【武庫川女子大学附属中学校・高等学校】
生徒ファーストで「武庫女」らしく
休校中のオンライン授業

コロナ禍の休校期間も自主性の育みを重視し、生徒の自立的姿勢を促すオンライン授業を展開した武庫川女子大学附属中学校・高等学校。変化する社会で“自分らしく・たくましく”活躍できる女性になることを目指し、「立学の精神」をモットーとする教育で一人ひとりを導きます。そんな同校が休校の間、ICT教育のバックボーンを活かしてどのような“生徒ファースト”の取り組みを実施したのか。入学対策部の大﨑剛史先生に話をうかがいました。

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  • 休校中の取り組み

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  • コーラス部高校3年生
    「リモートで歌ってみた!」

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オンライン授業の「新システム」を短期間で

― 休校中のオンライン授業はどのような流れで実施に至りましたか。

大﨑先生

本校では2017年度の入学生より1人1台のタブレットを導入し、早くからICTを活用した授業を展開していました。生徒も教員もその環境に慣れていたことが功を奏し、コロナ禍の休校中にオンライン授業を実施するにあたっても至ってスムーズでした。そうしたバックボーンに加え、今回新たな学習システムを速やかに構築できたことも円滑に事を運べた要因です。本校にはSEと教育の両方に長けた事務担当者が身近にいます。教員とICTのスペシャリストが役割分担を明確にし、それぞれがやるべきことに集中できたからこそ、4月上旬という早期にオンライン授業をスタートできたのです。

― 新たな学習システムをベースに、どのような形でオンライン授業を?

大﨑先生

オンライン授業は、あらかじめ撮った動画を本校独自の『家庭学習時間割』という新システムを介して配信するスタイルで実施しました。通常時に近い時間割でカリキュラムを組み、授業開始の10分前から視聴することが可能です。その際のログインが「出席」になり、担任も画面上で確認できますから仮に遅れる生徒がいてもすぐに連絡できました。

― ログインで生徒の出欠を管理できるのはとても便利ですね。

大﨑先生

確かにその通りですが、この学習システムは決して生徒を管理するために作成したものではありません。本校は「立学の精神」に則り、一人ひとりの自主性を育む学びを大切にしています。今回の対応は個々の勉強を補完することが主な目的で、オンライン授業をどう活用するかは生徒自身に委ねられます。
しかし結果的に、どの学年もほぼ全員が時間割通りにログインしていました。手前味噌ですが、緊急下でも武庫女の生徒は自立して行動できるのだと感心しました。同時に、自宅からでもちゃんと授業を受ける彼女たちの姿を見て、「学校とつながっていたい」と思ってくれていることも私たちに伝わり、本校の教員として胸が熱くなりました。

各教科で工夫を凝らした動画を準備

― 事前に授業動画を作成するにあたって、先生方はどのような心掛けをされたのですか。

大﨑先生

動画を作る際は、7~8分×3本というように単元ごとで小分けにするなど、生徒が飽きないように各教科担当が独自に工夫しました。私が担当する古典の授業では、ちょっとしたユーモアも交えて生徒を和ませることも行いました。例えば、授業の解説中に言い間違いをした時は画面の下に「噛んだ」「あ、また噛んだ」というテロップが入ります(笑)。教室では生徒がツッコミを入れてくれますが、それをあえて動画に盛り込むことで、自宅でも普段の感覚で楽しく視聴できるのではと考えました。

― 課題のやり取りもオンラインで?

大﨑先生

もちろんです。他校には郵送でプリント類をやり取りするケースもあったと聞きましたが、本校はICT教育の環境が早くから整っていましたので、日々の授業で使い慣れている『ロイロノート(授業支援ソフト)』を活用することでスムーズな対応ができました。

― 実際にオンライン授業を受けた生徒の感想は?

大﨑先生

ログインによる出席率の高さにも表れている通り、生徒たちはどの授業も楽しみながら受講していたようです。その際、保護者も一緒に視聴されていたご家庭もありました。「この古典の物語の内容を正しく理解できました」「学生時代に戻った気分で娘と一緒に楽しめました」とアンケートに書いてくださった保護者もいらっしゃいましたよ(笑)。

― その他、印象に残った感想などがあれば教えてください。

大﨑先生

今回のオンライン授業とは別ですが、本校のホームページに載せている『オンラインオープンスクール』の感想もこの時期に聞くことができました。小学生の保護者からで「大変な時期なのに中学受験をする子どものことも考えてくれて助かります」と感謝されました。緊急の際はどうしても在校生の対応に追われがちですが、本校はかねてよりICTを活用した情報発信を行っていたので様々な方に安心していただけたようです。

最新のICT活用が重要なのではない

― 双方向のリアルタイム授業なども実施されたのでしょうか。

大﨑先生

今回はあえて見送りました。もちろん技術的には問題ありません。仮にzoomで授業を行うとなればみんなの表情が映ることになりますが、女子校という特性上、新学期が始まったばかりの時期はためらう生徒もいるかもしれないと思ったのです。まして新入生の中1は登校もできておらず、クラスメーßトをまだ知りません。ですから生徒同士がコミュニケーションを取れていない今、双方向の授業を実施するのは尚早と判断しました。

― 「最新技術がある=活用する」ことがすべてではないのですね。

大﨑先生

広報的には「最新のICTを駆使して双方向授業をやっています」となれば、大きなアピールにつながるかもしれません。でも、それを実施することが本当に生徒のためになるのかを考え、その時その時で正しいと思える選択と判断をすることが何よりも大事だと考えています。
ICTを活用した教育で重要なのは、最新の技術・手法を使うことではなく、その特性を理解した上で生徒と学校に合ったやり方を実践することです。そのことを私たち教員もあらためて実感する機会になりました。

― 今後、貴校のICT教育はどう進化していくのでしょう?

大﨑先生

既に生徒も教員も全員がタブレットを所有していますし、Wi-Fiのインフラは今年度から校内のほぼすべての場所で設置が整いました。ICT環境は充実していますので、今お話した通り”生徒に合った”教育を熟考し、適宜実践していくつもりです。
また、6月から登校が再開されましたが、新型コロナの第2波といったことも今後想定しておかなければなりません。再び休校措置が取られた場合、オンライン授業を実施するにあたって今回より進化させるつもりでいます。優先すべきは勉強ですが、授業以外で、例えば放課後の時間帯を活用して生徒同士がつながれるような場を設けることも一考でしょう。ICT教育においても「武庫女」らしく、時代の一歩先をゆく取り組みで今後もしなやかに進化していきます。

 

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