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上手に子離れ、親離れする方法とは?

親にとって我が子はいくつになっても子どもです。心配になってつい世話をやいたり、口出しをしたりしてしまいますよね。
しかし成長し自分でできることが増えた子どもに干渉しすぎると、子どもの自立が妨げられる恐れがあります。それを防ぐために必要なのが子離れです。
子離れできない親の特徴やどうしたら子離れができるかなどを紹介します。

監修:正木大貴[博士(医学)]
子離れ、できている?まずはチェック!
親が与える愛情の形は、子どもの年齢に応じて変化するのが一般的です。
乳幼児期は常に親が側にいて、子どもが必要なものを与えてあげることが必要ですが、小学生になった頃には自分でできることが増え、自立心が芽生えるとともに子どもは少しずつ親の手を離れていきます。
その時期に親が子離れできないと、子どもに悪い影響をおよぼすことも。
ここでは、子離れできていない親にありがちな行動を挙げています。
自分に当てはまる項目があるかチェックしてみましょう。
こんな行動していませんか?
  •  
  • 子どもが側にいないと心配で落ち着かない
  • つい子どものやることに口出しし、世話をやいてしまう
  • 子どものスケジュールはすべて把握している
  • 通学・通塾に必要な物を子どもの代わりに準備している
  • 子どもを失敗から守るため、なんでも子どもより先回りする
  • 子どもの友達を親が選んでいる
  • 子どもの成績や能力を他の児童と比較しがちだ
  • 子どもには親が子どもの頃にしたくてもできなかったことをやらせている

当てはまる項目が多いほど、子離れできている度合いは低いといえます。
この機会に子どもへの接し方を見直し、子離れにチャレンジしませんか。


子離れできない親の特徴
ここでは、子離れできない親の特徴を見ていきましょう。
子どもをコントロールしようとする
子離れできていない親は、子どもに自分の価値観や期待を押し付けることがあります。
親なら「子どもにはこうなってほしい」という気持ちをもつのは当然かもしれませんが、子ども自身の希望や意志が親の考えと異なる場合、子どもの気持ちを無視して親の思い通りに操ろうとするのは問題です。
子どもに干渉しすぎる
何かにつけて口出しをする、自分が代わりに何でもやってあげようとする過干渉も、子離れできていない親の大きな特徴です。
とにかく子どものことが気になり、学校や塾でどう過ごしているのか、寄り道などしていないか、勉強のスケジュールはどうなっているのか、明日の準備はできているのかなど、子どもの状況をすべて把握しようとします。
子どもに依存する
子離れできていない親は、子どものために「いいお母さん、優しいお父さん」でいようと、自分を犠牲にしてまで子どもの世話に一生懸命になってしまう傾向があります。
自分より子どもを優先するので子ども想いの愛情深い親に見えますが、“子どもに頼られることに自分の価値を見出す”、言い換えれば子どもに頼られることに親が依存してしまうといえます。
「自分(親)がいないと、この子はダメになってしまう」と思い込んでしまっていることが多いのです。

子離れできない親が子どもに与える影響
続いては、子離れできない親が子どもに与える影響やデメリットについて紹介します。
子どもの自立を妨げる
子離れできない親の元で育った子どもは、自分がやりたいことより親の言うことを優先しがちです。
また長い間、過干渉を受けたりいろいろな指示をされたりし続けると自立心が育ちにくく、自分で決めるべきことでも親の意向をうかがうようになる恐れもあります。
子どもの主体性が育ちにくい
自立心が育ちにくいことと関連しますが、親の意見に従うことに慣れると、家庭以外の場でも自分の意見をもったり自分で判断したりできなくなることがあります。 社会で求められる主体性とは「自分で考え、判断し、行動する力」です。
親が子離れできずに過干渉をしたり、親の意見を押しつけたりすると、子どもは「言われたことをやればいい」「親に言われてからやろう」という受け身の姿勢になりかねません。
何でも人任せにしてしまう、物事に対して自分の考えを持てないなど、主体性に乏しいことも、子離れできていない親の元で育った子どもにありがちなケースです。
子どもの成長の機会を奪ってしまう
子どもを守ろうとするあまりに、子どもの前から失敗の芽を全て摘んでしまうのは、子どもに良い影響を与えません。
もちろん失敗すれば生命に関わりかねない危険な行為や、他人に迷惑をかけるような行為は親が注意しなければなりませんが、そういった重大なもの以外なら失敗はむしろ子どもにとって必要といえます。
子どもは小さな失敗を重ねることで、少々のことでは諦めたり落ち込んだりしない強さを手に入れます。
また失敗から得た体験を生かして成功すれば、「自分はできるんだ」という自信や自己効力感にも繋がります。失敗は子どもを大きく成長させるのです。
子どもの自立を妨げないためには、
  • トラブルが起きたとき、親が口を出す前に子どもに判断を任せる

    子どもが友達とケンカをした際はまず子どもに任せ、子ども同士での解決が難しければ親が関わる。

  • 子どもが何かに取り組んでいるときは急かさず見守る

    子どもが宿題や作業をしているとき、「もっと効率的なやり方がある」と思っても手を出さず、子どもが助けを求めてきたらアドバイスする。

  • 子どもが自分で取り組むべき物事に先回りをしない

    学校に持っていく物を親が先に用意しない。気になる場合は「明日の準備はどうなっている?」など、声かけに留める。

子どもが自分で判断したり決断したりする習慣が身につくよう、親が注意しましょう。

子離れするために取り組みたいこと
うまく子離れするには、親は何をすればよいのでしょうか。スムーズに子離れするために有効な試みを紹介しましょう。
代わりにやるのではなく「やり方」を教える
通学や通塾、習い事などの用意や、子どものスケジュール管理などを親が先回りしてやっているなら、それらを子どもに任せてみてください。
とはいえ「これからは自分でやってね」と、いきなり全部を任せてしまうのは避けましょう。子どもが戸惑ったり、「突き放された」と感じて傷ついてしまう恐れがあるからです。
いきなり全部を子どもに任せる前に、「準備の仕方」「スケジュールの立て方」などの“やり方”を教えてあげてください。親はやり方を教える役割を担い、実際に手を動かす部分を子どもに任せましょう。
やり方が複雑、あるいは子どもが理解しにくい、覚えられないなどの場合は、
  • 最初は親がやってみせる
  • 慣れるまで子どもと一緒にやってみる
  • 子どもが1人でも準備できるよう、手順を紙に書いておく
  • チェックシートを作って“抜け・もれ”がないようにする
などの方法を試してみてもいいでしょう。
子どもをありのまま受け入れる
「もっと成績がアップしてほしい」「コミュニケーション力をつけてほしい」「何にでも積極的に取り組んでほしい」など、子どもに対する親の期待は留まるところを知らないものです。
しかしそれが親の思う「理想の子ども像」になっていないかどうか、一度振り返ってみてください。
子どもは親の期待に敏感ですから、「もっと頑張らないと親に愛してもらえない」と感じて無理をする恐れもあります。
子どもに期待するのはよいですが、まずありのままの子どもを受け入れ、愛してあげてください。
親が自分の時間を充実させる
子離れを成功させるためには、親が自分だけの時間を充実させることも1つの方法です。
現在はコロナ禍で制限がありますが、例えばパソコンでの映画鑑賞、手芸や絵画などの趣味をもつ、読書を楽しむなど、子ども抜きでも楽しめる趣味を持ってみましょう。
最初は落ち着かなくてそわそわするかもしれませんが、まずは子どもが側にいないこと、子どもに関わらない時間をもつことに慣れていきましょう。

子離れも重要な子育ての1つ
子離れの時期は子どもの発達によって異なりますが、一般的には小学校高学年(10歳~)になり思春期を迎えた頃が子離れを始める目安と考えてよいでしょう。
子どもの成長を楽しみに、時間をかけて大切に育ててきた親にとって、子離れはつらく寂しいことかもしれません。
しかし子どもを可愛がるだけでなく、自立して生きていけるよう様々な力を身につける機会を作ってあげるのも親の務めです。
子離れも大切な子育ての一部ととらえ、子どもも親もさらに成長する重要な時期として前向きにとらえてみてください。

海外でも問題になっている?子離れできない親
日本ではあまり耳にしませんが、海外には過保護・過干渉な保護者を表現する「ヘリコプターペアレント」「カーリングペアレント」という言葉があります。
ヘリコプターペアレント
常に我が子の周りにいて、子どもに不都合なことが起こると干渉する、あるいは子どもを管理する親を指します。
その姿がまるで子どもの上空を旋回し、何かあると急降下するヘリコプターを思わせるとして、こう呼ばれるようになりました。
数年前からアメリカやドイツで社会問題として取り上げられています。
例えば子どもが新しいことに挑戦する姿を見守れずについ手を出してしまったり、子どもが悩んでいる宿題を代わりにやってしまったり、子ども同士のけんかにすぐに干渉してしまったりと、子どもをトラブルから守るために観察し続けるのが特徴です。
カーリングペアレント
デンマーク発祥といわれる、氷上のスポーツである「カーリング」からきた言葉です。
カーリングは氷上に取っ手がついた円盤状の“ストーン”と呼ばれる石を置き、それができるだけスムーズに進むようブラシで道をならしていくスポーツです。
カーリングペアレントは“ストーン=子ども”が立ち往生しないように、困難や失敗から守るため、先回りして道をきれいにならしてしまう親を指します。
親がやり過ぎてしまう傾向は、日本だけでなく海外でも見られる現象といえるでしょう。
現代の育児傾向と言っても過言ではないのかもしれません。