開明中学校・高等学校

目指すのは、文化祭の舞台!主体的な学びの集大成「研究発表」

発見!私学力
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  • 【開明中学校・高等学校】目指すのは、文化祭の舞台!主体的な学びの集大成「研究発表」
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中学で30を超える行事活動や体験型プログラムを行い、個々の知的好奇心を大きく伸ばす開明中学校・高等学校。生徒たちは調べ学習やレポート作成、プレゼンテーションを通して探究力や表現力、論理的思考力を高めます。そうした主体的な学びの集大成が「研究発表」。上位入賞者には文化祭で発表する場が用意されます。その栄誉を手にした2人の高校2年生に、どのような思いで自らの研究に挑んだのかを語っていただきました。

「研究発表」 ~ 文化祭の舞台に立つまでのプロセス ~

各クラスで
代表が選ばれる

本選で
学年代表を決定 3つの「研究発表」が
選ばれる!

いざ、文化祭の舞台へ! 高1・高2の学年代表が
文化祭で発表

上位入賞を果たした 高2生の > 研究発表

高校2年国公立理系コース
良田さん

テーマ

空間を支える見えない力

学年1位

概要

建築物を構造力学の観点で分析。資材・人件費等のコスト、工期、環境への影響、安全面、デザインの自由度などを調べ、柱を多用する従来構造よりも“張力”を活かした構造のほうが持続可能な建築を実現できると提案。

高校2年国公立文理コース
岡村さん

テーマ

海月クラゲ分解

学年3位

概要

大量のクラゲが押し寄せたことで起きた発電所のトラブルを知り、溶液を使ってクラゲを分解できないかを考察。酵母菌や果実に含まれる酵素を用いて実験を行い、得られた研究結果をもとにクラゲ溶解の可能性を検証。

自分の「好き」を研究テーマに

どのような理由・きっかけで「研究発表」のテーマを決めたのでしょうか。

良田さん
子どもの頃から建築物を見るのが好きだったので、自らテーマを絞って探究してみたいと思ったことがきっかけです。ただ、建築はジャンルが広いので、すぐにテーマを決めることができませんでした。そこで夏休みに大阪工業大学のオープンキャンパスに足を運び、模型作りを体験したことで“張力構造”の可能性を知り、「これだ!」と思い研究テーマに決めました。

良田さんの張力構造立体模型

岡村さん
僕は水族館に行き、水槽の中を漂うクラゲを見たことで研究のアイデアがひらめきました。その場でまず頭に浮かんだのが「海開き → クラゲを除去しなければならない」ということでした。クラゲを処分する際は“切り刻む”という人的な作業が必要です。それを溶かして処分できれば、少ない時間と労力で済むのではないかと考えました。

自らの研究を通して、どのように世の中に還元できると考えましたか。

良田さん
神社仏閣をはじめ、日本の建築物は伝統的に柱が多く使われてきました。強度を得られるのは確かですが、一方で柱を少なくできれば材料費や運搬費を抑えられます。現にドーム球場や屋外競技場の屋根は、ケーブルやワイヤーによる張力を利用した構造を採用しています。その技術をさらに高めれば、コスト面だけでなく、大地震が起きた時も建物の倒壊を防げると思いました。

岡村さん
火力発電所や原子力発電所では冷却水に海水を用いるため、クラゲが管に混入すると事故の元になります。実際に今年の8月に起きたフランス北部の原子力発電所のトラブルは、大量のクラゲが入り込んだことで原子炉の停止をせざる得なくなったものです。そのクラゲを、例えば家で排水溝を掃除する時に使うパイプクリーナーと同じように、液体を用いて溶かすことができれば発電所のトラブルは未然に防げると考えました。

やはり、世の中で起きている出来事を知っておくことも大切ですね。

良田さん
家では親から「ニュースは見ておきなさい」とよく言われます。そして、疑問に思ったことは積極的に調べるようにしています。今年の春にミャンマーで大地震が発生し、タイの高層ビルが紙細工のように脆く倒壊しましたが、その映像を見た時、「日本の建築物ではありえないのに、なぜ?」と思いました。そこから調べていくと、発展途上国の建築物は低コストと納期が優先されるため耐震性が十分でないとわかりました。

岡村さん
僕は主にインターネットを情報源にしています。ネットニュースは自分の興味のある話題をトップ画面にピックアップしてくれる特性があるので、クラゲが原因で起きた原子力発電所のニュースも自ずと目にとまりました。また、家では小さい頃から「よく考えて物事を捉えなさい」と父から言われていたので、いろいろなことを結びつけて連想する習慣が自然とできるようになりました。

「まとめる力」「伝える力」が成長

研究テーマに向き合い、調べ学習を進めている時に苦労したことは?

良田さん
私自身建築が好きでも、「研究発表」を聞いてくれる人が全員、建築に興味があるとは限りません。ですから、スライドを作成する時はどこにポイントを絞ればよいか、そして実際に説明する際はどのように工夫して話せば関心をもってもらえるのか、そうしたことを考えるのに時間がかかりました。とにかく説明が単調にならないように、抑揚をつける話し方にもこだわりました。

岡村さん
考察をまとめている時に、自分の見立てやまとめ方が甘かったとわかった時が一番大変でした。ただ、ちょうどそのタイミングで北海道大学のオープンキャンパスに行けたのは幸いでした。良い機会だと思い、教授にどのように要点を絞ってパワーポイントでまとめればよいのか相談したところ、研究者の視点に立った具体的なアドバイスをいただくことができました。

やはり第三者に見てもらって意見を仰ぐことは大事ですね。

良田さん
私の場合、「研究発表」の練習は家でやることがほとんどだったので、親や妹が第三者の立場で助言してくれました。やはり自分一人で進めていると行き詰まってしまうこともありますし、指摘されなければ気づけないこともたくさんあります。

岡村さん
北海道大学の教授に助言をもらえてからまとめ直したスライドを、学校で担任の先生に見てもらい、さらに他学年の生物の先生にも見てもらったことで、より良い形にアレンジして仕上げることができました。

日々の学校の授業が「研究発表」に役立ったと感じることはありますか。

岡村さん
歴史の授業で要点をまとめる学習をした経験は、間違いなく「研究発表」につながっています。

良田さん
私も同感です!

岡村さん
授業では先生がどんどん解説していき、それを聞いて「誰が何をした」「これを成し遂げた」といったことを人物と出来事に分けてまとめました。その学習を繰り返すことで、重要なことと、そうでないことを自ずと判断して整理できるようになりました。

良田さん
「まとめノートを作りなさい」という先生がいれば、「まずは全部ノートに書き出そう」という先生もいますが、どちらの場合でも覚える時は重要ポイントを自分でピックアップする必要があります。その際、人物や出来事、年代とグループに分けて整理すれば、要点を絞りやすくなります。文系科目の授業でも系統立てて考える力はしっかり付けられていると感じました。

「研究発表」に取り組んで、自分が成長できたと感じることは?

岡村さん
要点をまとめる力と、それを論理立ててわかりやすく人に伝える力は確実に高められたと感じます。これまではレポート作成などで要点をまとめることができても、いざ誰かに説明するとなると、話し言葉をうまく構成できませんでした。今回、自分の「研究発表」が上位入賞を果たせたのは、そうした力も評価してもらえたからだと思います。

良田さん
学校の出来事を家で話すと、以前は「頭の中でまとめてからしゃべりなさい」と親に言われていました。論理立てて話ができていなかった証拠です(笑)。でも、「研究発表」に取り組んだことで要点をまとめる力とプレゼン時の表現力を伸ばせ、さらに客観的に物事を見る視点も養えたと感じます。文化祭で多くの人の前で発表できたことは、本当に大きな自信になりました。

Teacher’s Voice

どの生徒も
根拠をもって示せた研究結果

高校2年担任・数学教諭/入試広報副部長
小椋 晴紀 先生

今年度の「研究発表」を見て感じたのは、どの生徒も根拠をもって研究結果を示し、プレゼンテーションに臨めていたということです。本校では中学入学時から多くの行事活動を通して主体的な学びの経験を積みます。その中でレポートの作成やグループ発表に挑みますが、最初の頃はどの生徒も漠然と感想を述べるにとどまります。もちろんそれでは評価されませんから、上手くいかないことを経験しながら「何をどうまとめるべきか」「どう表現すれば相手に伝わるのか」を客観的な視点をもって思考できるようになります。「研究発表」は中3から挑み、高2が集大成となります。その最後の場で生徒たちの成長した姿を見ることができ、私たち教員は嬉しさと頼もしさを感じました。

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