column ココロの特集
もう困らない!言いにくいことを上手に伝える方法
日常生活の中で、言いにくいことを伝えるのが難しいと思ったことはありませんか?
「人から嫌われたくない」「雰囲気が悪くなるかも」
「相手を傷つけたり、怒らせたりしてしまったら…」
などの不安が頭をよぎり、嫌だと思いながらついそのままにしてしまうという経験は、子どもにも大人にもあるのでは。では、どうすれば相手を傷つけずに、言いにくいことを伝えられるのでしょうか。
「人から嫌われたくない」「雰囲気が悪くなるかも」
「相手を傷つけたり、怒らせたりしてしまったら…」
などの不安が頭をよぎり、嫌だと思いながらついそのままにしてしまうという経験は、子どもにも大人にもあるのでは。では、どうすれば相手を傷つけずに、言いにくいことを伝えられるのでしょうか。
もくじ
1言いにくいことを上手に伝えるコツ
言いにくいことと聞いて思い浮かぶのは、誘いを断る、面倒なことをお願いする、相手に反論するなどではないでしょうか。
できれば避けたいという人も少なくないでしょうが、避けながら日常を送るのはなかなか難しいものです。ならば、少しでも上手に伝えるコツについて考えましょう。
できれば避けたいという人も少なくないでしょうが、避けながら日常を送るのはなかなか難しいものです。ならば、少しでも上手に伝えるコツについて考えましょう。
誠実に伝える
言いにくいことほど嘘をついてごまかしたり、うやむやにしたりして済ませたくなりますが、それは良い方法とはいえません。後になってばれてしまう恐れがありますし、実際にばれたら信頼を失います。
伝えるタイミングを考えることも誠実さの表れです。相手が忙しくなさそうな時、迷惑になりにくそうな時を選んでください。
伝えるタイミングを考えることも誠実さの表れです。相手が忙しくなさそうな時、迷惑になりにくそうな時を選んでください。
相手の気持ちや立場を思いやる
「こう言われたら相手はどう思うか」を念頭に置き、柔らかく丁寧な言葉づかいを心がけましょう。例えば相手に反論したり、相手のミスを指摘したりする場合なら、「あなたが◯◯したからこうなった」という表現は避け、アイメッセージを意識します。
アイメッセージとは、「私」を主語にして相手の行動を促す方法です。例えば「あなたのやり方には無駄が多いから、うまくいかないのでは?」ではなく、「こちらの方法でやるとうまくいくのではないかと(私は)思うのですが、どうでしょう?」という表現です。
また職場で上司のミスを指摘しないといけないという場面では、他の社員がいない場所を選んで伝える、「この部分に違和感があるのですが、もう一度ご確認いただけませんか」のように依頼形式で話すなど、上司である相手の立場にも配慮して、伝え方を工夫するのが良いでしょう。
アイメッセージとは、「私」を主語にして相手の行動を促す方法です。例えば「あなたのやり方には無駄が多いから、うまくいかないのでは?」ではなく、「こちらの方法でやるとうまくいくのではないかと(私は)思うのですが、どうでしょう?」という表現です。
また職場で上司のミスを指摘しないといけないという場面では、他の社員がいない場所を選んで伝える、「この部分に違和感があるのですが、もう一度ご確認いただけませんか」のように依頼形式で話すなど、上司である相手の立場にも配慮して、伝え方を工夫するのが良いでしょう。
クッション言葉を使う
クッション言葉とは、後に続く言葉や主張の聞こえ方を柔らかくするためのフレーズです。ビジネスシーンでよく使われる「恐れ入りますが」「お手数をおかけしますが」などが、クッション言葉にあたります。
「ムダではないか」と感じる人もいるかもしれませんが、相手の気持ちを和らげる効果があるため、言いにくいことを伝える際には積極的に使っていきたい言葉です。
「ムダではないか」と感じる人もいるかもしれませんが、相手の気持ちを和らげる効果があるため、言いにくいことを伝える際には積極的に使っていきたい言葉です。
アフターフォローを忘れない
「こうしてください」「それはできません」など、主張したり相手の頼みを断ったりするだけで会話を終わらせては、相手の反感をかう恐れがあります。言いたいことを伝えた後の関係や仕事・対応の流れをスムーズに進めるには、頼みごとを引き受けてもらった後に「(仕事を)進めていただく上で何か困ったことがあれば、いつでもご相談くださいね」と伝えてみましょう。
逆に依頼された件を引き受けるのが難しい際には、「全部に対応する時間はないのですが、ここまでならできます」と代替案を提示してみるのもおすすめです。
逆に依頼された件を引き受けるのが難しい際には、「全部に対応する時間はないのですが、ここまでならできます」と代替案を提示してみるのもおすすめです。
言いにくいことを上手に伝える4つのコツについて説明しました。
続いては、この4つのコツを使って、言いにくいことに上手に答える方法について考えていきます。
続いては、この4つのコツを使って、言いにくいことに上手に答える方法について考えていきます。
2言いにくいこと、こんな時どう伝える?
「言いにくいこと」の例として、下記の4つが当てはまるという方が多いのではないでしょうか。
- 頼みを断る
- 頼みごとをする
- 反対意見を言う
- 答えたくない質問に答える
これらについて、「1.言いにくいことを上手に伝えるコツ」でご紹介した4つのポイントを使用した、具体的な言い方を解説していきます。
頼みを断る
PTAの役員を頼まれた時
まず、①誠実に伝えることを心がけましょう。断りたいあまりに、本当ではないのに「家族の介護が大変で」「最近、体調が悪くて」などを理由にすると、後々、困った状況になりかねません。
例えば「まだまだ手がかかる未就学児がいる」「夫婦共働きで仕事が忙しい」など、本当の理由を伝えることが基本です。ただ、「子どもが小さいからできない」「仕事が忙しいからできない」という言い方をすると、「同じ状況でも引き受けている人がいる」「忙しいのはあなただけじゃない」など、周囲からの反感を買いかねません。
そんな時は②相手の気持ちや立場を思いやり、「お声をかけていただいたのはありがたいが」と、相手が自分を適役と考えてくれたことに対して感謝の言葉を入れると良いでしょう。
そして「せっかく声をかけてもらったが、ご期待に沿えず申し訳ない」などの③クッション言葉を入れつつ、④アフターフォローとして「役員は難しいが、これなら協力できる」と代替案を伝えてみましょう。
例えば「まだまだ手がかかる未就学児がいる」「夫婦共働きで仕事が忙しい」など、本当の理由を伝えることが基本です。ただ、「子どもが小さいからできない」「仕事が忙しいからできない」という言い方をすると、「同じ状況でも引き受けている人がいる」「忙しいのはあなただけじゃない」など、周囲からの反感を買いかねません。
そんな時は②相手の気持ちや立場を思いやり、「お声をかけていただいたのはありがたいが」と、相手が自分を適役と考えてくれたことに対して感謝の言葉を入れると良いでしょう。
そして「せっかく声をかけてもらったが、ご期待に沿えず申し訳ない」などの③クッション言葉を入れつつ、④アフターフォローとして「役員は難しいが、これなら協力できる」と代替案を伝えてみましょう。
- 例 ―example―
- 「夫も私もフルタイムの勤務で、時間を取るのが本当に難しい状態が続いています。お忙しいのは皆さんも同じだと思いますが、未就学児もいますので、まだまだ育児に手がかかってしまって。せっかくお声がけいただいたのに申し訳ありませんが、今回は辞退させていただけないでしょうか。役員の活動はできませんが、PC作業でしたらできますので、お手伝いできることがあったらぜひおっしゃってください」
頼みごとをする
勤務先で、同僚に仕事を手伝ってほしい時
例えば、突然のスケジュール変更で仕事があふれてしまった時に、同僚に仕事を手伝ってほしいというお願いをする時はどう言えば良いでしょうか。
まず、「急に申し訳ない」など、最初の言葉を③クッション言葉で始めるようにしましょう。続いて「クライアントが急なスケジュール変更を言ってきて、自分だけでは対応しきれない。手伝ってもらえるとありがたい」と、①理由を誠実に伝えます。
そして②相手を思いやって「あなたも忙しい中、こんなお願いで恐縮している」、そして④アフターフォローとして「来週は時間が空くので、あなたの仕事を手伝える」とまとめましょう。
まず、「急に申し訳ない」など、最初の言葉を③クッション言葉で始めるようにしましょう。続いて「クライアントが急なスケジュール変更を言ってきて、自分だけでは対応しきれない。手伝ってもらえるとありがたい」と、①理由を誠実に伝えます。
そして②相手を思いやって「あなたも忙しい中、こんなお願いで恐縮している」、そして④アフターフォローとして「来週は時間が空くので、あなたの仕事を手伝える」とまとめましょう。
- 例 ―example―
- 「今、ちょっといいですか?急で申し訳ありませんが、実はクライアントが急にスケジュールを前倒しにしてきて、私だけでは対応しきれなくなってしまったんです。○○さんもお忙しい中恐縮ですが、できればこの部分の対応をお願いできないでしょうか。代わりにと言ったら変だけれど、来週は私の手が空くので、手伝えることがあったら何でも言ってください」
反対意見を言う
子どもの意見に対して反論する
子どもがむきになって自分の意見を主張してきたけれど、ちょっと物の見方が偏っているな……と思うことはありませんか?例えば、子どもが「受験には英語や算数、理科が大切。国語や社会の勉強は時間の無駄」と言ったとします。
そんな子どもに反論する時は、最初に②相手の気持ちや立場を思いやることを実践しましょう。子どもの発言に対して、真正面から「それは違うよ」と反対してしまうと、意固地になって自分の考えを曲げなくなる恐れがあるからです。
例えば「お母さん(お父さん)も、国語や社会は勉強しなくても大丈夫と思ったことがある」と、いったん子どもの気持ちを受け止めた上で、①誠実に「国語や社会を学ぶ意味」を教えましょう。
さらに「自分の考えをもつことは大切」などの③クッション言葉を使ってから、④アフターフォローとして「面白い勉強方法」などを伝えてあげるといいのではないでしょうか。
そんな子どもに反論する時は、最初に②相手の気持ちや立場を思いやることを実践しましょう。子どもの発言に対して、真正面から「それは違うよ」と反対してしまうと、意固地になって自分の考えを曲げなくなる恐れがあるからです。
例えば「お母さん(お父さん)も、国語や社会は勉強しなくても大丈夫と思ったことがある」と、いったん子どもの気持ちを受け止めた上で、①誠実に「国語や社会を学ぶ意味」を教えましょう。
さらに「自分の考えをもつことは大切」などの③クッション言葉を使ってから、④アフターフォローとして「面白い勉強方法」などを伝えてあげるといいのではないでしょうか。
- 例 ―example―
- 「お母さん(お父さん)も、学生の頃は算数や英語の方が大切だと思っていたよ。でも国語や社会は漫画を読んだり映画を観たりする時に、内容をしっかり理解するのに役立つよ。確かに算数や英語、理科は大切だけれど、他の科目はいらないというのはちょっと言い過ぎじゃない?でも、算数とか英語、理科が得意なのはいいことだよね。国語や社会は、好きな本やクイズで勉強してみたらどう?楽しく勉強できるかもしれないよ」
答えたくない質問に答える
ママ友に夫の年収を聞かれた時
やや「番外編」的な扱いになりますが、収入や家族の学歴・成績、宗教、政治思想など、聞かれても答えたくない時は、嘘は避けつつも、「かわす」答え方をおすすめします。
またこのような場合、聞いてきた人との関係についても考えておきましょう。例えば、もう会うことがない人なら「そういうことは答えたくありません」とはっきり伝えるのも1つの方法です。しかし、ほとんどの場合はママ友や近所の人など、なかなか関わりを断ちにくい、関係が長く続いていく前提の人が多いのではないでしょうか。
そんな時は、のらりくらりと話をかわす方法をとりましょう。
またこのような場合、聞いてきた人との関係についても考えておきましょう。例えば、もう会うことがない人なら「そういうことは答えたくありません」とはっきり伝えるのも1つの方法です。しかし、ほとんどの場合はママ友や近所の人など、なかなか関わりを断ちにくい、関係が長く続いていく前提の人が多いのではないでしょうか。
そんな時は、のらりくらりと話をかわす方法をとりましょう。
- 例 ―example―
- 「どれくらいだったかな?保険料でいろいろ引かれるから、だんだんわからなくなっちゃった」
「年相応にはもらっていると思いますよ。夫の個人情報なので、これ以上はお伝えしにくいけれど」
「えー、ご想像にお任せします!」 など
ここまでは、主に親(大人)を例にしてきましたが、小学生の中にも言いにくさを感じている子どもはいます。
続いては、言いにくいことを抱えて困っている子どもに対して、親にできるアドバイスについて解説します。
続いては、言いにくいことを抱えて困っている子どもに対して、親にできるアドバイスについて解説します。
3言いにくさを感じている子どもへ、親がアドバイスするには
小学校低学年の場合、言いにくさを感じる場面としては、「嫌なことをされているが、『やめて』と言えない」「自分が思ったことを言うのが恥ずかしい、言ってはいけないと感じてしまう」などがあると思います。
「嫌なことをされているけれど、『やめて』と言っていいのかどうかわからない」と子どもが悩んでいる場合、「嫌なら嫌と言いなさい」と強く言うのではなく、「あなたは優しいから、相手にやめてと言いにくいかもしれないけれど、あなたが嫌だと思ったら『やめて』と言ってもいいからね」と伝えてください。また「相手がやめてくれたら、『やめてくれてありがとう』と言ってみたら?」というアドバイスも役立ちます。子どもが遠慮したり、勇気が出ず躊躇したりしているようであれば、その背中を親がそっと押してあげてください。それだけでも子どもは自信を持って一歩踏み出すことができます。
「嫌なことをされているけれど、『やめて』と言っていいのかどうかわからない」と子どもが悩んでいる場合、「嫌なら嫌と言いなさい」と強く言うのではなく、「あなたは優しいから、相手にやめてと言いにくいかもしれないけれど、あなたが嫌だと思ったら『やめて』と言ってもいいからね」と伝えてください。また「相手がやめてくれたら、『やめてくれてありがとう』と言ってみたら?」というアドバイスも役立ちます。子どもが遠慮したり、勇気が出ず躊躇したりしているようであれば、その背中を親がそっと押してあげてください。それだけでも子どもは自信を持って一歩踏み出すことができます。
4まとめ「言いにくいことはコツを押さえて上手に伝えよう」
言いにくいことを伝えるのは、多くの人にとって難しいものです。しかし相手に対して誠実な姿勢を意識すること、相手の気持ちや立場に配慮すること、伝えた後のアフターフォローなどのコツをつかむと、より良い方法で伝えることができます。
また、これらのコツは子どもとのコミュニケーションや、言いにくいことを伝えられなくて悩んでいる子どもへのアドバイスにも活用できます。ぜひ参考にしてください。
また、これらのコツは子どもとのコミュニケーションや、言いにくいことを伝えられなくて悩んでいる子どもへのアドバイスにも活用できます。ぜひ参考にしてください。
アサーションとは、1950年ごろにアメリカの心理学者ジョセフ・ウォルビによって開発されたカウンセリング技法です。アサーションでは、人間関係の持ち方には大きく分けて3つのタイプがあるとされています。
「第一は、自分のことだけ考えて、他者を踏みにじるやり方、第二は、自分よりも他者を常に優先し、自分のことを後回しにするやり方、第三は、第一と第二のやり方を黄金率ともいうべきもので、自分のことをまず考えるが、他者をも配慮するやり方」です。
第一のやり方を「攻撃的」または「アグレッシブ」、第二のやり方を「非主張的」または「ノン・アサーティブ」、第三のやり方を「アサーティブ」と呼びます。
「第一は、自分のことだけ考えて、他者を踏みにじるやり方、第二は、自分よりも他者を常に優先し、自分のことを後回しにするやり方、第三は、第一と第二のやり方を黄金率ともいうべきもので、自分のことをまず考えるが、他者をも配慮するやり方」です。
第一のやり方を「攻撃的」または「アグレッシブ」、第二のやり方を「非主張的」または「ノン・アサーティブ」、第三のやり方を「アサーティブ」と呼びます。
「子どもが友達と遊びに出かけ、夕食の時間になっても戻ってこなかった」時の対応は?
非主張的:帰ってきた子どもに「あんまり遅くならないでね」とだけ言う
攻撃的:「どうしてこんなに遅かったの!もっと早く帰れたでしょう!?」とどなる
アサーティブ:「夕食までには帰ってくると思ったから、心配したよ。こんなに遅くなるなら、連絡してほしかったな」
攻撃的:「どうしてこんなに遅かったの!もっと早く帰れたでしょう!?」とどなる
アサーティブ:「夕食までには帰ってくると思ったから、心配したよ。こんなに遅くなるなら、連絡してほしかったな」
表現に困った時に使える「DESC法」
DESC(デスク)法とは、1990年代にアメリカのバウアー夫妻とケリーによって提唱されたといわれています。
D(describe):状況・事実を客観的に描写する
E(express、empathize):表現する・共感する
S(specify):特定の提案をする
C(choose):相手のyes・noへの対応を考え、結果を選ぶ
E(express、empathize):表現する・共感する
S(specify):特定の提案をする
C(choose):相手のyes・noへの対応を考え、結果を選ぶ
- (例)
- 「学校から帰ってきて、もう2時間くらいずっとゲームをしているよね(D:事実の描写)。ゲームが楽しくて続けたいのもわかるけど(E:共感)、いったんストップして宿題を済ませたらどう?(S:提案)。そうすれば、夜遅くまで宿題をしなくても済むよ(肯定的結果に対するC:結果を選ぶ)。もしすぐに止められないなら、今やっている分が終わったら宿題を始めてみようか(提案を受け入れられなかった場合のC:結果を選ぶ)」
「伝えたいことがあるけれど、言い方がわからない」と困った時は、DESC法を試してみましょう。
参考:
『図解 自分の気持ちをきちんと<伝える>技術』/平木典子著(PHP研究所)