【近畿大学附属中学校】
可能性に気づき 未来を切り拓く
【総合表現】【総合探究】

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2020年より、近畿大学附属中学校の総合的な学習の時間に設定された【総合表現】【総合探究】は、これまで行われてきたキャリアデザイン教育とICT教育を融合させた21世紀型思考力を育成する新たな学びです。その概要と取り組み、早くも感じられる成果や今後へのつながりについて、2人の先生にお話をうかがいました。
入試企画部長原 隆博先生
国語科教諭片木 真也先生
21世紀型思考力を育成する新たな学びとして、
中学1年から中学3年の「総合的な学習の時間」に
「総合表現」と「総合探究」を設定。

キャリアデザイン教育+ICT教育からの進化

原先生

本校が、社会に出たのちに必要な力を身につけるために「キャリアデザイン教育」に取り組み始めたのは、10年前の2011年です。今までのように語句を覚え、解く力を身につけるだけではなく、もっと深くまで考える力が必要になってくるということで、「書く・まとめる・話し合う・発表する」といった活動を各教科に取り入れていきました。

その後2014年にiPadを導入すると一気に学びは加速しましたが、「キャリアデザイン教育」は各教科での取り組みだったため、2020年度より「総合的な学習の時間」に【総合表現】【総合探究】を週1時間ずつ設定し、【総合表現】では「書く・まとめる」力を、【総合探究】では「話し合う・発表する」力を育てていくこととしました。

本校の医薬コースでは、6年をかけて「なぜ医療人になりたいのか?」「どんな医療人になりたいのか?」を徹底的に考え、医療系の道へと進んでいきます。

英数コースアドバンストも、偏差値だけで志望大学を決めません。「その大学で何を学べるのか」「そこでどんな人になれるのか」を問いながら志望校を決めていきます。

近畿大学に進学する英数コースプログレスは、高3の最後に「これまでの自分とこれからの自分」についての1万字の卒業論文を書きます。18年間どのように歩んできて、近畿大学のどういった学部・学科でどんな意識で学ぼうとしているのか。そこでどのような人間になってどのように社会貢献をしたいのかといった志望理由書として書いていきます。

つまりどのコースも「どこに行って何を学びたいのか」、「将来どのような社会貢献をしようと考えるのか」といった明確な意識を持つことが必要になってきます。今までの学力や偏差値だけで決める進路選びではなく、そこには中学での【総合表現】【総合探究】の時間が直結していきます。

表現と探究を追求するプログラム

片木先生

中1の「文章トレーニング【総合表現】」は、従来国語の授業内で扱ってきた内容をベースに、特化して取り組むことでより高い専門性を実現しています。

中2の「新聞作成【総合表現】」は産経新聞社と提携して各クラス1枚ずつ計8ページの新聞を作ります。文章や見出しにはプロの校正も入りますが、視点はすべて生徒のもの。各クラスに6つグループを作り、地方部や経済部といった実際に産経新聞にある部署名を借りて生徒も班に分かれます。取材した内容、それを拙いなりにも文章にしたものが新聞という形になるわけですから、生徒は「これが自分の書いたところだ」と成果が実感できます。写真も生徒が撮影したものが多く使われています。「新聞作成【総合表現】」は表現力を伸ばすことがひとつの柱ですが、一方で産経新聞社という外部の会社が絡むことで社会と密接につながる授業になっています。それが中3の「企業探究【総合探究】」の入り口にもなります。

中1の「自校教育SDGs探究【総合探究】」では身近なことから世界を考え、中2の「人物探究【総合探究】」では成功者の人生にヒントを探して自分へのフィードバックを試みます。これらは中3の「自分史作成【総合表現】」につながっており、【総合表現】と【総合探究】が密接にかかわりながらカリキュラムは進んでいきます。

生徒たちは去年の1年間で、圧倒的に探究慣れしました。活発に議論ができるようになり、新聞作成を経験した中3はそれを自分史作りに活かしています。さまざまな経験を通して生徒が成長する姿には驚かされてばかりです。

早期からのトレーニングで生徒は次の目標へ走り出す早期からのトレーニングで生徒は次の目標へ走り出す

原先生

こうした学びを中学段階から行うことは、中学受験でいったんゴールを迎え、「次はどこへ向かえばいいのか」と思いがちな生徒が、次の目標へ向かう新しいスタートラインに立つためのトレーニングになります。中1から「自分にできることを見つけようとする力」をつける練習や「どんな人になるの? どんな人生を歩んでいくの?」という問いに対して考える練習を【総合表現】【総合探究】で行うことで、生徒は自分自身を見つめ直し、自分の可能性に気づいて力強く走り出します。

中学1年の段階から【総合表現】と【総合探究】で「こんなことを考えてみよう」「こんなことをやってみよう」と探究心をくすぐることで、生徒たちは変わっていきます。そして、1年間を経験した上で次の学年のプログラムに入ると、前年の生徒とは取り組み方が異なります。

これらのプログラムは、昨年度からの取り組みとなりますので、昨年度の中2は「新聞作成」からのスタートとなりました。しかし、今年の中2は中1で「文章トレーニング」を経験して「新聞作成」に入っています。さらに、来年は3年目。「文章トレーニング」、「新聞作成」を経験した生徒が「自分史」を作り始めます。「SDGs探究」、「人物探究」を経験してきた生徒が「総合探究」に取り組みます。そうなるとまた大きく変わるのではないかと思います。経験を積むことで生徒たちの視野は広がり、考え方も柔軟になっていくからです。

その意味では、おそらく各教科の取り組みも変わってくると思います。探究慣れすることによって、生徒が発表やまとめることに長けることは、これから教科に派生していきます。教科でのレポートなども、こちらが思っている以上の表現をしてきたり、驚くようなアイデアを見ることができるようになってきたりすると期待しますね。

自分の人生を切り拓く力を身につけていくことが本校の教育の根幹

原先生

これからの時代は情報を求めれば自分でいくらでも探せます。本当の意味で学ぼうと思ったら先生から学ぶだけではなく、自分でもっといろんなことができるはずです。

能動的かつ積極的にいろんなものに取り組んでいける人になってくれればいいなと思いますし、そこに向かおうとする気持ちを、教員が少しでもくすぐることができれば、近大附属で過ごす6年間は、意味のあるものになると思います。

片木先生

最後に立ち返るべきは建学の精神である「実学教育」と「人格の陶冶」だと思います。確かに本校はICTを取り入れるのが早く、キャリアデザインと言い出したのも早かったかもしれませんが、なぜそれができたのかというと、「実学教育」と「人格の陶冶」という2つを軸に考えた時に行き着いたのがそこだったからです。

理念さえしっかりしていたら、間違った鐵は踏みません。常に我々はそこに立ち返り、どういう人を作れば世の中が良くなるかを考えればいいわけです。間違った答えが出てくることは、建学の精神を忘れない限りないと思います。

REPORT 近大附属中×産経新聞 新聞作成【総合表現】授業

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新聞社・報道局員から写真の撮り方を学ぶ

中学2年生の「新聞作成【総合表現】」では、産経新聞写真報道局の方を迎えて「写真の撮り方」の授業が行われた。まずは実際の新聞見ながら、新聞の読み方や記事の視点の面白さについて説明を聞く。最近はネットニュースが主流ではあるため新聞は身近でない生徒も多いのかもしれないが、興味深く新聞に見入っていた。

次に過去に新聞に掲載された写真を見ながら、写真の構図や掲載するときの構図の違いによる迫力を画面で確認していく。写真が目に飛び込んでくるようにするためにはどうすればいいか。「3分割の構図」「紙面映えとは」「目線の先は空ける」など、これから「新聞作成」をする生徒たちにとっては、具体的に活かすことができることばかりだ。生徒全員がiPadを持っていることもあり、写真の撮り方にもチャレンジ。下から上から片木先生を撮影してその印象の違いを学んだ。

普段の授業とは異なる「新聞作成」の授業。プロの指南に刺激を受けた生徒たちの新聞掲載の写真が楽しみだ。

昨年の中2生が作った近大附中新聞。
文化部・経済部・地方部など、
産経新聞の班に合わせて生徒たちも分かれ、
様々な人に取材し、記事をまとめ、
撮影も行って作成していく。

 

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