小林聖心女子学院中学校・高等学校

伝統を守りながら新しい章へ 創立100周年記念学院祭

イベントレポート
小林聖心小林聖心女子学院学院祭生徒インタビュー課外活動レポート中学受験私立中学兵庫関西女子校行事文化祭イベント受験生

伝統を守りながら新しい章へ 創立100周年記念学院祭 小林聖心女子学院中学・高等学校

創立100周年記念の学院祭であり、4年ぶりに一般公開された小林聖心女子学院の学院祭。企画運営を担当した今年度のコミティー(学院祭実行委員会)は、小・中・高の12学年全員が共に集う『Students’ Day』、保護者や受験希望者も参加できる『Come and See Day』といった恒例の2日間に加えて、卒業生や旧教職員の方々をお招きする『Homecoming Day』を3日目に実施。小林聖心の伝統やつながりを喜び合うとともに、明るい未来に期待を寄せ合う100周年の学院祭を作り上げました。コミティーが主体的に取り組み、小林聖心らしさがあふれる学院祭を、メンバーの思いと共に紹介します。

小林聖心女子学院の生徒

学院祭コミティー

35名(生徒会メンバーと立候補の有志メンバーで構成。11・12年(高2・高3)が中心)

部署

総務/広報/会場/整美/入場管理/電子機器管理/校内表示・放送/クラブ企画/グッズ制作・販売/食品管理・販売/架け橋ショップ/ラッフル/フォトスポット/Got Talent/パネルディスカッション/展示系企画 計16部門

2023年度テーマ

New Chapter

小林聖心女子学院

2023年度学院祭<準備>

2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備
2023年度学院祭の準備

生徒・教職員・来校者
誰もが楽しめる日に

100周年記念学院祭<準備>

小林聖心女子学院の学院祭準備は、学院祭名物ともいえる「大移動」からスタートしました。事前に会場担当のコミティーが立案した場所に机やイスを移動。教室に残すもの、持っていく場所が指示され、学院祭終了後はきっちりと元に戻るよう計画されています。
その後、7年生は各自教室でゲームの準備や装飾、8年生から12年生はそれぞれの所属するクラブや企画の準備を進めていきました。5・6年生も体育館に集まって各クラスの手作りゲームを設置していきます。腕章をつけて部署ごとの対応に追われる忙しそうなコミティーの生徒たちは常に動きまわっている印象でした。
コミティーの的確な指示に従いながら、皆で楽しみたい、訪れる人たちに喜んでいただきたいという気持ちにあふれ、準備にも手を抜かず夢中になっていた小林聖心生。学院祭成功への熱い思いが伝わってくる準備段階。この日からすでに学院祭の成功が感じられました。

Students' Interview

コミティーメンバーにインタビュー!

新しいことに勇気を
持って取り組むことが
小林聖心の伝統をつくる

Iさん(学院祭実行委員長・StageⅢ生徒会長・高校3年)

Hさん(奉仕部門ヘッド・奉仕副委員長・高校3年)

テーマは「New Chapter」
伝統を大切に新たな章に踏み出す
― まず今年の学院祭のテーマと、テーマに込めた思いを教えてください。

Iさん 今年の学院祭のテーマは「New Chapter」です。これは毎年の恒例で、StageⅢ*生徒会の1年間のモットーを学院祭のテーマに使用しています。今年は小林聖心の創立100周年にあたり、小林聖心が大切にしている伝統を受け継ぎ守りながらも、100周年という区切りを迎え、私たちなりに新しい章に踏み出していきたいという強い思いを込めて、生徒会メンバーで決めました。 *注:StageⅢ…中学3年~高校3年

Hさん100周年を迎える小林聖心の伝統を繋いでいこうという思いとともに、一緒に新しいページを開いていこうという思いが込められています。新しい道を作っていく挑戦的な思いに共感し、「New Chapter」という気持ちで頑張ろうと学院祭に挑みました。

― 「New Chapter」としての挑戦は何だったのでしょうか。

Iさん挑戦として取り組んだ象徴的なことは、学院祭の3日目に『Homecoming Day』を設けたことです。通常は2日間で、1日目が生徒だけの『Students’ Day』、2日目に保護者や受験希望の方が参加できる『Come and See Day』を行いますが、今年は3日目に100周年を記念した『Homecoming Day』を加え、卒業生やこれまで小林聖心に携わってくださった先生方や職員の方々に来ていただく日にしました。

― Iさんが学院祭コミティーの実行委員長として、中心になって進めていったのですか。

Iさん学院祭コミティーは、前年の12月までに生徒会メンバーで担当部署を決め、人が足りない部署についてはメンバーの募集を年明けにして、1月中旬頃から活動するのが通常です。『Homecoming Day』の企画は、「100周年に生徒会長になったからには何かをやり遂げたい」という私の気持ちから始まったので、最初は生徒会長として進めていきました。生徒会の先生にお話をしたのは前年度の学院祭の頃です。その後、生徒会で副会長たちと、「なぜやりたいのか。どのような内容で行いたいのか。」を話し合い、本格的な企画書を8月に提出しました。学校に受け入れていただいてからも『Homecoming Day』の構想を練る時間はかなり長く、私にとっては特別な活動になりました。

― 苦労した3日目の『Homecoming Day』の企画内容を教えてもらえますか。

Iさん伝統を大切にする小林聖心が迎える100周年に、「何をやるべきなのだろう」「何が正解なのだろう」とずっと考えていました。学校が100周年に重みと意味を持たせているのは小林聖心という学校を大切にしてきた方々が多いからで、そういった方々のおかげで今の小林聖心はある。その意味では、今まで関わってきた人が一度に集まれるような場があるといいのかな、学校をみんなで祝う日を作れたらいいのかなという考えにたどり着きました。最初に企画書を提出した段階からいろいろ話し合い、変わった部分も多くありますが、卒業生の方々や小林聖心に勤めていらっしゃった先生方に来ていただいて楽しんでもらう日にすることが私たちの目的だったので、そこから逸れない内容を考えてきました。

― Hさんは3日目の『Homecoming Day』の提案について、どのように受け止めましたか。

Hさんみんなで支えあいながら小林聖心の100周年の伝統をお祝いしようという気持ちと、生徒会の一人として一緒に挑もうという気持ちでいました。とても大変そうでしたが、指示や説明もしっかりとしてくれて協力できました。

― 学院祭の準備を見せてもらったときに他校との違いとして、小中高で準備をしているのが新鮮でした。幅広い学年の生徒たちが参加する形の学院祭という意味で考えたことありますか。

Iさん今回、全員が主体的に関わる学院祭にしたいと、最初から先生方にお伝えしてきました。学院祭に対して一人ひとりが何か少しでも思い入れのある状態になってほしいと思っていたので、コミティーとして何かを判断するときも、できるだけ多くの人が関わる機会を作ることを意識しました。形になったのは、1年生から12年生(高校3年生)までの12学年でのオープニングや、オープニングでのクラブ・パフォーマンスです。中高生も盛り上がっていましたが、小学生が本当に盛り上がってくれて、自分たちが頑張ったことが多くの人に喜んでもらえたことがとても嬉しかったです。コロナ禍前から5・6年生はゲームに関わってきましたが、今回はお金の管理もしてもらって、自分たちの学院祭として関わる機会を少しでも多くもってもらいました。7年生(中学1年生)も、チャリティーゲームなどでしっかりと学院祭に関わってくれました。

商品販売ではなく
支援が目的の『架け橋ショップ』
― ではHさんが担当した「架け橋ショップ」について教えてください。

Hさん『架け橋ショップ』は商品を販売するだけでなく、東日本大震災の復興活動支援、兵庫県社会福祉施設で働いていらっしゃる障がいのある方々の社会活動支援を目的として運営しています。進めていく中で、コロナやウクライナの紛争で原材料の不足や高騰といった現状があるということを知り、販売できる商品や可能な販売数については長期間にわたってお店と話し合いを続けました。お菓子を扱うのでアレルギーにも気をつけ、成分表を配信したり、当日販売する場所に掲示したりすることも大切にしました。また、12年が経過し遠い過去のように感じる東日本大震災ですが、いまだ復興支援を必要とされている現状があります。どのような支援を必要とされているのかをお聞きしながら、私たちに何ができるのかを考えて企画を進めました。社会福祉施設にも実際に訪問して、私たちに何を知ってほしいのか、どんなボランティアが必要なのかといったお話をうかがいました。『架け橋ショップ』に来ていただいた方に、それぞれの細かな状況や必要な支援を伝えられるようにポスターを作成して会場や教室の周りに展示するという工夫をしました。

― 東北支援のチームは何人のメンバーがいるのですか。

Hさん私と11年生(高校2年生)の2人です。先生方に協力していただきながらお店を訪問し、相談しながら進めました。また、当日は9年生(中学3年生)以上の10人ほどの生徒が販売のお手伝いをしてくれますので、指示や管理を行いながら進めました。販売したのはキャラメルラスク、マドレーヌ、動物の形をしたビスケット、もなかといったお菓子です。

これが小林聖心らしい100周年の姿
― では、今年の学院祭の感想をお願いします。

Iさん1日目2日目のオープニング、2日目の終わりに7年生から12年生で学校の歴史に関するクイズをして、その後に振り返りビデオを見た時間も印象的ですが、3日目の最後にハレルヤの大合唱を全員で行い、そこで本当に楽しそうにしている後輩たちや卒業生の姿を見た時に、「これまでやってきてよかった」と心から思いました。もちろん進めていく中で大変なこともありましたが、自分の働きがみんなの喜びにつながる経験はなかなかできないと思います。それができた嬉しさを味わえたことが私の一番の感想です。
特に3日目に関しては、100周年の学院祭の正解がずっとわからなくて、何をするべきなのかと悩んできました。構成を考える段階で時間がかかってしまったのは、どういう企画にすれば多くの人が納得する日になるのかがとても難しかったからです。でも、最後のハレルヤ大合唱に卒業生の方、先生方、在校生といった多くの人が集まる光景を見たときに、「これで良かったんだ」と思えたと同時に、「これが小林聖心らしい100周年の姿ではないかな」と思えました。

Hさん私は学院祭ではずっと『架け橋ショップ』の教室にいて、多くの生徒やお客様の対応に追われる中で、手伝ってくれる人に指示をしたり、商品を出したり、会計を管理するといったたくさんの仕事をしていました。そのときに、私が指示を出さなくても説明書を読んで仕事を始めてくれたり、一人ひとりができることを考えて行動してくれたりして、助けられたことがたくさんありました。それがとても嬉しかったです。例えば商品を詰める作業がなかなか終わらなくて困っていたら、私が直接頼まなくても同級生が声をかけ合って手伝ってくれて、私がいないところでも仕事を手伝ってくれている場面を何度も見て、「自分ももっとこの学院祭のためにできることをしよう」と何度も思いました。また、私自身も学院祭を支えられたことに大きなやりがいを感じましたし、『架け橋ショップ』のお菓子を持っている生徒の姿を見て、自分がやってきたことが報われたのだと、達成感を味わいました。

― 100周年の学院祭が無事終わったわけですが、改めて小林聖心の学院祭とは?

Iさん普段の学校生活でも言えることですが、小林聖心には生徒が主体的に活動するための場がたくさんあって、学院祭はその代表的な行事だと思います。当日楽しんでもらうためのたくさんのプロセスに生徒が主体的に取り組んでいきます。今年も3日目を行うという生徒からの提案を学校が受け入れてくださったことに本当に感謝していますが、生徒が主体的にやることに対して協力してくださる環境だからこそできた学院祭だったと思います。
コロナ禍でのオンライン学院祭も含めて、毎年新しい取り組みがあるわけですが、私は過去の先輩方の新しい取り組みも含めて、それが伝統になっていくと思っています。新しいことに勇気を持って取り組むことこそが小林聖心の伝統を作ります。今年の私たちが作った学院祭も、小林聖心の歴史に新しい1ページを刻むような行事になったのかなと思っています。

Hさん奉仕部からの観点で言わせていただくと、募金をするといったボランティア活動はどこか他人任せになってしまいがちですが、学院祭に『架け橋ショップ』のような企画があることで、支援を必要とされている方々に思いを馳せたり、知って学んだりすることができます。それが小林聖心の学院祭の特徴の一つです。自分のことだけでなく周りの人のためにこんなことを大切にしようとか、一緒に頑張ろうとか、そういった気持ちをもって仕事をしたり、誰かをサポートしたりする場面が多いこの学校ならではの学院祭で、今年もしっかりと実現できていたと思います。

小林聖心女子学院

2023年度学院祭

取材した2日目は天気が良く外で昼食をとることができました。

下級生を上級生がもてなします。

準備時にはコミティーメンバーであふれていた学院祭本部ですが、学院祭当日はそれぞれの持ち場にいるのか閑散としていました。

5・6年生の作ったゲームブースはどこも大盛況です。

入口の案内係。幅広い学年の生徒や受験希望者が参加するため、校内には案内係がたくさんいます。