column ココロの特集
どうする?子どもへのイライラ対処法
子育てをする中で、ついイライラした気持ちを子どもにぶつけてしまい、後悔することはありませんか。親も人間ですからイライラすることもありますが、子どもにその気持ちをぶつけてしまい自己嫌悪を感じる親も少なくないようです。
親が子どもに怒りやいら立ちなどの感情をぶつけないためにはどうすればよいのでしょうか。今回は親が子どもにイライラしてしまう原因やその対策、いら立ちを子どもにぶつけてしまった後のサポートなどについて考えました。
親が子どもに怒りやいら立ちなどの感情をぶつけないためにはどうすればよいのでしょうか。今回は親が子どもにイライラしてしまう原因やその対策、いら立ちを子どもにぶつけてしまった後のサポートなどについて考えました。
もくじ
1子どもに対するイライラ、原因は?
子育てをする中で、ほとんどの親が子どもに対してイライラを感じた経験があるのではないでしょうか。どんな時に感じるのか、具体的な例を挙げながら考えてみましょう。
何度注意しても子どもが同じことを繰り返す時
「ゲームは宿題が終わってからね」「食事中はスマホを触らないで」「自分が使った物は自分で片付けて」。
繰り返し注意しても子どもが態度を改めない時、ほとんどの親はイライラするのではないでしょうか。忙しい朝や出かける前など急いでいる時はなおさら、「何度言ったらわかるの!」と思いがちです。
子どもが期待通りに動いてくれない時
「勉強や習い事など、もっと頑張れるはずなのになぜできないの?」「塾に通わせて時間もお金もかけたのだから、成績アップしてもらわないと困る」など、子どもに対してつい過度な期待をしていませんか。
勉強に限らず、親は子どもに対してつい期待をしたくなるものです。たとえその期待が子どもへの愛情から生まれたものであっても、子どもは親の期待通りに育つとは限りません。期待が実現しないことで親が落胆し、それがイライラの原因になります。
親自身が疲れている時
家事や仕事で忙しかったり、一人になってリラックスできる時間がなかったりすると、だんだん疲れやストレスがたまってきます。元気な時なら穏やかに対応できることでも、疲れやストレスが理由で子どもにその気持ちをぶつけてしまうこともあるでしょう。
親が子どもに対してイライラするのはよくあることですが、それを子どもにぶつけるのは避けたいものです。続いては、子どもにその気持ちをぶつけない方法について考えていきます。
2イライラを子どもにぶつけないようにするには?
子どもに対してイライラしないようにすることは難しくても、感じた気持ちを子どもにぶつけないように努力することはできます。ここでは、そのための具体的な方法をご紹介します。
いったんその場を離れて頭を冷やす
いら立ちを感じたのが自宅なら、いったん洗面所や寝室などに移り、子どもから離れて1人になって気持ちを落ち着かせてみましょう。移動のために体を動かしたり、子どもの姿が目に入らなくなったりするだけでも、人の気持ちは切り替わることがあります。
場所を変えるだけでなく、洗面所で手を洗ったり庭やベランダに出てみたりするのもお勧めですが、自宅で場所を変えることが難しいなら、とりあえず黙ってみるのもいいでしょう。
外出中でその場を離れられない時は、「吸う・吐く」ことに神経を集中させながら深呼吸してみてください。マインドフルネスでよく行われる方法で、自分の心身の動きに意識を向け、ストレスによるネガティブな感情を抑えます。
Column マインドフルネスってなに?
マインドフルネスとは「雑念にとらわれず、“今この瞬間”に注意を向けること」を指します。1970年代からアメリカを中心に研究が進み、瞑想や呼吸によっていら立ちや不安、心配など心に生じた乱れを鎮めることが目的です。
精神面では緊張・うつ状態の緩和や不安の減少、ストレス耐性の向上が実証されているとされています。また身体面では交感神経と副交感神経のバランスが整う、免疫力が改善されるなどの効果があるといわれています。
精神面では緊張・うつ状態の緩和や不安の減少、ストレス耐性の向上が実証されているとされています。また身体面では交感神経と副交感神経のバランスが整う、免疫力が改善されるなどの効果があるといわれています。
こまめにストレスを発散する
ストレスがたまるとささいなことでもいら立ったり、怒りっぽくなったりしやすくなります。ストレスをため込まないように、普段から少しずつ発散させておきましょう。
例えば映画やドラマなどを見て思いきり泣くのもお勧めです。泣くことにはカタルシス(浄化)効果があるといわれ、気持ちがすっきりしてストレス発散につながるといわれています。
逆にお笑い動画など、大笑いするのもOKです。もちろんウォーキングやジョギング、ヨガなど身体を動かすのもリフレッシュになります。
逆にお笑い動画など、大笑いするのもOKです。もちろんウォーキングやジョギング、ヨガなど身体を動かすのもリフレッシュになります。
時にはスイーツなど好きなものを食べ、自分にご馳走してみてもよいでしょう。気の合う友人とお茶を飲んだり、おしゃべりしたりするのもいいですね。
自分1人でリラックスする時間を作るのも効果的です。それほど長い時間でなくても、1、2時間ほど1人で過ごしてみると気持ちが軽くなるはずです。例えば音楽を聴いたり外出したりして、自分のためだけに時間を使ってみてください。
ストレス発散の手段は様々ですが、自分に適したストレスの発散方法を知っておきましょう。
子どもと趣味を共有する
親子で共通する趣味を持ち一緒に楽しんでみましょう。例えば料理やお菓子作り、キャンプや釣りなどのアウトドア、動画編集、アーティストや俳優、タレントの応援、スポーツ観戦、ゲームなどです。
親は子どもの、子どもは親のポジティブな面を見られる貴重な時間になります。そういった時間を過ごすことで、子どもへのイライラが収まったり見方が変わったりするかもしれません。
子どもの年齢にもよりますが、一緒に楽しむといっても子ども目線で取り組む必要はありません。大切なのは、大人がリードしつつも子どもにも楽しさが伝わり「やってみたい」と思ってもらえることと、大人が熱中できるような奥の深さがあることです。
子どもの年齢にもよりますが、一緒に楽しむといっても子ども目線で取り組む必要はありません。大切なのは、大人がリードしつつも子どもにも楽しさが伝わり「やってみたい」と思ってもらえることと、大人が熱中できるような奥の深さがあることです。
次は子どもに対するイライラを少しでも減らせる考え方についてみていきましょう。
3イライラを減らす考え方
ここでは親に取り組んでほしい対処法についてご紹介しています。全てに取り組まなくても、できそうなものから挑戦してみてください。
怒りが起きるポイントを知る
自分が子どものどんな行動に対していら立つのか、そしてどこまで我慢できるのかについて知っておくと、子どもに対するイライラを減らし、かつ子どもにぶつけないために役立ちます。
まず「イライラしてしまう自分」を振り返ってみましょう。ケースバイケースではありますが、子どもが一回言うことを聞かなかったくらいで、すぐにいら立ったり怒ったりする親は少ないのではないでしょうか。1日を振り返ってみて、子どもが何度声をかけても起きてこない、当日の支度をしておらず親が代わりにすることになった、帰宅してからずっとゲームをして宿題をしない、夕食時にスマホをみてばかり……など、怒りがいくつも積み重なって爆発するのではありませんか。
まず「イライラしてしまう自分」を振り返ってみましょう。ケースバイケースではありますが、子どもが一回言うことを聞かなかったくらいで、すぐにいら立ったり怒ったりする親は少ないのではないでしょうか。1日を振り返ってみて、子どもが何度声をかけても起きてこない、当日の支度をしておらず親が代わりにすることになった、帰宅してからずっとゲームをして宿題をしない、夕食時にスマホをみてばかり……など、怒りがいくつも積み重なって爆発するのではありませんか。
また子どもにかけた期待が外れてしまった時も親はイライラを感じがちです。例えば何度言っても片づけをしないといら立つ場合、親は子どもが自発的に片づけをすることを期待しているのです。
このように、イライラした理由を客観的に見直し、どんな状況だったのか、子どものどんな言動がきっかけになったのかなど、経緯を含めた理由・背景を確認します。いわば自分の「地雷ポイント」を知っておくと、そんな状況に陥るのを避けたり改善策を考えたりする際に役立ちます。
このように、イライラした理由を客観的に見直し、どんな状況だったのか、子どものどんな言動がきっかけになったのかなど、経緯を含めた理由・背景を確認します。いわば自分の「地雷ポイント」を知っておくと、そんな状況に陥るのを避けたり改善策を考えたりする際に役立ちます。
子どもとの距離感を見直す
「自分(親)がこう考えているのだから、子どももきっと同じはず」「私の言う通りにするのが、この子にとって最善の道」などと考えていませんか。そんな風に考える親は、子どもとの距離が近すぎるかもしれません。
いくら大切な存在であっても親と子どもは一体ではありません。しかしそこを間違えると、子どもが自分の思った通りに動いてくれない時にイライラしがちです。そんな状況を避けるには、子どもとの間に適切な距離を取り、子どもの意見や行動を尊重することが大切です。子どもの言動にいら立ったら、「自分はこうしたいけれど、この子はどうだろう」と考えてみましょう。小学校低学年の間は難しいかもしれませんが、中学年以降は意識してみてください。
いくら大切な存在であっても親と子どもは一体ではありません。しかしそこを間違えると、子どもが自分の思った通りに動いてくれない時にイライラしがちです。そんな状況を避けるには、子どもとの間に適切な距離を取り、子どもの意見や行動を尊重することが大切です。子どもの言動にいら立ったら、「自分はこうしたいけれど、この子はどうだろう」と考えてみましょう。小学校低学年の間は難しいかもしれませんが、中学年以降は意識してみてください。
子どもに期待しすぎない
「うちの子は頑張ればもっといい成績を取れるはず」「これだけ時間とお金をかけて勉強してきたのだから、絶対に合格してもらわないと」など、つい過剰な期待をしていませんか。
親は愛情や心配から子どもに対して過剰な期待をしがちです。しかし子どもが何もかも親の期待通りに育つことは多くありませんから、親は落胆します。この落胆がいら立ちの原因になっているといえます。
子どもへの過剰な期待を避けるには、まず自分が子どもに期待しすぎていると認識することが大切です。いら立つことが増えたかも……と感じたら、一度立ち止まって、自分が子どもに期待しすぎていないかを確認してみてください。
親は愛情や心配から子どもに対して過剰な期待をしがちです。しかし子どもが何もかも親の期待通りに育つことは多くありませんから、親は落胆します。この落胆がいら立ちの原因になっているといえます。
子どもへの過剰な期待を避けるには、まず自分が子どもに期待しすぎていると認識することが大切です。いら立つことが増えたかも……と感じたら、一度立ち止まって、自分が子どもに期待しすぎていないかを確認してみてください。
Column 無駄な怒りを減らす「アンガーマネジメント」
子どもに対するいら立ちについてお悩みの方に、ご紹介したいのがアンガーマネジメント。1970年代にアメリカで始まったとされる、怒りの感情と向き合うための心理トレーニングです。アンガーマネジメントの最大のポイントは「怒らないこと」ではなく、怒る必要がないことは見過ごせるスキルの習得を目的にしている点です。怒りをコントロールし無駄な怒りを減らすことができれば、子どもへのイライラも軽減するはずです。
子どもへのイライラを減らす努力はしているものの、やっぱり今日も怒ってしまった……そんな時があるかもしれません。そこで、次は子どもに感情をぶつけてしまった時の対処法について考えました。
4もし子どもにイライラをぶつけてしまったら
まずクールダウンすることを心がけましょう。怒ってしまった親もショックでしょうが、感情をぶつけられた子どもも衝撃を受けているはずですから、いったん時間をおきます。自分と子どものショックが収まった頃に、冷静に子どもに謝りましょう。
例えば「さっきはごめんね。お母さん、ちょっとイライラして怒っちゃった」などと声をかけてください。
謝った上で、なおかつ言いたいことがある時は、「アイメッセージ」で伝えるよう意識してみてください。アイメッセージとは「私」を主語にして伝える方法です。例えば「そういうことをされるとお母さんはいら立ってしまうのよ」という伝え方をすることがポイントです。この逆を「ユーメッセージ」といい、「あなた、イライラさせるようなことはしないで!」という伝え方をします。2つを比べると、アイメッセージの方が受け入れやすいと感じる方が多いのではないでしょうか。
子どもに対して自分のいら立ちを認めることに抵抗があるかもしれませんが、親でもそんな時があると伝えてもいいのです。子どもも親のそんな姿から、「イライラすることは仕方がないことだけれど、もし誰かに感情をぶつけてしまったらちゃんと謝るべきなんだ」と学んでくれます。
5自分を責めず、うまく折り合う方法を見つけよう!
子どもにいら立ちをぶつけてしまうのは、親にとってやましいことかもしれません。しかし人間である以上、子どもを含む他者にいら立つのは当たり前の感情です。ですからいら立ってはいけない、怒ってはいけないと自分を抑圧しなくても大丈夫です。
「いら立ってはいけない」ではなく、「いら立ちを感じたらどう対応すればいい?」と考えてみるといいでしょう。マインドフルネスやアンガーマネジメントを取り入れるなど、子どもへの接し方を工夫してみるのもお勧めです。イライラとうまく付き合い、折り合っていく方法を見つけてくださいね。