学園内でも長い歴史を誇り、部員数も一番多いという四條畷学園中学校吹奏楽部。毎年20名ほどの新入部員が入ってくる人気クラブです。演奏に対するお互いの意見を言い合い、仲間の意識を統一しながら、観客に届く音楽を追求していくのが練習スタイル。人としても大きく成長していくクラブ活動を取材しました。
音楽が好きだからこそ
より良くするために意見を言い合う
時間厳守は吹奏楽部の大切な決まりごと。練習が始まると、パートごとに演奏してはストップして意見を出し、全員で演奏してはまた意見を言い合う。「音がバラバラになっているように思います」「もっと遠くにいる人へ届くように思いを込めて演奏しないと届かないと思います」と、1年生も2年生も関係なく、自分の意見をしっかりと伝える。仲間の意見を素直に受け止め、曲をより良くするために練習を重ねることを大事にしている。
憧れの高校吹奏楽部に近づくために
日々練習を繰り返す
全国大会の常連校である四條畷学園高等学校吹奏楽部の定期演奏会に中学吹奏楽部も参加。コンクール用の自由曲を、先輩たちと一緒に演奏することで、「技術力も意識も全然違う!」と大きな刺激を受けて、その経験を自分たちの演奏に生かしていく。
憧れの高校吹奏楽部に近づくために
日々練習を繰り返す
先輩から後輩への
お手製の激励プレゼントが伝統
コンクールのときに先輩から後輩にお手製のグッズを渡すのが伝統。ミサンガだったり、キーホルダーだったりと、学年のカラーが反映され、部員たちは楽器ケースなどにつけて大事にしている。先輩の卒業時には全員で涙する絆の深さが、吹奏楽部の強み。
部 員 数 46人(中学2年25人 中学3年21人)※2019年4月1日現在
練 習 日 月〜土曜
活 動 コンクール(7月)、入学式、卒業式、文化祭、体育会などの学校行事、定期演奏会
松本さん(中学3年英数コース/吹奏楽部部長・トランペット)
太田くん(中学3年英数コース/チューバ)
森野先生(社会科/吹奏楽部顧問
― 吹奏楽部に入部したきっかけを教えてください。
松本さん 小学校の頃からピアノを習っていて、小学校のブラスバンドスクールでトランペットをしていました。両親が吹奏楽部出身だったのでその話をよく聞いていて、音楽でみんなと一緒に何かがやれるのは吹奏楽かなと思って入部しました。今は人数がすごく増えたので音が大きくなってますます楽しいです。
太田くん 僕は2年生の1学期から入部したのですが、きっかけは生活を変えてみようと思ったことです。担任が吹奏楽部顧問の先生で入部を勧められて、やってみたら楽しかったので入りました。
― 2年生から入って、チューバが吹けるものなのですか。
太田くん 最初は難しかったです。チューバは3人で、1年生と助け合ったり同級生から教えてもらったりして、ものすごく頑張りました。人の倍は練習したと思います。ずっと吹きっぱなしでした(笑)。
森野先生 部としては、経験者、初心者をあまり意識していません。技術面以上に、しっかりと時間を守ることやパートの中での絆、先輩・後輩の関係など、そういうところをたくさん学んでくれたらいいなという思いで指導しています。

大きなチューバは持ち運びも大変

― 1曲をひとつにまとめることは生徒の皆さんも意識しているかと思いますが、
先生方からもそういった話はよくされるのですか。
森野先生 よくします。1人でも欠けると曲は完成しないこと、一人ひとりに役割があって全員の力が合わさらないと曲にはならないということを言います。とはいえ、実感として生徒たちがわかってくれていますね。みんなでルールを守ろうとか、声掛けし合うなど、生徒たちからの動きでクラブが成り立っていると思います。
― 部員は46人とのことですが、大人数をまとめるための大変さもありそうですね。
松本さん 部内で工夫していることは、どんなことを思って吹いているか、どんな気持ちでこの部活に来ているかをよく見るようにすることです。毎日一人ひとりを見ることはできませんが、できるだけ気をつけるようにしています。
― 人を見なければ音もわからない?
松本さん そうなんです。元気のない子がいたりすると、各パートリーダーに「あの子、ちょっと元気なかったよ」とか「悩んでいるかもしれないから話を聞いてあげて」と声をかけて、それぞれのパートでフォローしてもらっています。
太田くん 僕も最初は大人数で緊張しましたが、わからないところを聞いたら教えてくれるし、グループに分かれて練習するときに違う楽器の人と話すこともあるのでどんどん仲良くなっていきます。やはりコミュニケーションが大事だなと思います。
松本さん みんなで音を遠くの人にも届けるよう意識することで、音がまとまるんです。全員の音と気持ちを一点に集中することが大切です。
― 練習では厳しいと思える意見も飛び出していましたが、みんなしっかり聞いていました。
普段のコミュニケーションが取れているから言い合えるのでしょうか。
松本さん あまり意識はしていませんが、そうだと思います(笑)。
森野先生 顧問からは、もっとぶつかってお互いに意見を言い合いなさいと言っているのですが、優しい生徒たちばかりなのでオブラートに包んでしまって本音が言えないんです(笑)。みんなは仲間で、自分の演奏をよくするために言ってくれていることだから、ぶつかるのはいいこと。でも、陰で妬むのはいいチームではないということはよく言っています。
― 意見を言い合うことが大事だと思われる理由は何ですか。
森野先生 クラブをこうしていいきたいとか、曲をこういうふうに作っていきたいなど、それぞれ意見をちゃんと持っていると思うんです。それがつぶれてしまうのはもったいないなと思いますし、顧問がこうしなさい、ああしなさいというのも違うのかなと。クラスで意見を言い合うのとは違って、同じ「音楽が好き」という気持ちが根底にあるからこそ言い合えるし、他の人からの意見を素直に聞ける気持ちも学んでくれればと思います。
― 意見を言い合ったことで、曲が良くなっていく手ごたえはありますか。
松本さん 同じパートの中だけで意見を言い合うよりは、違うパートの人からの意見とかいろんな視点からのアドバイスがもらえるので、演奏も変わっていって曲も良くなっていきます。

仲間だからこそ自分の意見を伝えられる

― そうやってクラブをやってきて、自分自身の成長を感じますか。
松本さん クラブに入る前よりは時間を守るとかちょっとしたことでいいから何かやろうという気持ちが生まれるようになりました。
― 部活と勉強の両立が大変ですか。
松本さん 「勉強で学んだことは音楽にもつながる」と顧問の先生がよく言われていて、授業をしっかり聞いたり、「これはどうやったらいいのだろう」と考えたりすることは、音楽でも勉強でも大事だと思います。
太田くん 僕は部活に入る前はダラダラしていたのですが、部活に入ったら「ヤバイ、そろそろちゃんとしないと」と思うようになりました(笑)。最初のころは忙しくて、話をしている暇もない感じでしたが、慣れてきたら話す余裕も出てきて、勉強にもうまく時間が使えるようになりました。
森野先生 どのクラブもそうだと思いますが、部活を頑張っている生徒は頑張る習慣がついて勉強も伸びますね。運動部に比べれば忙しくないとは思うのですが、定期演奏会や入学式、卒業式など大事な式典で演奏させてもらっているぶん責任も生じます。そういったプレッシャーの中でも集中する力をつけてほしいです。
― 毎回演奏する定番の曲はあるのですか。
森野先生 本校はめずらしくて、定番曲は作らないんです。毎回違う曲を選んでいます。いろいろ意見も出てくるから、曲決めにも時間がかかるんですが、そのぶん思い入れも強いようです。
松本さん 曲決めは自分たちの好みではなく、お客様がどういう曲を聞いたら楽しくなれるのかを考えています。大変なぶん、本番ではそれが楽しさに変わります。
森野先生 先日の卒業式も、先輩にありがとうの気持ちを伝えたいということでいきものがかりの「ありがとう」や、退場曲には頑張ってくださいという気持ちを込めて「YELL」を選んでいました。入学式は「世界に一つだけの花」で歓迎のイメージを伝えようとか、常にお客さん目線ですね。
― では最後に、吹奏楽部からのアピールメッセージをお願いします。
松本さん 誰かひとりでも欠ければ音楽は成り立ちません。吹奏楽部は全員でひとつのものを楽しめる、ひとつの目標に向かって頑張れるクラブです。部の目標は、ひとつひとつの本番を大切にして、自分たちが楽しむのは当然で、それ以上に聴いてくれるお客さんに感動して楽しんでもらえるような演奏をすることです。
太田くん 僕も吹奏楽は厳しいのかなと思って入りましたが、みんな優しく接してくれます。大変そうに見えますが、楽しいですよ。
森野先生 最初は楽器が難しいかもしれませんが、生徒たち同士でカバーしていますから、それで辞めてしまう生徒はいないんです。吹奏楽にはいろいろな楽器があるように、いろんな個性を持った生徒たちがいます。吹奏楽部はどんな生徒もやっていけるクラブで、お互いに支え合ったり励まし合ったりしながら人間関係も学べるクラブだと思います。