大阪女学院中学校・高等学校

先生に聞こう!

先生に聞こう
大阪女学院先生インタビュー中学受験私立中学大阪関西女子校

先生に聞こう 大阪女学院中学校・高等学校 岡田 若菜先生

岡田 若菜先生 Profile
大学卒業後は大学院に進み、院生として学びながら英語の非常勤講師に。非常勤を含め5年間にわたり前任校に勤務した後、関西国際空港のグランドスタッフに転身。生きた英語を使う現場での仕事を経験し、2012年、大阪女学院で教職に復帰。現在は中学1年生の英語を担当。
Chapter1

外国語に純粋に向き合う楽しみを

岡田先生
ココロコミュ
大学院生時代から非常勤講師を経験されていますが、教師になろうと思ったきっかけを教えてください。
岡田先生
中高生時代から航空業界で勤務することに憧れていた私は、英語だけではなく、他の言語も勉強しておこうと、大学ではフランス語を専攻しました。いざ大学でフランス語という新しい外国語に触れた時に、これまで英語を勉強してきた時とは全く異なる感覚を得ている自分がいることに気が付きました。高校生までは、もちろん英語は大好きだったのですが、テストや模試の結果ばかりを気にしながら勉強していたように思います。環境が変われば、こんなにも純粋に外国語を学ぶ楽しさに向き合えるのだと気が付いた時に、かつての自分と同じような学生はたくさんいるのではないかと感じたのです。この経験を生かして、自分が教育現場で何か役に立てることはないかと思ったのが、教師を目指そうと思ったきっかけです。
ココロコミュ
先生が受けた感覚を、中学生の段階で感じさせてあげたいと思われたのですね。
大学ではフランス語をどのように学ばれたのですか。
岡田先生
文法や会話はもちろん、自分たちでセリフを考えて劇をしたり、フランス語でプレゼンをしたり、フランス語漬けの毎日でした。第一外国語がフランス語で第二外国語が英語という環境の中で、いろいろなきっかけや題材を与えていただきました。素晴らしい教授に恵まれ、フランス語をもっと勉強したいと思えるような仕掛けがちりばめられていたので、純粋に楽しむことができ、自分の発想の仕方が変わったのを感じました。
英語以外に新たな言語に触れたことで、自分の世界が広がっていったのは大きな変化だったと思いますし、実際にフランスへの留学でもその思いを強くしました。
Chapter2

空港グランドスタッフと教師の共通点

ココロコミュ
大阪女学院では「生きた英語」の教育に力を入れられていますが、その中で先生ご自身の留学経験が役立っていると感じるのはどんな時ですか。
岡田先生
しっかりとした英語力をつけさせるというのが私たちの義務であると承知していますが、同時に興味感心が沸くこと、プラスαの知識がつくことを意識して、授業では私がフランス留学で体験したことを、時には失敗談も交えながら話をすることがあります。
ココロコミュ
例えばどのような話をされるのでしょう。
岡田先生
留学していた時のエピソードなのですが、留学期間が終わりに近づいた頃に、ホストファミリーへのお礼も兼ねて日本食を作ろうと思い立ちました。彼らは、いつも必ずスープを飲んでメインディッシュ、デザートという流れで食事をしていたので、お味噌汁を作って、日本のスープだと紹介しようと思ったんです。でも彼らにとっては、ワカメのお味噌汁のビジュアルは衝撃だったようで、子どもたちは泣き出してしまうし、大人たちにも怪訝な顔をされるなど、感謝の気持ちを伝えるはずが大失敗でした。確かに、澄んだ色のスープを飲んでいるホストファミリーにとっては、お味噌で濁ったスープの色や、馴染みの薄いワカメが浮いている様はグロテスクに見えたことでしょうね(笑)。逆に私が驚いたのは、犬の散歩の時にフランスではフンの始末をしないことです。日本人の感覚ではマナーが悪いと思ってしまいますが、フランスではそれが当たり前。いろんな文化があるのだなと気が付きました。自分の物差しで考えていたことが、外国ではそうではないこともたくさんあります。英語を通じて異文化を理解したり、先入観を取り除いたりできるようになればと思っています。外国語を学ぶということは、話せる能力があるだけではなく、相手の文化を理解することだと生徒にはよく話しています。
岡田先生
ココロコミュ
関西国際空港グランドスタッフの経験は、どのように役立っていますか。
岡田先生
外国の方と接する機会の多かったグランドスタッフの経験は、「生きた英語」を話すという点はもちろん、それ以外でも役に立っていると感じます。グランドスタッフはお客様がエアラインのカウンターにいらっしゃった瞬間から、飛行機に搭乗されるまでの全てをサポートする仕事です。目の前にいるお客様がどういうニーズを持っているのかを素早く察知して、さりげなくフォローするという点では、教育現場と共通しているのではないかと思います。
ココロコミュ
教師からグランドスタッフへ、そして再び教師へ戻られたわけですが、どういった経緯があったのでしょう。
岡田先生
実は、生徒に背中を押されたのが大きなきっかけです。前任校で生徒たちから進路相談を受ける際、英語を使う職業につきたい生徒の中には、航空業界の仕事に興味を持つ生徒が多かったんです。相談をされてもイメージでしか答えられない自分がもどかしく、自分自身も中高時代に憧れていたことを思い出して、実際の現場に飛び込んでみようと決意しました。そしていつかは、その経験を生かした進路指導ができるよう、また教育の現場に戻ろうと思っていたんです。
ココロコミュ
最初から、教職に戻ってくるつもりだったのですね!
岡田先生
グランドスタッフはやりがいのある仕事です。日本の玄関口で海外から来る方、海外へ行く方のお手伝いをするのは責任のある仕事ですし、楽しく充実した毎日でした。でも、お客様との出会いは一瞬一瞬でしかありません。1年、2年、3年・・・と長いスパンで生徒たちと関われる教師という仕事は、自分にとって本当に幸せな職業だと改めて実感しました。
Chapter3

土台を固めるためには足踏みも必要

岡田先生
ココロコミュ
英語の授業はいくつかに分かれているのですか。
岡田先生
英語とアクティブコミュニケーションの2科目に分かれています。私はその両方を教えていて、中学1年生を担当しています。
ココロコミュ
中学1年生の授業では、どういったことを心がけていますか。
岡田先生
英語を習い初めてまだ間もないということもあり、音読の必要性を感じています。自分で発音できないものは聞き取れませんし、発音できないものは書けません。全ての単語などを丸暗記しようとしがちですが、丸暗記には限界があります。音と綴りがマッチしないと繋がっていきませんから、必ず何度も口に出して音読させることを心がけています。あと、時には立ち止まることも大事だと思っています。
ココロコミュ
どのような時に立ち止まるのでしょう。
岡田先生
中学1年生は新しいことの連続で、一時的に頭がパンクしそうになる時があるのです。ただ詰め込むだけではなく、ここはもう少し時間をかけた方がいいなと思った時は、勇気をもって立ち止まります。もちろん、テスト範囲や進めておきたいプランもありますが、生徒たちに何が必要なのかを第一に考え、たとえテスト範囲を縮めてでも、時間をかけて確実に定着を促していくように心がけています。そのためには、生徒たちが今どういう状況なのか、理解できているのかどうかを、気をつけて見るようにしています。
ココロコミュ
足踏み期間を置いたことで、後から手応えを感じることはありますか。
岡田先生
授業以外にも、放課後に勉強会を開いたり、再テストを行ったりしているのですが、そこで「先生分かった」「しんどいけどやってよかった」と、生徒たちの中に理解が芽生えた時に、焦って次に進むよりも、これだけの時間が必要だったのだと思えます。英語は着実に土台を作っていかなければならない教科。この1年間は、しっかりとした基礎の土台を作ることが目標で、それにはかなり時間を割かなければいけませんが、一緒に頑張っていこうと、生徒とは話をしています。英語を頑張りたい、好きだからもっと勉強したい、英語を学ぶことで自分の知らなかった世界が広がった、そんな風に感じてもらえる1年にしたいと思っています。
Chapter4

生徒がいないと成り立たない職業

岡田先生
2014年暗唱大会の受賞者
ココロコミュ
目標ができた時にやる気が出たり、大きく伸びたりすることがあるかと思いますが、授業も含めて生徒のモチベーションになっていることはありますか。
岡田先生
先輩たちの姿に刺激を受けることが多い年代だなと感じます。本校では毎年、英語の暗唱大会があり、中学生は3学年合同で行います。先輩たちが受賞する姿や、堂々とキレイな発音でスピーチをする姿にはとても刺激を受けるようです。クラスの代表として大会に出場したいと思って頑張る生徒は、学年が上がるごとに増えますね。
ココロコミュ
身近に「ああいう風になりたい」という存在があるのは大きいですね。
岡田先生
教員もそういう促進者でありたいと思いますが、本校には高校3年生までの生徒がいますので、いろいろな行事やクラブを通して、見ている先輩からの影響は特に大きいと感じます。体育大会は、中高6学年対抗で行っています。中学1年生と高校3年生とでは経験値や体力も違いますが、中学生には自分たちは不利だから仕方ないという感覚はなく、いつか自分たちもあそこにいくぞ、という気持ちで取り組んでいる姿に胸が熱くなります。下級生が上級生を逆転する番狂わせが起こると大いに盛り上がりますし、全員でひとつの行事に取り組むその姿勢には感動を覚えます。
ココロコミュ
岡田先生が授業以外の取り組みなどで、生徒たちと深く関わっていることはありますか。
岡田先生
部活動では吹奏楽部の顧問をしています。私自身は吹奏楽の経験はなく、オーケストラに出てくるような楽器を習った経験もないので、運営がメインで、技術指導は専門のコーチにお願いしています。ですが、吹奏楽部の顧問になったからには、自分も何か楽器を学び、少しでも知識を養いたいと考え、フルートを習い始めました。また、コーチから指導をしていただきながら、初めて合奏の指揮にも挑戦しました。たどたどしい指揮で生徒たちには迷惑をかけたかもしれませんが、私にとって大変貴重な経験で、部員と共に成長させてもらえる喜びを噛みしめています。部員のみんなとは、嬉しいことも、苦しいことも、辛いことも、共に分かち合っていこうと話をしています。
岡田先生
吹奏楽部では合奏の指揮をすることも
ココロコミュ
単なる運営や引率ではなく積極的に関わろうとする、先生のその原動力はどこからくるのですか。
岡田先生
生徒も教師も同じ一人の人間であり、共に学び成長していく喜びが私の原動力となっています。教師という職業は、生徒がいなければ成り立ちません。この学校で、今目の前にいる生徒と出会えたこと、その成長に関わっていけることへの感謝の気持ちがあります。顧問としての責任の重さや大変さはもちろんあるのですが、部員たちを一生懸命まとめようとしてくれている部長や副部長という大きな存在もあり、上級生たちの苦労も手に取るようにわかります。ですから顧問がすべてを決定し導くのではなく、必ず上級生たちに相談するようにしています。これはクラスでもやっていることですが、教師が何もかも段取りするのではなく、できるだけ自分たちで考え決断させているのです。私は決断者ではなく、あくまでも想いや意見を聞く存在でありたい。自分たちの手で作り上げるクラブなのだということを自覚してもらいたいからです。自分たちの考えを持つことの大切さ、そしてそれを反映してもらえることの喜びを感じてもらいたいので、必ず共に意見を出し合うスタイルで運営をしています。
Chapter5

信じて任せれば、生徒は応えてくれる

岡田先生
ココロコミュ
最後に大阪女学院に興味を持っているココロコミュの読者にメッセージをお願いします。
岡田先生
大阪女学院には、ありのままの自分でいられる環境があると思います。私立中学は、見ず知らずの子たちが集まる環境です。一から人間関係を築いていかなければならないので不安や緊張が大きいかもしれませんが、一人ひとりの個性が尊重されていることを感じていただけると思います。また、行事が豊富でいろんな生徒が活躍できる場が用意されていること、自分の得意・不得意な分野も全て含めて、必ず居場所がある、そういう環境だと思います。その中で自分のやりたいことや自分の秘めていた力をどんどん見つけることができます。それはあくまでも自分たちでしっかりと考え、決断し、自分たちで道を切り拓いていくという導き方をしているからだと思います。様々な学校行事や宗教行事、奉仕活動などを通じて、自分の存在意義、自分は必要とされている、愛されているという自尊感情が大きくなっていくのも目の当たりにしています。人のために動ける生徒が多いのは、自分自身も尊重されていると感じているからではないでしょうか。
ココロコミュ
英語や勉強以外でも、人としての土台作りを中学からされているのですね。
岡田先生
こちらから指示を出さずとも生徒たちが自ら判断して動けるように、生徒たちを促しながら長いスパンで待つという教育方針に、赴任当初は驚きました。けれど、そのおかげで生徒たちは大きく成長していきます。本校では中学1年生も、遠足は現地集合にする場合があります。もちろん事前に電車でのマナーなども含めて、行き方に関しては細かく説明しますが、それでも心配される保護者の方はいらっしゃると思います。ですが、生徒たちは人に聞いたりしながら、何とか集合場所にやってくるんです。きらきらと顔を輝かせながら、たくましくなった姿でやってくる生徒たちを見ると、信じて任せるということが、どれだけの成長につながるかがよく分かります。後から保護者の方とやりとりしていると、「現地集合と聞いて、なんて素敵な、冒険みたいなことをさせてくれる学校だろうと思いました」「とても心配したけれど、本当に楽しかったと元気に帰ってきた姿を見て、先生は全部分かってそうしてくれているのだと思いました」というお声をいただきました。大阪女学院は、生きていく力、人として成長する力を中学1年生の段階からいろんな場面で経験できる学校だと思います。