清風中学校・高等学校

清風「読書・論文指導」プロジェクト

発見!私学力
清風先生インタビュー小論文読書中学受験私立中学大阪関西男子校国語高校生生徒

清風中学校・高等学校 “自ら表現する力 ⇒ 生きる力”を育む 「読書・論文指導」プロジェクト
国公立や私立を問わず小論文を課す大学が増える傾向にある近年の推薦入試。伝統的に読書・論文指導に力を入れる清風中学校・高等学校では、大学入試で求められる論理的思考力や表現力の育成にとどまらず、「読む・考える・書く力」を高めるプロジェクト型の指導を通して社会で求められるコミュニケーション力を養うことにも注力しています。中高一貫のスパンで実践されるその取り組みを読書・論文指導部の先生方に語っていただきました。
中学1年読書・論文指導部
国語主事 稲原 彰 先生
読書・論文指導部
部長 坂田 武久 先生

中高一貫 のスパンで育成

「読む力」「考える力」「書く力」を
「生きる力」につなげていく!

― 貴校が読書・論文指導をスタートさせたのはいつ頃ですか。

稲原先生
指導そのものは40年ほど前から行っており、本校が実践している教育の中でも伝統ある取り組みの一つといえます。広い意味で国語力を養成することが目的ですが、他校ではあまり見られない読書・論文指導部という独立した部署を設けて指導にあたっている点が清風ならではの特色です。

― 「『生きる力』を支える読む力・考える力・書く力」が部署の教育理念とお聞きしました。

稲原先生
本を読む、あるいは何かを書くにあたっても、文章に対して自分の意識をいかに働かせて向き合うかが重要です。その主体的・能動的な行為が“気づき”をもたらし、物事を「考える」ことにつながり、やがて「説明する」「自ら表現する」に発展していきます。そうした力は「コミュニケーション力」の土台となり、生徒自身の「生きる力」を支えるものになりますから、本校では単に大学入試を突破するための文章作成能力にとどまらないスキルアップを目指して指導にあたっています。

― 具体的にどのような形で論文指導を行っているのでしょう?

坂田先生
「中学プロジェクト(中1~中3)」「高校プロジェクト(高1・高2)」という形で実践していますが、中学と高校でそれぞれの学びを完結させるというより、中高一貫のスパンで生徒が段階的に力をつけられるように指導プランを実行していきます。別の言い方をすれば、生徒たちが高3になった時、あるいは卒業した時に「どのような人間になってほしいか」という思いを教員が心に抱き、そこから逆算して中1から徐々に「生きる力」につながる「読む力・考える力・書く力」を積み上げていきます。

稲原先生
このプロジェクトは国語の授業とは別に週に1コマ、水曜日のロングホームルームの時間を活用して行います。中学で年間20回ほどの課題に取り組み、さらに学期に1回の読書感想文の添削指導など、中学の3年間で換算すると計60回を越える課題に実戦的に取り組むことになります。

坂田先生
もちろん書いたものは添削指導をしてフィードバックします。部署の教員以外に50名ほどの添削指導者がおり、専門的な視点で細かくチェックして朱字を入れ、生徒はそれを見直すことで書く力だけではなく物事の見方や考え方も伸ばせます。当然、部署として一人一人の成長過程は常に把握していますし、クラス担任とも情報を共有しているので、伸び悩む時期があっても適切にアドバイスしながらフォローできます。

大学入試 に向けた対応

生徒個々の志望大学に応じた
マンツーマン の指導を放課後に!

― 高校生になるとプロジェクトはどのようにレベルアップするのですか。

坂田先生
「中学プロジェクト」は年間20回の課題をこなしますが、「高校プロジェクト」になると取り組む回数は少し減るものの、向き合うテーマが難しくなり、書く文字数も増えていきます。ですから高校では週末課題として持ち帰り、自宅でじっくり考えて取り組むスタイルに変わります。そして高3になると志望大学を見据えたマンツーマンの個別指導に移行します。

稲原先生
高3の個別指導は放課後に実施し、それ以外にも私立文系クラスに限っては私立大学の推薦入試を見据えた小論文の指導を普段の授業で行います。日々の授業で確実に基礎知識をインプットし、放課後の個別指導をプラスすることで大学入試に挑むための力を着実に身につけていきます。

―  放課後の個別指導はどのような点に重きを置いていますか。

坂田先生
高3になると課題をこなす回数云々より、具体的に志望する国公立大学の総合型選抜入試や特色入試、私立大学の推薦入試を見定めて取り組むことが大事です。受験学年になると生徒自身の目的意識はさらに高まりますから、「こういうことを調べたい」「こういうテーマで書きたい」と自主性をもって臨めるようになり、それに教員がマンツーマンで向き合います。

稲原先生
さらに放課後の個別指導では面接指導も行います。書くことも、話すことも、言葉に関することはすべて読書・論文指導部が指導に関わります。

坂田先生
在校生への指導はもちろんですが、卒業生の相談にも乗っています。大学入学後に編入試験を受ける卒業生も訪ねてきますし、就職試験の面接のアドバイスを求めに来る者もいて、本校の教員は親身にサポートします。

― 論文指導だけでなく読書も積極的に促されているのでしょうか。

稲原先生
プロジェクトの指導は読書感想文の課題も含みますから、その都度で生徒たちは本を読む機会を得ています。課題以外の読書については本人の判断になりますが、本が好きな生徒は足繁く図書館に通っていますし、私たちの部署としても司書の先生と協力して『100冊歩行』と題した選書ラックやその時季ごとのトピックコーナーを設けたりするなど、本に親しむ環境をつくって生徒を支えています。

坂田先生
『100冊歩行』は本校が毎年3月に実施している『高野山100km歩行』に因んで命名しました。ランダムに100冊を選ぶのではなく、初級、中級、上級と段階的に手に取って読書を楽しめるような選書を心掛けています。

― 最後に清風中学を目指す小学生と保護者の方にメッセージをお願いします。

坂田先生
冒頭で稲原先生がお話しされた通り、本校の読書・論文指導は40年の伝統があります。当然蓄積された指導ノウハウはありますが、それに慢心することはなく、その時その時の生徒の伸長に目を向けながら柔軟性をもって指導内容を見直すこともあります。もし小6生の皆さんが今の時点で文章を書くことが苦手であっても大丈夫。入学後私たちと一緒に「中学プロジェクト」で学んでいけば、6年後の大学入試に自信をもって挑める力をつけられます。ぜひ一緒に頑張りましょう。

稲原先生
プロジェクトの成果は国語の定期テストにもあらわれています。例えば、現代文で50字程度の記述を求める出題をしても、どのクラスの生徒も必ず何か書きます。そこは本当に感心しますし、プロジェクトの学びを通して「文章を書く」という抵抗感は確実に低くなっていると感じます。中学受験を終えて入学が決まった小6生の皆さんには“中学歓迎プロジェクト”として3月にプリントを用意していますので、それもぜひ楽しみにしておいてください。