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長期の休み明け、子どもが学校への行きしぶりをしたら?親ができる対応を解説!

夏休みや冬休みなどの長期休暇が終わる時期になると、「学校に行きたくない」と訴える子どもが増えます。生活リズムの変化や学校への不安から生じるこの“行きしぶり”は、放っておくと不登校につながることも。この記事では、行きしぶりの原因や早期発見につながるサイン、親ができる予防策と対応について解説します。子どもの小さな変化に気づき、適切にサポートすることで、新学期を親子で前向きに迎えましょう。
監修:正木大貴[博士(医学)]
もくじ
1長期休み明けの行きしぶりはなぜ起こる?
長期休暇が終わる時期は、学校への行きしぶりを訴える子どもが増える傾向にあります。行きしぶりとは、学校へ行くことに対して消極的な態度を示し、さまざまな理由をつけて登校を避けようとする状態を指します。
行きしぶりには、子どもの心理的・身体的な変化が関係しています。例えば、夜更かしや朝寝坊、家でのんびりする生活から、再び授業や規律・校則がある学校生活へ戻ることへの心理的なハードルが生まれます。
子どもたちにとって、生活リズムの大きな変化は心身にストレスを与えやすく、それが身体的な不調(頭痛・腹痛・食欲不振など)や情緒の不安定さとして現れます。
また、学校での人間関係や勉強に対する不安が影響することも少なくありません。特に新学年やクラス替えのタイミングは、環境の変化が子どもの心を揺さぶる要因となります。
行きしぶりから不登校に発展するケースもあるため、子どもの行きしぶりのサインを見逃さず、適切なサポートを行うことが重要です。
行きしぶりには、子どもの心理的・身体的な変化が関係しています。例えば、夜更かしや朝寝坊、家でのんびりする生活から、再び授業や規律・校則がある学校生活へ戻ることへの心理的なハードルが生まれます。
子どもたちにとって、生活リズムの大きな変化は心身にストレスを与えやすく、それが身体的な不調(頭痛・腹痛・食欲不振など)や情緒の不安定さとして現れます。
また、学校での人間関係や勉強に対する不安が影響することも少なくありません。特に新学年やクラス替えのタイミングは、環境の変化が子どもの心を揺さぶる要因となります。
行きしぶりから不登校に発展するケースもあるため、子どもの行きしぶりのサインを見逃さず、適切なサポートを行うことが重要です。
2子どもが示す行きしぶりのサインとは?

行きしぶりのサインはさまざまな形で現れますが、大きく分けて身体的な症状と心理的な変化があります。
子どものSOSチェックリスト
以下のような変化が見られたら、子どもが行きしぶりのサインを出している可能性があります。
- 学校の話題を避けるようになった
- 「お腹が痛い」「頭が痛い」と訴える頻度が増えた
- 朝の準備に時間がかかるようになった
- 夜、なかなか寝付けなくなった
- 食欲が明らかに減少した
- 些細なことでイライラしやすくなった
- 学校や友達の話題で不安な発言が増えた
- 休日の終わりに落ち込んだり憂鬱な様子を見せたりする
これらのサインは一つだけでなく、複数組み合わさって現れることもあるため、総合的に子どもの状態を観察することが大切です。
①身体的な症状
睡眠の乱れ
「なかなか寝付けない」「夜中に何度も起きる」「朝、起きられない」など、休み中は子どもの睡眠リズムが大きく崩れがちです。特に、夜更かしが続いた直後は生活リズムが戻りにくく、そこへ登校へのストレスが加わると、不安で眠れなくなることがあります。
食欲不振
「朝食を取りたがらない」「以前より食欲が落ちた」といった変化もサインの一つです。胃腸はストレスの影響を敏感に受けやすいため、心理的なプレッシャーがかかると、自然と食欲が落ちるケースは少なくありません。
体調不良の訴え
「お腹が痛い」「頭が痛い」「何となく気持ち悪い」など、体の不調を繰り返し訴えるのも、行きしぶりのサインの1つです。休みに入ってすぐは元気だったのに、登校が近づくと症状が出る場合は、学校生活へのストレスが背景にあるかもしれません。
②心理的な変化
新学期が近づくにつれ、イライラした様子を見せるようになった
怒りっぽくなった、物に当たるなど、感情の起伏が激しい様子が見られたら注意しましょう。心理的な負担が高まると、自分でもコントロールしきれないイライラが噴き出すことがあります。
不安そうなふるまいをする
「朝、ちゃんと起きられるかな」「授業についていけないかも……」「新学期、友だちと仲良くできるかな」と、学校や勉強、友人関係について繰り返し心配する言葉が増えます。
普段より親に依存してくる
「お母さん、一緒にいて」「お父さんとお母さんと同じ部屋で寝てもいい?」など、普段は見られない甘えや依存的な態度が強くなることがあります。家族と離れることへの抵抗や、不安から安心感を求める気持ちが行動として表れやすくなるのです。
これらの例に当てはまるものがあれば、子どもの心身が疲れていたり不安定になっていたりする「SOS」の恐れがあります。子どもの小さな変化にいち早く気付き、対話を深めることが、行きしぶりの早期発見とサポートの第一歩となります。
3休み明けの行きしぶりを防ぐために親ができること

休み明けの行きしぶりを防ぎ、新学期を気持ちよくスタートできるよう、親が意識して取り組みたいポイントを具体的に紹介します。
①子どもの生活リズムを整える
長期休み中は夜更かしや遅起き、おやつのだらだら食べや運動不足になりがちです。まずは毎日のリズムを作り、学校生活への橋渡しをしていきましょう。
規則正しい就寝および起床時間の調整
休みの間は就寝・起床時間が遅くなりがち。新学期が近づく1〜2週間前には、少しずつ時間を戻していくことが理想的です。
とはいえ、急にリズムを変えると体への負担が大きいため、毎日10〜15分ずつ就寝・起床時間を早めていくなど、段階的に調整していきましょう。
とはいえ、急にリズムを変えると体への負担が大きいため、毎日10〜15分ずつ就寝・起床時間を早めていくなど、段階的に調整していきましょう。
三食しっかり食べる
栄養バランスの取れた食事を規則正しく摂ることは、体調を整えるだけでなく心身の安定にもつながります。特に朝食は脳を活性化させ、体と心の準備を整える重要な役割を果たします。
朝食を摂る習慣がない子どもには、フルーツやヨーグルトなど甘くて水分が多く、喉を通りやすい食材から始めるというように、無理のない方法で習慣づけることが大切です。
朝食を摂る習慣がない子どもには、フルーツやヨーグルトなど甘くて水分が多く、喉を通りやすい食材から始めるというように、無理のない方法で習慣づけることが大切です。
運動や外遊びを取り入れる
適度な運動は体力向上やストレス解消に効果があるだけでなく、自然光を浴びることで体内時計を整え、夜の睡眠によい影響を与えます。ただし、夏の場合は熱中症にならないよう注意しましょう。
生活リズム表を活用する
「朝7時に起き、朝ごはんはしっかり食べる。9時からは勉強」のような予定表を作るのは、生活リズムを整える効果的があります。こうした習慣づくりは、休み前から少しずつ始めるのがおすすめです。
②子どもの学習をサポートする
勉強面でのつまずきが、行きしぶりのきっかけになることも。学習は無理せず、しかし「ちゃんと取り組めた!」という達成感も大切です。

計画的な学習を支援する
休みの終わり近くになってから宿題をまとめて片付けようとすると、大きな負担になり新学期へのネガティブな感情につながることがあります。そんな状態にならないよう、親子で宿題計画表を作成し、毎日少しずつ進める習慣をつけましょう。小学校低学年なら親が主導で作成し、高学年では子ども自身に作らせて親がフォローするのが効果的です。
学習へのモチベーションを保てるようサポートする
低学年ではシールやスタンプなどの視覚的な達成感、中・高学年では休み中のお小遣いアップやいつもより豪華なおやつなど、子どもの学年に合わせた「ご褒美」を工夫しましょう。ただし、ご褒美に頼りすぎると自発的に取り組む意欲が低下することがあるため、バランスが大切です。
勉強の習慣をつける
宿題をきっちり終わらせることは大切ですが、それ以上に「勉強の習慣」をつけることが重要です。
たとえ短時間でも毎日定期的に勉強する習慣をつけることで学習のリズムが作られ、意識が学習モードに切り替わりやすくなります。宿題以外にも、読書や計算ドリルなど、子どもの興味に合わせた学習を取り入れてみるとよいでしょう。
たとえ短時間でも毎日定期的に勉強する習慣をつけることで学習のリズムが作られ、意識が学習モードに切り替わりやすくなります。宿題以外にも、読書や計算ドリルなど、子どもの興味に合わせた学習を取り入れてみるとよいでしょう。
③子どもとコミュニケーションする時間をしっかり取る
親子の会話を増やすことは、子どもの小さな変化への気づきにつながります。学期中より時間に余裕のある休み中は、親子で過ごす時間を意識的に増やしましょう。何気ない会話から「実は学校の○○が気がかりで…」など、本音が出てくることも。
親ができる予防策をコツコツ積み重ねていくことで、子どもは安心して新しい学期に向かうことができるでしょう。
4休み明け直前、行きしぶりの兆候が出てきたら?

休み明け直前の時期に行きしぶりの兆候が出てきても、親が慌ててしまっては子どもがさらに不安になります。落ち着いて、まず子どもが登校を嫌がる原因を探ってみましょう。
原因を探るとき、親はつい「どうして学校に行きたくないの?」と問い詰めるような口調をしがち。しかし、それでは子どもが心を閉ざしたり、「親を困らせてはいけない」という思いから話しづらくなったりすることもあります。
まずは「最近、ちょっとしんどそうだけど、何か気になることがあるの?」「学校で心配なことがある?」など、穏やかに問いかけてみましょう。返事がなくても、「無理に話さなくていいけど、いつでも聞くよ」というスタンスでいることが大切です。
原因を探るとき、親はつい「どうして学校に行きたくないの?」と問い詰めるような口調をしがち。しかし、それでは子どもが心を閉ざしたり、「親を困らせてはいけない」という思いから話しづらくなったりすることもあります。
まずは「最近、ちょっとしんどそうだけど、何か気になることがあるの?」「学校で心配なことがある?」など、穏やかに問いかけてみましょう。返事がなくても、「無理に話さなくていいけど、いつでも聞くよ」というスタンスでいることが大切です。
子どもに行きしぶりの原因を聞く時、親が心がけたいこと
- 問い詰めるのではなく、「そうなのね」「わかるよ」など、共感し受け止める姿勢で聞く
- 「何となくおかしい」と感じるサインを見つけたら、焦らずじっくり話を聞く
- 子どもが答えに詰まっても、答えを急かさずに待つ
- 「どんな気持ちも受け止めるよ」と伝え、安心感を持たせる
休み明け直前は、子どもの心が一番センシティブになる時期。無理に元気づけたり「みんなそうなんだから」と決めつけたりする前に、子どもの“今の気持ち”に静かに寄り添うことが、次の一歩につながるはずです。
新学期の不安を親子で乗り越えていくためにも、まずは「気づき」「共感」「一緒に考える」などの寄り添いを忘れずにいたいですね。
新学期の不安を親子で乗り越えていくためにも、まずは「気づき」「共感」「一緒に考える」などの寄り添いを忘れずにいたいですね。
5休み明け以降も学校に行きたがらない場合はどうする?
新学期が始まり、しばらく様子を見ても子どもが学校に行きたがらない場合、親としてはとても心配になるでしょう。ここでは、休み明け以降も登校したがらないときの具体的な家庭での対応と、学校との連携やきょうだいとの関わりについてまとめます。

①先生への連絡・報告をする
学校の先生には、「子どもが今朝から体調を崩しています」「しばらく様子を見たいと思っています」など、現状を伝えるだけで大丈夫です。「長引くようなら、またご相談します」と一言添えておくことで、学校側も状況を把握しやすくなります。
②家庭でのサポートのポイント

生活リズムを崩さない
学校に行かない日でも、決まった時間に起きて、食事を摂って、夜は早めに寝るという基本的な生活リズムを守ると、心と体の安定につながります。
無理やり登校させない
登校を強制したり怒ったりすると、子どもはますます心を閉ざしてしまいます。無理やり登校させるよりも、気持ちが落ち着くまで待つほうが、かえって回復が早い場合も。
子どもの感情を受け止める声かけを意識する
例えば、「そう思うのね」「悲しかったね」「心配だよね」と、子どもの気持ちに寄り添うフレーズを意識して使いましょう。「そんなの気のせい」「甘えでしょ」などの言葉は禁句です。「話してくれてありがとう」「あなたがつらくなくなるように、一緒に考えていこうね」と伝えてください。
③段階的な登校への取り組みを考える
すぐに通常登校が難しい場合でも、午前中の短時間だけ行ってみる、保健室への登校や学校行事だけ参加するなど、子どもの意欲や体調に合わせて少しずつ挑戦させてあげましょう。無理のないペースで「できた!」という達成感を積み重ねることで、本人の自信や安心感につながります。
④教師との連携は躊躇せずに
長期化しそうな場合、学校の先生やスクールカウンセラーに相談しましょう。「こんなことを伝えていいのかな?」と遠慮する必要はありません。子ども一人ひとりに寄り添った対応を一緒に考えるための大切な連携です。困ったときには一人で抱え込まず、必ず学校と連絡を取り合いましょう。
きょうだいがいる場合はどう対応する?
行きしぶりをしている子どもに親の注目が集まると、他のきょうだいが不公平感を抱くことがあります。通学しているきょうだいにも十分な関心と愛情を示してあげてください。
「〇〇(行きしぶりの子)は今、少し学校に行くのが難しい時期なの。でも、あなたが毎日頑張って学校に行っていることも、とても素晴らしいことだよ」など、それぞれの頑張りを認める言葉をかけましょう。
行きしぶりをしていない子が、「自分も行きしぶりをすれば、もっと親が構ってくれるかもしれない」という心理が働くこともあります。きょうだい間で「ずるい」という感情が生じることはよくあることです。
それぞれの子どもに個別の時間を作り、公平に接していることを示すことが大切です。例えば、通学しているきょうだいと過ごす時間を作ったり、その子が楽しく過ごせる時間を意識して作ったりするなど、バランスの取れた関わりを心がけましょう。
「〇〇(行きしぶりの子)は今、少し学校に行くのが難しい時期なの。でも、あなたが毎日頑張って学校に行っていることも、とても素晴らしいことだよ」など、それぞれの頑張りを認める言葉をかけましょう。
行きしぶりをしていない子が、「自分も行きしぶりをすれば、もっと親が構ってくれるかもしれない」という心理が働くこともあります。きょうだい間で「ずるい」という感情が生じることはよくあることです。
それぞれの子どもに個別の時間を作り、公平に接していることを示すことが大切です。例えば、通学しているきょうだいと過ごす時間を作ったり、その子が楽しく過ごせる時間を意識して作ったりするなど、バランスの取れた関わりを心がけましょう。
6親子で乗り越える! 行きしぶりは早期対応と日常の小さなケアが鍵

長期休み明けの「行きしぶり」は、程度の差こそあるものの、多くの子どもたちが経験することといえます。しかし放っておくと不登校や深刻な心身の不調につながるため、早期の気づきと家庭でできる予防的な取り組みが重要になります。生活リズムや学習習慣づくり、子どもとの対話を日々のなかで意識的に行うことが、大きな安心と自信につながります。
親も家事や仕事で日々大変ですから、完璧を目指す必要はありません。できる範囲で、工夫や声かけを意識するだけでも、子どもにとって大きな支えになります。親子とも「一人ではない」「困ったときは周囲に相談できる」と考え、新学期を迎えましょう。
親も家事や仕事で日々大変ですから、完璧を目指す必要はありません。できる範囲で、工夫や声かけを意識するだけでも、子どもにとって大きな支えになります。親子とも「一人ではない」「困ったときは周囲に相談できる」と考え、新学期を迎えましょう。