


赤と青に分けれても心はひとつ!
あいにくの梅雨空が続き、2日間の順延を経て開催された高校体育大会。三田学園の広大な人工芝グラウンドには、ようやく迎えた本番の日への安堵と、生徒主体で企画運営される新しい形の体育大会への期待と緊張感が入り混じっていました。実行委員による力強い開会宣言や選手宣誓で始まった開会式。今年から各クラスを赤と青に分けるスタイルが導入され、赤いTシャツと青いTシャツを着た生徒たちが、同じテントから共に応援し合います。
最初の種目は、各学年で男女2レースずつ行われる「100m走」。フィールドを一直線に駆け抜け、周囲から大きな声援が響き渡りました。続く「スウェーデンリレー予選」では、42チームが午後の決勝進出16チームを目指し、熱いバトルを繰り広げます。息をのむような接戦が続き、大きな歓声と拍手が沸き起こりました。
布に乗せた大玉を4人で協力して運ぶ「大玉運びリレー」も登場。今年からの新種目の一つであり、これまで走る競技の多かった体育大会に新風を吹き込みます。選手たちはお互いに声をかけ合いながら息を合わせて走り、周りの応援を力に変えていきました。


熱く楽しい戦いを繰り広げた新種目
各学年から8チームが参加した男子200m、女子100mの「男女混合リレー」は、距離の違いもあって予想不可能な展開にハラハラドキドキ!力強い声援も飛び交い、熱気に包まれます。続いて行われた新種目の「宅配便リレー」「マーカーシャトルラン」も各学年からの選手による熱い戦いが繰り広げられました。
2本の竹を使って荷物を運ぶ難しさが際立った「宅配便リレー」は、前日の中学大会では4人で運んでいたところを急遽2人に変更。それでも箱を落とす場面もある中、必死でバランスを保ちながら走ります。一方、「マーカーシャトルラン」では、短距離の中で無駄のない素早い動きが求められ、選手たちは圧巻の反射神経を発揮。あっという間に競技が終了しました。その後も新種目の「学年ぶち抜きリレー」。各学年からの7チームが2レースを競い、スピード感あふれる走りと、後輩から先輩につなぐバトンに誰もが大興奮。会場の熱気は最高潮に達しました。


互いを認め合い、支え合いながら全力を尽くす体育大会
昼食を終え、待望の応援団タイムが始まりました。赤、青による応援合戦では、お互いを讃え合い、全員が一丸となって「全員のための応援」を繰り広げます。その光景は、三田学園の一丸となった結束力を感じさせました。
そして、通常競技とは一味違う「部活動リレー」へ。運動部も文化部もそれぞれのユニフォームや楽器や竹刀など各々を象徴するアイテムをそろえて、トラックを走ります。運動部や文化部に関係なく、三田学園生が自分たちの夢中になっているものへの誇りや情熱を魅せる姿とも言え、会場は熱く沸きました。
「スウェーデンリレー」の熱気あふれる決勝で盛り上がった後は、全員参加の「綱引き」。各学年が3試合に挑み、必死の形相で綱を引き合います。最後の最後まで全員が力を振り絞り、全力で戦い抜く姿に向けて、先生たちの大きな声援も響きわたりました。早々に赤の勝利が確定したかと思われましたが、得点変更の生徒案が出され、再試合の結果、勝利は青に!勝敗よりも共に、夢中でやり切ることを大切にしたその精神が最後まで貫かれ、「綱引き」終了後には、高まる気持ちを爆発させた生徒たちが、あちこちで抱き合う姿が見られました。
生徒主体の新たな体育大会は、互いを認め合い、支え合いながら全力を尽くすことの大切さを改めて感じさせてくれました。会場に満ちたのは多くの生徒の満足した笑顔。その中で、熱く、感動的な体育大会は幕を閉じました。

- 高校体育大会実行委員
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実行委員長 Hさん(高1)
副実行委員長 Kさん(高3)
生徒主体で考えるなら
体力がない人も運動が苦手な人も
活躍できる競技が欲しい
高校の体育大会実行委員になった理由を教えてください。
Kさん
これまでは体育大会は9月に行っていました。2025年度は6月に、それも生徒主体で開催するというお話が校長先生からあって正直困惑しましたが、そのままなし崩し的に体育大会を迎えるのではなくて、今年度だからできる体育大会を作りたいと思って、実行委員に参加しました。
Hさん
今年からの体育大会の変化について知ったときに、自分の知らないところで自分の楽しみにしているイベントの内容が勝手に決められ運営されるのは嫌だと思いました。「変化があるならこの目でちゃんと確かめたい」と思って実行委員になり、実行委員長にも立候補しました。
今回新たに4種の競技(大玉運びリレー、宅配便リレー、マーカーシャトルラン、学年ぶち抜きリレー)が取り入れられました。新競技はどのように企画していったのですか。
Hさん
私は去年まで中学生でしたが、中学の体育大会では、走る競技が多かったんです。100メートル走で走り、200メートル走で走り、スウェーデンリレーでも走る。でも、生徒主体で考えるなら、体力がない人も運動が苦手な人も活躍できる競技が欲しいと思って、いろいろな案を出して絞り込んでいきました。クラスごとの人数やクラスの男女比に差があって、各競技の参加人数の調整にはかなり手こずりました。印象的なのは、「マーカーシャトルラン」です。通常「ビーチフラッグ」と呼ばれ、滑り込む危険なイメージがあるためルール決めにも苦労しました。でも、今までになかった形の新しい競技が出てきて「絶対面白い!」と頑張りました。
Kさん
高校の体育大会も走る競技がメインで、走らない競技は綱引きぐらいでした。そこで新競技は、走るにしてもただ走るだけではない競技を増やしたいと考えました。そうすれば、自分の足に自信がなくても楽しめる競技になるのではないかと思ったからです。
また、例年は学年内のクラス対抗戦でしたが、今年はクラス全体を赤と青に分ける形にしたので、「なぜクラス対抗ではないのか」と不満の声もあがりましたし、私たちも赤青に分けたことで選手決めがややこしくなって、大いに悩むことになりました。でも結果的に、クラスが赤と青に分かれていながらも、同じテントの下で一緒に仲良く応援している様子を見られたので、頑張ってきてよかったなと思っています。
確かに赤と青のTシャツを着た人が、同じテントで一緒に応援している光景は珍しいかもしれません。新競技と共にそこも挑戦だったわけですね。
Hさん
チームは違うけれどクラスは同じということで、完全に赤と青で分断して戦うよりは、全員が体育大会を楽しむことが大切だと考えました。赤と青に分かれて応援合戦もしますし、最後に勝敗は決まりますが、それ以前に同じクラスだったり、友達だったりするわけで、敵というよりも良きライバルで刺激し合いながら頑張れる関係性がさらに深まる体育大会になるのではないかと思ったんです。
では、実行委員をやってみての自身の手応えや成長を教えてください。
Hさん
元から積極的にクラスの委員長などをしてきましたが、いろいろな人を巻き込んで、責任をもって取り組まなければいけない体育大会実行委員会長は重みが違いました。先輩にもたくさん助けてもらって、委員長の名がついていても全く役に立っていないのではないかと不安になることもありました。その中で、自分なりにできることを少しでも探して精一杯やるということを学べ、行動できるようになったと思います。今回の体育大会を見て、実行委員になって自分達の体育大会を作ろうと思う人が増えてくれたら嬉しいです。
Kさん
みんなの気持ちややりたいことを優先すると、どうしても難しいことが出てきますが、その中でみんなが一番楽しめること、納得できることは何かを考え、落とし所を見つけることができたと思っています。周りの意見を聞いて悩むことがとても多く、「では、どうするのか?」をずっと考えてきた時間は、自分を成長させたと思います。
生徒主体の体育大会ができる三田学園。改めてその良さは?
Hさん
質実剛健である三田学園は、普段は自由ではっちゃけていますが、何か目標ができた時には質実剛健の精神が表に出てきます。「やるときはちゃんとやる」。その精神を今回の体育大会でも強く感じました。
Kさん
理想としていた体育大会ではないから適当に終わらせるのではなく、「できることを全力で楽しむぞ」、「盛り上げるぞ」といった意思を持って、まっすぐに向き合えるのが三田学園の生徒の良さです。その生徒の気持ちを汲み取って全力でサポートしてくださる先生方も三田学園の魅力だと思います。

- 中学体育大会実行委員
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実行委員長 Mさん(中3)
副実行委員長 Tさん(中3)
企画を実現する難しさを感じながら
形にしていった体育大会
中学体育大会の感想をお願いします。
Mさん
僕たちは生徒会として体育大会の実行委員を担当しました。印象に残ったのは最後の綱引きです。赤と青の接戦が続きましたが、最後の綱引きは100点もあって、青が勝利!とても盛り上がった体育大会になったと思います。
Tさん
今まではリレーなど走る競技が多かったのですが、今回から自分たちで考えた新しい競技が増えて、みんなが楽しんでくれてよかったです。赤と青のTシャツも好評でした。表は高校生、裏は中学生がデザインして、最終的には生徒の投票で決まりました。
中学の新競技は、「宅配便リレー」「玉入れ」「おむすびコロコロ」「大玉運び」「学年ブチ抜きリレー」です。生徒主体の体育大会や競技を考えるにあたって、2人が目指したものは?
Mさん
開催時期が急に変更になって準備期間が短く、実行委員も集まりませんでしたが、みんなで盛り上がれる楽しい体育大会にしたいと思いました。去年まであった団体種目がなくなって心配しましたが、「やるからにはみんなで楽しめるものにしよう!」と意識して取り組みました。応援団や競技で自分たちが前に出て、先生たちにも応援してもらえるようにできたことは良かったです。
Tさん
私はとにかく楽しい体育大会にしたいと思っていました。実行委員はほとんどが中1で、今までの体育大会にとらわれない面白い案がたくさん出てきたので、それを実現するためにはどうすればいいかを考えました。「これはやろう」「これはやめたほうがいい」といった判断も自分たちでできました。中3から「はちまきをつけたい」というアイデアが出て実現できましたが、途中はどうしたらいいかわからないことも多く、大変でした。たくさんの企画案が出ても、それを実現する難しさを知りました。
Mさん
時間がかかったのは競技の準備でした。例えば、新しい「宅配便リレー」の備品を作ったり、得点板をラミネートしたりといった作業に時間がかかりました。中学だけの競技だった「玉入れ」では、普通のゴールと竹で作った背の高いゴールがあったのですが、そのゴールへ玉を入れることが難しく、競技の時間配分にも悩みました。今後もこの競技を続けるなら、課題だと思います。
Tさん
ラグビーボールを竹で突いて飛ばすゲーム「おむすびコロコロ」も、思ったより距離が長くて、競技に時間がかかってしまいました。そのせいで競技途中にみんなの盛り上がりが冷めてしまったので、楽しいだけでは成り立たない難しさを感じました。
生徒主体の体育大会を作り上げた経験をしたからこそ、自分が成長できたと思うところは?
Mさん
実行委員会では、普段かかわりがないメンバーでどう仲良くして、どう盛り上げていくかが大きなポイントでした。「みんなで仲良くコミュニケーションを取りながら作り上げていくこと」が僕は得意ではなかったのですが、今回は頑張れたと思います。
Tさん
体育大会をどうやって行うか、どんな種目にするかなど、考えないといけないことがたくさんあり大変でした。そのぶん手応えもありました。たくさん考えて、何が足りないか、どうすればいいかを整理することが、少しはできるようになったと思います。
最後に生徒主体で体育大会ができる三田学園の良さを教えてください。
Mさん
三田学園は、探究活動も豊富だし、授業もわかりやすいし、やろうと思ったら大抵何でもできるのがこの学校の魅力だと思います。
Tさん
やりたいと思うことを何らかの形で実行できるようにしてくれる学校です。将来やりたいことがあったらそれを探究で深めることもできるし、校則を変えたいと自分たちが声をあげれば実現に向かって考えていけるところがいいなと思います。