端に体重が減った(または増えた)
  • 不眠。あるいは寝てばかりいる。
  • 疲れがたまっている。気力もない。
  • 自分は価値がない人間だと考えたる。または罪の意識を感じる。
  • 思考力や集中力が低下した。または判断力が鈍ってしまった。
①②の状態を毎日抱えており、それが2週間続く場合が受診の目安となります。

 

気分障害になりやすいこどものタイプ
  • 真面目で責任感が強い
  • 自分の問題は自分で解決しようとする
  • 凝り性、徹底的、正直、何事にも几帳面
  • 周囲からの信頼が厚い
  • 長期間過労が続いても、ますますがんばってしまう
  • 秩序を重んじ、他人との関係ができるだけ円満にはこぶように気をつかう
  • 本当は嫌なのに頼まれたらついイエスと言ってしまい、争いを避け自分から折れたりして、保守的である
治療の実態
気分障害の子どもは20人に1人程度しか適切な治療を受けていません。その理由。
①親が受けさせない
 気分の落ち込みは誰でも体験することであるため、落ち込んだからといってすぐに治療を受けようとは考えない。また気分障害という病気を知らないことも問題。
②親が気がつかない
 子どもが気分障害であることに気がつかない。気分の落ち込みはあまり自覚せず、頭痛や食欲不振など体の症状ばかりが目立つ。よって、検査ばかり行ってあげくの果てには「気のせい」と片付けられて、症状が悪化します。
③医者が診断できない
 小児科を受診する7%の人は気分障害だと言われています。しかし、精神科を専門としない医者はなかなか診断しにくいようです。
④医者が診断しない
 気分障害という診断をつけること自体が、その子どもの将来にとって何か不利益をもたらすことを心配するからです。
⑤本人が治療しない
 十分な量の抗うつ薬を1か月以上投与しなくてはいけないのですが、かなり根気のいることなので、続きにくいのです。
気分障害が疑われるときの家族に必要な配慮
(1) 病気であることを理解する
 病気であることが納得できないと、してはいけないこと(強く励ます、ただほうっておく、性格の  せいだと言って叱る)をしてしまう。ふつうの病人に対する普通の態度が、気分障害に対する正しい態度です。
(2) 休息を取らせる
 気分障害は脳に原因があるので脳を休めることが必要。頑張らずに休息を取らせる。
(3) 医者の診断を受けるようにすすめる
 休息だけでは治りません。きちんと治療すれば大部分が2~3週間で効果が出てきます。
(4) 治療すれば治ると励ます
 励ましてはいけないのは、追い詰めるようなこと(叱咤激励)であって、治療を受けることを促す励ましは大いにするべきです。
(5) 重大な決定をさせない
 気分障害の子どもは自信をなくしており、なかなか正しい判断ができにくい。治ってから判断すること。
(6) 根気を持つ
 本人は治るという希望を持てない。治療の勧めに耳を貸そうとしないからといってすぐに諦めず、根気を持つこちです。
(7) ほかの人の力も積極的に借りる
 自分ひとりだけでできることは限界があります。子どもが信頼している人からアドバイスしてもら  えば治療を受ける場合もあります。
(8) 自殺を防ぐ
 将来への絶望感が強くなると、自分の命を絶つことを考えてしまうことがあります。そうした場合、何らかの兆候があります(自殺をほのめかす、別れの用意をする、過度に危険な行為に及ぶ、突然態度や行動が変化する、自傷行為)。だから、何が問題なのかを具体的に聞いて、解決できるように手助けすることが重要。また、子どもがいなくなったら周りの人がどれだけ辛い気持ちになるかを丁寧に説明するのが良い。また、より専門的なケアが可能になる入院も1つの方法です。

気分障害は人生の落とし穴みたいなものかもしれない。しかし、悩んだ体験などは、これからの人生に大いに役立つことを確信しましょう。
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