column ココロの特集
気をつけたいポイントを解説!子どもの反抗期への親の関わり方
子どもが小学校中~高学年になり思春期の入り口に差しかかると、口答えをしたり親をわずらわしがったりして、反抗的な態度を取ることが増えてきます。「もしかして反抗期?」と悩まれる親も多いのではないでしょうか。
わが子が反抗期を迎えたかも?と感じたら、親は何に気をつけて子どもと接するべきでしょうか。思春期に子どもの身体と心で起こっていることや、親が心がけたいことなどについてご紹介します。
わが子が反抗期を迎えたかも?と感じたら、親は何に気をつけて子どもと接するべきでしょうか。思春期に子どもの身体と心で起こっていることや、親が心がけたいことなどについてご紹介します。
1子どもの反抗期はなぜ起こる?
普段、私たちが何気なく使っている「反抗期」という言葉。あまりにも身近な言葉ですが、その内容についてあらためて確認してみましょう。
そもそも反抗期とは?
子どもは成人になるまでに二度の反抗期を迎えるといわれています。一度目はいわゆる“イヤイヤ期”と呼ばれ、1歳半から3、4歳にかけて起こるもの。これは第一次反抗期といわれます。
そして二度目は小学生高学年から中学生くらいまでの、一般的に“思春期”といわれる時期に起こります。これは第二次反抗期と呼ばれています。
おおよその目安として年齢や時期を挙げましたが、第一次、第二次反抗期ともに、始まりや終わりの時期、期間には個人差があります。また、なかには反抗的な態度を見せない子どももいます。
そして二度目は小学生高学年から中学生くらいまでの、一般的に“思春期”といわれる時期に起こります。これは第二次反抗期と呼ばれています。
おおよその目安として年齢や時期を挙げましたが、第一次、第二次反抗期ともに、始まりや終わりの時期、期間には個人差があります。また、なかには反抗的な態度を見せない子どももいます。
子どもの心身が大きく変化する思春期
第二次反抗期は思春期に起こるとご紹介しましたが、思春期とはどのようなものなのでしょうか。厚生労働省が提供する情報サイト「e-ヘルスネット」では、下記のように説明されています。
思春期は、こころの発達の面からは小学校高学年から高校生年代の時期に当たり、中学生前半までを思春期前期、それ以後を思春期後期と呼びます。
(中略)
思春期には第二次性徴に始まる大きな身体的変化が生じ、性的エネルギーが増大します。そして精神的には、社会や学校・仲間集団・家族からの影響を受けながら一人の大人として自分を確立していきます。
(中略)
思春期には第二次性徴に始まる大きな身体的変化が生じ、性的エネルギーが増大します。そして精神的には、社会や学校・仲間集団・家族からの影響を受けながら一人の大人として自分を確立していきます。
引用元:e-ヘルスネット「思春期のこころの発達と問題行動の理解」
ここからもわかるように、子どもが非常に大きく、急激な変化を体験する時期が思春期なのです。
思春期には不安やストレス、矛盾などのやり場のない思いが、子どもの心の中に渦巻いています。それらに対する反応や行動が、大人にすればあたかも反抗しているように見えるのです。
思春期には不安やストレス、矛盾などのやり場のない思いが、子どもの心の中に渦巻いています。それらに対する反応や行動が、大人にすればあたかも反抗しているように見えるのです。
2思春期に子どもの心身で起こっていること
子どもが思春期に体験する変化についてご紹介しましたが、ここからはその変化についてより具体的にみていきましょう。
心と身体がアンバランスになる
思春期に訪れる第二次性徴によって、男の子は声変わり、精通、ひげが濃くなるなど、女の子は乳房の発達、からだが丸みを帯びてくる、初潮などの変化が見られます。
身体は急速に成長しますが、心の成長は身体に比べてゆっくりと進みます。そのため成熟した部分とまだ幼い部分が、子どもの中に共存します。
いわば親の手を離れて何でも自分でやってみたいという気持ちと、経験や自信がない不安から親に頼り、甘えたいという気持ちの間で揺れ動いている状態です。
身体と心の成長の差からくる、アンバランスな状態が続く時期といえるでしょう。
いわば親の手を離れて何でも自分でやってみたいという気持ちと、経験や自信がない不安から親に頼り、甘えたいという気持ちの間で揺れ動いている状態です。
身体と心の成長の差からくる、アンバランスな状態が続く時期といえるでしょう。
家族より友人との関係を大切にする
親より友人・仲間との関係を重視するようになるのも思春期の特徴です。友人にどう見られているかを意識した行動を取ったり、「友人と同じかどうか」を強く気にしたりすることが増えます。
この時期の子どもにとって同世代の友人は、親や先生など大人とはわかりあえない気持ちを共有できる、かけがえのない存在。そのため友人同士のつながりも濃密になりがちです。
この時期の子どもにとって同世代の友人は、親や先生など大人とはわかりあえない気持ちを共有できる、かけがえのない存在。そのため友人同士のつながりも濃密になりがちです。
“自分は何者か”を追求し始める
思春期の後期にかけては、自分は何者なのか(これを自己同一性といいます)について考え、自分らしさを追求する時期でもあります。
思春期以前にも子どもの自己形成は行われてきましたが、思春期は「親によって育まれた今までの自分」と別れ、自らの力で「自分」を再定義する時期です。
思春期以前にも子どもの自己形成は行われてきましたが、思春期は「親によって育まれた今までの自分」と別れ、自らの力で「自分」を再定義する時期です。
3子どもの反抗期、親が心がけたい対応は?
子どもの心身にダイナミックな変化が起こるのが思春期、その際に受ける様々なストレスによって、大人に反抗的な態度を見せるのが反抗期です。
続いては、反抗期の子どもが取りがちな態度と、親が心がけたい対応について考えていきましょう。
続いては、反抗期の子どもが取りがちな態度と、親が心がけたい対応について考えていきましょう。
反抗期の子どもが取りがちな態度
- 親の意見や指示を聞き入れない
- 親を無視する
- 言葉遣いが乱暴になる
- 口答えをする
- 自分の部屋に閉じこもる
反抗期の子どもはいろいろな葛藤や悩みを抱えています。親はそんな子どもに寄り添った対応をしてあげたいものです。
反抗期の子どもに親はどう対処する?
では、具体的に親はどんな対応を心がけるべきでしょうか。より詳しく見ていきましょう。
大きな気持ちでゆったり構える
親といえども1人の人間です。この間まで可愛かったわが子に生意気な口答えをされたり、無視するような態度を取られたりして、ついカッとすることもあるでしょう。もちろん見過ごせないような発言や態度をした時はきちんと叱る必要がありますが、感情的に子どもを叱るのはお勧めできません。子どもがより反抗的になることも少なくないからです。
また、子どもの言動がそのまま本心というわけではないことも、理解してあげてください。例えば「うるさい!」という言葉も親を嫌う気持ちから出たのではなく、「口出しされたくない」「1人でやらせてほしい」という意志表示であることが考えられます。
そんな時は子どもの判断に任せて“1人でやらせる”部分をはっきり決め、その内容について子どもと具体的に話しておけば、お互いに安心感をもつことができます。
「親は自分を見捨てない」という信頼があるからこそ、安心して反抗しているともいえます。子どもの言動を深刻にとらえず、「反抗期はいつか終わるもの」という気持ちで、親としてゆったりと構えてみてください。
そんな時は子どもの判断に任せて“1人でやらせる”部分をはっきり決め、その内容について子どもと具体的に話しておけば、お互いに安心感をもつことができます。
「親は自分を見捨てない」という信頼があるからこそ、安心して反抗しているともいえます。子どもの言動を深刻にとらえず、「反抗期はいつか終わるもの」という気持ちで、親としてゆったりと構えてみてください。
コミュニケーションは子どもの機嫌が良さそうな時に
反抗期には子どもと距離を取ることも効果的ですが、度が過ぎて放ったらかしになってしまうのは問題です。既にご紹介したように、反抗期の子どもは親に逆らう反面、まだまだ甘えたい気持ちももっているからです。
コミュニケーションを取りたい場合は子どもの機嫌が良さそうな時、またはリビングでくつろいでいる時など、タイミングを見計らって話しかけてみましょう。そのためには普段から子どもの様子を観察すること、リビングを安心できる場所にしておくことなどを意識してみましょう。
命令・否定的な質問・批判はしない
例えば子どもがスマホを見ながらだらだらと食事をしている、部屋から出てこないなどの態度を取っている場合、「さっさと食べなさい」「食事だから出てきなさい」と命令口調になりがち。しかし命令は子どもの気持ちや態度を硬化させる恐れがあります。そんな時は「先にご飯を食べて、スマホはその後で見てくれたらお母さんは嬉しいな」「お母さん、あなたと一緒にご飯を食べたいわ」など、主語を自分(親)にすると子どもが受け入れやすくなるはずです。
また「まだ宿題ができていないの?」のような質問の仕方は、否定や命令のニュアンスが入りがちです。大切なことは確認する必要がありますが、子どもが「叱られるのでは?」と身構えてしまうような問い方は避けた方がよいでしょう。
子どもの自尊心を傷つける批判にも注意を。特に「あんな友達と遊ぶから成績が下がったのよ」など、友人関係や成績など、反抗期の子どもが最も傷つきやすい批判は厳禁です。
子どもの自尊心を傷つける批判にも注意を。特に「あんな友達と遊ぶから成績が下がったのよ」など、友人関係や成績など、反抗期の子どもが最も傷つきやすい批判は厳禁です。
子どもの話や意見に耳を傾ける
反抗期の子どもに対して、親はつい頭ごなしに叱ったり命令したりして、言うことを聞かせようとしがちです。しかし子どもの話を否定も肯定もせず、いったん全て聞くことはとても重要です。そうすることで、子どもは「自分はありのままで受け入れられている」と安心できるからです。
子どもの意見が未熟だったり間違っていたりする場合も多々あると思いますが、そんな時は「間違っているからこうしなさい」と命令するのではなく、「お母さん(お父さん)が子どもの時はこうだったよ」と、親自身が子どもだった頃の“ありのまま”を伝えてあげるのもよいです。「お母さんやお父さんも、悩みながら大人になっていったんだな」と子どもが理解できるはずです。
4反抗期がない子どももいる
反抗期の時期、期間、程度などは個人によって大きく異なりますが、近年は反抗期がない子どもが増えているといわれています。その理由について考えました。
1反抗する理由がない
親が子どもの希望を全て受け入れる、無理な要求をしないなどの場合は、子どもに「親がお願いを聞いてくれない」「嫌なことをさせられる」などの葛藤がないため、親に反抗することもありません。その結果、反抗期が訪れないことになります。
2親に従うことに慣れている
1.とは逆に、親が子どもを完全に支配している場合も反抗期は起こりにくくなります。反抗したいけれどできないタイプと、反抗しても無駄だと諦めるタイプがありますが、どちらにせよ親が子どもの主張を押さえつけている点が特徴といえます。
3子どもの性質や親の多忙によるもの
例えばもともとの性質が優しい子どもの場合、「反抗したらお母さん、お父さんを悲しませるからかわいそう」と従順にしていることも多いようです。また親が仕事や家事などで多忙で、反抗する時間もないなどのケースも考えられます。どちらも子どもが無理をしていないならよいのですが、反抗したい気持ちを抑え込んでいるようなら問題です。
反抗期はあるからいい、ないから悪いというものではありませんが、親が怖い、あるいは悲しませたくないという理由で我慢しているかもしれません。「うちの子、反抗してこないな……」と気づいたら、一度、子どもに「我慢していることはない?」「お母さんやお父さんに聞いてほしいことはない?」「本当はこうしてみたいと思っていることはある?」など聞いてみて、親子関係を見直す必要があるかもしれません。
5親も、子どもが変わることへの心構えを
親の意見を無視したり、乱暴な言葉遣いで口答えしたり、反抗期に急激な変化を見せる子どもに対し、途方に暮れている親も多いのでは?
しかしわかってあげてほしいのは、その変化に一番とまどっているのは当の子どもだということです。
親が悩む「どうしてあんなことを言うのだろう」「あんな態度を取るのだろう」という点について、子どもたち自身でさえ明確に答えを出すことができません。第二次反抗期とはそういう時期なのです。
しかしわかってあげてほしいのは、その変化に一番とまどっているのは当の子どもだということです。
親が悩む「どうしてあんなことを言うのだろう」「あんな態度を取るのだろう」という点について、子どもたち自身でさえ明確に答えを出すことができません。第二次反抗期とはそういう時期なのです。
大変な反抗期の先には、1人の人間としての自立、そして親離れが待っています。安心と同時に寂しさを感じる親が多いと思いますが、どれも成長過程における重要なステップです。スムーズな親離れにつなげるためにも、親として子どもの反抗期をしっかりと受け止め、支えてあげてください。