6年を通して多様な行事が用意されている開明中学校・高等学校。そのスタートが中学1年生の「オリエンテーション合宿」。2022年は4月11、12日に行われました。親しく話せる友だちもいない中で取り組む初めてのイベントを、生徒たちはどのように受け止め、成長したのでしょうか。合宿での取り組みや得たものについて、2人の生徒と先生に話をうかがいました。
オリエンテーション合宿とは?

中学1年生が入学直後に体験する開明生として初めての行事。300名が参加して「大阪府立少年自然の家」(貝塚市)に一泊する。中学校生活のガイダンスを行うと同時に規律正しい集団生活のマナーを養い、野外活動などの班行動を通して生徒同士の友情を深めて相互理解を図ることが狙い。

4/11
開校式グループワークとオリエンテーション(学校生活のガイダンス、地図作成ゲームなど)登山クラス別ミーティング・基礎英語など
4/12
野外炊飯(カレー調理)閉校式
Student Interview充実した楽しい時間を過ごして友達・先生を知るオリエンテーション合宿
Hくん 中学1年生Iさん 中学1年生
クラスメートと同じ体験を通して
絆を強めるオリエンテーション合宿

― 中学1年のオリエンテーション合宿で楽しかったことを教えてください。

Hくん:2日目の野外炊飯で、皆でカレーを作ったことです。僕は火おこしを担当したのですが、1時間以上3つの焚火を順番に、うちわであおぎ続けていました。火を起こすのは初めてだったので、当日までにいろいろ調べていきました。例えば薪を縦横と交互にして、空洞を作りながら組んでいくと効率よく火が起こせるんです。

Iさん:私は1日目の登山が印象に残っています。かなり険しい場所もあって、私は体力がある方ではないので途中で疲れてしまいましたが、登り切ったときの景色がとてもきれいで大きな達成感を得られました。

― 入学して間もないオリエンテーション合宿ですが、不安はありませんでしたか。

Hくん:僕は行く前からあまり不安を感じなくて、当日もとても楽しく過ごせました。

Iさん:小学校では新型コロナウイルス感染拡大で行事が次々となくなってしまい、オリエンテーション合宿は久しぶりの宿泊行事だった上に、クラスメートとまだ仲良くなっていないので大丈夫かなと心配でした。でも、皆でたくさんいろいろな話ができて、楽しい経験になりました。

新しいことへの挑戦、何でも話せる友だちとの出会い
多くの体験を経て成長

― オリエンテーション合宿に参加する前と後で、変わったことは?

Hくん:登山や野外炊飯で火おこしや険しい場所を歩くなど、初めてのことにたくさん挑戦して鍛えられたと思います。いつも皆で声をかけて励まし合ったから、しんどい時も乗り越えられました。

Iさん:入学式の頃より学校で明るくなりました。オリエンテーション合宿を通して何でも話せる友だちができて、安心したからだと思います。

― オリエンテーション合宿に参加して、本格的に開明生としての生活がスタートしましたが、これからはどのような学校生活を送りたいですか。

Hくん:英語が苦手なので、もっと頑張っていきたいです。

Iさん:多くの先生が私たちのためにたくさんの取り組みをしてくださるので、その期待に応えられるように実力を伸ばしていきたいと思います。

入学後まもない行事だけれど、心から楽しめる!
安心して参加してほしい

―最後に、来年の新入生に向けてオリエンテーション合宿に関するアドバイスやメッセージをお願いします。

Hくん:オリエンテーション合宿は、新入生全員で一致団結して登山や野外炊飯などに取り組める、とても貴重な経験です。クラスメートと打ち解けられるかなとか、友だちができるかなといった不安はあると思いますが、怖がらなくても大丈夫ですよ!と伝えてあげたいです。

Iさん:登山では体力的に疲れたり、登るのが難しかったりして大変な部分もありますが、先生方が寄り添ってくださるので、心配せずに楽しんでください。困ったら先生や友だちに相談できるので、何も不安に思わなくてもいいと思います。

Teacher Interview 中学校第1学年主任 金光 清太郎先生 クラス全員が仲良くなれて活気が出る!オリエンテーション合宿の大きな成果
きめ細やかな事前準備と対応で
全ての生徒の安全を守る

― 新中学1年生にとって非常に重要な位置づけのオリエンテーション合宿ですが、コロナ禍の影響で一昨年、昨年は中止されています。今回は2年ぶりに実行されましたが、注意された点について教えてください。

金光先生:イレギュラーな部分が多く、「例年通りに進めよう」ということが全く通用しない2日間でした。例えば小学校で宿泊を伴う行事が中止になり、新1年生たちにそもそもクラスメートとの宿泊経験がなく、コロナ禍に伴う制約が多くありました。
例年通りにいかないからこそ、現地の下見をはじめ生徒の持ち物のチェック、集合場所や集合方法など、事前準備は例年以上に徹底して行いました。特に登山は息切れを起こしやすく、生徒がマスクを外さざるを得ない場面も出てきます。
そういった場合の対処方法も細かく取り決めました。決めた内容を教員間で周知徹底した上で、2日間はもちろん教員が主体となり生徒に細かく声かけをして安全を守ろうという意識で行いました。

―例えばマスクを外す際には、どのような対応をされたのでしょうか。

金光先生:マスクを一時的に外す際や水を飲む際は、その生徒にまず手をあげてもらいます。それを周囲にいる生徒や教員が共有し、ソーシャルディスタンスを保った上でマスクを外し、水分を取りました。
300人の生徒が一斉に動くので、適切な声かけは非常に重要でした。でも私たちが気づいていないところで、生徒がいつの間にか自然と声を掛け合うようになっていて、必要な伝達が効率的に伝わるようになっていたのです。それは教員も本当に助けられました。

協力し合い自然に打ち解けられる環境作り
誰ひとり孤立させない

― 生徒の中には内気だったり控えめな性格だったり、周囲と打ち解けるまでに時間がかかる人もいるかと思うのですが、そういったことに対する配慮は?

金光先生:初日は学校に集合した後に移動したのですが、そこで周囲とのコミュニケーションに消極的な生徒には、他の活動中に教師が周りと話しやすいよう声をかけるなどの配慮をしました。
しかし全員が打ち解けるために最も効果的だったのは、グループワークや野外炊飯で生徒一人ひとりに役割を持たせたことです。火を起こす係、野菜を洗って切る係などの役割分担を決めると、自然と全員がコミュニケーションをとって協力し合う状況になっていきました。
登山中に途中で休憩する生徒もいましたが、そんな時は同行していた教頭が休んでいる生徒と一緒に待機して話しかけるなど、全ての生徒が一人きりにならない環境を徹底しました。

― オリエンテーション合宿を通して、生徒はどのように変わっていくのでしょうか。

金光先生:第一にクラス全員が仲良くなれたこと、またクラスに活気が出たことです。生徒同士が自然に言葉を交わせるようになったことが一番大きいですね。
入学直後は挨拶すらぎこちなかったのですが、オリエンテーション合宿後は「もうすぐ授業が始まる時間だから座ろう」と自然に伝え合うなど、皆で助け合って動こうという意識が強くなりました。

よりよい学校生活を送ってもらうため
行事でも勉強でも様々な取り組みを実施

― 今後、オリエンテーション合宿に参加するだろう中学1年生に対して、メッセージをお願いします。

金光先生:オリエンテーション合宿については、新入生とその保護者の方の不安を解消する行事だと思っていただきたいです。学校での人間関係の構築や学校生活がどのようなものかというイメージをつけてもらうための2日間だと考えています。
そのために不安を解消できるカリキュラムをしっかり組んでいますので、あまり心配されずに任せていただければと思います。これまでも、元気に帰ってくるお子さんを見た多くの保護者の方々から「行かせてよかった」と言っていただいています。

― 「楽しかった」という気持ちが、帰ってきた時の様子に反映されているのでしょうね。では、開明中の学校生活に関するメッセージをいただけますか。

金光先生:本校は勉強もしっかりやってもらう学校なので、決して楽ではないと思います。しかし私たちは勉強で生徒を縛りたいわけではなくて、「なぜ今、勉強すべきなのか」「これに取り組む理由はどこにあるのか」を自分で考えられるようになってほしいと考えています。
そこを生徒たちに理解してもらえたら、充実した6年間を送ってもらえると確信しています。もちろん私たち教員は生徒一人ひとりに対して責任をもって見守り寄り添いながら、それぞれに対して「こうしてみようか」という提示をしていく責任を負って接していきます。

― オリエンテーション合宿後は、放課後学習という勉強方法を進めていくということですが、基本的には自習がメインになるのでしょうか。

金光先生:そうですね。勉強に関しては学校中心の生活を想定しています。勉強はできるだけ学校でしっかり頑張って、課題が終わったら家ではリラックスする。そういう環境の切り分け、住み分けができた方がいいと思っています。
入学後すぐにオリエンテーション合宿で周囲と打ち解け、またいろいろな心配事を私たちに相談できる環境を作り、続けて勉強面でも心配がないように放課後の勉強習慣づけが始まります。学校生活も勉強も、安心して取り組める環境を常に整えていきたいです。